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30回ホミニゼーション研究会「食べることとヒトの進化の関係を考える」

日 時:2001315日(木16日(金)  
場 所:霊長類研究所大会議室
参加者:約100

 

プログラム
200131513:3017:30
富岡直人(岡山理大)「先史人類の動物利用文化の多義性――縄文・弥生時代動物遺存体を中心に」
口蔵幸雄(岐阜大)「マレー半島狩猟採集民の食物規制」
山越 言(京都大)「類人猿の採食文化から見たホミニゼーション」
上野吉一(京都大)「食物選択における嗅覚・味覚の働き」

討論

  200131609:3012:0013:0016:30  
岩本俊孝(宮崎大)「ヒヒ類の活動時間収支はどう決まるか」
五百部 裕(椙山女学園大)「ビーリャ、チンパンジーとオナガザルの採食競合」
清水大輔(京都大)「アカコロブスにおける大臼歯の機能形態」
西村治男(大阪府済生会中津病院)「倹約遺伝子・糖尿病とヒトの進化」
成田裕一(京都大)「タンパク質消化酵素の進化から見たヒト進化」
諏訪 (東京大)「初期人類の食性と種分化を考える

総合討論  討論者:石田英實(京都大

                             (世話人:上原重男・片山一道・清水慶子・松村秀一・本郷一美)

    30回目を迎えたホミニゼーション研究会は“食性”をテーマに取り上げた。タイトルとしてはごくありふれたものであるが、いうまでもなく各演者にはできるだけ新しい情報の提供をお願いした。プログラムではセッション名をあえて掲げずに、演題の配列順序から全体のストーリーが自然に読みとれるように配慮した。現生ないしごく近い過去のヒトから始めて、霊長類とくに旧世界ザルと類人猿の多様性をながめたあと、進化のすじみちを復元しながらホミニゼーションをたどるというシナリオである。一部ではあったが参加者の感想を聞いた限りでは、この目論見は少なくとも部分的には成功したようである。

  まず近い過去ないし現代人の食物選択に関する話題を2題提供していただいた。富岡氏は食べることから進化をうかがえるかどうかには懐疑的な立場から、先史人類の動物利用文化の変遷を概観した。口蔵氏はマレー半島の狩猟採集民であるオランアスリの資料から、食物の選好と忌避・嫌悪を対比させ、食べられるものを食べない背景を分析した。

  次に議論の範囲を類人猿から霊長類一般に広げた。山越氏はホミニゼーションにおける採食文化の意味を理解するため、現生霊長類で報告された道具使用をレビューし、類人猿とヒトの共通祖先に想定できる特徴的な道具行動を示唆した。上野氏は色覚が注目されることの多い霊長類の食物選択で、嗅覚と味覚がはたす役割に着目し、基本的にomnivorousな霊長類の食性が、類人猿やヒトでは積極的に多様性をふやそうとする、variovorousと呼べる特徴をもつことを指摘した。

  二日目は現生霊長類の食性をめぐる話題から始まった。岩本氏はヒヒ類のデータにもとづき、活動時間収支、とくに採食および移動時間と群れサイズの相関関係について、興味深い考察を紹介した。五百部氏は食物品目(植物)の重複の度合いが、チンパンジー・アカコロブス種間関係にみられるマハレとゴンベの地域差を説明できるかどうかを検討した。清水氏は雑食性のニホンザルと対比させながら、葉食者であるアカコロブスの大臼歯の特徴を、機能形態的に解析した。

  つづいて分子遺伝学的な進化を背景として、ヒト化を考えるヒントになる話題を2題お願いした。西村氏は高血糖症と代謝異常を特徴とする糖尿病が、食生活が高栄養ではなかった過去の時代に作られた倹約遺伝子型の遺伝的傾向にもとづく文明病であることを分かりやすく解説した。成田氏は哺乳動物の消化酵素と食性の進化について考えると、タンパク質分解酵素の多様性と食肉性は必ずしも一義的に結びつかないことを指摘した。

  最後にホミニゼーション自体をタイトルにした諏訪氏の講演があった。過去約600万年のアフリカを舞台とする初期人類の種分化を検討する上で、環境の変遷を背景に、形態的分化や食性傾向、ニッチェ分化を多面的に考察する重要性が強調された。その後に石田氏からの問題提起をふまえた総合討論がおこなわれた。  

  ほかの行事との関係もあったと思われるが、全部で100名近い参加者があり、最近の共同利用研究会としては稀にみる盛況であった。ただし、時間の制約を考慮しても、せっかくの盛り上がりを建設的な総合討論へ必ずしもうまく誘導できなかった点は反省すべきかもしれない。(文責:上原重男)


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