ENGLISH トップ 所長挨拶 概要 教員一覧 研究分野・施設 共同利用・共同研究 大型プロジェクト 国際集会 教育,入試 広報,公開行事,年報 新着論文,出版 教員,職員公募 国際共同事業 霊長類研究基金 リンク アクセス HANDBOOK FOR INTERNATIONAL RESEARCHERS Map of Inuyama サイトマップ
トピックス
コラム・連載 質疑応答コーナー ボノボ チンパンジー「アイ」 頭蓋骨画像データベース 霊長類学文献データベース サル類の飼育管理及び使用に関する指針 Study material catalogue/database 野生霊長類研究ガイドライン 霊長類ゲノムデータベース 写真アーカイヴ ビデオアーカイヴ

京都大学霊長類研究所
郵便番号484-8506
愛知県犬山市官林
TEL. 0568-63-0567(大代表)
FAX. 0568-63-0085

本ホーム・ページの内容の
無断転写を禁止します。
Copyright (c)
Primate Research Institute,
Kyoto University All rights reserved.


お問い合わせ

VI 共同利用研究

2. 研究成果

(5)平成9年度で終了した計画研究

野生ニホンザルの現状把握に関する方法の開発と保護管理学の構築

(実施年度:平成7〜9年度)

(推進者:渡邊邦夫・東 滋・鈴木 晃)

   本計画研究は、平成4〜6年に行われた「ニホンザル地域個体群の動態と保護管理」の後を受けて行われたもので、この間継続して開催されている共同利用研究会「ニホンザルの現況」とも軌を一にして進められてきた。近年特に全国各地から報告されるようになった野生ニホンザルの人里への接近と、猿害を理由にした集団捕獲が続く中で、日本固有種であるニホンザル保全の具体策をうちだすことが社会的に求められている。こうした要請に応えるべく計画され、下記11件の研究が行われた。赤座・加藤、五百部他、泉山、船越による研究課題はいずれも国内各地のニホンザルの現状と、それぞれの地域の個体群をめぐる保護管理上の問題点、およびその解決策を模索したもので、大井他、前野は保護管理のための調査法の改善を目指し、羽山はニホンザル地域個体群の全国的把握のための現実的な方策を作り上げるための作業を行っている。これらの研究課題の内容は、いずれも平成8〜10年に行われた「ニホンザル・フォーラム」の中でも発表され、全国のニホンザル個体群の現状把握、保護管理策の提案などにとって、大きな力となった。3年間にわたって行われた「ニホンザル・フォーラム」の内容は「野生生物保護」誌に順次発表されつつある。

   本計画研究に参加した研究者は、国内各地で野生ニホンザルの保護問題に取り組んでいる多数の研究者たちの中の一部であり、実際にはこうした多数の研究者たちと協力しながら研究課題が推進されている。この課題参加者、特に若手の研究者が新たな視点を導入しつつ研究を進めだしており、今後有意義な進展があるものと期待している。

(平成7年度)

・黒部川に生息するニホンザル地域個体群の動態(ダム建設に伴う遊動域の変動)(赤座久明、富山県立大沢野町立大沢野中学校)

・和歌山県、奈良県の野生ニホンザル地域個体群とそれをめぐる社会的要因(五百部 裕、京大・理、伊谷原一、 京大アフリカ地域研)

・北アルプス南部ニホンザル個体群の保護管理についての基礎的研究(泉山茂之、野生動物保護管理事務所)

・ニホンザルのセンサス法「ブロック分割定点調査法」の開発(大井 徹、農水省森林総合研究所東北支所、岡野美佐夫・白井 啓・千々岩 哲・春田亜紀、野生動物保護管理事務所)

(平成8年度)

・ニホンザル地域個体群のモニタリング・システムの開発(羽山伸一、日本獣畜大)

・和歌山県、奈良県の野生ニホンザル地域個体群の生息実態調査(五百部 裕、京大・大学院・理、伊谷原一、京大アフリカ地域研、松本晶子、京大・大学院・理、小田 亮、東大・大学院・理、田代靖子、京大・霊長研)

・黒部川流域に生息するニホンザル地域個体群の動態(ダム建設に伴う遊動域の変動)(加藤 満、愛知県立旭野高校、赤座久明、富山県動物生態研究会)

・野生ニホンザル群の糞中窒素濃度による摂取蛋白濃度の推定(前野恭子、日本獣畜大)

(平成9年度)

・長野県南安曇郡ニホンザル地域個体群の生態把握と保護管理(船越美穂、京大・霊長研)

・和歌山県、奈良県の野生ニホンザル地域個体群の生息実態調査(五百部 裕・小田晶子、京大・大学院・理、小田 亮、京大・理・動物、日並正成、京大・大学院・理、田代靖子、京大・霊長研)

・黒部川流域に生息するニホンザル地域個体群の動態(ダム建設に伴う遊動域の変動)(加藤 満、愛知県立旭野高校)

類人猿の発達とその生物学的基礎

(実施年度:平成7〜9年度

(推進者:松沢哲郎・小嶋祥三・友永雅己・濱田 穣・松林清明・藤田和生1(1平成7年度のみ)

   霊長類の中でもとりわけヒトに近縁な類人猿を主な対象として、発達とその生物学的な基礎にかんする研究を企画した。類人猿だけでなく、ヒトや類人猿以外の霊長類も比較研究の対象とした。姿勢・運動、学習行動、コミュニケーション、社会的な場面での行動の研究と、発達の基盤となる形態学的・生理学的研究との関連を追及した。

   研究所では、平成5年の大部門改組によって行動神経研究部門に思考言語分野が誕生し、類人猿の研究を推進する核となる組織ができた。さらに平成6年度末3月に類人猿行動実験研究棟が完成した。地上5階・地下1階の約2500平方メートルの施設で、地階のすべてと1階の大部分が類人猿研究用のスペースになっており、併設した8つの居室と、屋外運動場3つがある。1群10個体のチンパンジーを新しい研究施設に移動させ、平成7年度初頭より新研究施設での観察・実験研究が始まった。

   こうした所内における類人猿研究の基盤整備に連動して、広く所外に共同研究を呼びかけた。幸い、所外から興味深い共同研究の提案があった。課題研究の3年度にわたって、以下のような、のべ10件が採択・実施された。認知・行動とその発達に関する研究がのべ8件、その形態学的・生理学的基礎に関する研究が2件だった。所内でも、チンパンジーの人工授精の試みが平行しておこなわれ、9年度末に妊娠に到った(ただし平成10年7月に満期で死産だった)。

   日本モンキーセンターに出ていたマリが戻ってきて、チンパンジーの総数は11個体になった。所内外で共同して、認知と行動の研究が多様な研究トピックスについて推進されている。また、平成9年度からはニホンザルの人工保育を始めて、類人猿との比較研究をおこなった。

(平成7年度)

・大型類人猿およびマカクにおける等価性の成立要因 (堀野美奈子・日本女子大)

・視覚・運動機能および発声の分析からみたヒト乳児における到達行動の発達(明和政子・京大、田中昌人・竜谷大)

・チンパンジーの粘土造形(中川織江・日本女子大)

・チンパンジーは奇術をどう見るか (渡辺茂・慶応大、瀬島順一郎・大阪産大、古屋泉・慶応大)

(平成8年度)

・類人猿幼年期ロコモーション発達(木村 賛・東大)

・チンパンジー乳児における到達行動の発達(明和政子・京大)

・チンパンジーの粘土遊び(中川織江・日本女子大)

(平成9年度)

・霊長類における自然法則の認識とその発達(藤田和生・京大)

・類人猿の二足行動における大殿筋の作用に関する生体機構学的研究(松村秋芳・防衛医大)

・チンパンジーの物の操作に関する模倣(明和政子・京大)


霊長類における視知覚および視覚認知の特性とその脳内機構の研究

(実施年度:平成7〜9年度)

(推進者:三上章允・松沢哲郎1・中村克樹1・櫻井芳雄1・藤田和生2・友永雅己2・澤口俊之2・久保田競2)(1平成8,9年度のみ、2平成7年度のみ)

   

霊長類は視覚動物と言われるように視覚系の発達がよい。霊長類は視覚優位の行動パターンを示すだけでなく、大脳新皮質レベルでも視覚情報処理に関わる領域が広く、アカゲザルでは55−57%に達する。そこで、本計画研究課題は、霊長類における形態視、色彩視、立体視、運動視などの視知覚、および視覚認知の機構を心理物理学的手法によって解明するとともに、その脳内機構を研究することを目的として行われた。3年間の取り組みは行動レベルでの研究が2件、電気生理学的手法を主とする研究が1件、組織学的研究が1件、分子レベルの研究が2件、モデルの研究が1件と多様であった。3年間という短い期間にこれらの研究をインテグレイトするところまでには至らなかったが、霊長類の視知覚の研究を多面的に展開できた点で有意義であった。この共同利用で取り上げたテーマのひとつが核となり研究グループを形成し、科学研究費の獲得につなっがったこともプラスであった。

(平成7年度)

・サルを実験モデルとした高頻度パルス磁気刺激法の高次脳機能に及ぼす影響(石口 明、和歌山医大)

・アカゲザル性差識別機構(粟生修司、九州大・医)

・側頭極皮質の神経回路(中村浩幸、九州大・医)

(平成8年度

・霊長類大脳皮質の領野特異的分子の検索(小池 智、基生研)

・ニホンザルにおける表情表出行動とその脳内機構(菅生康子、東京大・医)

(平成9年度)

・視知覚および認知の脳内機構の処理とモデル化の研究(石井直宏、名古屋工大)

・霊長類大脳皮質の領野特異的分子の検索(小池 智、基生研)

・霊長類における視知覚および視覚認知の特性とその脳内機構の研究(小松英彦、生理研)


食性との関連からみた霊長類の歯牙形態の変異

(実施年度:平成7〜9年度)

(推進者:高井正成・國松 豊・茂原信生・内田亮子)

   本計画研究では、霊長類の歯牙形態を比較解剖学的あるいは機能形態学的な立場から解析することにより、霊長類各種の歯牙あるいは顎骨の形態とその種の持つ食性との関連を明らかにすることを目的として計画された。平成7年度は5件、平成8年度は2件の応募があり、平成9年度は応募者がなかったため成立しなかった。

   本計画研究のまとめとしての研究会「霊長類の食性と歯牙・顎骨の形態」を平成10年2月6・7日に京都大学霊長類研究所宿泊棟第2会議室にておこない、約30名が出席した。

(平成7年度)

・人間による飼育がヤクシマザルの顎骨、歯列弓および歯の形態に与える影響(阿部 操、日本大・松戸歯・矯正)

・食性からみたニホンザルにおける歯牙形態の地域変異について(加藤久雄、東京大・理・生物科学・人類)

・ニホンザル顎関節の形態計測学的研究(松香芳三・飯島輝明・鈴木康司・窪木拓男・矢谷博文・山下 敦・上月生也・鈴木秀典、岡山大・歯・第1補綴)

・第4乳臼歯の“顔”(名取真人、岡山理大・理・基礎理, 近藤信太郎、昭和大・歯・第1口腔解剖)

・下顎骨のバイオメカニクス(山下真幸、獨協医大・第1解剖)

(平成8年度)

・食性からみたニホンザルの歯牙形態(加藤久雄、東京大・理・生物科学・人類)

・食性との関連からみた霊長類の歯牙形態の変異(清水大輔、京大・理・動物)

(平成9年度)

・応募者なし


生体分子の構造解析による霊長類の系統・進化

(実施年度:平成7〜9年度)

(推進者:竹中 修・景山 節・庄武孝義)

   本計画研究は核やミトコンドリアDNAの微小変化やダイナミックな変化、あるいは微量タンパク質の高感度分析やcDNA分析等により生体分子の構造変化を分子生物学、遺伝学的に研究し、霊長類の系統進化を明らかにすることを目的とした。近年、PCR(耐熱性のDNA合成酵素による連鎖反応)法が普及した。多くの場合はヒトの遺伝子であるが、ある霊長類種で、ある遺伝子の構造が明らかになっていればそれと相同の遺伝子を同方法で増幅し、塩基配列を決定することは困難ではなくなっている。本計画でもこの方法による塩基配列決定の研究が多かった。

   分泌型とされる免疫グロブリンCα遺伝子とコノハザルの特殊化した胃の構造との関連、類人猿における食性の変異と胃の消化酵素ペプシンとの関連等、霊長類のいわば生態と遺伝子との関連を探ろうとした研究、原猿類から新世界ザル、旧世界ザルへと色覚は進化しているがそれと遺伝子との関連、血液型遺伝子の進化、一度mRNAに転写されプロセシングを受けた後再びDNAになってゲノムに取り込まれたプロセスト遺伝子等広く霊長類の進化を視野に入れた研究も多かった。

   所内の対応者による研究では、グリーンモンキーの集団遺伝学的解析研究、スラウェシマカクのミトコンドリアDNAの塩基配列決定、母系遺伝ミトコンドリアに対してオスのみが遺伝に関与するY染色体上の遺伝子の解析等が進行していた。それらをまとめる意味で平成10年2月に研究会「分子レベルからみた霊長類の進化」を開催した。この研究会にはその他のトピックス、東日本地域のニホンザルのミトコンドリア変異、転写に関連する遺伝子、マカカ属サル19種のリボゾーム遺伝子、神経伝達物質送達関連遺伝子の進化等を加えた。  

(平成7年度)

・ 霊長類とヒトアデニル酸キナーゼの構造機能解析による酵素タンパク質の分子進化に関する研究 (綾部貴典・竹中 均・濱田 稔、宮崎医大・衛生)

・霊長類に見いだされたプロセスト遺伝子P117について(竹中晃子、名古屋文理短大・食物栄養)

(平成8年度)

・ 霊長類とヒトアデニル酸キナーゼの構造機能解析による酵素タンパク質の分子進化に関する研究(綾部貴典・濱田 稔、宮崎医大・衛生、竹中 均、杏林大・生化)

・ マカク属サルにおけるアミロイドβタンパク前駆体遺伝子の変異(針原伸二、東京大・理学部)

・ ペプシノゲン分子進化からみた類人猿3種の系統関係 (成田裕一、名古屋大・農学部)

・ 旧世界ザルにおける免疫グロブリンCα遺伝子の進化(隅山健太、国立遺伝研)

・霊長類に見いだされたプロセスト遺伝子P117について(竹中晃子、名古屋文理短大・食物栄養)

(平成9年度)

・ 霊長類色覚オプシン遺伝子の解析(河村正二、東大・院理)

・ 霊長類特に新世界ザルのMHCclass_遺伝子の多型解析およびタイピング法の確立(松本芳嗣・細川朋子・Heny Arwati・橋本紀子・林田直樹、東大・院農)

・ ペプシノゲン分子進化からみた類人猿4種の系統関係 (成田裕一、名古屋大・農学部)

・ 霊長類における血液型遺伝子の進化(斎藤成也・北野 誉・野田令子、国立遺伝研・総合研究大学院)

・ 霊長類における免疫グロブリンCα遺伝子の進化(隅山健太、国立遺伝研)

・ 霊長類及び霊長類に感染するヘルペスウィルスのチミジル酸合成酵素の分子進化 (錫谷達夫、旭川医大・細菌)

・霊長類に見いだされたプロセスト遺伝子P117について(竹中晃子、名古屋文理短大・食物栄養)

・ 霊長類ALU配列のコンピュータ解析(富田 勝、慶応大・環境情報、戸田好美、慶応大・政策メディア)


年報目次

霊長類研究所トップページ


(6)平成10年度で終了した計画研究

ニホンザルの採食生態と社会関係に関する比較研究

(実施年度:平成8〜10年度)

(推進者:山極壽一・杉山幸丸・森 明雄・大澤秀行・松村秀一)

   本研究は、ニホンザルの生息環境の定量的把握を行った上で採食生態と集団間、集団内の社会関係を調査し、環境条件によって行動特性や社会関係がどう変化するかを明らかにすることを目的とした。多様な環境での比較を行いたかったが、実施された研究が高崎山と屋久島に集中したため、餌付け条件下と自然条件下の季節と標高による違いを分析した。

   まず高崎山ではサルの生息数の増加にともない食物となる資源が劣化している状況が量的に調べられた。その結果、食物の劣化は植物の枯死だけでなく、開葉、開花、結実の時期の遅れや林床植生の増加、土壌の硬化など多岐にわたって発現していることが明らかになった。その上でメスたちは優劣順位に対応して自然の食物と人工の食物の摂取割合を変化させており、食物をめぐる競合がメスの繁殖に重要な影響を与えていることが判明した。しかし、メスは出産すると高順位でも低順位でも餌場で人工餌を優先的に摂取でき、オスが新生児をもつメスを許容するため、優劣の差が軽減されることも示唆されている。

   屋久島では初めて標高の高い地域のニホンザルが調査され、食物の豊富な海岸域に比べて群密度は低いが、食物資源の密度に対応するほど低くはないことが判明した。これは豊富な林床植生と季節移動によるものであることが示唆されている。海岸域では人付けされている3群を対象にしてニホンザルの採食戦略と交尾戦略が調査された。食環境の季節変化と生殖生理の変化にメスがどう対応しているかという点を解明しようとしたもので、まずメスが交尾期にオスとの近接関係を変えることによって採食効率を上げていることが明らかになった。メスとの交尾は最優位のオスが独占する傾向があるが、DNAを用いた父子判定では半分近くあった。この分析は現在も進行中であるが、メスが繁殖相手となるオスを選別していることが示唆されている。これらの研究によって食物をめぐる同性、異性間の競合を左右する生態的、社会的条件をいくつか特定し、平成11年3月に開催した研究会でその進化史的意義について討論できたのは本課題研究の大きな収穫であったと考えている。

(平成8年度)

・ヤクシマザルメスにおける性行動と採食行動の関連 (松原 幹、京都大・霊長研)

・高崎山のニホンザルの食糧資源からみた森林構造とその分布(長岡寿和、大分短大)

・屋久島の上部域に生息するヤクザルの分布と糞分析による食性の研究(大竹 勝、日本モンキーセンター,好広眞一、龍谷大・経営)

・高崎山のニホンザルの繁殖個体の採食戦略とその縦断的比較(横田直人、大分短大)

(平成9年度)

・ニホンザル野生群メスの繁殖戦略に関する研究(早川祥子、京都大・霊長研)

・ヤクシマザルオスにおける性行動と採食行動の関連(松原 幹、京都大・霊長研)

・高崎山のニホンザルの食糧資源としての森林の構造と季節変化(長岡寿和、大分短大)

・屋久島の上部域に生息するヤクザルの分布と糞分析による食性の研究(大竹 勝、日本モンキーセンター,好広眞一、龍谷大・経営)

(平成10年度)

・野生ニホンザルオスにおける採食行動の年齢差(半谷吾郎、京都大・理)

・野生ヤクシマザルにおける繁殖戦略と採食戦略の相互関連 (松原 幹、京都大・霊長研)

・高崎山のニホンザルの繁殖個体の採食戦略とその縦断的比較(横田直人、大分短大)


霊長類の静的機能形態学(実施年度: 平成8〜10年度)

(推進者 : 茂原信生・毛利俊雄)

   この計画研究は、静的機能形態学という包容性にとむメインテーマをかかげ、研究所で提供できる霊長類資料を利用した幅広い形態学的な研究がおこなわれることを意図して実施された。

   多数の研究申請があり平成8年度は6件、平成9年度は7件、平成10年度は7件の研究が採択された。手関節・頸静脈窩などの骨学、顎二腹筋・烏口腕筋・指伸筋・固有背筋などの筋学、肝臓・喉頭などの内蔵学、嗅球の微細血管構築・四肢動脈系などの脈管学と多岐にわたる対象について、純粋な記載にちかいものから形態の系統発生の復元まで多様な研究が活発に実施された。個々の研究の題目、研究者名は以下のとおりである。

(平成8年度)

・霊長類の舌骨喉頭装置に関する比較機能形態学的研究(葉山杉夫、関西医大)

・霊長類の動脈系の比較形態学的研究(児玉公道・川井克司、熊本大・医学部)

・ニホンザル固有背筋の筋束構成と支配神経の筋内分布(小島龍平、埼玉医大短大)

・霊長類の肝臓の比較解剖学的研究(中久喜正一、東京農工大・獣医学科)

・ニホンザル嗅球の微細血管構築について(岡田成賛・太田義邦、大阪歯大)

・霊長類における顎二腹筋の観察(重政香代子、日大・歯学部)

(平成9年度)

・霊長類の舌骨喉頭装置に関する比較機能形態学的研究(葉山杉夫、関西医大)

・霊長類の静的機能形態学(樋口 桂、筑波大・医科学研究科)

・霊長類の静的機能形態学 (角田篤信、東京医科歯科大・医学部)

・運動神経細胞の位置に基づく霊長類筋系の系統発生(木田雅彦・工藤宏幸、岩手医大)

・ニホンザル固有背筋の筋束構成と支配神経の筋内分布(小島龍平、埼玉医大短大

・手の巧緻運動の発達に関する比較解剖学的研究(中村俊康、藤田保健衛生大)

・リスザル嗅覚器の微細血管構築について(岡田成賛・諏訪文彦・太田義邦、大阪歯大)

(平成10年度)

・霊長類の舌骨喉頭装置に関する比較機能形態学的研究(葉山杉夫、関西医大)

・霊長類筋系の系統発生的な派生に関する研究(樋口 桂、筑波大・医科学研究科)

・霊長類下肢骨形態と筋・靱帯との関係(平本嘉助、北里大・医学部)

・霊長類四肢動脈系の比較形態学的研究(小泉政啓・前田 智・児玉公道・川井克司、熊本大・医学部)

・ニホンザル固有背筋の筋束構成と支配神経の筋内分布(小島龍平、埼玉医大短大

・霊長類の四肢骨の三次元モデル化(中山淳之、京都大・理学研究科)

・骨格筋筋漿タンパク質の動物系統間比較(関川三男、帯広畜産大)


霊長類におけるストレス反応に関する研究

(実施年度:平成8〜10年度)

(推進者:鈴木樹理・大蔵 聡・友永雅己・中村 伸)

   本計画研究は、霊長類におけるストレス反応の定量系の確立を初めとして、その応用として霊長類の飼育環境や実験環境の評価系の検討、更には動物福祉に基づく環境エンリッチメントへの応用をも視野に入れた研究である。平成8年度から10年度の3年間は、これらの最初の段階という位置づけとなる。

   初年度は、本計画研究課題をスタートするに当たり、ストレス研究に関する理解を深めるための研究会を7月に開催した。研究会では、霊長類に限らず、生物のストレス反応について細胞レベルから個体の行動までの幅広い領域において研究を行っている第一線の研究者が集い、個々の研究成果と最近の動向を紹介した。両日ともに各セッションで興味深い発表と活発な討論が行われ、参加者の専門領域外のストレス研究についても理解を深めることができた。最後の総合討論では、改めてそれぞれの研究分野におけるストレスの捉え方の共通点および相違点について論議が及び、ストレス研究を推進するには学問領域を越えた学際的な研究が必要であることが確認された。また、ヒトのモデルとしてのサル類におけるストレス研究の重要性が指摘され、今後の研究に対する期待が表明された。

   これらの議論をふまえて、物理的のみならず、霊長類に特有な心理的、社会的ストレスに対する生理学的変化や心理学的、行動学的変化の分析と定量を試みること、また、ストレス反応時の神経・内分泌・免疫系の相互のかかわり合いを解明することを本計画研究の3年間の目標として掲げ、研究を実施した。3年間に以下の15件の研究課題が実施され、新たな知見が蓄積された。これら研究成果のとりまとめおよび今後の新たな展開にむけて、研究会を平成11年秋に予定している。

(平成8年度)

・夜尿症とストレスとの相関関係に関する研究(畦元将隆、名古屋市大・医学部)

・霊長類におけるストレス反応の内分泌学的解析(前多敬一郎・束村博子他、名古屋大・農学部)

・霊長類におけるストレス反応に関する研究(錫村明生、奈良医大)

・心理的、社会的ストレスが霊長類の免疫機能に及ぼす影響(寺尾恵治、国立感染研)

(平成9年度)

・新生児のストレスに対する反応(川上清文、聖心女子大・文学部)

・内分泌学的指標による霊長類の物理的、心理的ストレスの評価(前多敬一郎・束村博子他、名古屋大・農学部)

・視床下部電気活動を指標としたストレス評価系の確立(西原真杉・森 裕司他、東京大・大学院農学生命科学研究科)

・霊長類のストレス反応に関する研究(錫村明生、奈良医大)

・心理的、社会的ストレスが霊長類の免疫機能に及ぼす影響(寺尾恵治、国立感染研)

・母子のストレスがひきおこす胎児・新生児行動の変化が母子愛着に及ぼす影響

(上井稔子、東京医科歯科大・大学院医学研究科)

(平成10年度)

・新生児期におけるサルのストレスに対する反応(川上清文、聖心女子大・文学部)

・視床下部電気活動を指標としたストレス評価系の確立(西原真杉・森裕司他、東京大・大学院農学生命科学研究科)

・霊長類のストレス反応に関する研究(錫村明生、奈良医大)

・心理的、社会的ストレスが霊長類の免疫機能に及ぼす影響(寺尾恵治、国立感染研)

・ストレスによる性腺機能抑制の神経内分泌学機序*(前多敬一郎・束村博子他、名古屋大・農学部)

*4年連続となるため、資料提供として採択


年報目次

共同利用研究会(年報抜粋)

霊長類研究所トップページ