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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2003年度 > X 共同利用研究 2. 研究成果−計画研究1「チンパンジー乳幼児期の認知行動発達の比較研究」

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.34 2003年度の活動

X 共同利用研究

2 研究成果 計画研究1 「チンパンジー乳幼児期の認知行動発達の比較研究」

1-1 物理的および社会的知識に関する比較認知発達的研究

小杉大輔(京都大・文)

チンパンジー乳児における行為レベルの対象のカテゴリ化の可能性について調べるため,以下のような実験を行なった.CRTモニタ(21インチ)上に,刺激映像を呈示し,映像に登場する対象への被験体の接触反応を評価した.被験体はチンパンジー乳児1個体(パル:2-3歳時)であった.刺激映像は,ほ乳類,ヒト幼児,ボールの3カテゴリの対象が動いている映像であり,それぞれのカテゴリにつき6種類の映像を用意した(計18種).各カテゴリの映像を続けて6種類ずつ呈示した.同じ手続きの実験を12回,毎回1週間程度の間隔を挟んで繰り返し行なったが,カテゴリの呈示順はカウンターバランスを取った.実験中のパルの行動をDVカメラで録画した.この録画映像を用い,実験の仮説を知らない大人4名に対し,各試行においてパルがモニタ上の対象にいかに接触したかの評価(叩く,なでるなど),およびその接触の強さの5段階の評定を求めた.この評定値について分析を行なった.主要な結果として,まず,パルはボールの映像が呈示されたとき,ほ乳類とヒト幼児の映像が呈示されたときよりも有意に強くモニタを叩いていたことが示唆された.また,ほ乳類やヒト乳児の映像に対しては,対象をなでるような行為が多く観察された.これらの結果は,チンパンジー乳児がこれらのカテゴリを存在論的に区別している可能性を示唆するといえる.この可能性については今後さらに検討したい.

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1-2 霊長類乳児における生物学的運動の認識と複数感覚様相を統合した種概念の発達

足立幾磨(京都大・院・文)

本研究ではマカクザルにおける\己的運動の認識,∋覲・聴覚など複数の感覚様相からの情報を統合したものとしての種の認識について調べた.

,任蓮い垢戮討慮点がランダムに運動する刺激とランダムに運動する光点の中にヒトあるいはマカクザルの生物的運動を示す光点が含まれている刺激を左右のモニタに対呈示し,それぞれの刺激に対する注視時間を測定し分析した.被験体にはケージ飼育個体・群れ飼育個体を用い,生育環境の違いを検証した.その結果,被験体はその生育環境において生後の視覚経験量が多い生物の正規運動に対して,選好を見せることが示された.これは,これまでの著者らの研究の結果をより強く確認する結果であった.

△任魯泪クザル或いはヒトの音声を呈示した後に,音声に一致する種の写真と,一致しない種の写真のいずれかがモニタ上に呈示し,その視覚刺激に対する注視時間を測定し条件間で比較分析をした.被験体には集団飼育群のマカクザル乳児のみが用いられた.その結果,ヒトの顔写真に対する注視時間において,同種の音声とヒトの音声を先行呈示した条件の間で有意な注視時間の差が見られた.これは同種の音声を聞いたときに,聴覚・視覚2つの感覚様相からの情報を統合した同種の表象を想起したことを示唆する.この結果は前年度よりの著者らの研究結果を強めるものである.今後は,さらに個別飼育群との比較により生育環境の影響を調べる必要があろう.

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1-3 チンパンジ−幼児の砂遊びにおける象徴的操作の実験的分析(2)

武田庄平(東京農工大・比較心理)

霊長研・類人猿研究棟地下実験ブ−スで,アイ−アユム,クロエ−クレオ,パン−パルの母子3ペアを被験者とし,母子同伴場面での砂の対象操作の実験・観察を,こどもの3歳〜3歳9ヶ月齢において行った.砂5kgと複数の道具を自由に操作できる自由遊び場面において,実験者同室/非同室の2条件を設定し,各母子・各条件1セッション(30分)ずつ行った.こどもはいずれの年月齢段階でも,実験者の同室/非同室に関わらずかなりの時間を砂や道具の操作に費やした.一方,母親の操作は殆ど見られず,特に実験者非同室条件で著しいものであった.こどもの砂の操作は,身体と直接関係づける操作が相変わらず多いとは言え,年月齢段階が進むに連れ,道具と関係づけた操作を行う頻度は上昇していった.自身−砂−他者という三項関係的操作は,アユムの3歳9ヶ月齢段階で,実験者に対して砂をかけるという行為においてみられた.砂の象徴的操作としては,同じくアユムの3歳9ヶ月齢段階で,コップに入れた砂を口の手前でこぼして飲むまね(正確には部分的に口に入れてしまってはいたが)をした.この操作は厳密に言えば象徴的操作とは言えないかも知れないが,これまでも類似の操作はみられ,大概砂を口に入れてしまっていたが,今回の操作では,明らかに砂を口に入れないようにするという意図性がみられた点は注目に値すると考える.

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1-7 チンパンジー幼児におけるコミュニケーション行動の発達

水野友有(滋賀県立大・人間文化),岡本早苗(名古屋大・環境)

チンパンジー幼児3個体の「laugh」を抽出した.子どもの「laugh」が,,匹両賁未農元したか,何に対して生起したか,その「laugh」が他個体との交渉中に生起した場合は,誰との交渉だったか,B仂櫃痢laugh」が生起した後の他個体,および発声個体の母親の行動について記録した.また,ぢ掌賃里痢laugh」に発声後の対象の行動を記録した.対象らの「laugh」の発声は生後6ヶ月ごろ,もっぱら母親との交渉の中で観察されてきた.今回の2〜3歳までの結果から,屋外場面では,子ども同士の交渉場面でよく生起していた.子ども同士の「追いかけっこ」では,追われている個体が追う個体につかまる直前に大きく発声することが多かった.また,「レスリング」では,噛まれたり,つかまれたりしている側の個体が発声することが多く,その後も強い刺激が続くと,フィンパーや,スクリームに移行することもあった.したがって,激しさを伴う子ども同士の交渉場面における「laugh」の発声は,ある刺激がそれを受ける側の「刺激受容キャパシティーを超える」というサインとしての機能を果たしていると考えられる.

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会