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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2003年度 > X 共同利用研究 4. 共同利用研究会

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.34 2003年度の活動

X 共同利用研究

4 共同利用研究会

第4回ニホンザル研究セミナー
  • 日時:2003年6月7日(土)〜6月8日(日)
  • 場所:霊長類研究所大会議室
  • 参加者:約60名
  • <プログラム>
  • 6月7日(土)13:00〜17:40
  • セッション1:生息地管理
  • 座長:座馬耕一郎(京都大・霊長類研究所)
  • 半谷吾郎(京都大・霊長研)「森林伐採がニホンザルの食物利用可能性と集団密度に与える影響」
  • コメンテータ:David A. Hill (Univ. Sussex, School of Biological Sciences)
  • 森野真理(横浜国大・環境情報)「ヤクシマザルの生息地管理システム」
  • コメンテータ:David S. Sprague(農業環境技術研究所)
  • セッション2:被害管理・保全
  • 座長:田中俊明(京都大・霊長類研究所)
  • 樋口洋((株)ピッキオワイルドライフリサーチセンター)「軽井沢町におけるニホンザル被害対策の事例」
  • コメンテータ:大井徹(森林総合研究所)
  • 話題提供
  • 千々岩哲(景生保全研究所,同志社大院・工学研究科・数理環境)「野猿群の追払い方法とその効果の検討」
  • 室山泰之(京都大・霊長類研究所)「事故防止研究と被害管理」
  • 討論
  • 6月8日(日)9:30〜16:20
  • セッション3:採食
  • 座長:下岡ゆき子(京都大・霊長類研究所)
  • 辻大和(東京大・農学生命科学研究科)「ニホンザルの食物利用と生息地利用−結実の年次変動に注目して−」
  • コメンテータ:中川尚史 (神戸看護大学)
  • 深谷もえ(京都大・霊長研)「幸島のニホンザルにおける複数品目の資源量が採食場所の選択に与える影響」
  • コメンテータ:揚妻直樹(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)
  • 討論
  • セッション4:繁殖,コミュニケーション
  • 座長:藤田志歩(岐阜大・農・獣医学)
  • 井上英治(京都大・理)「ニホンザルの父性解析:どのようなオスが子供を多く残しているのか?」
  • コメンテータ:高畑由起夫(関西学院大)
  • 鈴木啓之(京都大・霊長研)「ニホンザルのグリマス表出がもつ意図と効果について」
  • コメンテータ:待田昌二(神戸松蔭女子学院大学)
  • 総合討論
  • 司会:鈴木滋(京都大・理)
  • 今後の研究会の打ち合わせ

(世話人:杉浦秀樹・室山泰之)


若手ニホンザル研究者を中心に研究発表を行い,一つ一つの研究発表に対して,中堅の研究者がコメントをした.それぞれの発表について,じっくりと討論を行うことができた.ニホンザル研究は今日でも尚,重要であり,その研究者も非常に多い.ニホンザルを対象とした多様な研究を紹介する場として,また研究者間の交流の場として,有意義な研究会であった.

特に被害管理・保全のセッションでは,関連のある話題が揃ったこともあり,非常に活発な議論がなされた.

(文責:杉浦秀樹)

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ボノボ研究の展望と課題〜野外研究の再開にあたって
  • 日時:2003年7月25日(木)
  • 場所:霊長類研究所1階大会議室
  • 参加者:約40名
  • <プログラム>
  • 開会挨拶 (森明雄)
  • 9:00-10:30 ボノボ調査地からの現状報告
  • 座長 森明雄(京都大・霊長研)
  • Jo Thompson (Lukuru Wildlife Research) -- Lukuru
  • Jef Dupain (Zoological Society of Antwerp)-- Lomako
  • Omari Ilambu (Wildlife Conservation Society) -- Salonga Inogwabini Bila-Isia (Wildlife Conservation Society) -- Salonga
  • Mbangi Mulavwa (Research Center for Ecology and Forestry) -- Wamba
  • Mwanza Ndunda (Research Center for Ecology and Forestry)- Lac Tunba
  • 10:45-12:30 行動の種内比較と種間比較
  • 座長 Gottfried Hohmann
  • Gottfried Hohmann (Max-Planck-Institute for Evolutionary Anthropology)「Local traditions in bonobos ? A preliminary assessment of behavioural variation」
  • 橋本千絵(京都大学)「Comparison of sexual behaviors of chimpanzees and bonobos」
  • Hilde Vervaecke (University of Antwerp)「The crossing of species borders: bonobo-chimpansee hybridisation in captivity」
  • Jeroen STEVENS((University of Antwerp)「The bonobo's adaptive potential: social relations in captive conditions」
  • 13:30-15:00 生態学的比較研究の方法論
  • 座長 古市剛史(明治学院大学・国際学部)
  • 古市剛史(明治学院大学・国際学部)「Methods for ecological studies: towards the understanding adaptation of great apes」
  • 山極寿一(京都大学・理)「Comparative studies on chimpanzees and gorillas」
  • 15:15-16:30 ボノボの保護活動の最前線
  • 座長 Jo Thompson (Lukuru Wildlife Research)
  • Jo Thompson (Lukuru Wildlife Research)「Current situation of wild bonobos and action plans for conservation」
  • 伊谷原一(林原生物科学研究所)「Conservation effort in ABC orphanage.」
  • Gay Reinartz (Zoological Society of Milwaukee)「Bonobo Conservation in the Salonga National Park: ZSM Overview and Site Report」
  • Jonas Eriksson (Max-Planck-Institute for Evolutionary Anthropology)「Conservation from a viewpoint of DNA studies」
  • ディスカッサント
  • 五百部裕(椙山女学園大学),黒田末寿(滋賀県立大学),鈴木滋,竹ノ下祐二,田代靖子,山越言,伊藤詞子(京都大学),西原智昭(野生生物保全論研究会)

(世話人:上原重男,森明雄)


ボノボの唯一の生息地であるコンゴ民主共和国(旧ザイール共和国)は,1996年以来内戦状態に陥っていたが,2001年ようやく内戦が終結し,それまで調査を中断していた各調査地へそれぞれ研究者が戻り,ボノボ研究を再開し始めている.ボノボ研究再開にあたって,各調査地のボノボの研究者が集まり,研究方法やボノボの保護について話し合うために,7月22日から24日の3日間にわたるワークショップを行った.本研究会では,このワークショップの成果を報告するとともに,類人猿における比較研究というテーマで発表を行った.

まず,各調査地の代表者が,それぞれの調査地の現況について発表を行った.次に,「行動の種内比較と種間比較」というセッションでは,Hohmannがボノボの行動の種内での多様性と文化について予備的な報告,橋本がボノボとチンパンジーの性行動についての種間比較,Vervaeckeが飼育下で生まれているチンパンジーとボノボの雑種個体の行動についての報告,Stevenが飼育下のボノボの行動の比較研究について発表した.次の「生態学的比較研究の方法論」というセッションでは,ワークショップで生態学的手法について話し合われた成果について古市が報告を行い,山極がチンパンジーとゴリラの生態に関する比較研究について発表した.最後に,「ボノボの保護活動の最前線」というセッションでは,これからのボノボの保護についてワークショップで話し合ったことについてThompsonが報告を行い,伊谷がキンシャサにあるボノボの孤児園での活動について,ReinartzがSalonga国立公園でのボノボの保護の現状,Erikssonが野生ボノボの非侵襲的DNA試料を用いて行ったY染色体の地域変異に関する研究の発表を行った.

しばらく中断をよぎなくされていたボノボの野外研究の再開に向けて,熱意あふれる議論が行われた.また,内戦によって絶滅の危機に立たされているボノボの保護についても活発な議論が行われた.

(文責:橋本千絵)

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霊長類モデルでのバイオメディカル研究の新展開
  • 時期:2003年12月21日(日)
  • 場所:犬山国際観光センター・フロイデ(2F,多目的研修室)
  • 参加者:56名
  • <プログラム>
  • アレルギー・免疫疾患モデル
  • 座長 清水慶子(京大霊長研)
  • アレルギーモデル:中村伸(京大霊長研)
  • 子宮内膜症モデル:菅又昌雄(栃木臨床病理研究所)
  • 生活習慣病モデル
  • 座長 清水慶子(京大霊長研)
  • 糖尿病モデル:小野文子(予防衛生協会)
  • 異常LDLレセプターモデル:竹中晃子(名古屋文理大)
  • 高脂血症・動脈硬化モデル:林隆志 / 中村伸(イナリサーチ・INARP/京大霊長研)
  • 加齢性機能障害モデル
  • 座長 藤本浩二(予防衛生協会)
  • 骨粗鬆症モデル-1:OVXを中心とした骨代謝試験:関あずさ(ハムリー)
  • 骨粗鬆症モデル-2:OVXおよびグルココルチコイド誘発の特徴:板垣伊織(イナリサーチ)
  • 感染症モデル
  • 座長 藤本浩二(予防衛生協会)
  • AIDSモデル:網康至(感染研)
  • 肝炎ウイルス感染症モデル:田上哲也(三和化学研究所)
  • 脳・神経系疾病モデル
  • 座長 三上章允(京大霊長研)
  • パーキンソン病モデル-1:MPTPモデルを使用した先端医学研究:村松慎一(自治医大)
  • パーキンソン病モデル-2:病態生理学的検討:南部篤(生理研)
  • 色盲モデル-1:フィールド調査と遺伝分析:竹中修(京大霊長研)
  • 色盲モデル-2:生理学的評価と行動学的評価:三上章允(京大霊長研)
  • 総合討論

世話人:(中村伸・竹中修・三上章允・清水慶子(京大霊長研)・藤本浩二(予防衛生協会))


今回の研究会は,霊長類を活用したバイオメディカル研究の促進を図る目的で企画された.当日はサル・バイオメディカル研究の主要課題について,基礎および応用の双方のトップ研究者から最近の成果を紹介していただいた.年末の多忙な時期にも拘わらず,参加者数は56名で会場がほぼ満席になるほど盛況であった.発表内容は上記プログラムの様に,サルモデルでのアレルギー・免疫疾患(アレルギー,子宮内膜症),老化・生活習慣病(骨粗鬆症,糖尿病),感染症(AIDS,肝炎),および脳・神経系疾病(パーキンソン病,色盲)に関する興味深い話題であった.同時に,紹介いただいた研究成果を軸に,サルのモデル探し,pre-モデル,モデル作成およびモデルの応用・利用などについて積極的な討論や意見交換がなされた.

バイオメディカル研究を前面に出した研究会は今回が初めての試みであったが,参加者数は当初の予想を遙かに超え,関連分野の研究者・技術者が一堂に集う研究会の必要性を再認識した.また,今回の研究会の当初目的である,サルモデルでのバイオメディカル研究に関する情報・知見の交換のための"アゴラ"としての役割は充分に果たせた.加えて,大学および民間関係者間での研究協力や共同研究など産学連携の機会としても役立った.なお,参加者からの感想メールにもある様に,今後こうした研究会を継続的に開催しながらサル・バイオメディカル研究の発展が望まれている.

(文責:中村伸)

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霊長類のストレス反応の理解と動物福祉に向けての展開
  • 日時:2003年10月17日(金)
  • 場所:京都大学霊長類研究所大会議室
  • 参加者:約40名
  • <プログラム>
  • セッション1
  • 司会:友永雅己(霊長研)
  • 川上清文(聖心女子大・文学):「ニホンザルのストレス緩和仮説」
  • 中道正之(阪大・人間科学):「社会集団で暮らすゴリラとニホンザルの行動とストレス」
  • セッション2
  • 司会:上野吉一(霊長研)
  • 山根到(東京都神経研)・友永雅己・上野吉一・鈴木樹理(霊長研):「個別飼育の環境エンリッチメントを考える?遊具とグルーミングボードの効果?」
  • 芳田哲也(京都工芸繊維大):「脱水と運動能・体温調節能の相互関係」
  • セッション3
  • 司会:鈴木樹理(霊長研)
  • 錫村明生(名大・環境医学研)・伊藤由里(藤田保健衛生大)・鈴木樹理(霊長研):「インターフェロン治療による鬱の発症機序に関する研究」
  • 木下美香・束村博子・前多敬一郎(名大院・生命農学研究科):「脳内エネルギーセンサーについて」
  • 大蔵聡・岡村裕昭(農業生物資源研)・松山秀一・束村博子・前多敬一郎(名大院・生命農学研究科)鈴木樹理(霊長研):「栄養によるGnRH pulse generator活動の制御」
  • 大平英樹・市川奈穂(名大院・環境学研究科)・磯和勅子(三重県立看護大)・寺尾恵治(感染研・筑波霊長類センター)・鈴木樹理・友永雅己(霊長研):「ストレスの免疫機構への影響?ヒトと他の霊長類との比較研究?」
  • 総合討論
  • 指定討論者:西原真杉(東大院農学生命科学研究科)

(世話人:友永雅己・上野吉一・鈴木樹理)


本研究会は,平成12?14年度に実施された計画課題「霊長類におけるストレス反応のメカニズムとその応用」のまとめとして開催された.3年間の目標として,霊長類におけるストレス反応について,そのメカニズムを明らかにする基礎研究のみならず,動物福祉を標榜する応用研究も行われ,それらの研究の成果が発表された.

セッション1では主に行動を指標とした研究が発表された.川上は今までの研究を総括し,ヒトと同様にニホンザルの新生児ではストレス緩和に匂いと音が有効であること,しかしおとなでは同じ匂い(ラベンダー臭)でも効果が明らかではないことを示した.その際に行動指標と生理指標との反応に差が見られることを示し,これは情報の入力系による反応差ではないかと西原から指摘があった.中道は飼育下のゴリラ集団と餌付けニホンザル集団で見られた心理的ストレス負荷時の行動変容を報告し,これらの霊長類を対象とした実験的研究は困難ではあるが,事例研究によって詳細な行動記述を蓄積すればストレス反応の行動特性が明らかになることを示した.

セッション2では動物福祉に向けた実践研究とヒトの脱水と身体機能の研究が発表された.山根はマカクのケージ内遊具(ケージの天井からつり下げた木片)とグルーミングボードの効果を主に行動を指標として調べた.遊具導入により,自己指向性行動が選択的に抑制される可能性と生理面でのデメリットは比較的小さいことが示された.グルーミングボード+餌の設置は,自己毛づくろいを減少させることが明らかになった.芳田は,ヒトの運動時における脱水と運動能・体温調整能には深い相互関係があることを示した.この研究はサルへの演繹が可能であり,現在行われている給水制限実験の改善に有用であろうと考えられた.

セッション3では神経・内分泌・免疫系におけるストレス反応の基礎研究が発表された.錫村は,ストレスに起因する鬱状態などの精神障害,気分の変調などの発生機序を,アカゲサルにインターフェロンαを投与し探索した結果,これによって惹起される鬱状態には,ある種のサイトカインを介するドパミン系,ノルアドレナリン系の神経抑制が関与していることを示した.木下は,低栄養ストレスによる性腺機能の抑制に脳内のグルコースセンサーの存在が不可欠であり,それはラットの場合グルコキナーゼ含有第四脳室上衣細胞がその役目を担っていること,更にこの細胞はケトン体のセンサーとしても働き,総合的なエネルギーセンサーであることを示した.大蔵は,低栄養に関する情報を生殖機能制御中枢に伝達するシグナルについて、代謝エネルギーの利用形態が異なるニホンザル(単胃動物)およびシバヤギ(反芻動物)をモデルと実験結果を紹介し,どちらの動物でも血糖利用性の低下がGnRH pulse generatorに低栄養状態を伝達するシグナルとして作用することを示した.磯和は,ヒトの急性ストレスの実験結果を紹介し,被験者による負荷ストレスのコントロールが可能かどうかによって神経・内分泌・免疫系の反応が異なることを示した.更に,同様の実験によってヒトにおける反応がヒト以外の霊長類でも普遍性を持つものかどうか検証するマカクでの実験計画を提案した.

総合討論では先ず寺尾が,ヒトを含めた霊長類におけるストレス研究を総括し,その後活発な討論が展開された.

研究会には所内・外から約40名の参加者があり,様々な分野の研究者が集まった成果として各セッションで興味深い発表と,その分野にとどまらずいろいろな分野からの活発な討論が行われた.共同利用の計画研究としての霊長類におけるストレス研究は平成8年度から始まり,今回が通算2回目となる.この後半の3年間に,霊長類を対象としたストレス研究が,応用研究を含めてかなり進展したことが示された.尚,各発表の詳細についてはこの研究会の要旨集を参考にされたい.今後,基礎的研究を一層進めていくことは勿論だが,動物福祉を目指した応用研究に重点を移して研究を発展させることが最重要であろう.

(文責:鈴木樹理)

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チンパンジー認知研究の25年と今後の展望
  • 日時:2003年11月7日(金)〜8日(土)
  • 場所:京都大学霊長類研究所大会議室
  • 参加者:約50名
  • <プログラム>
  • 11月7日(金)
  • 司会:友永雅己
  • 友永雅己 (京大・霊長研):「チンパンジー認知発達研究の3年間」
  • 桑畑裕子 (京大・文):「霊長類乳児における顔図形偏好」
  • 村井千寿子 (京大・文):「チンパンジー乳児を対象としたカテゴリ化研究:現在とこれから」
  • 水野友有 (滋賀県大・人間文化):「チンパンジー乳児の夜間の行動:新生児微笑と吸乳の発達的変化」
  • 竹下秀子(滋賀県大・人間文化):「チンパンジー乳児の姿勢運動発達評価」
  • 林美里(京大・霊長研):「チンパンジーにおける物の操作とその記述の試み」
  • 司会:泉明宏
  • 伊村知子 (関学大・文):「チンパンジーとヒトの乳児における陰影による奥行知覚の発達」
  • 白井述 (中央大・文):「乳児期における拡大/縮小知覚の非対称性」
  • 小杉大輔 (京大・文):「チンパンジー乳児における対象の動きの認識」
  • 松野響 (京大・霊長研):「チンパンジーにおける運動する物体の知覚」
  • 泉明宏 (京大・霊長研):「チンパンジーの音声・表情認知における視聴覚情報の統合」
  • 三浦佳世 (九州大・文):「視覚と感性の情報処理−絵画を用いた実験を中心に−」
  • 司会:田中正之
  • 田中正之 (京大・霊長研):「母子同居場面におけるチンパンジー乳児の課題学習」
  • 上野有理 (京大・霊長研):「チンパンジーにおける食行動の発達−母親との関わりのなかで−」
  • 中山奈美 (岐阜大・農):「マンゴーはどこへ行った?:チンパンジーの群れにおける食物分配」
  • 松沢哲郎 (京大・霊長研):「京都大学霊長類研究所におけるチンパンジー研究の展開と展望」
  • 11月8日(土)
  • 司会:浜田穣
  • 茶谷薫 (京大・霊長研):「チンパンジー幼児の運動発達」
  • 西村剛 (京大・霊長研):「チンパンジーの音声器官の成長」
  • 菊池泰弘 (佐賀大・医):「骨内部構造から見たチンパンジーの特徴:ヒトとマカクとの比較」
  • 浜田穣 (京大・霊長研):「チンパンジーの体組成に見られる発達と加齢,および形態研究の展望」
  • 大石高生 (京大・霊長研):「死後脳の磁気共鳴画像」
  • 司会:田中正之
  • 牛谷智一 (京大・文):「デンショバトにおける相対運動知覚」
  • 長坂泰勇 (立教大・文):「ヒト,リスザル,ハトにおける透明視と非感性的補完の比較」
  • 高橋真 (京大・文):「空間位置弁別課題を用いた推移的反応におけるラットとツパイの比較研究」
  • 牧野浩 (千葉大・文):「ハトのカテゴリー学習における家族的類似性の効果」
  • 草山太一 (慶応大・文):「ヒトの顔を刺激としたカラスの視覚認知課題」
  • 平田聡 (林原・GARI):「チンパンジーの協力行動」
  • 司会:友永雅己
  • 斎藤慈子 (東大・総合):「色覚異常チンパンジーの行動分析」
  • 村山−井上美穂 (岐阜大・農):「チンパンジーの行動に関与する遺伝子の探索」
  • 藤山秋佐夫 (国立情報学研):「チンパンジーの22番染色体の構造解読」
  • 磯和勅子(三重県看護大)・大平英樹 (名古屋大・環境):「社会認知と情動の神経基盤」
  • 山本淳一 (慶応大・文):「発達障害児の認知・言語」
  • 総合討論
  • 指定討論者:波多野誼余夫・小西行郎・小椋たみ子・三上章允・武田庄平・明和政子

(世話人:松沢哲郎・浜田穣・友永雅己・田中正之・泉明宏)


本共同利用研究会は,昨年度に引き続き共同利用研究の計画研究「チンパンジー乳幼児期の認知行動発達の比較研究(平成13〜15年度)」の中間成果報告を中心として企画された.また,本年は霊長類研究所においてチンパンジーの認知研究が本格的にスタートしてから25年にあたるため,今後のチンパンジーの比較認知研究を展望する上で,さまざまな大学院生を含む研究者の方にもお話をいただいた.1日目は主として計画研究のうち認知研究の中間成果報告とそれに関連する所内外の研究の報告があった.2日目の午前は計画研究のうち形態・生理研究の報告とそれに関連する発表があり,それに続いて,若手研究者による各種動物を対象とした比較認知研究の発表が続き,国内での比較認知研究の一端をうかがうことができた.最後のセッションでは,ゲノム,情動,障害など幅広い領域の発表があった.また,1日目の最後には,松沢による霊長類研究所でのチンパンジー認知研究の簡単な歴史と今後の展望に関する発表があった.

本研究会は,共同利用研究の中間成果報告を目的に開催されたが,この目的に加えて,チンパンジーの比較研究のさらなる展開をはかるべく,第一線で活躍する研究者を招き発表と討論を行うことをめざした.さらに,大学院生,ポスドクなどの若手研究者も数多くお招きして,研究所員と彼らとの交流も目指していた.これらの目的が十分に果たせたか否かについては今後の研究の展開を見ていく必要があるが,幸いなことに,発表者のうちの何名かとは新たに共同利用研究をスタートすることができた.その点で,今回の研究会は,平成16年度から始まる新たな計画研究「チンパンジーの認知や行動とその発達の比較研究(平成16〜18年度)」を進めていく上での重要な第一歩となったといえるだろう.

(文責:友永雅己)

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第33回ホミニゼーション研究会「かかわる」
  • 日時:2004年3月12日(木)〜13日(金)
  • 場所:京都大学霊長類研究所1階大会議室
  • 参加者:約70名
  • <プログラム>
  • 自己と社会とのかかわり - 社会的・文化的制約
  • 座長:室山泰之(京都大・霊長研)
  • 五百部裕(椙山女学園大・人間関係学):「他種とのかかわり:共存,混群,雑種形成」
  • 山極寿一(京都大・理):「霊長類の環境認知と社会性:種内変異と種間変異の比較から」
  • 菅原和孝(京都大・人間・環境学):「間身体性と身体配列―グイ・ブッシュマンの民族誌から―」
  • コメンテーター:小川秀司(中京大・教養)・田中伊知郎(四日市大・環境情報学)
  • 3月13日(金)
  • 自己と他者とのかかわり
  • 座長:泉明宏(京都大・霊長研)
  • 中村克樹(国立精神・神経センター・モデル動物):「コミュニケーション機能と動作」
  • 倉岡康治(京都大・霊長研)・中村克樹(国立精神・神経センター・モデル動物):「社会的情報の認知に関わる神経機構」
  • 神代真里(東京医科歯科大・医歯学総合)・石橋英俊(東京医科歯科大学・医歯学総合):「サルの視線・指さしと模倣の産出」
  • 坊農真弓(ATR・メディア研究):「会話における参与構造の分析」
  • コメンテーター:金沢創(淑徳大・社会学)
  • 自己と環境とのかかわり - 身体の境界・自己像
  • 座長:大石高生(京都大・霊長研)
  • 山本慎也(産業技術総合研究所・脳神経情報):「道具の先端の知覚」
  • 積山薫(はこだて未来大・情報科学):「左右反転視野への適応からみた視覚―運動系の可塑性」
  • 杉田陽一(産業技術総合研究所・脳神経情報):「色の獲得」
  • 総合討論

(世話人:大石高生・室山泰之・泉明宏・杉浦秀樹)


本年度のホミニゼーション研究会は,狭義のホミニゼーションにはこだわらず,ヒトを含む霊長類がいかに環境を認知し,そこに自己を位置付けるか,また同種他個体といかにかかわっていくか,さらに自分の属する「社会」にいかにコミットし,逆に制約を受けるかを考察し,可能な範囲で種間比較を行うことでソフト面のホミニゼーションがどのように達成されたかの議論を試みた.

第一セッションの《自己と社会とのかかわり−社会的・文化的制約》では,3人のスピーカーによる講演があった.五百部は,異種の個体によって形成される混群を題材として,社会を研究する際のアプローチとして時系列分析や文脈を考慮した社会交渉の分析の重要性を指摘した.山極は,ニホンザル・ヒヒ・ゴリラというまったく違う社会構造をもつ3種を対象として,環境変化とそれに対する社会構造の変異との関係について種内比較を行い,それぞれの種が環境認知を社会関係に組み入れる方法の違いについて論じた.一方,菅原は,グイ・ブッシュマンの社会を間身体性と身体配列をキーワードに読み解き,自己と他者とのかかわりにおける表情や動作の働きを論じた.

第二セッションの《自己と他者とのかかわり》では,4人のスピーカーによる講演があった.まず中村が,脳機能画像のデータなどから,言語を含めたコミュニケーション機能における動作の重要性について概観した.続いて,倉岡は,顔の表情を中心とした非言語コミュニケーションの脳内機構について発表をおこなった.神代は,ニホンザルが実験者と視線を合わせることや指差しを訓練することにより,実験者の動作の模倣をおこなうようになることを報告した.これらの結果から,視線と指さしの使用が,他者理解を深めることが示唆された.坊農は,ヒトの会話における参与構造の分析について報告した.話し手,聞き手,傍参与者によって構築される参与構造が,参与者の発話や視線の協調関係により動的に遷移することが示された

第三セッションの《自己と環境とのかかわり - 身体の境界・自己像》では,3人のスピーカーによる講演があった.山本は,時間差のある体性感覚刺激の順序推定を指標に,道具使用時にはあたかも道具の先端まで知覚が延長されるかのような主観的体験の客観的な証拠を示した.皮膚感覚,深部感覚,視覚の相互作用による自己像の変容の典型例である.積山は,逆転眼鏡を実際に装着したまま発表を行った.逆転眼鏡は視覚と体性感覚の連合を覆すが,訓練によって新たな連合が形成され,日常生活が営めるようになる.ただし,手足の操作については左右別々に学習しなければならないことなどが示された.杉田は,生後間もないニホンザルを次々と入れ替わる単波長照明下で飼育し,色見本あわせ課題を行わせた.ヒトや正常なサルが持っている「色の恒常性」がなくなっていることが明らかになったことから,正常な色覚の獲得過程を調べる重要なモデルを開発したといえる.

これら三つのセッションの間も,またセッション終了後の総合討論の時間にも,コメンテーター,スピーカー,フロア入り乱れて活発な意見交換が行われた.隠れたテーマであった異分野間のかかわりも高いレベルで実現された研究会であった.

(文責:大石高生)

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会