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研究内容

現在研究室では、主にゲノムを基盤とした次のような研究を進めている。

これらの現在進行中の研究は、ゲノム情報をどう利用するのかという
ポストゲノム時代を見据えた内容ではあるが、ゲノム情報を基盤としたヒト
を含めた霊長類の進化・多様化の解明のためには、さらに新しい視点に立った
遺伝子・非遺伝子領域の機能解明が必須である。ゲノム情報を基にしたヒトや
類人猿・その他霊長類の進化・多様化の軌跡を明らかにする、これまでは夢物語
であったテーマも実現できる時代に来ていることを強調したい。

分野紹介ポスター

ゲノムプローブを用いた染色体の進化と霊長類の進化

図:チンパンジーの第7染色体q31領域(白矢印)を削り、染色体断片を回収(赤矢頭)(a)。PCRでDNAを回収し、蛍光色素で標識後、FISH法をもちいて染色体にのせると、蛍光色素で同じDNAを持つ部位が検出できる(b)。

ゲノムは生命誕生以来連綿と受け継がれてきたので、35億年の歴史を追跡することが可能である。DNA配列の解析はまさにそれを実施している。染色体はDNAが凝集してできた物体であり、染色体もゲノムマーカーを使って進化を解析することが可能である。われわれは染色体の断片を削り取り、それをプローブ(染色体彩色プローブ)として染色体の変化を解析することを、ひとつの解析手段としている。とりたい染色体の部位をガラスキャピラリーで削り取り、PCRでDNAを回収し、プローブ化する(図)。自在にプローブを作成できるので、独自の実験計画を可能とする。数億年の染色体変化史を追跡できる。
[ 平井啓久 ]

霊長類の感覚に対する分子・細胞・個体・生態レベルの研究

霊長類の研究でもゲノム解析が進み、代表種についてゲノム配列が公開されてきたが、そこから生物学的な意義付けができている遺伝子・配列はまだ少ない。私たちは、主に環境応答に関わる感覚受容体遺伝子(視覚・味覚・嗅覚等)をターゲットとして、個体ごとに異なる配列の意義、遺伝子発現の機構、タンパク質の性質、末梢や脳内の情報処理機構など、各種霊長類が示す表現型へのゲノムベースの新たな研究を展開することを進めている。
最近では、味覚の個人差や地域差に与える遺伝子の影響がヒトだけでなく、様々な動物種でも存在することがわかってきたため、採食植物等を含めた環境との対応を解明することを目指している。たとえば、特定の苦味がわからないニホンザルが紀伊半島にのみ存在することを発見した(Suzuki et al., 2010)。現在、このサルの味覚の進化(退化?)と、苦味成分を持つ柑橘類など周辺環境との関連について、有機化学などの専門家とともに研究を進めている。
また、個体レベル・地域レベルの変異が固定したものが、種の差になるため、カルシウムイメージングなどによるタンパク質レベルで種間の化学感覚の違いを発見し、行動実験で確かめ、生態観察との関係を考察する方法で、研究を進めている(Imai et al., 2012)。海外の霊長類にも注目しており、現在、野生チンパンジー(熱帯アフリカ)、 野生ラングール(中国)などの苦味受容体と食物環境の調査も展開している。多様な世界環境に生息する霊長類を比較することで、味覚進化のゲノム基盤を明らかにすることを目標としている
[ 今井啓雄鈴木-橋戸南美西栄美子糸井川壮大河本悠吾Yan Xiaochan]

iPS細胞を用いた進化生物学/医学および霊長類の分子発生生物学/エピゲノム

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