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分子生理研究部門

器官調節分野

林 基治・目片文夫・大蔵 聡・清水慶子

〈研究概要〉

A) 霊長類脳内生理活性物質−分布特性と発生・発達・加齢−

林 基治・大平耕司 1)・光永総子 2)・伊藤麻里子 3)・清水慶子

   (1) 免疫組織化学法によってマカクサルの海馬におけるBDNF含有細胞の分布とその発達加齢を調べた。その結果, BDNFは胎生140日において歯状回の顆粒細胞、CA1-CA3の錐体細胞に発現していた。生後6ヶ月において細胞内のBDNF量は最も多かった。この時期はマカクサルの海馬のシナプス数は最大となることが知られているので, BDNFはシナプスの形成に関与することが予想された。さらに30歳ごろまで加齢が進んだ海馬では, 顆粒細胞や錐体細胞のBDNF量は顕著に減少し、BDNFの減少がマカクサルの脳老化と関わる可能性を示唆した。

   (2) マカクサル小脳のプルキンエ細胞におけるチロシンキナーゼをもつTrkBと持たないTrkBの免疫組織化学を行い、両者が共存する細胞のあることを見い出した。現在免疫電顕をもちいて両者の細胞内局在を調べている。

   (3) 神経成長因子(NGF)と脳由来神経栄養因子 (BDNF)に対する特異的な酵素免疫測定法を開発した。現在、マカクサルの中枢神経系、内分泌系におけるそれらの因子の分布とその発達、加齢を調べている。

B) パッチクランプ法による血管内皮および血管平滑筋の電気的応答に関する研究

目片文夫

   神経、筋肉等の興奮性細胞の機能は彼等の細胞膜の電気的性質に大きく依存する。膜の電気的特性は外部から人為的に流された電流に対する膜の反応を観察することにより知ることができる。しかし、問題点は通電方法により膜の反応性が異なることにあり、これまで、電気生理学の研究分野において主要な未解決主題として残されてきた。本研究室では異なる2つの通電方法ーパッチクランプ法と隔絶箱法ーを用い、細胞外通電と細胞内通電に対する非分離血管内皮細胞の反応を観察し、興奮性細胞のもつ興奮性および安定性を支配する基本的機構の解明を試みている。

C) 霊長類生殖機能の視床下部内調節機構

大蔵 聡

   動物の性腺機能調節中枢といわれる性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)パルスジェネレーターの活動を、視床下部に慢性電極を留置した卵巣除去ニホンザルを用いて電気生理学的に明らかにした。約50分に一回の頻度で規則的に上昇を繰り返す多ニューロン発射活動(MUA)が記録でき、MUAの上昇と末梢血中の黄体形成ホルモン(LH)のパルス状分泌には時間的な対応関係があった。これらの結果から、GnRHパルスジェネレーター活動の指標としてMUA記録法が使用できることを確認した。

D) 低栄養による生殖機能抑制の神経内分泌機序

大蔵 聡

   低栄養ストレス条件下における性腺活動抑制のメカニズムを解明するため、卵巣除去ニホンザルを用い、急性のグルコース利用阻害がパルス状LH分泌に及ぼす影響を検討した。パルス状のLH分泌は血糖利用阻害剤(2-deoxyglucose; 2DG)の静脈投与により性ステロイドの有無に関わらず一過性に抑制された。2DG投与により嘔吐反射が引き起こされたことから、延髄最後野に存在するといわれる血糖センサーにより感受された血糖利用能の低下がシグナルとなり、生殖機能を抑制することが示された。

E) 霊長類の生殖リズムの発現に関する研究

清水慶子・光永総子 2)・伊藤麻里子 3)・林 基治

   (1) マカクザルの成長に伴う性腺系の変化を知るため、視床下部ー下垂体ー性腺系に着目し、胎生期から性成熟に達するまでの血中生殖関連ホルモン動態を調べた。また、併せて視床下部、下垂体、性腺の組織学的解析を行った。性成熟時のホルモン値上昇とともに、出生直後に各種ホルモン値の一過性上昇が見られ、この時期に性腺に活動があることが示唆された。さらに、ニホンザルの季節繁殖リズムの発現機構を明らかにするために、社会、環境要因の関与について検討を行った。

   (2) 合成プロジェステロンを用いたニホンザルおよびチンパンジーの排卵抑制法を検討し、屋内飼育個体や野外の餌付け群に応用した。同時にこれらの方法が性行動に与える影響について解析した。この結果、合成プロジェステロンによりニホンザルおよびチンパンジーの排卵が抑制されること、また、ニホンザルでは、この時、必ずしも性行動の抑制は起こらないことが明らかとなった。

   (3) マカクザルおよび類人猿の尿、糞、唾液からの生殖関連ホルモン測定法を開発を試み、血中ホルモン動態との比較を行った。これまでにプロジェステロン、エストロジェンおよびゴナドトロピンの測定が可能となった。

F) マカカ属サルの繁殖特性

光永総子 2)・清水慶子

   性行動と生殖関連ホルモン動態との関連性を,主としてニホンザルについて研究してきた。更に,繁殖季節性,授乳による性腺機能抑制やアカンボウの発達に着目し,ニホンザル,アカゲザル,カニクイザルの繁殖特性の種間比較を行っている。

〈研究業績〉

論文

−英文−

1) Higo, N., Oishi, T., Yamashita, A., Matsuda, K. & Hayashi, M. (1998) Gene expression of growth-associated proteins, GAP-43 and SCG10, in the hippocampal formation of the macaque monkey: nonradioactive in situ hybridization study. Hippocampus 8: 533-547.

2) Itoh, M., Kishi, H., Watanabe, G., Taya, K. & Greenwald, G. S. (1998) Follicular ability to secrete estradiol and apoptotic DNA fragmentation in a hamster model of induced follicular atresia. Journal of Reproduction and Development 44: 305-311.

3) Ohira, K., Shimizu, K., Hayashi, M. (1999) Change of expression of full-length and truncated TrkBs in the developing monkey central nervous system. Developmental Brain Research 112: 21-29.

4) Oishi, T., Higo, N., Umino, Y., Matsuda, K. & Hayashi, M. (1998) Development of GAP-43 mRNA in the macaque cerebral cortex. Developmental Brain Research 109: 87-97.

5) Sankai, T., Ogonuki, N., Tsuchiya, H., Shimizu, K., Cho, F. & Yoshikawa, Y. (1998) Comparison of results from IVF-related studies for cunomolgus monkeys, Japanese monkeys, African green monkeys, and red-bellied tamarins. Journal of Mammalian Ovarian Research 15: 177-179.

6) Soltis, J., Mitsunaga, F., Shimizu, K., Yanagihara, Y. & Nozaki, M. (1999) Female mating strategy in an enclosed group of Japanese macaques. Amerian Journal of Primatology 47: 263-278.

総説

−和文−

1) 清水慶子 (1998) 生殖内分泌系の老化モデル. 霊長類研究14: 115-119.

報告・その他

−和文−

1) 大蔵聡 (1998) ニホンザルの性腺機能調節機序. Ishida Foundation Report 25: 79-85.

学会発表

−英文−

1) Hayashi, M., Mitsunaga, T., Itoh, M., Shimizu, K. & Yamashita, A. (1998)Development of TrkB immunoreactive structures in the primate prefrontal cortex (Area FD). The 21st Annual Meeting of Japan Neuroscience Society (Sept. 1998, Tokyo). Neuroscience Research Supplement 22: S307.

2) Higo, N., Oishi, T., Yamashita, A., Matsuda, K. & Hayashi, M. (1998) Non- radiactive in situ hybridaization study of GAP-43 and SCG10 mRNA in the cerebral cortex of the macaque monkey. The 21st Annual Meeting of Japan Neuroscience Society (Sept. 1998, Tokyo). Neuroscience Reasearch Supplement 22: S274.

3) Higo, T., Oishi, A., Yamshita, A., Matsuda, K. & Hayashi, M. (1998) Quantitative non-radioactive in situ hybridaization study of growth-associated proteins in the cerebral cortex of the adult and infant macaque monkey. Society for Neuroscience 28th Annual Meeting (Nov.1998, Los Angeles). Abstracts 24: 1164.

4) Itoh, M., Mitsunaga, F., Shimizu, K., Hayashi, M., Watanabe, G. & Taya, K.(1998) Immunohistochemical localization of inhibin in testis of macaque monkey. Congress of the International Primatological Society (Aug. 1998, Antananarivo, Madagascar). Abstract p.377.

5) Kishi, H., Itoh, M., Wada, S., Watanabe, G., Taya, K. (1998) Inhibin is animportant factor the regulation of FSH secretion in the adult male hamster. 31st Annual Meeting Society for the Study of Reproduction (Aug. 1998, College Station). Biology of Reproduction 58 supplement 1:106.

6) Ohira, K., Shimizu, K. & Hayashi, M. (1998) Truncated Trk B immunoreactive structures in the adult monkey cerebral and cerebellar corticies. The 21st Annual Meeting of Japan Neuroscience Society (Sept. 1998, Tokyo). Neuroscience Research Spplement 22: S105.

7) Oishi, T., Higo, N., Yamashita, A., Matsuda, K., Kawano, K. & Hayashi, M. (1998) Changes in the distribution of GAP-43 during development of the cervical enlargement of monkey spinal cord. Society for Neuroscience 28th Annual

Meeting (Nov. 1998, Los Angeles). Abstract 24: 1148.

8) Oshima, K., Itoh, M., Watanabe, G., Arai, K., Uehara, K., Groome, N. P. & Taya, K. (1998) Secretion of inhibin A, inhibin B and inhibin Pro-aC, and follicular dynamics during the estrous cycle of the golden hamster. 31st Annual Meeting Society for the Study of Reproduction (Aug. 1998, College Station). Biology of Reproduction 58 supplement 1: 107.

9) Tanaka, T., Maeda, K.-I., Tsukamura, H., Ohkura, S., Bucholtz, D.C., Nagatani, S. & Foster, D.L. (1998) Does a hepatic glucose sensor regulate pulsatile gonadotropin-releasing hormone (GnRH) secretion in sheep? Society for Neuroscience 28th Annual Meeting (Nov. 1998, Los Angeles). Abstracts 24: 1382.

−和文−

1) 藤田志歩・清水慶子・光永総子・林基治・杉山幸丸 (1998) ニホンザルメスの血中および尿中生殖関連ホルモンの動態. 第14回日本霊長類学会大会 (1998年6月、岡山). 霊長類研究14 (3): 273.

2) 肥後範行・大石高生・山下晶子・松田圭司・林基治 (1999) サル外側膝状体のGAP-43及びSCG10遺伝子発現への視覚遮断の影響. 第76回日本生理学会大会 (1999年3月、長崎). 第76回日本生理学会大会予稿集 p.103.

3) 西山武男・津曲茂久・伊藤麻里子・木村順平・渡辺元・田谷一善・武石昌敬(1998)犬の妊娠期卵巣と胎盤におけるステロイド合成酵素の免疫組織化学的研究. 第91回日本繁殖生物学会大会 (1998年8月,札幌). Journal of Reproduction and Development 44 (6): a49.

4) 大石高生・肥後範行・山下晶子・松田圭司・林基治 (1999) 脱抑制とFos免疫組織化学の組み合わせによるサル運動野の神経連絡の解析. 第76回日本生理学会大会 (1999年3月、長崎). 第76回日本生理学会大会予稿集 p. 299.

5) 大島健一・伊藤麻里子・岸久司・新井浩司・上原孝吉・渡辺元・田谷一善 (1998) ハムスターの発情周期中におけるインヒビンA、インヒビンB および Pro-aC の分泌パターン. 第99回日本繁殖生物学会大会 (1998年8月,札幌). Journal of Reproduction and Development 44 (6): a51.

6) 清水慶子・光永総子・伊藤麻里子・林基治・竹ノ下祐二・浅葉慎介 (1998) 黄体ホルモンによるマカクザルの妊娠抑制. 第14回日本霊長類学会大会 (1998年6月、岡山). 霊長類研究14 (3): 272.

7) 鈴木樹理・大蔵聡・濱田穣・早川清治 (1998) ニホンザルの周思春期における成長関連ホルモンの変化. 第14回日本霊長類学会大会 (1998年6月、岡山). 霊長類研究14 (3): 242.


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