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VI 共同利用研究

2. 研究成果

(6)平成10年度で終了した計画研究

        (5)平成9年度終了した計画研究はこちら

ニホンザルの採食生態と社会関係に関する比較研究

(実施年度:平成8〜10年度)

(推進者:山極壽一・杉山幸丸・森 明雄・大澤秀行・松村秀一)

   本研究は、ニホンザルの生息環境の定量的把握を行った上で採食生態と集団間、集団内の社会関係を調査し、環境条件によって行動特性や社会関係がどう変化するかを明らかにすることを目的とした。多様な環境での比較を行いたかったが、実施された研究が高崎山と屋久島に集中したため、餌付け条件下と自然条件下の季節と標高による違いを分析した。

   まず高崎山ではサルの生息数の増加にともない食物となる資源が劣化している状況が量的に調べられた。その結果、食物の劣化は植物の枯死だけでなく、開葉、開花、結実の時期の遅れや林床植生の増加、土壌の硬化など多岐にわたって発現していることが明らかになった。その上でメスたちは優劣順位に対応して自然の食物と人工の食物の摂取割合を変化させており、食物をめぐる競合がメスの繁殖に重要な影響を与えていることが判明した。しかし、メスは出産すると高順位でも低順位でも餌場で人工餌を優先的に摂取でき、オスが新生児をもつメスを許容するため、優劣の差が軽減されることも示唆されている。

   屋久島では初めて標高の高い地域のニホンザルが調査され、食物の豊富な海岸域に比べて群密度は低いが、食物資源の密度に対応するほど低くはないことが判明した。これは豊富な林床植生と季節移動によるものであることが示唆されている。海岸域では人付けされている3群を対象にしてニホンザルの採食戦略と交尾戦略が調査された。食環境の季節変化と生殖生理の変化にメスがどう対応しているかという点を解明しようとしたもので、まずメスが交尾期にオスとの近接関係を変えることによって採食効率を上げていることが明らかになった。メスとの交尾は最優位のオスが独占する傾向があるが、DNAを用いた父子判定では半分近くあった。この分析は現在も進行中であるが、メスが繁殖相手となるオスを選別していることが示唆されている。これらの研究によって食物をめぐる同性、異性間の競合を左右する生態的、社会的条件をいくつか特定し、平成11年3月に開催した研究会でその進化史的意義について討論できたのは本課題研究の大きな収穫であったと考えている。

(平成8年度)

・ヤクシマザルメスにおける性行動と採食行動の関連 (松原 幹、京都大・霊長研)

・高崎山のニホンザルの食糧資源からみた森林構造とその分布(長岡寿和、大分短大)

・屋久島の上部域に生息するヤクザルの分布と糞分析による食性の研究(大竹 勝、日本モンキーセンター,好広眞一、龍谷大・経営)

・高崎山のニホンザルの繁殖個体の採食戦略とその縦断的比較(横田直人、大分短大)

(平成9年度)

・ニホンザル野生群メスの繁殖戦略に関する研究(早川祥子、京都大・霊長研)

・ヤクシマザルオスにおける性行動と採食行動の関連(松原 幹、京都大・霊長研)

・高崎山のニホンザルの食糧資源としての森林の構造と季節変化(長岡寿和、大分短大)

・屋久島の上部域に生息するヤクザルの分布と糞分析による食性の研究(大竹 勝、日本モンキーセンター,好広眞一、龍谷大・経営)

(平成10年度)

・野生ニホンザルオスにおける採食行動の年齢差(半谷吾郎、京都大・理)

・野生ヤクシマザルにおける繁殖戦略と採食戦略の相互関連 (松原 幹、京都大・霊長研)

・高崎山のニホンザルの繁殖個体の採食戦略とその縦断的比較(横田直人、大分短大)


霊長類の静的機能形態学(実施年度: 平成8〜10年度)

(推進者 : 茂原信生・毛利俊雄)

   この計画研究は、静的機能形態学という包容性にとむメインテーマをかかげ、研究所で提供できる霊長類資料を利用した幅広い形態学的な研究がおこなわれることを意図して実施された。

   多数の研究申請があり平成8年度は6件、平成9年度は7件、平成10年度は7件の研究が採択された。手関節・頸静脈窩などの骨学、顎二腹筋・烏口腕筋・指伸筋・固有背筋などの筋学、肝臓・喉頭などの内蔵学、嗅球の微細血管構築・四肢動脈系などの脈管学と多岐にわたる対象について、純粋な記載にちかいものから形態の系統発生の復元まで多様な研究が活発に実施された。個々の研究の題目、研究者名は以下のとおりである。

(平成8年度)

・霊長類の舌骨喉頭装置に関する比較機能形態学的研究(葉山杉夫、関西医大)

・霊長類の動脈系の比較形態学的研究(児玉公道・川井克司、熊本大・医学部)

・ニホンザル固有背筋の筋束構成と支配神経の筋内分布(小島龍平、埼玉医大短大)

・霊長類の肝臓の比較解剖学的研究(中久喜正一、東京農工大・獣医学科)

・ニホンザル嗅球の微細血管構築について(岡田成賛・太田義邦、大阪歯大)

・霊長類における顎二腹筋の観察(重政香代子、日大・歯学部)

(平成9年度)

・霊長類の舌骨喉頭装置に関する比較機能形態学的研究(葉山杉夫、関西医大)

・霊長類の静的機能形態学(樋口 桂、筑波大・医科学研究科)

・霊長類の静的機能形態学 (角田篤信、東京医科歯科大・医学部)

・運動神経細胞の位置に基づく霊長類筋系の系統発生(木田雅彦・工藤宏幸、岩手医大)

・ニホンザル固有背筋の筋束構成と支配神経の筋内分布(小島龍平、埼玉医大短大

・手の巧緻運動の発達に関する比較解剖学的研究(中村俊康、藤田保健衛生大)

・リスザル嗅覚器の微細血管構築について(岡田成賛・諏訪文彦・太田義邦、大阪歯大)

(平成10年度)

・霊長類の舌骨喉頭装置に関する比較機能形態学的研究(葉山杉夫、関西医大)

・霊長類筋系の系統発生的な派生に関する研究(樋口 桂、筑波大・医科学研究科)

・霊長類下肢骨形態と筋・靱帯との関係(平本嘉助、北里大・医学部)

・霊長類四肢動脈系の比較形態学的研究(小泉政啓・前田 智・児玉公道・川井克司、熊本大・医学部)

・ニホンザル固有背筋の筋束構成と支配神経の筋内分布(小島龍平、埼玉医大短大

・霊長類の四肢骨の三次元モデル化(中山淳之、京都大・理学研究科)

・骨格筋筋漿タンパク質の動物系統間比較(関川三男、帯広畜産大)


霊長類におけるストレス反応に関する研究

(実施年度:平成8〜10年度)

(推進者:鈴木樹理・大蔵 聡・友永雅己・中村 伸)

   本計画研究は、霊長類におけるストレス反応の定量系の確立を初めとして、その応用として霊長類の飼育環境や実験環境の評価系の検討、更には動物福祉に基づく環境エンリッチメントへの応用をも視野に入れた研究である。平成8年度から10年度の3年間は、これらの最初の段階という位置づけとなる。

   初年度は、本計画研究課題をスタートするに当たり、ストレス研究に関する理解を深めるための研究会を7月に開催した。研究会では、霊長類に限らず、生物のストレス反応について細胞レベルから個体の行動までの幅広い領域において研究を行っている第一線の研究者が集い、個々の研究成果と最近の動向を紹介した。両日ともに各セッションで興味深い発表と活発な討論が行われ、参加者の専門領域外のストレス研究についても理解を深めることができた。最後の総合討論では、改めてそれぞれの研究分野におけるストレスの捉え方の共通点および相違点について論議が及び、ストレス研究を推進するには学問領域を越えた学際的な研究が必要であることが確認された。また、ヒトのモデルとしてのサル類におけるストレス研究の重要性が指摘され、今後の研究に対する期待が表明された。

   これらの議論をふまえて、物理的のみならず、霊長類に特有な心理的、社会的ストレスに対する生理学的変化や心理学的、行動学的変化の分析と定量を試みること、また、ストレス反応時の神経・内分泌・免疫系の相互のかかわり合いを解明することを本計画研究の3年間の目標として掲げ、研究を実施した。3年間に以下の15件の研究課題が実施され、新たな知見が蓄積された。これら研究成果のとりまとめおよび今後の新たな展開にむけて、研究会を平成11年秋に予定している。

(平成8年度)

・夜尿症とストレスとの相関関係に関する研究(畦元将隆、名古屋市大・医学部)

・霊長類におけるストレス反応の内分泌学的解析(前多敬一郎・束村博子他、名古屋大・農学部)

・霊長類におけるストレス反応に関する研究(錫村明生、奈良医大)

・心理的、社会的ストレスが霊長類の免疫機能に及ぼす影響(寺尾恵治、国立感染研)

(平成9年度)

・新生児のストレスに対する反応(川上清文、聖心女子大・文学部)

・内分泌学的指標による霊長類の物理的、心理的ストレスの評価(前多敬一郎・束村博子他、名古屋大・農学部)

・視床下部電気活動を指標としたストレス評価系の確立(西原真杉・森 裕司他、東京大・大学院農学生命科学研究科)

・霊長類のストレス反応に関する研究(錫村明生、奈良医大)

・心理的、社会的ストレスが霊長類の免疫機能に及ぼす影響(寺尾恵治、国立感染研)

・母子のストレスがひきおこす胎児・新生児行動の変化が母子愛着に及ぼす影響

(上井稔子、東京医科歯科大・大学院医学研究科)

(平成10年度)

・新生児期におけるサルのストレスに対する反応(川上清文、聖心女子大・文学部)

・視床下部電気活動を指標としたストレス評価系の確立(西原真杉・森裕司他、東京大・大学院農学生命科学研究科)

・霊長類のストレス反応に関する研究(錫村明生、奈良医大)

・心理的、社会的ストレスが霊長類の免疫機能に及ぼす影響(寺尾恵治、国立感染研)

・ストレスによる性腺機能抑制の神経内分泌学機序*(前多敬一郎・束村博子他、名古屋大・農学部)

*4年連続となるため、資料提供として採択


研究成果目次(年報抜粋)

共同利用研究会(年報抜粋)

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