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「環境化学物質の生体蓄積と霊長類の応答」  

日 時:2000512日(金13日(土)
場 所:京都大学霊長類研究所1階大会議室
参加者:約50
          

プログラム
2000512日(金)

はじめに(開会)淺岡一雄(京都大・霊長研)

                                  座長 景山 節(京都大・霊長研)
坪田敏男(岐阜大・農・獣医)「環境ホルモンによる野生動物への影響」
 

矢野一行(埼玉医大・化学)
「フタル酸エステルのわが国の環境中での分布とその内分泌攪乱作用」
 
川嶋洋一・工藤なをみ(城西大・薬・衛生化学)
        「フッ素化脂肪酸に対する生体応答と分子識別」

                    座長 川島誠一 (都臨床研)
Yhun Yhong Sheen (Ewha Womans Univ.)
Study of the TCDD regulation on CYP1A1 gene expression using CYP-Luc reporter gene
 

佐藤哲男1,2Maher Derbel1細川正清1鈴木 聰2清水 竜2 (1千葉大・薬、2 HAB協議会霊
長類機能研究所)


「環境化学物質の生体への影響と安全性評価におけるヒト型資源の応用」

山本郁男
(北陸大・薬・衛生化学)
「サル肝ミクロソーム中に存在するシトクロム
P450の新しい機能解析」

総合討論

 

2000513日(土)                                座長 渡邊邦夫(京都大・霊長研)

蒲谷 肇(東京大・農)「環境化学物質とサルの生活」
         

春日洋二・飯沼宗和(岐阜県保環研)「環境ホルモン問題の現状」   

 

                                座長 鈴木樹理(京都大・霊長研)
西村治男(大阪府済生会中津病院)「糖尿病の基本概念と最近の内分泌疾患性糖尿病」

森 千里(千葉大・医・解剖)「内分泌かく乱物質の日本人胎児における曝露とその影響の 可能性について」

総合討論            
                                 (世話人:淺岡一雄・景山 節・鈴木樹理)

平成11 (1999) 年度からはじめられた3年間にわたる計画研究「サルにおける環境化学物質の蓄積と分子的生理的反応の研究」の中間まとめとして本研究会は開催された。

  はじめに野生動物への環境化学物質の蓄積の研究成果が報告された。1998年の日本の野生生物影響実態調査において、PCBDDEなどの有機塩素系化学物質は高位捕食者であるクジラ類、トビおよび猛禽類で高い値を示したが、高濃度の蓄積量に起因する明らかな異常病理所見は見いだされていない。しかし蓄積量と異常病理の時間的なずれや次世代へ影響する可能性が討論された。フタル酸エステルについては、日本の多くの飲食品に混入が見られること、またサルに取り込みが見られることが報告された。千葉県高宕山T−儀欧蛤覿霧武秩父市周辺の調査からニホンザルの生息域が環境化学物質を摂取し易い地域に拡大していることが明らかにされた。

  環境化学物質の生体影響の研究では、ペルフルオロ脂肪酸が調べられ、炭素鎖長や蓄積量に応じたペルオキシソーム増殖および腎排泄に性差のあることが示された。またフタル酸エステルやペルフルオロ脂肪酸は肝臓重量を増加させ、肝臓中のカルボキシルエステラーゼ酵素アイソザイム (RL4) を誘導することが報告され、ヒトやサルの研究に役立てる可能性が議論された。

  代謝酵素の研究では、マリファナ幻覚作用の本体であるΔ8-tetrahydrocannabinol (Δ8-THC) の代謝が報告された。サル肝ミクロソーム中には、抗P450GPF-B抗体陽性および分子量51.8kdであるP450JM-E (CYP3A8) があり7-hydroxy-Δ8-THCを酸化代謝する。本酵素は、異性体に約6倍の立体選択性をもちNADHNADPHとともに補酵素とすることが明らかにされた。また、Hepa I細胞に埋め込んだpmCyp1a1-Lucを用いてダイオキシンによる酵素誘導が調べられた。ダイオキシンはシトクローム1a1プロモターに結合し酵素を誘導する。一方、低酸素条件下NOを介して酵素誘導は阻害されることが明らかにされた。

ヒトに関する取り組みは県および医師から報告された。関係省庁は規格された方法により調査している。しかし、内分泌攪乱化学物質が作用する量は微量と考えられるため測定調査は大変難しく、現在の方法は必ずしも最適といえず、各県において測定方法や採取方法を検討しながら取り組んでいる現状が報告された。糖尿病はインスリンの分泌低下と抵抗性にくわえ各種内分泌疾患でも生じ近年増加している。遺伝因子と環境因子が複合的に関わって引き起こされる代謝障害であり、化学物質や遺伝子変異を原因とする糖尿病について明らかにされた成果が報告された。日本人約25,000の検死体による精巣重量の調査では、過去50年間に精巣重量は出生年で1960年頃まで上昇し、その後やや下降している。また、ヒト胎児内には、PCB類やDDT類を含め多くの内分泌撹乱化学物質が検出された。日本人の生殖能力に変化が起こっている可能性ならびに胎児における曝露は複合汚染の面も含め深刻化していることが示された。

世界各地で様々な野生動物に生殖異常現象がみられ、人の周辺のありふれた化学物質によるのではないかと報告されている。サルの周辺はどうであろうか?を調べる本計画研究に有意義となる貴重な研究成果が報告され活発な討論が行われた。各発表の詳細についてはこの研究会の要旨集を参考にされたい。(文責:淺岡一雄)


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