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3. 共同利用研究会

第1回サガ・シンポジウム

「アフリカ大型類人猿の研究・飼育・自然保護」

日 時:1998年11月19日 (木)〜20日 (金)

場 所:犬山国際観光センター“フロイデ”

参加者:約360名

   1998年11月19日と20日の両日にわたって、犬山市のフロイデを会場として、第1回サガ・シンポジウム「アフリカ大型類人猿の研究・飼育・自然保護」が開催された。SAGA(サガと発音する)は「アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集いSupport for African/Asian Great Apes」の英文略称である。すべての類人猿は、「絶滅の危機に瀕した種」としてワシントン条約(CITES)に規定されており、われわれにとってかけがえのない進化の隣人と言える。SAGAは、ヒトに最も近縁な大型類人猿の研究のあり方を考え、飼育環境の改善に取り組み、野生の生息地の保全を求めていく活動として、京都大学霊長類研究所の研究者が中心になって発足した。ただし、研究者だけでなく、動物園関係者、省庁などの行政に関わる方、NGOで霊長類や熱帯林の保護・啓蒙活動を展開している方、メディア関係者、さらには大型類人猿に関心をもつ一般の方々の参加も呼びかけた。第1回サガ・シンポジウムは、本研究所の共同利用研究会としての助成を受け、ならびにCOE形成基礎研究費(代表者:竹中修)の国際シンポジウムを内包するものである。

   幸い、多くの方々のご理解とご協力によって本シンポジウムは盛会だった。24件の口頭発表ならびに講演があり、65件のポスター発表・ブース展示があった。参加者総数は約360名だった。招待講演としては、ジェーン・グドール (イギリス、JGI所長)、ヤン・ファンホーフ (オランダ、ユトレヒト大学教授)、西田利貞 (京大教授)の3名の講演があった。また第2日目の午後のセクションは、京都大学霊長類研究所のCOE形成基礎研究発足記念シンポジウムと銘打っておこなわれた。COE形成基礎研究の研究代表者である竹中 修、霊長類研究所所長の杉山幸丸、アレクサンダー・ハーコート (カリフォルニア大学デイヴィス校教授) の3名の記念講演が英語でとりおこなわれた。 「類人猿の進化と人間の起源」を考えるCOE形成基礎研究が、たんに類人猿の研究だけではなく、かれらの飼育や自然保護も支援するSAGAの活動と軌を一にして発足したことになる。2日間にわたるシンポジウムのプログラムの概要を以下に掲げる。

   11月19日、シンポジウム「野生調査地の現状と展望」。各調査地の概要報告を背景にして、研究のトピックスをスライドやビデオをまじえて紹介していただいた。マハレ/上原重男 (札幌大)、ボッソウ/山越 言 (京大)、ワンバ/古市剛史 (明治学院大)、ンドキ/黒田末寿 (滋賀県立大)、カリンズ/橋本千絵(京大)、ウガラ/小川秀司(中京大)、カフジ・ガボン/山極壽一 (京大)、インドネシア/鈴木 晃 (京大)。コメント:三谷雅純 (兵庫県立人と自然の博物館)。

   シンポジウム「飼育下の大型類人猿の現状と展望」。動物園など飼育下の現状と課題、医学研究におけるチンパンジーの果たした役割とその重要性、人と人以外の動物との関わりなどについてご講演いただいた。吉原耕一郎 (多摩動物園)、日本のチンパンジーの現況:国内血統登録から。増井光子 (麻布大)、動物園の将来と課題:ズーストック計画から。鈴木 宏 (山梨医科大学前学長)、チンパンジーと医学研究。林 良博 (東大)、日本における人と動物の関わり:諸外国との比較。

   ポスターセッションのあと、一般向けの講演会がおこなわれた。西田利貞 (京大)、チンパンジーの文化。河合雅雄 (兵庫県立人と自然の博物館)、ジェーン・グドールさんの人としごとの紹介。ジェーン・グドール (JGI)、野生チンパンジーの母と子のきずな (通訳:松沢哲郎)。

   11月20日、シンポジウム「研究と自然保護の接点」。1948年11月5日に幸島での野生ニホンザル研究が始まって今年で50年目を迎えた。霊長類研究さらには類人猿研究の軌跡を振り返り、現状を広く展望し、そして野生保全の試みにおける研究活動と行政の接点を考えた。伊谷純一郎 (神戸学院大)、霊長類学・大型類人猿研究ことはじめ。加納隆至 (京大)、チンパンジーの分布。菊地邦雄 (自然環境研究センター)、野生生物の保護とサステイナブル・ユース:アフリカの話題を中心にして。コメント:高崎浩幸 (岡山理科大)。

   招待講演、ヤン・ファンホーフ「飼育下のチンパンジーのQOL:アーネム・コロニーのチンパンジーたち」。ファン・ホーフ教授はオランダにある世界有数のチンパンジー飼育施設アーネム・コロニーの創設者である。アーネムは、彼の指導を受けた学生だったフランツ・ドゥバールの「政治をするサル」「仲直り戦術」という著作の舞台ともなった。チンパンジーを野生に近いすがたで飼育することの利点とリスクをお話くださった。

   ポスターセッションをはさんで、講演「大型類人猿の多様な研究」と冠した3題。濱田 穣(京大)、チンパンジーの発育パターン特徴の進化的考察。マイク・ハフマン (京大)、チンパンジーの自己治療行動ー 最近の野外と飼育下の研究。ジェームズ・アンダーソン (スターリング大学) Primates: Sorting out their selves。続くCOE形成基礎研究発足記念シンポジウムは公用語を英語としておこなった。竹中 修 (京大)、Noninvasive sampling for genetic analysis。アレキサンダー・ハーコート (カリフォルニア大学)、Gorilla socio-ecology: male vs. female strategies。杉山幸丸 (京大) 、Socio-ecological variation of chimpanzees: Bossou and other research fields.

   こうした講演・口頭発表とともにポスター発表がおこなわれた。それらは以下の4つのセクションにまとめられた。1) 野生調査地から、2) 動物園等の飼育施設から、3) 研究施設から、4) 自然保護等の立場から。それぞれの発表の詳しい内容は割愛するが、以上の成果については、日本霊長類学会が発行する学術誌「霊長類研究」の特集号として、1999年9月にまとめて刊行される予定である。なお、上記の講演の一部は、すでに以下の著作として公表されているので参照されたい。

ジェーン・グドール (1999) アフリカにおける野生チンパンジーと自然保護.「科学」69 (4) : 306-310.

ジェーン・グドール (1999) 野生チンパンジーからのメッセージ.「エコソフィア」3: 42-51.

林良博 (1999) 人間と動物の関係を再構築する.「科学」69 (4): 290-292.

増井光子 (1999) 日本の大型類人猿:動物園の現在・過去・未来. 「科学」69 (4): 287-290.

   なお、第1回サガ・シンポジウムにおいて、下記の方々の同意を得て、次の3項目からなる「大型類人猿の研究・飼育・自然保護にかんする提言」をおこなった。

1) 野生の大型類人猿とその生息域を保全する。

2) 飼育下の大型類人猿の「生活の質 (QOL) 」を向上させる。

3) 大型類人猿を侵襲的な研究の対象にせず、非侵襲的な方法によって人間 理解を深める研究を推進する。

提言に賛同を得た方々は以下の通りである (順不同、敬称を略します)。長尾 真、井村裕夫、日高敏隆、辻 敬一郎、石田英実、木村 賛、田中二郎、小嶋祥三、河合雅雄、伊谷純一郎、小林 登、久保田 競、岩本光雄、増井光子、林 良博、杉山幸丸、竹中 修、加納隆至、西田利貞、松沢哲郎、山極壽一、フランツ・ドゥバール、ジェーン・グドール、ヤン・ファンホーフ、アレクサンダー・ハーコート、ジェームズ・アンダーソン。

(文責:松沢哲郎)


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