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集団遺伝分野

庄武孝義・川本 芳・平井啓久

〈研究概要〉

A) ニホンザルの集団遺伝学的研究

庄武孝義・川本 芳・菱田 靖1)

 ニホンザルの集団中に見られる分子変異(蛋白質・DNA)を調査し、遺伝的変異の保有機構、集団の遺伝的構造、ならびに地域集団成立の進化的背景の解明をめざしている。前年度に引き続きミトコンドリアDNAの地理的変異に関する調査をおこない、Dループ領域の塩基配列比較を進めた。この分析の対象として従来は現生の動物のみを対象としてきたが、今年度から絶滅地域に残る古骨も分析の対象に組み入れた。これらの分析結果を、札幌市で開催された第13回日本霊長類学会大会ならびに富士吉田市で開催された関東甲信越ニホンザル・フォーラムで発表した。

 また、本年度からニホンザルの亜種に分類されるヤクシマザルの遺伝的特性の調査を開始した。マイクロサテライトDNAとミトコンドリアDNAについてホンドザルとの遺伝的変異性の相違を分析している。

B) Macaca属サルの系統関係

川本 芳・Perwitasari-Farajallah Dyah2)・庄武孝義

  Macaca属サル各種の遺伝子構成、遺伝的変異性を比較し、各種の遺伝的特性、系統関係を検討している。本年度はインドネシアのTabuan島のカニクイザルにみられる血液蛋白変異とミトコンドリアDNA変異の分析結果について、札幌市で開催された第13回日本霊長類学会大会ならびにアメリカ合衆国サンディエゴで開催された第20回アメリカ霊長類学会大会で発表した。

 また、台北市で開催された国際遺伝学シンポジウムにおいてMacaca属サルの集団遺伝学研究成果について発表し、犬山市で開催された第42回プリマーテス研究会において遺伝学調査からみた Macaca属サルの分布の問題点に関する話題提供をおこなった。

C) ヒヒ類の種分化に関する集団遺伝学的研究 

庄武孝義・菱田 靖1)

97年度は放送大学に協力しながらサウジアラビア西部のアブハ、アルバッハ、タイフの3ヶ所でマントヒヒの捕獲調査を行い計54頭の血液サンプル入手、目下エチオピアの純粋マントヒヒと遺伝学的比較を行っている。

D) マダガスカル産原猿類の遺伝学的研究

川本 芳・平井啓久・小山直樹3)

 本年度よりアフリカ地域研究資料センターと共同で、マダガスカル島に生息する原猿類に関する調査を開始した。初年度は系統関係を研究する目的で、アンタナナリボのチンバザザ動植物園に飼育されている原猿類各種から血液試料を採取し、染色体と分子にみられる変異の分析に着手した。また、マダガスカル島南部のベレンティ保護区において長期観察研究がおこなわれているワオキツネザル集団について捕獲調査をおこない、繁殖構造に関する遺伝学的分析を進めている。

E) ツパイ類の集団遺伝学的研究

川本 芳・庄武孝義

 タイ、ラオス、インドネシアに生息するツパイ類2属4種の種内、種間遺伝分化を調査する目的で、血液蛋白とミトコンドリアDNA変異を分析している。本年度はミトコンドリアDNAのCOIIコード領域の塩基配列比較をおこない、コモンツパイの種内分化、Tupaia 属の種間分化、Tupaia属とDendrogale属の属間分化に関するデータを得ることができた。

F) サバンナモンキーの集団遺伝学的研究 

嶋田 誠2)・庄武孝義

 エチオピア中央部アワッシュ川の川辺林を中心に約600kmの範囲に生息するサバンナ(グリベット)モンキー(Cercopithecus aethiops aethiops) 10地域集団の集団構造および歴史を遺伝的多型を標識として研究をおこなっている。97年度はミトコンドリアDNA変異の解析を行い、いくつかの母系集団が過去に互いに隔離されて、変異を蓄積していた時期があったことが示唆された。

G) 家畜化現象と家畜系統史の研究 

庄武孝義・川本 芳

 在来家畜とそれらの野生原種の野外調査によって、家畜化現象そのものの集団遺伝学的解明と各種家畜の集団間遺伝分化、系統的相互関係の解明を行いつつある。本年度は1975年以来蓄積していたエチオピア高原の海抜の高低による牛の毛色変異を公表した。また、過去におこなったマレーシア調査で観察した猫の毛色変異の記録を整理し、地域集団の遺伝子構成の特徴について結果を公表した。

H) 霊長類の染色体進化に関する分子細胞遺伝学的研究

平井啓久

(1) 昨年実験的に分析したヒト上科における、rDNAとβーサテライトのゲノム内分散のデータを集積し、系統分岐と共に考察したところ、両DNAはそれぞれ分岐毎に特定の染色体に移動あるいは多重化を起こしてきたことが示唆された。

(2) 従来ニホンザルの細胞分裂促進剤として使用してきたcon Aは、かなり高い分裂促進性を示すものの、変性細胞もかなり高頻度に誘発することが観察されていた。それを改善する目的で、最近カブトムシから抽出されたallo Aを試験したところ、分裂促進性がcon Aよりも高く、変性細胞の誘発が低いことが明らかになった。

I) 霊長類の集団細胞遺伝学的研究

平井啓久、川本 芳

(1) ケニア霊長類研究所との共同研究(グエノン類の染色体分化と分子分化の比較)の一環として、nictitans系グエノン3亜種の自然集団から合計33個体の採血を行い、染色体標本とDNA標本を持ち帰った。現在、染色体レベルでは、Cーバンド、テロメア、アルフォイドDNAなどのマーカーを用いて、染色体分化のメカニズムを解析中であり、分子レベルでは、ミトコンドリアDNAおよび蛋白の変異を標識として、各集団内の遺伝構成を解析中である。[海外特別事業(平井)、国際学術調査(代表:小山直樹)(川本)による調査]

(2) ニホンザル集団の染色体標本を継続して収集した。 

J) 生物種間のキアズマ分化

平井啓久

 フサオマキザル雄の減数分裂を解析したところ、本種に特有な構成ヘテロクロマチンの種内変異が、キアズマ形成部位に大きな影響を与えていることが観察された。  

K) コモンマーモセットの核小体形成部位の転座多型に関する研究

東由香子2)、平井啓久

 減数分裂像解析中に観察された核小体形成部位変異の形成機序を解明するため、蛍光in situ ハイブリダイゼーション法を用いて、7個体の体細胞中期染色体のrDNA局在部位を分析した。全個体間で同一のシグナルパターンは見られず、また同一個体内の細胞間においてもかなりの相違が観察された。これは、明確な証拠は得られていないが、体細胞分裂中に高頻度の染色体間相互乗換が生じている結果であると、推測される。

〈研究業績〉

論文

−英文−

1) Shimada, MK. and Shotake, T. (1997) Genetic variation of blood proteins within and between local populations of grivet monkey (Cercopithecus aethiops aethiops) in central Ethiopia. Primates 38: 399-414.

2) Mwenda, J. M., Takenaka, O., Kim, H. S., Yamamoto, Y., Katsumata, Y., Bambra, C. S., Uchihi, R and Shotake, T. (1997) Nucleotide sequences of the major histocompatibility complex-DQA1 locus of Cercopithecus monkeys. Immunogenetics 46: 363-364.

3) Mwenda, J. M., Takenaka, O., Kim, H. S., Yamamoto, Y., Gurja, B., Katsumata, Y., Bambra, C. S., Uchihi, R. and Shotake, T. (1997) Major histocompatibility complex DQA1 nucleotide sequence of gelada baboon (Theropithecus gelada), olive baboon (Papio anubis) and yellow baboon (Papio cynocephalus). Immunogenetics 46: 365-366.

4) Blair, D., van Herwerden, L., Hirai, H., Taguchi, T., Habe, S., Hirata, M., Lai, K., Upatham, S., and Agatsuma, T. Relationships between Schistosoma malayensis and other Asian schistosomes deduced from DNA sequences. Mol. Bioch. Parasitol. 85: 259-263.

5) Hirai, H., Hasegawa, Y., Kawamoto, Y., and Tokita, E. (1998) Tandem duplication of nucleolus organizer region (NOR) in the Japanese macaque, Macaca fuscata fuscata. Chromosome Research 6: 191-197.

報告・その他

−和文−

1) 川本芳 (1997) ミトコンドリアDNA変異を利用したニホンザル地域個体群の遺伝的モニタリング. ワイルドライフ・フォーラム 3 (1): 31-38.

2) 川本芳、野澤謙 (1998) マレーシアの猫の毛色多型.在来家畜研究会報告 16: 161-172.

3) 平井啓久 (1998) 染色体 in situ PCR法を用いた住血吸虫類のゲノム解析へのアプローチ. 平成7〜平成8年度科学研究費補助金基盤研究(A)(1) 「日本住血吸虫における直接ゲノムマッピング法の開発」研究代表者:吾妻健、帯広畜産大学 pp. 5-19.

学会発表等

−英文−

1) Kawamoto, Y. (1997) Population genetic studies of the Asian macaques. International Symposium on Genetics (April 1997, Taipei). Abstracts p. 10.

2) Perwitasari-Farajallah, D., Kyes, R. C. , Kawamoto, Y. and Lelana, R. P. A. (1997) Genetic characterization of the long-tailed macaques on Pulau Tabuan. 20th Annual Meeting of the American Society of Primatologists (June-July 1997, San Diego, USA). Am. J. Primatol. 42 (2): 141.

3) Perwitasari-Farajallah, D., Kawamoto, Y., Kyes, R. C. and Lelana, R. P. A. (1997) Preliminary study of longtail macaques (Macaca fascicularis) on Pulau Tabuan Indonesia: protein variation and mitochondrial DNA D-loop region PCR- RFLP. 13th Annual Meeting of Primate Society of Japan (July 1997, Sapporo). Primate Research 13 (3): 287.

4) Hirai, H. (1997) Molecular cytogenetics on chromosomal differentiation in schistosomes. WHO/UNDP/World Bank 1997 Schistosome-Genome Network Meeting. (Apr. 1997, Northampton, USA).

5) Shimada, MK. (1997) Population Genetics of wild Old World Monkeys: the case of the Grivet Monkey (Cercopithecus aethiops aethiops). The Tri-National Meeting on Molecular Evolution (Related Conference of the International Conference on Molecular Biology and Evolution 1997),(June 1997, Munich, Germany).

−和文−

1) 庄武孝義 (1997) エチオピアの高地と低地における牛の毛色変異. 第93回日本畜産学会(1997年8月、帯広). 

2) 川本芳、吾妻 健 (1997) 東北地方のニホンザルにおけるミトコンドリアDNAの低変異性.第13回日本霊長類学会(1997年7月、札幌). 霊長類研究 13 (3): 242.

3) 吾妻健、川本芳、三戸幸久 (1997) 骨および乾燥組織に残るニホンザルの古いミトコンドリアDNA分子の分析.第13回日本霊長類学会大会(1997年7月、札幌). 霊長類研究 13 (3): 242.

4) 川本芳 (1997) 関東甲信越地域のニホンザルの遺伝学的多様性.関東甲信越ニホンザルフォーラム(1997年10月、富士吉田).

5) 川本芳 (1998) 集団遺伝学調査からみたマカクの分布の問題点.第42回プリマーテス研究会「アジアのサルたちは今―日本の森を考える―」(1998年2月、犬山). プログラム・発表要旨集、 p. 5.

6) 平井啓久、東 由香子、川本芳、後藤俊二 (1997) 地獄谷野猿公苑のニホンザルに発見された核小体形成部位 (NOR)の縦列重複. 第13回日本霊長類学会大会 (1997年7月、札幌). 霊長類研究 13 (3): 241

7) 東由香子、平井啓久 (1997) コモンマーモセットCallithrix jacchusにおけるリボソームDNAの染色体多型. 第13 回日本霊長類学会大会 (1997年7月、札幌). 霊長類研究 13 (3): 239.

8) 嶋田誠(1997) グリベットモンキー(Cerco-pithecus aethiops aethiops)野生群におけるミトコンドリアDNA変異. 第13回日本霊長類学会大会 (1997年7月、札幌). 霊長類研究 13 (3): 241.

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