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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2004年度 > X 共同利用研究 4. 共同利用研究会

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.35 2004年度の活動

X 共同利用研究

4 共同利用研究会

野生霊長類の保全生物学/第5回ニホンザル研究セミナー
  • 日時:2004年5月22日(土)〜5月23日(日)
  • 場所:京都大学霊長類研究所大会議室
  • 参加者:約60名
  • <プログラム>
  • 5月22日(土)13:00〜17:45
  • 挨拶 杉浦秀樹(京都大・霊長類研究所)
  • 座長:早石周平(京都大・理・動物・人類進化論)
  • 山田一憲(大阪大・人間科学研究科・行動生態学講座)「ニホンザルにおける母子の葛藤:離乳期の乳首接触をめぐる母子相互交渉に注目して」
  • コメンテータ:高畑由起夫(関西学院大・総合政策学部)
  • 佐伯真美(元上智大・生命科学研究科)「伊豆大島の外来マカク種に関する遺伝学的研究」
  • コメンテータ:川本芳(京都大・霊長類研究所)
  • 山田彩(京都大・霊長類研究所)「農地と森林における食物利用可能性がニホンザルの環境選択に与える影響について」
  • コメンテータ:斉藤千映美(宮城教育大・環境教育実践研究センター)
  • 座長:田中俊明(京都大・霊長類研究所)
  • 千々岩哲(景生保全研究所)「景観構成と植生環境が野猿群の遊動様式に与える作用」
  • コメンテータ:半谷吾郎(京都大・霊長類研究所)
  • 鈴木克哉(北海道大学・文学研究科・地域システム科学講座)「電気柵管理状況からみた中山間地域の猿害問題の実態―被害管理に必要なもうひとつの視点について」
  • コメンテータ:室山泰之(京都大・霊長類研究所)
  • 討論
  • 5月23日(日)9:00〜16:10
  • 挨拶 室山泰之(京都大・霊長類研究所)
  • 座長:室山泰之(京都大・霊長類研究所)
  • 泉山茂之((株)野生動物保護管理事務所)"Troop size, home range area, and seasonal range use of the Japanese macaque in the Northern Japan Alps"
  • 立澤史郎(北海道大・文学研究科・地域システム科学講座) 「小島から見たニホンジカ個体群管理のゆくえ」
  • 大井徹(森林総合研究所・関西支所・生物多様性研究グループ) コメント
  • 藤井尚教(尚絅大学・文学部) 「熊本県に生息する野生ザルの個体群管理に向けた遺伝的モニタリング法の開発」
  • 座長:川本芳(京都大・霊長類研究所)
  • 森光由樹((株)野生動物保護管理事務所) 「保護管理にむけたニホンザル地域個体群の遺伝的モニタリング法の検討」
  • 赤座久明(富山県立雄峰高等学校) 「富山県のニホンザル地域個体群の分布特性と遺伝子変異」
  • 座長:室山泰之(京都大・霊長類研究所)
  • 川本芳(京都大・霊長類研究所) 「ミトコンドリア遺伝子変異を利用したニホンザル個体群研究の展望」
  • 討論
  • 今後の研究会の打ち合わせ
  • (世話人:室山泰之,川本芳,毛利俊雄,杉浦秀樹)

例年,若手ニホンザル研究者を中心に研究発表を行い,一つ一つの研究発表に対して中堅の研究者がコメントをするという形式で「ニホンザル研究セミナー」を実施してきたが,今年度は保全や管理に関連のある研究が多いこと,霊長類研究所共同利用計画研究である「野生霊長類の保全生物学」が2年目に入り,中間報告をする必要があることなどから,合同で開催した.22日は若手研究者,23日は共同利用研究者を中心に発表があった.

若手研究者のうち3名は農作物に被害を与えている集団を対象とした研究を発表し,これまで知見の乏しかったところにも新しい研究分野が生まれつつあることを感じさせた.また,移入種に関する研究や詳細な行動観察に基づく研究も発表され,ニホンザルを対象とした研究の広がりが維持されていることを印象付けた.一方共同利用研究者からは,地域個体群を対象とした遺伝的研究と生態学的研究の発表があり,遺伝的分析や生態学的研究が各地で着実に実施され,個体群管理のためのモニタリングを現実のものとする基盤が整備されつつあることがうかがわれた.

ニホンザルの保全や管理に対する近年の関心の高まりを反映し,多数の参加者があり,活発な議論が行われた.とくに調査研究経験の豊富な出席者が多く,若手研究者にとっては交流や意見交換の場としても非常に有意義な研究会になった.

(文責:室山泰之)

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サル類疾患の生態学
  • 日時:平成17年1月22日
  • 場所:京都大学霊長類研究所会議室
  • <プログラム>
  • 森村成樹(林原生物化学研究所類人猿研究センター)「ケージ単独飼育がニホンザルの日常行動に与える影響:環境間の比較」
  • 牛田一成(京都府立大学農学部)「ボッソウ野生チンパンジーにみられるアルビジアガム(アラビノガラクタン)摂食の意義および腸内菌叢の分子生態学的解析(中間報告)」
  • 大沢一貴,佐藤浩(長崎大学先導生命科学研究支援センター・比較動物医学分野)「マカカ属サルとヘルペスBウイルスの共進化・大陸間移動説」
  • 伊吹謙太郎,速水正憲(京都大学ウイルス研究所附属感染症モデル研究センター)「SIV/HIV-1キメラウイルス(SHIV)粘膜感染ザルを用いた病態の検討」
  • 古屋宏二(国立感染症研究所寄生動物部)「サル類における播種性ミクロスポリジアEncephalitozoon cuniculi感染の血清疫学的解析」
  • 柳井徳磨,酒井洋樹,柵木利昭(岐阜大学応用生物科学部獣医病理教室・野生生物感染症センター)「ニホンザルに認められる病理学的変化」
  • 渡辺和人(北陸大学薬学部)「サル肝シトクロムP450による大麻成分の代謝的解毒及び活性化機構?幻覚成分テトラヒドロカンナビノールとステロイドホルモンとの代謝的相互作用」
  • 福原亮史(京都大学霊長類研究所)「霊長類の活性酸素消去系酵素の進化的考察とニホンザル組織での遺伝子発現」
  • (世話人:松林清明,景山節,上野吉一,鈴木樹理,後藤俊二,サチ・スリカンタ)

本研究会は,平成14〜16年度にわたって実施された課題研究「サル類疾患の生態学」のとりまとめとして開催された.

森村は飼育環境によるニホンザルの日常行動への影響を検討するため,放飼場群と個別ケージ飼育個体の行動パターン(行動内容と配分)および空間利用に関する分析結果を報告した.活動性や採食時間に違いがあることが示唆された.

牛田はチンパンジー特異的なネムノキ科木本のガム類の摂取の意義を明らかにするために,ガムの大腸における発酵性に関するチンパンジー新鮮便を用いたin vitro培養法による予備的検討について報告した.また,チンパンジーの腸内細菌がどのように伝わるかを紹介し,腸内細菌叢のゲノム解析によるチンパンジー個体の群れ間の動態などに関する解析の可能性を示した.

大沢は,サルヘルペスBに関する最新の知見を紹介した.ヘルペスBウイルスは,単純ヘルペスウイルスに類似しているが,ニホンザル固有のヘルペスBウイルスはまだ分離できていない.ヒヒのウイルス(HVP2)を抗原として作成したELISAによる抗体測定系は感度が良く,マカクの抗体チェックが可能である.この測定系を用いて本研究所を含めた国内の動物実験施設に飼育されているマカクの血液サンプルを調べたところ,Bウイルスに対する抗体を持っている個体が存在することが示された.

伊吹は,HIVウイルスやSIVウイルスなどの遺伝子解析結果から,チンパンジーとヒトの間の種間感染が少なくとも2回あったらしいことを報告した.また,約半分の遺伝子がHIV-I由来であるサルに感染するSIV/HIV-Iキメラウイルス(SHIV)を作成し,実験的に粘膜感染を起こすことによってその病原性発現機構について調べ,ウイルスの増殖とアポトーシスや病理組織変化との関連を示した.

古屋はミクロスポリジアのサル類への感染状況を報告した.ミクロスポリジアは従来の細胞内寄生原虫の一種との位置づけから最近では真菌類に属すると分類されている.その感染の有無を本研究所の血液サンプルを用いてリスザルとニホンザルについて調べた.2種類のEIA測定系を確立し,胞子抗体および極管抗体を検出した.その結果,播種性感染または慢性感染は起きておらず,検出された抗体は初期感染によるものであることが示唆された.

柳井は飼育下および野生由来のニホンザルを対象とした病理学的調査結果を紹介した.岐阜県内を主とする野生ニホンザル群では,肺の炭粉沈着や腎臓の蓚酸塩沈着が高率に見られることに関し,生息環境や食性との関連性についての議論がなされた.また,サル類では腎臓の嚢胞形成や循環器系の病変が多いことが特徴的であることが示された.

渡辺はニホンザルとアカゲザルを中心に肝臓におけるmicrosomal alcohol oxygenaseについて解析した.この酵素は他動物と異なり高いNADH要求性を示し,テストステロン,プロゲステロンにより強く活性化されることを明らかにした.

福原は,活性酸素消去系酵素のうちglutathione peroxidaseとSOD shaperonについて,種々の霊長類でクローニングをおこない進化的考察をした.またニホンザル組織での遺伝子発現が組織特異的であることを明らかにした.

基礎研究から応用面まで幅広い話題が提供され,それぞれの発表に対しての質疑応答のほかに,総合討論でも活発な論議が行われた.サル類の多様な疾患の様態を生物学の一端として総合的にとらえる視点は新しいものであるが,対象が広汎にわたるため,限られた時間では限定的な考究しかできない.しかしながらこのような研究交流を今後も継続し,専門領域を超えた情報交換を行うことは重要であり,共同利用研究会の持つ意義が改めて認識された.

(文責:松林清明)

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分子遺伝学による霊長類進化研究の現状と展望
  • 日時:2005年3月4日(金)〜5日(土)
  • 場所:京都大学霊長類研究所大会議室
  • 参加者:約40名
  • <プログラム>
  • 3月4日(金)13:00-17:50
  • 川本芳(京都大・霊長研)「性特異遺伝子からみたニホンザルの種内分化」
  • 田中洋之(京都大・霊長研)「TSPY遺伝子及びミトコンドリアDNAの系統分析によるアジルテナガザル(Hylobates agilis)の亜種間関係」
  • 橋本千絵(京都大・霊長研)「フィールドワークと遺伝子分析〜観察からは見えないところを埋めていく」
  • 田口尚弘(高知大・黒潮圏海洋科学)「微小Y染色体を持つアカゲザル,テナガザル類,からのY染色体マーカーの開発:染色体顕微切断法を用いて」
  • 中山一大(東京大・理学系研究科)「メラノコルチン1レセプター遺伝子と霊長類の皮膚色・毛色多様性」
  • 景山節(京都大・霊長研)「ペプシンの多様性と霊長類における遺伝子構造の変化」
  • 三上章允(京都大・霊長研)「インドネシアとタイにおけるカニクイザル視物質遺伝子多型の調査」
  • 3月5日(土)8:00-10:00
  • 村山美穂(岐阜大・応用生物科学)「行動の背景にある遺伝子を探る」
  • 郷康広(総合研究大学院大・先導科学研究科)「遺伝子退化による生物の進化〜霊長類における味覚受容体遺伝子を例に〜」
  • 河村正二(東京大・新領域創成科学研究科)「新世界ザルの色覚多様性」
  • 討論者
  • 吾妻健(高知大・医),石田貴文(東京大・理学系研究科),村山裕一(動物衛生研)
  • (世話人:竹中修,庄武孝義,景山節,平井啓久,川本芳,田中洋之)

分子遺伝学的手法を用いて霊長類の進化・系統を解明する研究は,技術面での発展とゲノム研究からの情報により,多様化している.本研究会はこの領域で,研究所の共同利用研究が過去数十年にわたり推進してきた研究の成果と現状を総括し,今後の展望を討論するために企画した.研究会前日に世話人代表者の竹中教授が逝去され,追悼の意をこめた会となった.遺伝子から集団レベルまで網羅して展開する霊長類の進化学研究の現状を理解する好機となったが,討論の時間が十分にもてなかったのが残念であった.

(文責:川本芳)

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第34回ホミニゼーション研究会「人類前夜の進化学」
  • 日時:2005年3月11日(金)〜12日(土)
  • 場所:京都大学霊長類研究所1階大会議室
  • 参加人数:約60人
  • <プログラム>
  • 3月11日(金)13:30-18:00
  • 第一セッション 古生物学・古環境・ホミノイド化石
  • 中務真人(京都大・理学研究科)「化石類人猿から人類への運動様式研究の現状と展望」
  • 辻川寛(京都大・理学研究科)「中期中新世類人猿ナチョラピテクスの周辺哺乳類相」
  • 高野智(財:日本モンキーセンター)「"類人猿"らしくなる?ホミノイドの移動様式の進化?」
  • 沢田順弘,酒井哲弥,実吉玄貴(島根大・総合理工学部)(著者海外出張のため、国松豊が代演)「ケニアリフトを充填する地層に記録された過去の気候変化とその意義」
  • コメント 渡辺毅(椙山女学園大・人間関係学部)
  • 3月12日(土)9:30-12:00
  • 第二セッション 類人猿の生態から
  • 竹ノ下祐二(財:日本モンキーセンター)「同所的に生息するチンパンジーとゴリラの遊動について」
  • 竹元博幸(京都大・霊長研)「チンパンジーはなぜ雨期に樹上性が強くなるのか」
  • 鈴木滋(龍谷大・国際文化学部)「同所性と種分化?類人猿の共存域から人類進化を考える」
  • コメント 西田利貞(財:日本モンキーセンター)
  • 3月12日(土)13:00-16:00
  • 第三セッション チンパンジーとヒトの食生態と生活史
  • 保坂和彦(鎌倉女子大)「チンパンジーの狩猟・肉食行動研究はヒトの社会性進化のモデルとなりうるか?」
  • 佐藤弘明(浜松医科大・医学部)「Yam question 再考?カメルーン東南部のBaka Pygmyの野生ヤム採集活動」
  • デイヴィッド・スプレイグ(農業環境技術研究所・地球研究部)「ヒト再発見:生活史理論で探るヒトの特異性」
  • コメント 市川光雄,山極寿一
  • 総合討論
  • (世話人:國松豊,濱田穣,橋本千絵)

今回のホミニゼーション研究会は,人類出現前夜の状況を考えることを念頭におき,主に現生・化石アフリカホミノイドに関して,形態,行動,地質など異なる分野の方々に発表をお願いした.

第一セッションにおいては,化石・地質の分野からの話題が提供された.中務は化石の面からみたヒト上科のロコモーションの進化について最近の状況を概説した.辻川は,中期中新世初頭(1500〜1600万年前)の大型化石類人猿Nacholapithecusと共に採集された哺乳類化石の分析を紹介し,当時の古環境について話をした.高野は機能的な側面から化石類人猿の体肢骨について話題を提供した.沢田らによるアフリカ後期新生代の地質に関する話題提供も予定されていたが,共同発表者も含めて全員が緊急にアフリカ現地調査に入る必要が生じたため,沢田らの作成した講演資料に基づいて,世話人の國松が代理で解説をおこなった.

第二セッションでは,アフリカ大型類人猿の生態学的研究の立場から話題提供がなされた.竹ノ下はガボンにおいて同所的に生息するチンパンジーとゴリラに関する野外調査の紹介をおこなった.竹元はチンパンジーが季節による森林内の微環境の変化にどのように対応しているのかという点について論じた.鈴木は,ゴリラとチンパンジーの食性の差に関して,同位体分析を利用した研究の現状を語った.

第三セッションでは,チンパンジーとヒトの食生態や生活史についての話題が提供された.保坂は,チンパンジーにおける狩猟や肉食行動について,人類社会の進化とからめながら論じた.佐藤は,ここまでの霊長類に関する話題とは違って,現在の狩猟採集活動に依存する民族(バカピグミー)における植物資源(ヤム)の利用について紹介した.最後にスプレイグが,霊長類の成長,生殖,寿命など生活史に関するさまざまな話題を提供しヒトの特質を論じた.

総合討論において,ホミニゼーション研究会を今後も継続・発展させていくべきとの議論があった.

(文責:國松豊)

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会