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社会生態研究部門

生態機構分野                     上原重男・森 明雄・松村秀一

<研究概要>         研究業績へ

A) 西および東アフリカに生息するチンパンジーの行動と生態
                 
上原重男・藤田志歩1)・竹元博幸1)・濱井美弥2)

タンザニア国マハレ山塊にすむチンパンジー (M集団) の研究を継続した。チンパンジーの捕食対象である大・中型昼行性哺乳類の生息密度を調べ、1996年に同じ方法でおこなったセンサス結果と比較した。またこれまで資料のなかったM集団の行動域内のシロアリ相の一端を明らかにするために、塚の密度を調査し、標本を採集した。チンパンジーの繁殖における地域的特徴を生息環境との関係で理解するための予備調査を行った。マハレ山塊での長期研究で得られた資料のうち、とくに1989年度および1991年度の野外調査から得られたメス間関係のデータを分析している。

西アフリカボッソウ地域のチンパンジーの採食植物の栄養分析を行い、年間のエネルギーバランスという観点から、食物量と質の変化に対しチンパンジーがどのように対応しているか考察した。また中央アフリカの赤道ギニア国で、チンパンジーの道具、掘り棒に注目した調査を行った。これは、ボッソウ地域のナッツ割り行動との比較を目的としている。

B) ヒヒ類の研究         森 明雄

サウジアラビアのタイフ市で、ゴミ埋め立て場に集まる巨大なマントヒヒの群れの個体群動態の調査をし、ダムとアル・ルーダフ公園を利用する別のマントヒヒ群で、行動学的・社会学的調査を行なった。オスと低年齢個体との交渉を、世話行動あるいはハーディング行動との関連で分析した。イヤー・タグでマークした個体を用いて社会関係の分析を試みた。

また、エチオピア南部アルシ州に生息するゲラダヒヒのポピュレーションの研究を引き続き行っている。

  C) 東南アジアに生息する霊長類の生態および社会行動に関する研究
                              
松村秀一・岡本暁子3)

マカクの社会行動の進化に関する比較研究の一環として、インドネシア・スラウェシ島に生息するムーアモンキーの野外研究を続けている。群れどうしの出会いや個体群動態・生活史に関する資料および群れの分裂に関するデータを分析し、論文として公表した。また、グルーミング相手の発達にともなう変化に関する研究や、self-directed behavior を利用した社会関係の定量的評価をおこなった。一方、インドネシア・ジャワ島のパンガンダラン自然保護区におけるカニクイザルの採食行動に関する共同研究を継続した。野外観察と同時に、社会行動に関するゲーム理論的研究をおこなった。

 

D) ニホンザルの採食・繁殖生態と個体群動態の研究
   
上原重男・森 明雄・松原 幹1)・早川祥子1)・藤田志歩・Gordon M. Barrett1)・濱井美弥

ニホンザルの採食戦略、繁殖戦略を知るため宮城県金華山、愛知県三河地方、京都嵐山、宮崎県幸島、鹿児島県屋久島の自然群および餌づけ群を対象に研究を進めてきた。金華山のメスを対象に、性行動と生殖生理学的現象との対応関係について分析を続けている。嵐山群では糞中のホルモンを測定し、オスの性行動とホルモンとの関係の分析を清水慶子(器官調節分野)と共同研究で行っている。屋久島では、性行動をめぐる時間とエネルギー消費コストの多様性をオスを対象に検討した。第1位オスが第2位以下の劣位オスよりも高い交尾成功を得る一方、発情メスのガードに要するコストが高く、採食時間は短かった。一方、劣位オスはオポチュニスティックに振る舞う低コスト配偶行動を示した。別群では、非侵襲的なサンプルを使用したDNA解析により父子判定を行い、性行動の観察データとの比較を試みた。また橋本千絵(社会構造分野)及び竹中 修(遺伝子情報分野)との共同研究で、非侵襲的なサンプルにより性判別する方法を開発した。これはニホンザルだけでなく、チンパンジーやボノボにも適用できる。宮崎県幸島では、主群を避けて島の片隅に生きる小群の観察を前年度に引き続き行った。採食樹の結実と利用の年による違いを調べている。また、思春期オスの群れからの離脱要因を検討している。愛知県三河地方では、遊動域・個体数動態に関する過去のデータをまとめた。

  E) 社会的場面おける情動の役割に関する生物心理学的研究 
                                                 
中山 桂1)・上原重男

群生活を営む霊長類は、高度な社会的認知能力を進化させてきた。社会的な場面で生じる様々な情動の適応的意義を探ることは、ヒトの心の進化を考える上で重要な出発点となる。情動の生起を非侵襲的に測定する方法の確立を試みた。ネガティブな情動反応を生起させる状況下でアカゲザル4個体の顔面温度の変化を調べた。顔面温度が情動反応と関連して変動することを示す結果が得られた。

  F) ニホンザルにおける行動の社会的伝達の研究          田中伊知郎2)・森 明雄

ニホンザルのシラミ卵取りにおいて、微細なシラミ卵という観察学習が難しい対象を、「食物知識」としてニホンザル幼児がどのように獲得するかを地獄谷野猿公苑で調査した。幼児は単に観察するだけでなく、シラミ卵押収の許容によって熟練者と対象を共有することで、熟練者の知識を積極的に引き出していたと示唆された。

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1) 大学院生 2) 研修員 3)  日本学術振興会特別研究員

<研究業績>          研究概要

論文  
−英文−
1)   Okamoto, K., Matsumura, S. & Watanabe, K. (2000) Life history and demography of wild moor macaques (Macaca maurus): a summary of ten years' observation. American Journal of Primatology 52: 1-11.

2)   Thierry, B., Bynum, E.V., Baker, S., Kinnaird, M.F., Matsumura, S., Muroyama, Y., O'Brien, T.G., Petit, O. & Watanabe, K. (2000) The social repertoires of Sulawesi macaques. Primate Research 16 (3) : 203-226.

 

総説  
−英文−
1)   Matsumura, S. & Okamoto, K. (2000) Conflict resolution and social costs: a game theory approach. In: Natural Conflict Resolution (eds. Aureli, F. & de Waal, F.B.M.). University of California Press, pp. 79-81.

2)   Matsumura, S. (2001) The myth of despotism and nepotism: dominance and kinship in matrilineal macaque societies. In: Primate Origin of Human Cognition and Behavior (ed. Matsuzawa, T.). Springer-Verlag, Tokyo. pp. 441-462.

3)   Tanaka, I., Tokita, E., Takefushi, H. & Hagiwara, T. (2001) Tube test in free-ranging Japanese macaques: use of sticks and stones to obtain fruit from a transparent pipe. In: Primate Origin of Human Cognition and Behavior (ed. Matsuzawa, T.). Springer-Verlag, Tokyo. pp. 509-518.

−和文−  
1)   松村秀一 (2000) 優劣のゆるやかな社会ときびしい社会―マカク属のサルの比較研究から−.「霊長類生態学−環境と行動のダイナミズム」(杉山幸丸編, 京都大学学術出版会, pp. 340-360.

2)   森明雄 (2000) 子殺し行動における自他のアカンボウの識別.「霊長類生態学 環境と行動のダイナミズム」(杉山幸丸編, 京都大学学術出版会, pp. 361-384.

3)   岡本暁子 (2000) 個体の論理, 群れの論理―霊長類における個体間の協力的な関係.「霊長類生態学ー環境と行動のダイナミズム」(杉山幸丸編, 京都大学学術出版会, pp. 405-423.

4)   田中伊知郎 (2000) 胎児か乳飲み子かニホンザルにおける分散投資. 「霊長類生態学 環境と行動のダイナミズム」(杉山幸丸編, 京都大学学術出版会, pp. 273-291.

5)   上原重男 (2000) チンパンジーの長期研究. 学術月報 53 (10) : 1030-1033

 

報告・その他  
−和文−  
1)   濱井美弥・金森正臣・高橋美裕 (2000) 愛知県三河地方に生息する野生ニホンザル・市川群の10年間.「神奈川県立博物館調査研究報告, 自然科学 10号『ニホンザルの今・昔・未来−野生動物との共存を考える−』」pp. 21-25.

  書評
−和文−
1)   岡本暁子 (2000) :「人間性はどこから来たか−サル学からのアプローチ」西田利貞著, 京都大学学術出版会. 遺伝 54 (5) : 73-74.

 

学会発表  
−英文−

1)   Okamoto, K. (2000) The evolution of punishment and apology: an iterated prisoner's dilemma model. オーガナイズドセッション「数理モデルの人間行動進化研究への挑戦. 10回数理生物学シンポジウム (200010, 浜松). 数理生物懇談会ニュースレター 32: 26.

2)   Okamoto, K. (2001) Group fission in wild moor macaques. The 18th Congress of the International Primatological Society (Jan. 2001, Adelaide, Australia). Abstracts and Programme p. 458.

3)   Uehara, S. & Ihobe, H. (2000) Opportunistic hunting by the chimpanzees at Mahale and its impact on mammalian prey populations. Symposium Organized by the Max Planck Institute "Behavioural Diversity in Chimpanzees and Bonobos" (June 2000, Seeon, Germany). Abstracts p. 29.

−和文−  
1)   濱井美弥 (2000) 野生チンパンジーの育児中のメスの社会関係 パーティへの参加状況について−. 16回日本霊長類学会大会 (20007, 名古屋). 霊長類研究 16 (3) : 281.

2)   松村秀一 (2000)「広く浅いつきあい」を生み出すもの−ムーアモンキーのグルーミング・パターン−. 16回日本霊長類学会大会 (20007, 名古屋). 霊長類研究 16 (3) : 283.

3)   森明雄 (2000) 幸島に棲む極端に小さな群の土地利用と社会構造. 16回日本霊長類学会大会 (20007, 名古屋). 霊長類研究 16 (3) : 267.

4)   岡本暁子 (2000) ムーアモンキーの群れの分裂. 16回日本霊長類学会大会 (20007, 名古屋). 霊長類研究 16 (3) : 258.

5)  岡本暁子 (2000) 協力関係の維持にはたす punishment apology の役割. 日本動物行動学会第19回大会 (200011, 彦根). 講演要旨集 p. 63.

6)   田中伊知郎 (2000) ニホンザルのシラミ卵押収における食物(シラミ卵)と知識のトレードオフ. 16回日本霊長類学会大会 (20007, 名古屋). 霊長類研究 16 (3) : 285.

7)   田中伊知郎 (2000) ニホンザル幼児におけるシラミ卵押収の許容: 知識の引き出し. 54回人類学会大会 (200011, 東京). Anthropological Science 109 (1) : 83.

 


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