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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2004年度 − III 研究活動 器官調節分野

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.35 2004年度の活動

III 研究活動

器官調節分野

林基治,大石高生,清水慶子

研究概要
A) 霊長類脳内生理活性物質-分布特性と発生・発達・加齢

林基治,森琢磨(21世紀COE非常勤研究員),託見健(大学院生),伊藤麻里子(日本学術振興会特別研究員),清水慶子

1)マカクサル海馬体におけるBDNF免疫構造の発達と加齢について,免疫組織化学法を用いて調べた.海馬体細胞のBDNF免疫活性は胎生140日から観察され,細胞内のBDNF濃度は,シナプス形成の最も盛んな生後6ヶ月まで増加し,その後成熟期には減少した.BDNFの免疫活性は発達とともに細胞体から樹状突起への移行が観察され,BDNFが樹状突起においてシナプス形成に関与することが予想された.ニホンザル海馬におけるBDNF免疫活性を成熟期(10歳)と老齢期(26歳以上)で比較したところ,老齢期における免疫活性は顕著に減少し,老化に伴う学習記憶能力の低下との関連性が予想された.

2)発達期,老齢期マカクサル中枢神経系における神経栄養因子類の発現変化をELISA法,RT-PCR法を用いてを定量解析した.また薬理学的に網膜活動を遮断したアカゲザル大脳皮質における神経栄養因子の発現を調べ,BDNFの遺伝子発現が減少することを見い出した.

3)BDNF受容体の一種でチロシンキナーゼ欠損型T1の機能について,海馬由来アストロサイトを用いて解析した.その結果,T1はBDNF依存的にアストロサイトの形態変化を引き起こすことを発見し,BDNFがT1を介して神経細胞とグリア細胞間の情報伝達に関与することが強く示された.

4)成熟メスアカゲザルのGnRH分泌細胞を免疫組織化学法で染色後,蛍光色素の注入によりGnRH分泌細胞を可視化した.同時にグルタミン酸作動性シナプスのマーカーを免疫染色し,GnRH分泌細胞上へのグルタミン酸作動性入力について検討した.

B) プロテインキナーゼC基質の遺伝子の脳内発現に関する研究

大石高生,林基治

1)ニューログラニンは,脳の神経伝達に重要な役割を果たす酵素プロテインキナーゼCの基質で,シナプス後部に存在し,細胞骨格を調整する.ニューログラニンのmRNA発現の大脳皮質での発達を調べた.ニューログラニンmRNA量は胎生後期から出生直後は少なく,生後70日にピークを迎え,その後生後2,3年まで徐々に減少した.生後70日のニューログラニンmRNAの発現はII/III層で最も強かった.この結果は,大脳皮質のシナプス後部の構造的可塑性は生後70日に,特にII/III層で高いことを示唆する.

2)GAP-43は,脳の神経伝達に重要な役割を果たす酵素プロテインキナーゼCの基質で,シナプス前部に存在し,細胞骨格を調整する.GAP-43 mRNA発現の視床での発達を調べた.GAP-43 mRNA量は胎生後期に多く,出生時に一時減少し,生後70日のピークに向かって再度増加し,生後2,3年まで徐々に減少した.大脳皮質に比較すると視床でのGAP-43 mRNA減少が遅いことから,視床に起始する神経細胞の構造的可塑性がより遅くまで保たれることが示唆される.生後70-90日には視床の全ての亜核で成体よりも発現が多かったが,特に腹側諸亜核で多かった.それに対し,成体では外側膝状体や視床枕での発現が多かった.

C) リハビリテーションの脳内機構に関する基礎研究

大石高生,林基治

中枢神経系に損傷を負った場合には,損傷の部位と程度に応じて機能が損なわれる.しかし,適切なリハビリテーションを施せば,機能はある程度回復する.この現象は広く知られているが,脳内機構は必ずしも明らかではない.我々は大脳皮質運動野の限局的損傷による指の麻痺の回復過程を定量的に解析するとともに,脳内回路の構造的変化の探索を始めている.

D) MRIを用いた脳画像データベース作成

大石高生

ニホンザルは神経科学における重要な研究対象であるが,大脳皮質を記載した脳アトラスが出版されていない.我々は非侵襲的手法であるMRIを用いて,装置やソフトウエアの開発を行いつつ,ニホンザルの大脳を含んだ電子的脳アトラスを作成中である.今年度は,2004年に生まれた二頭を一ヶ月おきに,2003年に生まれた二頭を一ヶ月おきに霊長類研究所で,2001年に生まれた二頭を三ヶ月おきに産業技術総合研究所で撮影し,データを蓄積した.ソフトウエアの改良,装置の改良,撮影データの定量解析を進めた.

E) 霊長類の生殖リズムの発現に関する研究

清水慶子,伊藤麻里子(日本学術振興会特別研究員),林基治

1)霊長類の成長に伴う性腺系の変化および季節繁殖リズムの発現機構

視床下部ー下垂体ー性腺系に着目し,各種霊長類の胎生期から性成熟までと閉経期以降の血中生殖関連ホルモン動態を調べた.本年度はレプチンと季節繁殖や性成熟との関連について精査し,血中レプチン動態には種差,性差,季節差があることを明らかにした.

2)尿・糞を用いたホルモン動態測定

マカクおよび類人猿の尿・糞中プロゲステロン,エストロゲン,テストステロン,コルチゾールおよび尿中ゴナドトロピンの測定系の開発を行い,性成熟期,妊娠期,授乳期のチンパンジーのホルモン動態を調べた.その結果,尿・糞中ホルモン動態は血中のそれと良く相関し,野生霊長類や大型類人猿のホルモン測定法として有用であることが分かった.

3)脳,性腺におけるステロイドホルモンレセプターの局在

マカクザル脳,性腺におけるステロイドホルモンレセプターの局在を免疫組織化学法により調べ,血中内分泌動態と合わせ,マカクザルの内分泌系の特性を検討した.

4)マカクザルにおけるグレリンの役割

グレリンの分泌動態とその分泌源について,免疫組織化学法および real-time PCR法を用いて調べた.また,視床下部GHRH産生neuronと比較検討した.グレリン産生細胞は視床下部には存在せず,末梢中グレリンの主な分泌源は胃体部であること,グレリンの一次構造はGHRHと同様に種差があることが明らかになった.

F) 内分泌撹乱物質と生殖生理

伊藤麻里子(日本学術振興会特別研究員),清水慶子,林基治,竹中修(遺伝子情報分野)

内分泌撹乱物質であるといわれている合成エストロゲン,植物性エストロゲン様物質がマカクザルの生殖リズムおよび胎児発育に及ぼす影響について内分泌学的,分子生理学的に調べた.

G) 神経栄養因子の活動依存的発現制御の解析

森琢磨(21世紀COE非常勤研究員)

マカクザルの大脳新皮質は多くの領野にわかれ,その発達過程は領野ごとに異なっている.神経栄養因子の発達に伴う量的変化に領野による違いが存在するかを明らかにするために,ELISA法およびRT-PCR法を用いて領野ごとにその発達性変化を明らかにした.その結果,連合野は運動・感覚野より発達過程が遅いことが明らかとなった.さらにその違いはmRNAの転写ではなく,タンパク質への翻訳過程にあることが示唆された.

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研究業績
論文
  1. Fujita, S., Sugiura, H., Mitsunaga, F., Shimizu, K. (2004) Hormone profiles and reproductive characteristics in wild female Japanese macaques (Macaca fuscata). American Journal of Primatology 64(4): 367-375.
  2. Higo, N., Oishi, T., Yamashita, A., Matsuda, K., Hayashi, M. (2004) Cell type- and region-specific expression of neurogranin mRNA in the cerebral cortex of the macaque monkey. Cerebral Cortex 14(10): 1134-1143.
  3. Higo, N., Oishi, T., Yamashita, A., Murata, Y., Matsuda, K., Hayashi, M. (2004) Northern blot and in situ hybridization analyses for the development of myristoylated alanine-rich C-kinase substrate mRNA in the monkey cerebral cortex. . Neuroscience 129(1): 167-177.
  4. Mori, T., Shimizu, K., Hayashi, M. (2004) Differential expression patterns of TrkB ligands in the macaque monkey brain. NeuroReport 15(16): 2507-2511.

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総説
  1. 清水慶子 (2005) Studies on reproductive endocrinology in non-human primates: Application of non-invasive methods. Journal of Reproduction and Development 51(1): 1-13.
  2. 清水慶子 (2005) ニホンザルの生息頭数調整における生殖生物学の応用. . 野生動物医学会誌 10(1): 13-17.
  3. 林基治 (2004) 霊長類の脳にみる神経発達と加齢の分子基盤. Japanese Jounal of Neuropsychopharmacology 24(4): 193-198.

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その他雑誌
  1. 清水慶子 (2004) 植物性エストロゲン(Phytoestorogen)と霊長類の内分泌機能. Japan Society of Endocrine Disrupters Research News Letter 7(1): 3.

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学会発表等
  1. Higo, N., Oishi, T., Yamashita, A., Murata, Y., Hayashi, M. (2004) Development of neurogranin mRNA in the monkey cerebral cortex. 第27回日本神経科学大会 第47回日本神経化学会大会合同大会 (Sep. 2004, 大阪, ) Neuroscience Research 50(Supplement): S142.
  2. Itoh, M., Mori, T., Takumi, K., Kojima, C., Watanabe, G., Taya, K., Hayashi, M., Takenaka, O., Shimizu, K. (2004) Effects of oral administration of Diethylstilbestrol in macaque testis. 37th Annual meeting Society for the Study of Reproduction (Aug. 2004, Vancouver, Canada) Biology of Reproduction Special Issue: 262.
  3. Iwasa, M., Karasawa, N., Takeuchi, T., Yamada, K., Katayama, K., Mori, T., Shimizu, K., Hayashi, M. (2004) Distibution of cholinergic neurons in the common marmoset brain. 第27回日本神経科学大会 第47回日本神経化学会大会合同大会 (Sep. 2004, 大阪, 日本) Neuroscience Research 50(Supplement 1): S70.
  4. Katakami, H., Shimizu, K., Kimura, N., Hashida, S., Terasawa, E. (2004) Cloning and characterization of Ghrelin and GHRH in the Rhesus monkey, Macaca mulatta. The Endocrine Society's 86th Annual Meeting (Jun. 2004, New Orleans, U.S.A.).
  5. Murata, Y., Higo, N., Oishi, T., Yamashita, A., Matsuda, K., Hayashi, M. (2004) GAP-43 mRNA is increased in the motor cortex of the recovered brain-injured monkey. 第27回日本神経科学大会第47回日本神経化学会大会合同大会 (Sep. 2004, 大阪, ) Neuroscience Research 50(Supplement 1): S141.
  6. Obara, M., Shimizu, K., Takumi, K., Nasu, K., Ohashi, K., Matsuda, E., Hashida, S., Kimura, N., Katakami, H. (2004) Cloning and characterization of Ghrelin in the Rhesus monkey. 第18回 小児成長障害研究会 (Oct. 2004, 東京, 日本).
  7. Ohira, K., Kumanogoh, H., Sahara, Y., Homma, K., Hirai, H., Nakamura, S., Hayashi, M. (2004) A truncated TrkB receptor, T1, regulates glial cell morphology via Rho GDI1. 第27回日本神経科学大会 第47回日本神経化学会大会合同大会 (Sep. 2004, 大阪, 日本) Neuroscience Research 50(Supplement 1): S51.
  8. Shimizu, K., Kojima, C., Itoh, M., Hayashi, M., Watanabe, G., Taya, K. (2004) Circulating leptin levels in seasonal and non-seasonal breeding macaques. Society for the Study of Reproduction 2004 Annual Meeting (Aug. 2004, Vancouver, Canada).
  9. Shimizu, K., Kojima, C., Otsuka-Itoh, M., Hayashi, M., Watanabe, G., Taya, K. (2004) Seasonal variations in circulating leptin and reproductive hormones in seasonal breeding macaques. XXth Congress of International Primatological Society (Aug. 2004, Torino, Italy).
  10. Takumi, K., Mori, T., Shimizu, K., Hayashi, M. (2004) Developmental changes in concentrations and distributions of neurotrophins in the cerebellum of macaque monkeys. 第27回日本神経科学大会 第47回日本神経化学会大会合同大会 (Sep. 2004, Osaka, Japan) Neuroscience Research 50(Supplement 1): S171.
  11. 石割敦也, 佐藤至, 向井敏二, 清水慶子 (2004) PSAの合成時期に関する基礎的研究. 日本鑑識科学技術学会 第10回学術集会 (2004年11月, 東京).
  12. 伊藤麻里子, 森琢磨, 託見健, 児嶋千尋, 渡辺元, 田谷一善, 林基治, 竹中修, 清水慶子 (2004) 内分泌撹乱物質がオスマカクサル内分泌機能に及ぼす影響ー血中ホルモン動態 . 日本霊長類学会 (2004年7月, 犬山市) 霊長類研究 20:.
  13. 大石高生, 松田圭司, 鈴木樹理 (2004) 磁気共鳴画像法を用いた幼若ニホンザルの脳発達の解析. 第20回日本霊長類学会大会 (2004年7月, 犬山) 霊長類研究 20: .
  14. 片上秀喜, 清水慶子, 奈須和幸, 橋田誠一, 木村伯子, Terasawa, E. (2004) アカゲザルの胃Ghrelinと視床下部GHRHの同定と機能解析:視床下部微少灌流液中の分泌動態. 日本内分泌学会学術総会 (2004年6月, 京都市).
  15. 清水慶子, 伊藤麻里子, 託見健, 森琢磨, 木村伯子, 片上秀喜 (2004) マカクザルにおけるグレリン分泌調節(2):分泌動態と局在. 日本内分泌学会学術総会 (2004年6月, 京都市).
  16. 清水慶子, 伊藤麻里子, 浅岡一雄, 森琢磨, 託見健, 林基治 (2004) 大豆イソフラボンはメスザルの生殖生理に効果を及ぼすか? 第20回日本霊長類学会大会 (2004年7月, 犬山市) 霊長類研究 20:.
  17. 室山泰之, 清水慶子, 杉浦秀樹 (2004) オスニホンザルの糞中テストステロンの季節変動. 第20回日本霊長類学会大会 (2004年7月, 犬山) 霊長類研究 20: 5.
  18. 森琢磨, 清水慶子, 林基治 (2004) マカクザル大脳皮質領野におけるニューロトロフィン-3の異なった発達パターン. 第20回日本霊長類学会大会 (2004年7月, 犬山市).

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講演
  1. Hayashi, M. (2004) Molecular mechanisms for the development and aging of the primate central nervous system. 16th International Congress of the IFAA (Aug. 2004, Kyoto, Japan) Anatomical Science International 79(supplement): 209.
  2. 大石高生 (2004) 供給の流れとガイドライン. 国立大学動物実験施設協議会サテライトミーティング「研究用ニホンザルの飼育下繁殖・供給事業について」 (2004年6月, 犬山).
  3. 清水慶子 (2004) ニホンザルの生息頭数調整における生殖生物学の応用. 第10回日本野生動物医学会大会シンポジウム (2004年9月, 東大).
  4. 林基治 (2004) 霊長類大脳皮質の発達と老化の分子基盤-神経栄養因子を中心に-. 国立精神・神経センター神経研究所セミナー (2004年9月, 東京).

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会