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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2006年度 − III 研究活動 集団遺伝分野

京都大学霊長類研究所 年報

年報 Vol.37 2006年度の活動

III 研究活動

集団遺伝分野

川本芳(助教授),田中洋之(助手)

川本咲江(技能補佐員)

川合静(大学院生)

Mohammed Mostafa Feeroz(外国人研究員)

<研究概要>
A)ニホンザルの集団遺伝学的研究

川本芳, 川合静, 川本咲江

ニホンザルの生息全域調査をもとにミトコンドリア遺伝子にみられる地域分化を明らかにした.分化の原因が最終氷期前後の東日本における生息地域の変化にあるというニホンザルの成立過程に関する新仮説を論文として公表した.

常染色体とY染色体のマイクロサテライトDNA変異の検索を進め,下北半島の地域個体群で遺伝子変異性が顕著に低下していることを明らかにした.ボトルネック効果の解析から,近年の狩猟圧による集団サイズ変動よりもさらに古い時期の地理的隔離(おそらくは最終氷期後の温暖化にともなう海進で起きた隔離)の影響が考えられた.この結果を第22回日本霊長類学会および日本哺乳類学会2006年度大会で発表した.

早石周平氏との共同利用研究による屋久島におけるミトコンドリア遺伝子の研究成果を論文公表した.また,赤座久明氏との共同利用研究による中部山岳地帯のニホンザルの研究成果を第22回日本霊長類学会で発表した(赤座氏の発表は最優秀ポスター発表賞を受賞).さらに,千田寛子氏らとの共同利用研究で山形県とその周辺地域におけるミトコンドリア遺伝子の研究成果を日本哺乳類学会2006年度大会でポスター発表した.

  農林水産省からの受託研究として進めたニホンザルの個体群管理に向けた遺伝的モニタリング法の研究成果を報告書にまとめて公表した.

B)マカカ属サルの系統関係

川本芳, 相見満(系統発生分野)

Feeroz M M (Jahangirnagar大学)

Hasan M K (Jahangirnagar大学)

アッサムモンキーとアカゲザルの地域集団分化に関する遺伝学調査の結果を論文公表した.

7〜9月にバングラデシュよりFeeroz氏を外国人研究員(客員)として招き,8月にHasan氏も招いてアカゲザルのミトコンドリア遺伝子に関する集団遺伝学的研究を行った.バングラデシュ各地より収集した糞試料の分析により,5塩基を単位とする反復配列のユニークな多型が非コード領域に存在すること,ミトコンドリア遺伝子ではバングラデシュのアカゲザルはインドに近縁であり,反復多型とは対象的に塩基置換変異が少ないことを発見した.この成果をまとめた論文は現在印刷中である.

C)マカカ属サルの交雑に関する遺伝学的調査

川本芳, 川合静, 川本咲江

第22回日本霊長類学会で森光由樹氏(野生動物保護管理事務所)が交雑群を対象にした共同研究の成果を口頭発表した.9月には,和歌山県でタイワンザルとニホンザルの交雑群の生息実態調査を行い,個体数,分布地域等について現状を明らかにした.

千葉県房総半島におけるアカゲザルとニホンザルの交雑につき,防除実施計画策定の検討に参加し,交雑群の遺伝子分析に協力した.

D)マダガスカル産原猿類の遺伝学的研究

川本芳, 田中美希子(遺伝子情報), 田中洋之

市野進一郎氏(京都大学理学研究科)との共同利用研究で,ベレンティー保護区のワオキツネザル群のマイクロサテライト遺伝子変異の分析を継続している.今年度は新しい分析方法の検討とそれを利用した群内,群間の多様性調査を実施した.

ベレンティー保護区に生息するチャイロキツネザル種間雑種集団について,分子遺伝学的な調査を継続している.ミトコンドリアDNA D-loop領域の分析結果を第22回日本霊長類学会大会で発表し,マイクロサテライトDNAの多型分析の結果を日本生態学会第54回大会で発表した.

E)マカクザルコロニーの集団遺伝学的研究

田中洋之, 森本真弓, 釜中慶朗, 松林清明(人類進化モデル研究センター), 川本咲江, 川本芳

本研究は,霊長類研究所のニホンザルおよびアカゲザルの閉鎖集団を対象にして,家系の解明と集団の遺伝的変異性および近交度の変化を明らかにすることを目的にすすめている.今年度は,マイクロサテライト15遺伝子座についてニホンザル嵐山群およびアカゲザルインド群のほぼ全個体の遺伝子型を判定し,遺伝的多様性の定量を行い,一部の父子関係を明らかにした.

実験用霊長類の資源評価を目的に,世界的な供給基地になったモーリシャス島のカニクイザルを調査した.この島のサルは約四世紀前にアジアから人為導入されたといわれ,現在アメリカを中心にさかんに研究利用されている.DNA分析により,起源,島内の集団構造,遺伝的多様性を検討した.この結果は現在論文として印刷中である.

F)家畜化現象と家畜系統史の研究

川本芳

南米アンデス高地におけるラクダ科動物の調査成果につき,ドメスティケーションの特性評価を中心に口頭発表を行った.また,アンデス高地におけるラクダ科動物の家畜化について共同研究者たちと共同執筆で単行本を出版した.

ネコの神経伝達物質関連遺伝子にみられる遺伝子変異を口頭発表した.

G)ハナバチの歴史生物地理学的研究

田中洋之

本研究は,ボルネオ島およびスラウェシ島に生息するミツバチ属の系統地理を研究し,これらの島の生物多様性をかたちづくったプロセスを明らかにすることを目的にしている.今年度は,ボルネオ島や周辺の非季節性熱帯林と分布がかさなり,送粉者としても重要なボルネオミツバチ (Apis koschevnikovi) について,ボルネオ島内の遺伝的分化とボルネオ島集団とマレー半島集団との系統関係に関する分析結果をまとめ,日本生態学会第54回大会で発表した.


H)霊長類の民族生物学的研究

川本芳

「厩猿」と呼ばれるサルの頭蓋骨や手を牛馬の畜舎に祀る民間信仰の調査を開始した.トヨタ財団から研究助成を受け,絶滅地域を含む日本各地に残る資料実体の「厩猿」ならびに信仰の現状を知るためにアンケート調査を進めている.得られた情報をもとに,来年度は野外調査により信仰の内容,「厩猿」として残る資料の形態的,遺伝的特徴を分析する予定でいる.


<研究業績>
原著論文 

1) Hayaishi, S., Kawamoto, Y. (2006) Low genetic diversity and biased distribution of mitochondrial DNA haplotypes in the Japanese macaque (Macaca fuscata yakui) on Yakushima Island. Primates 47(2): 158-164.

2) Kawamoto, Y., Aimi, M., Wangchuk, T., Sherub. (2006) Distribution of Assamese macaques (Macaca assamensis) in the Inner Himalayan region of Bhutan and their mtDNA diversity. Primates 47(4): 388-392.

3) Kawamoto, Y., Shotake, T., Nozawa, K., Kawamoto, S., Tomari, K., Kawai, S., Shirai, K., Morimitsu, Y., Takagi, N., Akaza, H., Fujii, H., Hagihara, K., Aizawa, K., Akachi, S., Oi, T., Hayaishi, S. (2007) Postglacial population expansion of Japanese macaques (Macaca fuscata) inferred from mitochondrial DNA phylogeography. Primates 48(1): 27-40.

報告 

1) 川本芳 (2007) サル地域個体群維持に関わる遺伝的構造と個体群管理のための遺伝的モニタリング法の研究. 野生鳥獣による農林業被害軽減のための農林生態系管理技術の開発 研究成果441(農林水産省農林水産技術会議): 28-34.

書評 

1) 田中洋之 (2006) 「遺伝子の窓から見た動物たちーフィールドと実験室をつないでー」(竹中 企画,村山・渡邊・竹中編,京都大学学術出版会). 霊長類研究 22(2): 142-145.

分担執筆 

1) 川本芳 (2007) 家畜の起源に関する遺伝学からのアプローチ. “アンデス高地” : 361-385, 京都大学学術出版会, 京都.

学会発表等 

1) Hamada, Y., Oi, T., Kurita, H., Izumiyama, S., Kawamoto, Y., Morimitsu Y., Malaivijitinond, S. (2007) Primate Diversity Studies in the Continental Part of SE Asia. Symposium of Asian Primatology and Mammalogy (Feb. 2007, Inuyama, Japan).

2) 赤座久明, 川本芳 (2006) 北アルプス周辺におけるニホンザルのミトドンドリアDNA変異. 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 吹田) 霊長類研究 Supplement: S17-S18.

3) 千田寛子, 東英生, 川本芳, 玉手英利 (2006) 山形県におけるニホンザルの遺伝学的集団構造の把握. 日本哺乳類学会2006年度大会 (2006年9月, 京都) 日本哺乳類学会2006年度大会講演要旨集 : 59.

4) 濱田穣, 栗田博之, 大井徹, 後藤俊二, 川本芳, Vo Dinh Son., Bounnam, P., Chanda, V., 黄乗明, Daw Tin New., Nang Wah Wah Ming., Aye Mi San., Saida Khanam., Md Sohrab Uddin Sarker., Mohamed Mostafa Feeroz., Suchinda, M. (2006) Preliminary report on the geographical variation in rhesus macaques (Macaca mulatta) and the differences from long-tailed macaques (Macaca fascicularis). 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 吹田) 霊長類研究 22(Supplement): S7.

5) 加藤祐美子, 井上ー村山美穂, 川本芳, 野澤謙, 黒澤弥悦, 北川均, 伊藤愼一 (2006) ネコにおけるアンドロゲン受容体遺伝子(AR)exon1 領域の多型. 日本DNA多型学会第15回学術集会 (2006年11月, 福山).

6) 川本芳 (2006) アンデス高地で利用されるラクダ科家畜の遺伝的特徴と家畜化をめぐる問題. 民族学博物館共同利用研究会「ドメスティケーションの民族生物学的研究」 (2006年12月, 京都).

7) 川本芳 (2006) 遺伝子変異からみたニホンザルの地域分化. 日本哺乳類学会2006年度大会 (2006年9月, 京都) 日本哺乳類学会2006年度大会講演要旨集 : 15.

8) 川本芳 (2006) 下北半島のニホンザルの遺伝的低変異性. 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 吹田) 霊長類研究 22(Supplement): S10.

9) 森光由樹, 白井啓, 吉田敦久, 清野紘典, 和秀雄, 鳥居春己, 川本芳, 大沢秀行, 室山泰之, 和歌山タイワンザルワーキンググループ (2006) 和歌山タイワンザル(特定外来生物)の現状報告. 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 吹田) 霊長類研究 22(Supplement): S16.

10) 田中洋之, Wijayanto, H., Mootnick, A., Perwitasari-Farajallah, D., 早野あづさ, 平井啓久, Sajuthi, D. (2006) アジルテナガザル(Hylobates agilis)の亜種間関係とその系統的位置づけ. 第22回日本霊長類学会 (2006年7月, 吹田) 霊長類研究 22(Supplement): S9-S10.

11) 田中洋之 (2007) アジルテナガザル(Hylobates agilis)の亜種間関係とその系統的位置づけ. 共同利用研究会:アジア霊長類の生物多様性と進化 (2007年3月, 犬山).

12) 田中洋之, 須賀丈, Roubik, D., Meleng, P., Chong, L. (2007) ボルネオミツバチ(Apis koschevnikovi)の系統地理 . 第54回日本生態学会大会 (2007年3月, 松山) 第54回日本生態学会大会講演要旨集 : 280.

13) 田中美希子, 田中洋之, 平井百合子, 平井啓久 (2006) チャイロキツネザル種間雑種集団の遺伝分析. 第22回日本霊長類学会大会 (2006年7月, 吹田) 霊長類研究 22(Supplement): S32-S33.

14) 田中美希子, 田中洋之, 平井啓久 (2007) チャイロキツネザル種間雑種個体群のマイクロサテライトDNA分析. 第54回日本生態学会大会 (2007年3月, 松山) 第54回日本生態学会大会講演要旨集 : 202.

講演 

1) 川本芳 (2006) ニホンザルの成立と外来生物問題. 地球環境大学2006講座 (2006年9月, 大阪).

2) 川本芳 (2006) 種をめぐる2つの話題:マカクの新種と外来種問題. 京都大学霊長類研究所公開講座 (2006年8月, 犬山).

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