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霊長類研究所年報 Vol. 28 1999 抜粋・一部改稿

 

I  21世紀に向けての霊長類研究所

京都大学の既存全学部の重点化、すなわち研究科の部局化・実体化が完成した。これによって教育はより高度なレベルに重点を移すことになり、研究と大幅に重複することになる。そこで、研究科と付置研究所との違いはどこにあるのかが問題として浮かび上がってきた。研究所も大学院教育を行っており、私たちの霊長類研究所は全所一体となって霊長類学系を構成しているので、研究科の各教室との差が問われるわけである。

 研究科が担っている教育には、やたらに動かしてはならない学問各分野の基盤がある。それに対して研究所は時代に即応し、社会の変化を見つめ、最先端の学問を大胆に切り開いてゆく責務がある。思い切った変革ができるのは研究所である。井村前総長や各研究所長らとの話から、こんな研究所像が出てきた。他に類似の研究機関のない霊長類研究所としては、全国の関連研究者に便宜を提供し、全体がレベルアップするような牽引車になることも任務のうちだと言えるだろう。

 おりしも本研究所は設立30年を迎え、国内外の外部評価委員の力を借りて、これまで歩んできた道の点検評価と新たな進路の模索を行い、印刷公表した。すなわち、研究面を主体とした1996年度の「サルとヒトの接点を求めて」と、教育に焦点をおいた1997年度の「明日の霊長類学の創造に向けて」、そして研究体制全体の見直しを迫った「21世紀を目指す霊長研」である。ここから出てきたこれからの方針は以下の通りである。

 これまで霊長研が柱としてきた「人類の来た道 (ホミニゼーション) の解明」を堅持しながらも、人類のあるべき姿を生物科学の面から明らかにし、現代社会の抱える諸問題の解決に提言できる科学を創造する。人類を滅亡させるかも知れない地球規模の諸問題が、極度に発達した人間の脳のもたらした仕業なら、問題の解決も、人間本性の解明が重要な柱にならなければならない。遺伝子から細胞、個体、社会、生態環境までの各レベルを、DNA構造、遺伝機構、ホルモン作用、神経機構、認知、形態と系統、そして生態系の解明というオールラウンドに多分野を備えた私たちの研究所を核にして、初めて総合的に取り組める課題であろう。

 いま直ちに取り組まねばならない問題は何か。人類のサバイバルのための研究に、研究材料であるサルがないがしろにされてはならない。飼育から実験まで、動物研究における倫理を科学として確立し、徹底させてゆかねばならない。一方で、開発と環境破壊による地域的・全面的絶滅から霊長類とその生息環境を守るため、霊長類保全学を早急に打ち立てなければならない。霊長類が動物たちの頂点に立つからこそ、サルたちに対して人間がどう取り組むかは、自然科学の未来に重大な影響を持つと考えるのである。

 研究対象を大事に扱い、社会に向かって提言し、世界に位置づけのできる霊長類研究所でありたい。

                              1998年4月10日   所長 杉山幸丸

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