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京都大学霊長類研究所
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II 研究所の概要

6. 研究活動 

(1)各研究部門及び付属施設

進化系統研究部門

形態進化分野

片山一道・濱田 穣・毛利俊雄・國松 豊・早川清治1)

〈研究概要〉

A) ヒトの進化の特異性に関する形態学的研究

片山一道

 ヒトは非常に特異な身体特徴をもつ霊長類で、大型類人猿の一種である。そのヒトの特異性を形態学の方法で検索すること、同時にけた外れに大きなヒトの多様性の意味を解明すること、もってヒト化およびサピエンス化のプロセスの実態、要因、特性などを広く霊長類の進化と適応現象の文脈の中で総合的に考察していくことがテーマである。

 ヒトなどの骨格を肉眼観察や計測で調べる骨学研究が主要な研究方法だが、ときにX線撮影法などを駆使した生体学的研究とか、成長加齢現象の分析なども行っている。できるだけ独自の視点で出来るだけシンプルな方法で身近な問題を扱い、まさに大きさと形だけでヒトの特異性を解明していこうとするのが、この研究の心髄である。

 もとより人類の進化、つまりヒト化とサピエンス化のプロセスには、他の生物の進化とは異なる大きな特性がある。ひとつは遺伝子の変化を伴わず、体形、行動、存在様式だけが異常な速度で変化した点、ひとつは特殊化せずに、どんどん分布域を拡大していった点である。だからヒトの本質に近づくには、肉眼形態学などのマクロな方法論でアプローチするのが有効な手段となる。ヒトの進化の実態、要因、特性を再検証することによって、「人間とは何か」を考える人間論の領域に深く踏み込んでいきたい。

B) 古人骨の骨考古学的研究

片山一道

 古人骨や化石人骨の研究は、先史時代や過去の人びとの体形や容貌などを推察するための唯一の手段である。同時に、それらの人びとの生活形態を知るにも重要な手段となる。個々の骨に活動痕、生活痕、病痕、傷痕などが刻まれ、骨の元素構成が食物内容によって影響を受けるからである。また多数の人骨を調べることにより古人口学の問題にアプローチできるからである。

 古人骨や化石人骨を形態学的に調べることにより、あるいは同位体元素などを分析することにより、過去の人びとの日常的な生活活動、特殊活動、食習慣、健康状態、社会的な構成などを明らかにする。これが研究の骨子である。 

C) ニホンザルとチンパンジーの縦断的発育研究

濱田 穣

 これらの霊長類種の身体発育に関して,技官の早川清治とともに資料収集を継続した。ニホンザルは思春期発育加速の時期を過ぎ、後期発育期(Late Growth phase)に、チンパンジー{(株) 三和化学研究所の熊本霊長類パーク飼育個体}は加速時期にそれぞれあり、周思春期発育パターンの分析が可能になってきた。ニホンザルでは、発育の季節性、夏から冬にかけての発育が春ら夏までの期間よりも著しい、がまず見られる。この発育加速の時期は繁殖時期とも重なっている。従って、初潮などの性成熟時期と季節的発育亢進,さらに思春期発育加速、が重なることになる。前胴長などの長さ次元での発育では、発育速度ピークは性成熟の時期にのみ重なることが確認された。しかしながら、チンパンジーのデータについての予備的な分析の結果では,長さサイズ発育には明確な思春期発育加速は見いだされない。

D) 霊長類の骨格年齢変化研究

濱田 穣

 思春期ニホンザルのレントゲン写真を用いて、中手骨と中足骨の長さ、幅、皮質厚さの年齢変化を分析した。皮質厚さが特徴的に増加し、いちじるしい体重増加を反映した骨強度の増大だと考えられる。ニホンザルとチンパンジーの骨密度研究を開始した。今年度はpQCTを用いて橈骨遠位部密度と断面形状に関する横断的資料収集を行い、予備的研究を行った。

E) ガボン共和国霊長類についての調査

濱田 穣

 短期間ながらガボン国を訪れ、西ローランドゴリラ(Gorilla g. gorilla),チンパンジー(Pan t. troglodytes), グエノン類(Cercopithecus nictitansなど),マンガベイ類 (Lophocebus albigena),コロブス(Colobus satanas)の形態学的調査,およびロコモーション観察を行った。フランスビルにある国際医学研究センターでは、近年,新種として報告されたCercopithecus solatusを観察した。

F) ヒトをふくむ霊長類の骨格、とくに頭蓋骨の形態学的研究

毛利俊雄

 頭蓋計測値からみたニホンザルの地域変異の研究をはじめた。まず、地域変異があるかどうかを確かめるために屋久島、幸島、金華山の成体オスを予備的に比較すると、やはり屋久島のニホンザルが、サイズとくに眼窩付近の横径が小さいため、ほかの2島のニホンザルから分離した。

 ニホンザルの分割舌下神経管を題材にして、非計測特徴の低い左右相関、それが示唆する低い遺伝率は必ずしも集団比較におけるその特徴の有用性を否定しないことを論じた。

 愛知県豊橋市のいくつかの考古学的遺跡から出土した人骨について報文を作成した。

G) アフリカにおける化石類人猿の研究

國松 豊

 ケニヤ共和国北部のナチョラおよびサンブル・ヒルズ地域において,霊長類をはじめとする化石の発掘調査に参加した。今年度の調査では,ナチョラ地域で発見された化石類人猿およびオナガザル上科の標本を含め,中新世中期〜後期の脊椎動物化石が採集された。また,野外調査のあと,ケニヤ国立博物館において,今年度に採集した化石標本と,同博物館所蔵の他地域の化石との比較研究をおこなった。その他,ウガンダ博物館で,ウガンダ東部国境地域から出土した中新世類人猿化石の標本調査をおこなった。また,予察のためエリトリアを訪問した。

H) アジアにおける化石類人猿の研究

國松 豊

 中国雲南省において霊長類化石産地の予察をおこなった。また,中国の研究施設に保管されている雲南省出土の中新世霊長類化石(Lufeng-pithecus, Laccopithecus, Sinoadapis)の調査を実行した。カルカッタのインド地質調査所では,インド北西部のシワリク地域から出土し,同調査所に保管されているSivapithecusを主とした霊長類化石コレクションを調査した。タイ鉱物資源局の地質調査部門では,タイ北部から見つかった小型中新世霊長類の標本を調べ,アフリカ中新世の小型狭鼻猿化石と比較した。また,タイ南部から出たSiamopithecus, Wailekiaの標本を観察した。

〈研究業績〉

論文

−英文−

1) Katayama, K. (1997) The Japanese as an Asia-Pacific population. In“Oceanic Culture History: Essays in Honour of Roger Green”(eds. Davidson, Irwin, Leach, Pawley and Brown), New Zealand Journal of Archaeology Special Publication, Dunedin, pp. 83-89.

2) Mouri, T. (1998) Division of hypoglossal canals in Japanese macaques. Anthropological Science, 105 (4): 211-216.

3) Kunimatsu, Y. (1997) New species of Nyanzapithecus from Nachola, Northern Kenya. Anthropological Science, 105 (2): 117-141.

−和文−

1) 片山一道(1998)カマン・カレホユックの古人骨:第1報、アッシリア植民時代の火災建築遺構から出土した焼骨群は何を語る.アナトリア考古学研究 IIV:205-219.

2) 片山一道(1998)縄文人の外耳道骨腫:その出現率の地域差と要因.橿原考古学研究所論集13:591-609.

3) 毛利俊雄・渡邊邦夫・渡辺毅 (1997) スラウェシマカクの頭蓋サイズの性差. 霊長類研究 13(1): 29-39.

総説

−和文−

1) 片山一道(1997)南太平洋の人類学.Academia 172: 37-46.

2) 片山一道(1997)「ポリネシア:海と空のはざまで」東京大学出版会(東京)

報告・その他

−和文−

1) 片山一道・米田穣(1997)粟津湖底遺跡で出土した縄文時代中期の人骨.「粟津湖底遺跡第3貝塚(粟津湖底遺跡I)」(滋賀県考古学協会編)所収、pp. 406-413.

2) 片山一道・平田泰紀(1997)第3章、堺市・向泉寺遺跡出土の江戸時代人骨.「向泉寺跡遺跡発掘調査概要報告」所収、pp. 23-29.

3) 片山一道(1997) ポリネシアのことを考え、ポリネシアの人びとのことを想う.South Pacific 2:4-10.

4) 片山一道(1997) 化石人類の研究に役たたぬDNA.中日新聞、9月21日.

5) 片山一道(1997) 「日本人の起源」など12項目. 角川「日本史事典」(朝尾、宇野、田中編)所収、角川書店.

6) 片山一道(1998) 縄文人の等身大の姿: 20万人の『普通の人びと』.NTTホ−ムページ『ハローねっとジャパン〜縄文ネットワーク〜』.NTT出版.

7) 片山一道(1998) 海と人間の関わりの歴史.NHKスペシャル『海・知られざる世界、第1巻』所収、日本放送出版協会.

8) 片山一道・山極壽一(対談)(1998) 人類の起源と現代.大航海 22-5: 42-62.

9) 片山一道(1998) ポリネシアの「二つの尻」.エコソフィア 1: 47.

10) 毛利俊雄 (1997) 中村遺跡出土人骨. 豊橋市教育委員会・牟呂地区遺跡調査会編『豊橋市埋蔵文化財調査報告書第41集 中村遺跡・作神遺跡 牟呂土地区画整理事業に伴う埋蔵文化財調査報告書−中村・作神地区−』 pp. 27-28.

11) 毛利俊雄・木下実・江原昭善 (1998) 市杵島神社古墓群出土の中世人骨. 豊橋市教育員会・牟呂地区遺跡調査会編『豊橋市埋蔵文化財調査報告書第42集 市場遺跡・市杵島神社古墓群・牟呂王塚古墳』 pp. 155-172.

12) 毛利俊雄 (1998) 磯辺王塚古墳出土の人骨. 豊橋市教育委員会編『豊橋市埋蔵文化財調査報告書第43集 磯辺王塚古墳』 pp. 115-116.

 

書評

−英文−

1) Kunimatsu, Y. (1996) Book Review: Faunal Change of Late Miocene Africa and Eurasia: Fauna from the Namurungule Formation, Samburu Hills, Northern Kenya, Hideo Nakaya. African Study Monographs, Supplementary Issue No. 20, 112 pp., 1994. In: Nilo-Ethiopian Studies Nos. 3-4: 73-74.

−和文−

2) 片山一道(1998)書評 『ネアンデルタール人とは誰か』 エコソフィア 1: 152.

学会発表

−英文−

1) Hamada, Y., Kikuchi, Y., Nakatsukasa, M., Kunimatsu, Y., Ishida, H. & Udono, T. (1998) Preliminary study on the age change in bone density and the cross-sectional shape of the radius of Japanese macaques and chimpanzees using pQCT. 国際シンポジウム "The Use of Dual Energy X-ray Absorptiometry (DEXA) in Nonhuman Primate Bone and Mineral Research" (March 4 - 6, 1998, University of Washington, Seattle).

2) Mouri, T. & Oku, C. (1997) Division numbers of infraorbital foramen, mental foramen and hypoglossal canal in Old World monkeys. Anthropological Science 105 (1): 43.

−和文−

1) 濱田穣, 早川清治, 鈴木樹理, 大蔵聡 (1997) 思春期ニホンザルの中手骨成長と骨格成熟: 縦断的研究. 第13回日本霊長類学会大会(1997年7月, 札幌). 霊長類研究 13(3): 252.

2) 鵜殿俊史,濱田穣,岡安直比,山極壽一 (1997) コンゴにおけるゴリラ、ボノボ孤児の獣医学的検査所見。 第13回日本霊長類学会大会(1997年7月, 札幌) 霊長類研究 13(3): 264.

3) 榎本知郎,中野まゆみ、松林清明,後藤俊二,濱田穣,川本芳、竹中修、渡邊邦夫 (1997) トンケアンモンキー・ヘックモンキー種間雑種個体の精巣の組織学的特徴. 第13回日本霊長類学会大会(1997年7月, 札幌). 霊長類研究 13 (3): 280.

4) 濱田穣 (1997) 霊長類の骨成熟:発育速度の遅速を考える. 第51回日本人類学会大会シンポジウム"日本人の骨成熟" (1997年11月, 筑波大学).

5) 濱田穣・早川清治 (1997) 周思春期ニホンザルの中手骨・中足骨の発育:縦断的研究。 第51回日本人類学会大会 (1997年11月, 筑波大学). 

6) 百々幸雄・片山一道(1997)骨考古学の新しい展開.第51回日本人類学会(1997年11月、筑波).

7) 井上康二・福田眞輔・中井将嗣・片山一道(1997)疫学からみた本邦リウマチ性疾患古病理学.第51回日本人類学会(1997年11月, 筑波).

8) 杉原清貴・片山一道(1997) カマン・カレホユック出土人骨の非計測形質.第10回アナトリア研究報告会(1998年3月10日、三鷹).

9) 毛利俊雄 (1997) 屋久島・幸島・金華山のニホンザルの頭蓋計測. 第13回日本霊長類学会大会(1997年7月, 札幌). 霊長類研究, 13 (3): 247.

10) 岡田成賛・諏訪文彦・茂原信生・毛利俊雄 (1997) リスザル嗅覚器の微細血管構築. 霊長類研究13 (3): 277.

11) 國松豊,中務真人,山中淳之,清水大輔,石田英実(1997)北ケニヤ,ナチョラから新たに発見されたケニヤピテクス顎骨.第13回日本霊長類学会大会(1997年7月,札幌). 霊長類研究 13 (3): 249.

12) 中務真人,山中淳之,清水大輔,石田英実,國松豊(1997)北ケニヤ,ナチョラから発見されたケニヤピテクスの骨格.第13回日本霊長類学会大会(1997年7月,札幌). 霊長類研究 13 (3): 248.

13) 石田英実,清水大輔,中務真人,國松豊,中野良彦(1997)北ケニヤ,ナチョラ産ケニヤピテクス上顎大臼歯の遠心横隆線について.第13回日本霊長類学会大会(1997年7月, 札幌). 霊長類研究 13 (3): 249.

14) 國松豊,中務真人,山中淳之,清水大輔,石田英実(1997)ナチョラ,BG-K化石産地から新しく発見したケニヤピテクスの上・下顎化石.第51回日本人類学会大会シンポジウム”ケニヤピテクス研究の最前線”(1997年11月,筑波大学).

15) 中務真人,山中淳之,清水大輔,石田英実,國松豊(1997)ナチョラ,BG-K化石産地から新しく発見した四肢・体幹骨化石.第51回日本人類学会大会シンポジウム”ケニヤピテクス研究の最前線”(1997年11月,筑波大学).

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