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3. 共同利用研究会

「ニホンザルの採食生態と社会関係に関する比較研究」

日時:1999年3月19日 (金)〜20日 (土)

場所:霊長類研究所大会議室

参加者:約60名

プログラム

3月19日(金)

採食と社会について

       座長:山極壽一 (京都大・理)

1.「ヤクシマザルの分布と個体数」.

好広真一 (龍谷大・経営)

2.「屋久島に生息するニホンザルの採食行動の年齢差」

半谷吾郎 (京都大・理)

3.「群れの出会いの頻度と群間競合:ニホンザルニ地域集団の比較」

 杉浦秀樹 (京都大・霊長研)〔演者〕

 斉藤千映美 (宮城教育大・教)

 佐籐静枝 (宮城のサル調査会)

 揚妻直樹 (秋田経法大・経済)

 高橋弘之 (京都大・霊長研)

 古市剛史 (明治学浣大・生物)

 高畑由起夫 (関西学院大・総合政策)   

4.「社会生態学の今後の展望:ニホンザルを例にして」

中川尚史 (神戸看護大)

ディスカッサント:

高畑由起夫 (関西学院大・総合政策)/小金沢正昭 (宇都宮大・農)/居村純子 (東京農工大・農)/大井 徹 (森林総研・東北支所)/高橋弘之 (京都大・霊長研)/松村秀一 (京都大・霊長研)

3月20日 (土)

採食、繁殖、社会をめぐって            

    座長:古市剛史 (明治学院大・生物)

5.「高崎山に生息するニホンザルのオトナメスの採食戦略」

横田直人 (大分短期大)

6.「野生ヤクシマザルの発情期における個体間関係と採食様式の関連」

松原 幹 (都大・霊長研)

7.「Ma1e and Female Mating Strategies in Wild Japanese Macaques on Yakushima Island」

Joseph Soltis(京都大・霊長研)

ディスカッサント:

井上美穂 (岐阜大・農)/揚妻直樹 (秋田経法大・経済)/早川祥子 (京都大・霊長研)/

榎本知郎 (東海大・医)/森 明雄 (京都大・霊長研)/竹中 修 (京都大・霊長研)

世話人:大澤秀行・山極壽一・森 明雄・松村秀一・高橋弘之・杉山幸丸

   平成8〜9年度に実施された計画研究「ニホンザルの採食生態と社会関係に関する比較研究」のまとめとして本研究会を開催した。第1日目はニホンザルの生態や社会を環境条件の違いによって比較する第一歩として、屋久島と金華山に生息する自然群を対象にこれまでの研究成果を出し合い、討論を行った。屋久島は標高に沿って植生が大きく異なるので、亜種内、地域個体群内で環境条件の違いに基づく変異を論ずることができる。今回の発表では、上部域に生息するサルが季節によって垂直に移動していることが報告され、季節移動をしない海岸域のサルとは異なる生態特徴をもつことが示唆された。また、海岸域の照葉樹林では、未成熟なオスが成熟オスに比べて基礎代謝に必要な栄養摂取をすみやかに達成していることが示され、初めて年齢による採食様式の違いが自然群を対象に論じられた。金華山と屋久島はともに複数群が遊動域を一部重ね合わせているが、群間関係は屋久島の方が敵対的で、とくに交尾期に群間の敵対的交渉が頻発する。この違いを生態学的条件(遊動域の大きさ、食物の分布様式など)から説明できるかどうかが討論され、さまざまな意見が出された。最後にニホンザルを対象にした採食生態学、社会生態学を世界の研究と比較して、今後の研究への指針や抱負が語られた。

   第2日目はニホンザルのメスが繁殖にともなう生理状態に応じてどのように採食様式を変えるかというテーマについて、高崎山と屋久島の研究から報告があった。高崎山では乳児を抱いたメスが他のメスに比べて優先的に餌に接近できるが、順位によって場所、採食集団の選び方、採食時間などを変え、状況に応じて効率よい食物の搾取を試みていることが示された。屋久島では発情メスが第1位オスとコンソ−ト関係を結んでいた日と複数オスと交尾した日を比べ、採食時間や移動時間が大きく異なることが報告された。これはメスが発情するとオスから頻繁に攻撃されることによって生じる採食上のコストであり、メスはこれを防ぐために第1位オスとコンソ−トを結ぶ傾向があることが示唆 された。また、屋久島では初めてのオスによる子殺しの報告があり、複雄群で起こった子殺しの進化史的意義をめぐってさまざまな意見が出された。

   本課題研究は、ニホンザルの生息環境の定量的理解の上に行動特性や社会関係の変異を論じていこうと試みたもので、今回の討論でその最初の目標は達成できたように思う。研究会でもこれまでの日本サル学の性格と世界の研究の動向について多くの意見が出された。ニホンザルを対象に行われてきた研究の成果をさまざまな視点から再評価し、新しいパラダイムの構築を目指さなければならない時がきている。その意味で、本研究会は次の課題研究へつながる足がかりになったと考えている。

(文責:山極壽一)


共同利用研究会目次(年報抜粋)

研究成果目次年報抜粋)

年報目次

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