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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2004年度 > X 共同利用研究・研究成果−計画研究4「チンパンジーの認知や行動とその発達の比較研究」

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.35 2004年度の活動

X 共同利用研究

2 研究成果 計画研究4「チンパンジーの認知や行動とその発達の比較研究」

4-1 チンパンジーにおける声道形状の成長変化

西村剛(京都大・理・自然人類)

ヒトの声道は口腔と咽頭腔から成る二共鳴管構造であるが,他の哺乳類の声道は口腔のみから成る単共鳴管構造である.この声道の二共鳴管構造は,話しことばの形態学的基盤の一つである.ヒトでは,生後,口腔に対して咽頭腔が大きく伸長し,二共鳴管構造が発達する.よって,二共鳴管構造は,ヒト系統で咽頭腔の伸長に関与する喉頭下降現象の出現によって進化したと考えられてきた.チンパンジー幼児3個体(アユム,クレオ,パル)は,生後,定期的に磁気共鳴画像法(MRI)を用いて頭部矢状断層画像を撮像されてきた.2歳までの資料を用いた分析では,チンパンジーにもヒトと同様の咽頭腔の伸長と喉頭下降現象の一部を認めた.本研究では,同3個体における3から4歳までの資料を収集し,2歳以降の成長変化を分析した.その結果,チンパンジーでは,2歳以降,咽頭腔の成長はヒトと同様であるのに対して,口腔の伸長はヒトに比べてひじょうに大きいことが示された.また,その咽頭腔の伸長には,ヒトと同様の喉頭下降が寄与していた.つまり,両者の声道形状の差異は,咽頭腔ではなく口腔の成長パターンの差異によって生じることが示された.よって,喉頭下降現象はヒトとチンパンジーの共通祖先ではすでに現れ,声道の二共鳴管構造はHomo属の進化過程で顔面が平坦化し,口腔が短縮したことによって完成したことが示唆された.

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4-2 チンパンジ−幼児の砂遊びにおける象徴的操作の実験的分析(3)

武田庄平(東京農工大・比較心理)

霊長研・類人猿研究棟地下実験ブ−スで,アイ−アユム,クロエ−クレオ,パン−パルの母子3ペアを被験者とし,母子同伴場面での砂の対象操作の実験・観察を,こどもの4歳〜4歳9ヶ月齢において行った.砂5kgと複数の道具を自由に操作できる自由遊び場面において,実験者同室/非同室の2条件を設定し,各母子・各条件1セッション(30分)ずつ行った.こどもはいずれの年月齢段階でも,実験者の同室/非同室に関わらずかなりの時間を砂や道具の操作に費やした.4歳〜4歳9ヶ月齢でのこどもの砂の操作の特徴としては,身体と直接関係づける操作が依然多いとは言え,年月齢段階の進行に伴い,道具と関係づけた操作を行う頻度は上昇した.また,道具との関係づけも,道具で砂を操作するという単調なものではなく,道具で砂をすくい,別の道具に入れるといった,道具を介して別の道具と関係づけするより複雑な操作が見られるようになった.また身体直接でも,手で握り別のところに運ぶという行為も比較的多く出現した.これらのことは,砂を身体的感触の対象ではなく,操作する独立した対象として認知していることの現れとして捉えることが出来る.さらに,自身−砂−他者という三項関係的操作は,全てのこどもにおいて,実験者や母親,またブ−スの外にいる観察者などの他者に対して砂をかけるという行為として頻繁に出現した.

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4-3 チンパンジーにおける注意と行動の抑制能力とその発達

森口佑介(京都大・文)

近年の発達科学は,ヒトは就学前に注意と行動の抑制能力を著しく発達させることを示してきた.この能力は,自己の認識や「心の理論」の獲得との関連が指摘されており,注目を集めている.本研究では,この能力を進化的に検討する試みとして,成人および幼児のチンパンジーの注意や行動の抑制能力を,ヒトの2歳児と同様の課題を用いて検討した.コップを2つ用意して,そのうち一方に食べ物を隠し,食べ物が隠れている方のコップを選べたら,強化するという課題であった.訓練段階として,/べ物が隠されるのを見た後,5秒間の遅延があり,その後コップを選ぶ⊃べ物が隠されるのを見てない時に,実験者の指している方を選ぶ課題,を行い,各課題5連続正答すると,テスト試行が行われた.テスト試行では,食べ物をコップに隠すのを見せられた後,実験者は食べ物が入っていない方のコップを指した.テスト試行は10試行行われた.このような課題を刺激を変えて行ったところ,チンパンジーは食べ物がどちらに隠されているかを知っているにも関わらず,実験者の指す方のコップを選んでしまった.また,このエラーは成体のチンパンジーに特に多く見られた.この実験で見られたエラーは,ヒトの2歳児と類似しており,この結果は,チンパンジーの注意と行動の抑制能力がヒトの子供に類似している可能性を示している.今後さらなる証拠を集めてヒトとの違いを検討したい.

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4-5 チンパンジーの幼児における身振りの発達とコミュニケーション

明和政子(滋賀県立大・人間文化)

われわれの研究により,チンパンジーの新生児でみられる舌出しや口の開閉などの模倣(新生児模倣)は,ヒトと同様に,生後8週齢を過ぎる頃にみられなくなることがわかった(Myowa-Yamakoshi, Tomonaga, Tanaka, & Matsuzawa, 2004).ヒトでは,生後8−12か月頃より,再び表情の模倣を活発におこなう.チンパンジーの模倣能力は,その後どのように発達するのかを探るため,表情や身体の動きの模倣に関する実験を生後数年にわたり継続してきた.その結果,チンパンジーは生後9ヶ月頃より突然,模倣「らしき」反応を見せはじめた.ただし,チンパンジーの反応は,ヒトでみられる模倣とは異なり,モデルの口唇部に自身の口唇部をつねに接触させるという特徴をもっていた.またこの時期より,表情以外にも「床を手のひらで叩く」という単純な身体の動きも模倣するようになった.こうした全身体的な行為についても,チンパンジーはモデルとの身体接触をともなった反応を示した.チンパンジーの大人が示す全身体的な模倣能力は,ヒトのそれに比べて,かなり制約されていることがわかっている(Myowa-Yamakoshi & Matsuzawa, 1999, 2000).両種間でみられる模倣能力の差異は,新生児模倣の消失以降,異なるかたちで発達することで生み出される可能性が示された.

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4-6 環境教育における霊長類研究の成果利用に向けての基礎的調査

郡司晴元(茨城大・教育)

霊長類研究所にて,チンパンジー放飼場及びサンルームでのビデオ撮影と文献調査を行い,標記利用の可能性を考察した.以下その一例を述べる.

近年,(財)公園緑地管理財団によりProject WILDという野生生物を題材にした環境教育プログラムが邦訳され,普及されている.この中に「移動の障害(原題はMigration Barriers)」という活動があり,邦訳ではサルを題材にしている.野生動物の移動と高速道路という人間の活動による影響を考えさせる活動である.

活動ガイドだけでも実践は可能だが,移動の様子,移動が制限された事例などが野生ニホンザル研究の成果から加われば,より豊かな活動になるだろう.また,チンパンジーが歩く道と人間が建設しようとする高速道路を比較させたり,野生チンパンジーの移動を可能にしようとする緑の回廊プロジェクトを紹介したりすることも活動の効果を高めるだろう.これらの効果的な具体化には実践的な研究が必要である.

参考文献:プロジェクト・ワイルド−本編−活動ガイド第3版 (財)公園緑地管理財団,2004

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4-7 チンパンジーにおける予期による反応促進の発達

松澤正子(昭和女子大・人間社会)

ヒトの空間探索においては,すでに注意を向けたことのある位置への定位が抑制される傾向がある.これは情報収集を効率的に行うための機能と考えられ,「復帰抑制」と呼ばれている.本研究では,チンパンジーにおける復帰抑制とその発達的変化を調べるために,幼児2個体および成体4個体を対象に実験を行った.タッチパネル式モニタ画面の右または左に視覚的な先行刺激とターゲット刺激を継時的に呈示し,ターゲット刺激に対する接触反応の反応潜時を測定した.先行刺激と違う位置にターゲットが呈示される反対側条件に比べ,同じ位置にターゲットが提示される同側条件の反応潜時が長い場合を復帰抑制とみなした.1セッションを64試行とし,個体によって6〜54セッションを行った.成体では2個体において復帰抑制傾向がみられたが,統計学的に有意ではなかった.一方,幼児では1個体(パル)において強い復帰抑制が観察された.刺激呈示時間差(SOA)が150msのときのパルの平均反応潜時は反対側条件に比べ同側条件で短かったのに対し,SOAが500msのときには反対側条件に比べて同側条件の反応潜時が有意に長かった.このことから,チンパンジー幼児が復帰抑制機能をもつ可能性が示唆された.ただし,別の幼児では復帰抑制が観察されず,また成体の反応にも個体差がみられたため,今後,実験パラメータの再検討を行った上で確認の作業を続けていきたいと考えている.

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4-8 チンパンジー幼児における意図性の認識

小杉大輔(京都大・文)

チンパンジー乳児が対象の動きの意図性をいかに認識するかについて調べるため,以下のような実験を計画した.主要な手続きは,CRTモニタ(21インチ)上に,2つの円形の対象が,互いに随伴的に(1つの円をもう1つの円が追跡する)あるいは非随伴的に(2つの円は互いに関連のない軌道で動く)動く映像を呈示し,被験体の映像への注視時間および画面への接触反応を評価するというものである.刺激映像は,Macromedia社のソフトウェアFlash MXを用いて作成した.本実験に先立ち,予備調査として,作成した刺激映像を,実験の仮説を知らない大学生50名に提示し,2種類の映像がどのような映像に見えるかについての自由記述を求めた.その結果,ヒトの大人であれば,これらの事象を随伴的−非随伴的という次元で区別すること,それぞれの事象に意図性に基づく意味を付与することが確かめられた.本年度は,昨年度までにおこなった因果的認識の発達に関する実験の成果や,被験体の運動,認知の発達を踏まえ実験方法の確立をおこなった.この実験を通じ,ヒト以外の霊長類の乳児でも,抽象的な対象の動きに意図性を付与するという心理的因果性の認識が見られるのかを検証する.

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4-9 絵画的奥行き知覚に関する比較認知科学的検討

伊村知子(関西学院大・文)

チンパンジーの成体とニホンザルの乳児を対象に,陰影からの3次元形状知覚における制約について検討した.チンパンジーの成体では,陰影を付加した円から構成されたテクスチャの中に含まれる陰影方向の異なる円からなる図形(ターゲット)の形態を弁別する課題において,ターゲットの円の陰影方向を22.5度ずつ変化させることにより,陰影方向の効果を調べた.その結果,水平方向(90度,270度)の陰影方向で最も反応時間は長く,垂直方向(0度,180度)にかけて反応時間が徐々に減少した.マカクザル乳児では,PL法の1つであるfamiliarity-novelty PL法を用いて,乳児が,4個の異なる陰影パターンをもつ円(ターゲット)を含む方の刺激を選好的に注視するかについて,垂直方向と水平方向の陰影条件で比較した.その結果,7週齢以降になると,乳児は,水平方向よりも垂直方向の陰影条件でターゲットを含む側の刺激をより長く注視する傾向が見られた.以上の結果から,ヒトとチンパンジーのみならず,7週齢のマカクザル乳児においても,「単一の光源」「網膜軸の上方からの照明」の制約に基づいて陰影からの形態知覚をおこなっている可能性が示唆された.

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4-10 チンパンジーのワッジ処理能力の発達研究

丸橋珠樹(武蔵大・人文)

大型類人猿の前歯は後歯に比べて大きく,果実採食への適応として意義づけられてきた.しかし,Pickford (2005)は,化石類人猿,化石人類,現生大型類人猿の前歯と後歯の相対的関係や前歯の形態を比較研究し,チンパンジーの相対的前歯の大型化は肉食適応だと論じた.

チンパンジーに特徴的な採食技術の一つに,日常的なワッジ処理がある.口中で吸い出すこともあるが,前歯と唇の間に食物を入れ,可溶性栄養物を搾り残渣をワッジとして吐き出す.ワッジ処理技術は,大型類人猿の相対的な前歯大型化の機能の一つとして位置づけられるとの観点から,サトウキビの実験的給餌によって,ワッジ処理能力の発達と性差を研究した.

霊長類研究所と熊本霊長類パークで,4歳からオトナまでの雄雌を実験対象とした.多くの個体の摂食方法はほぼ同じで,果汁の吸収率を計算すると,年齢差や性差は見られなかった.4歳ですでにオトナと同じ程度のワッジ処理能力が発達していることが明らかとなった.

申請研究内容には含まれていないが,多摩動物公園ではオランウータンを対象に同様の実験を行いワッジ処理技術を比較した.

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4-11 ヒトとチンパンジーの出産と離乳における対処行動の比較

五十嵐稔子,宮中文子(京都府立医科大・看護),竹下秀子(滋賀県立大・人間文化)

現代のヒトの出産や育児は,情報社会の発達に伴い,様々な文化的影響を受けている.本研究は,自宅出産したヒトの出産と授乳の行動をチンパンジーと比較し,その身体行為の共通性と相違の詳細を検討することによって,生物学的特性がどのように維持・改変されているかを明らかにすることを試みた.

対象は,自宅で出産した母子4組と,霊長類研究所で出産したチンパンジー母子4組である.ヒト出産時のデータ収集はインタビューやビデオ観察,あるいは出産に立ち会って行った.授乳データは自己記入式の授乳調査票を作成した.チンパンジーの出産と授乳のデータ収集はビデオ観察により行った.

自宅で出産したヒトの分娩時の姿勢は,四つ這い,スクワッテイング,膝立ちなどすべて通常の2足立位よりは低い姿勢での出産であった.全員が母乳のみで授乳しており,授乳については調査中である.チンパンジーの出産は通常の4足立位に近い姿勢や四つ這いであった.分娩と授乳行動の詳細については,現在両者のデータを比較分析中である.

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4-12 チンパンジーの社会的認知能力と模倣及びふり行動

小椋たみ子(神戸大・文)

I.事物操作と模倣:事物操作は認知の発達を反映している.本研究では,チンパンジーの象徴能力の発達を明らかにすることを目的として,アイ,クロエ,パンを対象として象徴化の異なる材料への慣用操作と模倣を明らかにした.a.実物(ブラシ,携帯電話),実物の形態を有する木型,単なる木型をモデルなしで呈示と,事物の用途を実演でモデル呈示した.モデルは20秒呈示し,その後の行動のうち,事物の慣用操作の時間を測定した.結果は携帯電話はクロエがモデル呈示後に慣用操作した以外は慣用操作はなかった.ブラシに対してはパン,クロエでは実物,形態類似で自発,模倣とも慣用操作を行なった.アイは形態類似のモデル呈示では慣用操作を行なった.パン,クロエは単なる木型では慣用操作はなかった.以上の結果はチンパンジーが有する行動シェマについては実物,形態類似で慣用操作が生起したが,その程度は個人差が大であった.クロエ,パンがアイに比べ象徴能力の発達が高かったが,これは各個体の生育歴,経験に基因すると予測される.

II.手段―目的課題:アユム,クレオ,パルの3個体に手段―目的関係の理解の縦断研究を継続した.4歳においてチンパンジー成体と同じ成績に達した.

(本研究の一部は第16回日本発達心理学会「ものをあつかう知性の発達」シンポジュウムで報告された.)

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4-13 霊長類乳児における生物学的運動の認識と複数感覚様相を統合した種概念の発達

足立幾磨(京都大・院・文)

本研究では,まずマカクザル乳児の生物学的運動の認識,およびその生得性を分析した.被験体には,個別飼育群・集団飼育群を用いた.ランダムに運動する光点の中にヒト或いはマカクザルの生物的運動を示す光点が含まれている刺激を作成し,それを倒立させた刺激と対呈示した.その結果,各群とも,生後の視覚経験量が多い生物の正立運動に対し選好を示した.それと同時に,被験体の選好の発達的変化には群間に差が見られた.これは,同種の動きに対する選好に生得性があることを示唆する.

さらに,音声・視覚情報を統合した種認識を有しているかを分析した.被験体には上述の2群を用いた.同種或いはヒトの音声を呈示後,音声に一致,或いは不一致な写真をモニタ上に呈示し,被験体のモニタへの注視時間を測定・分析した.結果,集団飼育群の個体は,同じヒトの顔写真が呈示されているにも関わらず,不一致条件において,一致条件よりも有意に長く視覚刺激を注視した.これは彼らが同種の音声を知覚した際に,同種表象を想起したため,不一致な写真の呈示に対し期待違反が生じたことを示唆する.個別飼育群においては被験体数が少なく充分な結果は得られていない.引き続き実験を行う必要がある.

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4-14 コンピュータ骨密度解析法によるチンパンジーの骨格発達と加齢

大野初江(お茶の水女子大・院・人間文化),鵜殿俊史(蟷囲族蹴惴Φ羹蝓Ψ本霊長類パーク)

チンパンジーにおける中手骨の形態と骨密度の加齢変化を横断的に検討した.方法は通常X線写真と改変MD法(濃度計による直接計測でなくコンピュータ画像解析によるMicrodensitometry)である.被験体は蟷囲族蹴惴Φ羹蠏本霊長類パークおよび京大霊研飼育のチンパンジー49体(オス24体,メス25体,0〜34才,平均17.4才)で,麻酔の上,左手をカセッテに密着・粘着テープで固定し,ペネトロメータとともにレントゲン写真を撮影した.画像をスキャナでコンピュータに取込み,画像解析ソフトを用いて中手骨長,骨体の幅,皮質厚及び骨密度を計測した.結果・考察:骨長,骨体幅,皮質厚はオスが有意(p=0.05)に大きかったが,骨密度には有意な性差は見られなかった.年齢変化は,両性で12,3才まで成長が続き,その後は横ばいか,わずかに加齢に伴う減少傾向が見られた.これはオスよりメスで顕著であった.体格との関係は,両性ともに骨長と座高(r=0.78),骨長と骨盤幅(r=0.71)の間に有意な相関が見られた.骨長幅示数などは,まだ高齢の材料が少なく回帰分析で傾向が捉え難いので来年度も同一個体を計測して変化を解析し加齢傾向を明らかにしたい.

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会