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Differential sensitivity to conspecific and allospecific cues in chimpanzees and humans: 
A comparative eye-tracking study. 

Hattori, Y., Kano, F., & Tomonaga, M.

Biology Letters

 霊長類研究所 服部裕子 研究員らの研究グループの研究成果が英国王立協会生物学短報「Biology Letters」に掲載されました。

論文名
Hattori, Y., Kano, F., & Tomonaga, M. (in press). Differential sensitivity to conspecific and allospecific cues in chimpanzees and humans: A comparative eye-tracking study. Biology Letters. 

研究成果の概要

  「目は口ほどにものを言い」とはよく言ったものですが、ことばをもたない動物のこころを調べるためには、目の動きは大変重要な手がかりとなります。私たち霊長類研究所のグループを含め、多くの研究グループがヒトに進化的に最も近い動物、チンパンジーの心の働きを探ろうとしてきましたが、これまでチンパンジーの目の動きを直接測定した研究はありませんでした。最近、私たちはその試み−チンパンジーのアイ・トラッキングに成功し、その成果を各種学会、国際誌、メディアに報告しています。左図に実験の様子を示します。チンパンジーが実験ブースの中からモニターを見ています。モニターの下に目の動きを測定する装置、アイ・トラッカーがあり、赤外線による角膜と網膜の反射イメージを形成し、それらの位置の差分から目の方向を計算しています(Tobii X120, Tobii technology)。

 こうした装置を利用し、これまで私たちは、チンパンジーの風景写真の見方や顔写真の見方(右図:目の動きの軌跡)を調べ、興味深い知見を得てきました。ヒトとチンパンジーの風景や顔の見方は驚くほどヒトと似ています。しかし、それと同時にヒトとの相違も明らかとなり、チンパンジーらしい目の動かし方、ヒトらしい目の動かし方が明らかになってきたのです。

 「ヒトとチンパンジー視線の違い解明 京大霊長研」読売新聞、中部版、2009年5月30日

 Kano, F., & Tomonaga, M. (2010). Face scanning in chimpanzees and humans: continuity and discontinuity. Animal Behaviour, 79, 227-235.

 Kano, F., & Tomonaga, M. (2009). How chimpanzees look at pictures: a comparative eye-tracking study. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 276(1664), 1949-1955.

 今回、私たちは、他人が示す方向の手がかりにチンパンジーとヒトがどのように反応するか調べました。下図を見てください。写真の中でモデルが顔をある方向を向けているとき、その写真を見たヒトは、思わず同じ方向を向いてしまいます(丸は視線の位置、線は目の動きの軌跡)。「目がつられる」というわけです。私たちの実験に参加したヒトの被験者もそのような目の動きを示しました。それでは、チンパンジーはこのような場面でどのように目を動かすのでしょうか?もう一度下図を見てください。実験に参加したチンパンジーは、確かに、チンパンジーのモデルが顔を向けている方向に目を動かしました。しかし、興味深いのは、モデルがヒトであったときには、チンパンジーは同じ方向に目を向けなかったのです。実験に参加したチンパンジーは子どものころから、人間と友好的な関係を築いてきたチンパンジーばかりです。それでも、チンパンジーがヒトのモデルの方向の手がかりに反応することはありませんでした。もしかすると、チンパンジーは同種の個体が示す方向手がかりに対して、より強い感受性を持っているのかもしれません。

 チンパンジーが他人の示す方向の手がかりに敏感であると言うことは、私たちの研究以前に、多くの研究が示してきたことですが、私たちの発見のユニークな点は、モデルによってその敏感さに違いがあるかもしれないと示唆した点です。この結果のもうひとつ興味深い点は、ヒトはモデルによらず、方向手がかりに敏感だったと言うことです。ヒトは下に示したような写真から、チンパンジーよりも多くの手がかりを読み取っているのかもしれません。チンパンジーもヒトも方向手がかりのような他人の示す社会的手がかりに対して敏感に反応しますが、その柔軟性に関しては、ヒトのユニークな点なのかもしれません。

 チンパンジーのアイ・トラッキング研究はまだ始まったばかりです。今後、私たちはこの新しいアプローチを使って研究を進め、絵画の見方、カテゴリー処理、自己認識など、これまでの研究に新たな知見をもたらすことを期待しています。

 朝日新聞(3月24日夕刊 10面)、京都新聞(3月24日夕刊 9面)、産経新聞(3月24日夕刊 8面)、日刊工業新聞(3月25日 31面)、日本経済新聞(3月24日夕刊 18面)、毎日新聞(3月24日夕刊 10面)および読売新聞(3月24日夕刊 10面)に掲載されました。

 

MAR/29/2010


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