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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2004年度 > X 共同利用研究・研究成果−計画研究5「アジアに生息する霊長類の生物多様性と進化生物学」

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.35 2004年度の活動

X 共同利用研究

2 研究成果 計画研究5「アジアに生息する霊長類の生物多様性と進化生物学」

5-1 テナガザルが発するソングの構造解析と種間比較

小田亮(名古屋工業大・つくり領域),松本晶子(沖縄大・人文)

テナガザルはテリトリー防衛のための「ソング」と呼ばれる音声レパートリーをもっている.本研究では,飼育下の数種のテナガザルを対象にソングを録音し,サウンドスペクトログラムを用いて分析した.その結果それぞれの種ごとの構造的な特徴と個体による変異がみられた.詳細については現在分析中である.テナガザルのソングにはデュエットがみられるが,このような構造化された音声の発声には,リズムの知覚と制御が重要な役割を果たしていると考えられる.リズム知覚については,動物園に飼育されているシロテテナガザルがメトロノームの音に反応して発声したという例がある.しかしながらこの報告は予備的なものであるため,これを検証する実験を行った.飼育下のシロテテナガザルのペアを対象とし,電子メトロノームとスピーカーを用いて規則的な音を呈示したが,音への発声による反応を示したのは最初だけであり,数回の呈示を経るとほとんど反応がみられなくなった.今後,電子音の高さを変化させる,実際のテナガザルの音声を加工したものを使うなどの方法を検討する必要があるだろう.

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5-2 種の保存を目的としたニホンザル精子の凍結保存技術の確立

楠比呂志(神戸大・農学)

希少動物の種の保存において,生殖子の凍結保存技術は有力な補助手段であるが,ウシなどの一部の家畜を除けば再現性のある方法が確立しているとは言い難いのが現状である.そこで代表研究者は,一昨年度から,再現性の高いニホンザル精子の精液採取法と凍結保存技術の確立に関する研究を行っている.

これまでの研究で,電気刺激による精液採取法は確立したが,昨年度に引き続いての凍結保存法の開発は,シーズン初めの霊長研の分析装置の故障により,今年度は実施できなかった.

しかしながらこれまでの予備的な実験の結果から,ニホンザルにおける精子の至適凍結条件は,代表研究者が以前,チンパンジーで得た至適条件とはかなり異なり,希釈液と保存容器については,それぞれ修正TTEとプラスチック製ストローが,また凍害防止剤についてはDMSOよりもグリセリンが好適で,その濃度は2.5%が最適であった.また冷媒には,液体窒素ガスを用いて急速に凍結するほうが適当と思われた.今後,分析装置の再導入を待って,確認の実験を行いたい.

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5-3 テナガザル類のY染色体解析用分子マーカーの作製

田口尚弘(高知大・黒潮圏海洋科学・海洋健康医科学)

染色体顕微切断法を使って,テナガザルの微小Y染色体を標的としたプローブの作製,およびクローニングを施行した.テナガザルY染色体から顕微切断で得られたDNA断片をPCRで増幅し,得られた産物の由来部位をFISH法で確認した.プローブ化したPCR産物はテナガザルの微小Y染色体全体に分子雑種形成したので,プローブ作製の成功を確認できた.次にこのプローブのTAクローニングを行い,2つのクローンからシークエンスを得ることができた.両者はほぼ同じ塩基配列であった.データベースでその塩基配列を検索したところ,チンパンジーY染色体で報告されているクローンと類似性を得た.また,ヒトのY染色体上のDAZ (無精子症欠失部)遺伝子中の反復配列と高度の類似性を示した.さらに,FISH解析で,このプローブの存在部位の種間比較を行った.アカゲザルY染色体ではシグナルは得られなかったものの,チンパジーとヒトのY染色体ではユークロマチン部分にシグナルが得られた.従って,このプローブは類人猿,ヒトのY染色体のマーカーとして有用であることが分かった.

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5-4 霊長類培養細胞株の樹立

明里宏文(国立感染症研究所・筑波霊長類センター)

本研究では,報告者が以前確立したHVS不死化法に基づく霊長類機能細胞の不死化技術を応用して,多様な霊長類由来細胞株の樹立を試みた.その結果,今年度は新たに旧世界ザルとしてブタオザル(3株),新世界ザルとしてコモンマーモセット(2株),アカテタマリン(1株),コモンリスザル(1株),ヨザル(1株)の樹立に成功した.昨年度までに独自に樹立したものと合わせて,これまでに9種類26細胞株が樹立されている.今後はアフリカミドリザル,ヨザル,コモンリスザル,テナガザル,フサオマキザル等の不死化細胞株の樹立を進めるとともに,それぞれの樹立細胞株についての特性解析を行う予定である.

本研究成果により,サル類による動物モデル研究・開発等トランスレーショナルリサーチにおいて,細胞レベルの解析が可能となる.このことは動物実験を極力避けるべきとする国際的傾向とも合致するものであり非常に有意義であると考えられた.

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5-5 ヒト特異的機能遺伝子およびヒト特異的偽遺伝子の探索

郷康広(総合研究大学院大・先導科学)

本研究は,種の個別性・特異性の遺伝的基盤を明らかにするために,ヒトおよび旧世界ザルの各臓器において種特異的に発現している,もしくは発現していない(偽遺伝子化も含む)遺伝子を探索することを目的とした.

昨年度,方法を確立するために行った実験の結果,ヒト上皮細胞でマウス上皮細胞と比較した結果,発現が有意に低下している51個の候補遺伝子(多くのRNA遺伝子を含む)を同定した.本年度は,その結果を受け,系統的によりヒトに近いマカク属を対象とし,より広範におよぶ解析をするために,各種臓器(肝臓・膵臓・脾臓・精巣・胎盤)の収集につとめた.また,遺伝子発現の個体差を考慮し,各臓器に対して,4個体以上からのサンプルの収集を行い,RNA抽出・cDNA合成まで行った.すでに方法は確立されているので,次年度以降,引き続きのサンプル収集を行うとともに,実験・解析をすすめ,ヒト化に至る過程で発現が亢進・抑制された候補遺伝子を絞り込み,その生物学的・進化的な意味付けを行う.

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5-6 霊長類染色体の3次元核内配置と核型進化・系統進化に関する研究>

田辺秀之,宝来聰(総合研究大学院大・先導研・生命体)

本研究は,霊長類各種における核型分析データを参照しながら,間期核における染色体テリトリーの3次元核内配置について,3D-FISH法により種間比較を通じて相対核内配置を明らかにするとともに,系統関係の詳細が未知な一部の種においてミトコンドリアDNAの分子系統解析を並行して行い,両者を統合した視点から霊長類の核型進化・系統進化を考察することを目的としている.特に近縁種間で進化的な染色体転座が生じている場合,対応する染色体領域の3次元核内配置からみた転座染色体の生成機構は興味深い.本年度は各種末梢血リンパ球より3次元核構造を維持した細胞核3Dスライドを作成し,ヒト2番染色体の短腕および長腕特異的ペインティングプローブを使用した3D-FISH法により,蛍光シグナルの検出条件,共焦点レーザースキャン顕微鏡による画像取得条件の検討を行った.FITC,Cy3を2種類のプローブ,Cy5をDNA対比染色(TOPRO-3)に対応させ,ニホンザル細胞核においても十分検出可能な蛍光強度を得る条件を確立した.現在,この条件で解析対象を各種へ拡大している.

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会