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I     巻頭言

所長 小嶋 祥三

   

野生ニホンザルの実験利用が問題になっている。野生ニホンザルの捕獲や飼育には、「鳥獣保護および狩猟に関する法律」と同施行法による規制がある。最近、環境省は鳥獣保護管理計画にかかるマニュアルで「医学研究などに使用する目的で有害鳥獣駆除許可を出すことは認められないので、許可審査に当たってはその目的を厳密に調査する」との方針を打ち出した。日本の大学等において実験研究に用いられてきたニホンザルの多くが有害鳥獣駆除による野生捕獲個体である。一部の業者が法律を守らないことがあり、研究機関が結果的に違法に捕獲されたサルを利用していた実態
が明るみにでた。これを批判する報道が相次いだことは記憶に新しい。この問題に腰を据えて対応することが、サルを用いた実験的研究を安定して実施する上で重要である。

霊長類研究所はサルの総合的な研究を通してヒト化(ホミニゼーション)の理解に努めている。霊長類研究所は野外のサルの社会から、個体、器官、細胞、さらに遺伝子などの微細なレベルを研究の対象にしている部門、分野がある。ヒト化の理解にはこれらの多様な研究が必要である。特定の領域の研究が衰退することは、ヒト化の理解を不完全なものにするだろう。霊長類研究所は全国共同利用研究所である。霊長類研究のCOEとして、全国の霊長類研究の動向に無関心ではいられない。ヒト化の研究は全国の研究者と共同して推進していくべきものである。今回発生した野生捕獲ザルの研究利用の問題は、日本の霊長類研究の健全な発展を危うくする可能性がある。

  霊長類研究所は野生のサルの直接の実験利用は避けるべきとの考えから、これまでに多くの努力を払って研究用サル類の自家繁殖体制を確立した。したがって現在、野生のサルを実験に利用していない。その頭数は多くないが、共同利用研究を通して、全国の研究者にも研究所で繁殖したサルを利用してもらっている。このような体制を時代に先駆けて確立できたのは、霊長類を専門に研究する機関であったことだけでなく、研究用サルの維持・供給を担当する施設と、野外、実験室の研究者が自家繁殖体制を目指して協力したからだろう。このような協力体制は所外でも行われるべきであり、霊長類研究所はCOEとしてその方向で努力すべきだろう。

一般にサル類は高い認知能力をもつ実験動物である。類人猿にいたっては、これまで考えられてきたよりはるかにヒトに非常に近い動物であることが分かってきた。飼育や実験において、動物福祉や実験倫理の実践が重要である。また、日本はいわゆる先進国の中で唯一野生のサルが生息する。ニホンザルという日本に固有の種を守ることも霊長類研究所の重要な役割である。最近は年に1万頭を越すニホンザルが捕獲されている。特に孤立した小規模な地域個体群の絶滅が懸念されている。

実験はよくコントロールされた適切な環境で人為的に繁殖したサルを用いること、飼育と利用において、動物福祉と実験倫理を重視すること。それがサルの安定した研究を可能にし、野生のサルの保全に役立ち、ヒト化の理解を促進することになるだろう。

 


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