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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2006年度 > X 共同利用研究・研究成果−計画研究4

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.37 2006年度の活動

X 共同利用研究

2 研究成果 

4-1 霊長類を用いた「?血(おけつ)」病態の分子生理学・分子生物学的解明

後藤博三(富山大・院・和漢診療), 藤本孝子(富山大・和漢薬研究所)

対応者:中村伸

「?血」病態は,東洋医学的病理概念の一つで,現代医学的には微小循環障害を主とする病態ととらえられている.その対象とする疾患は生活習慣病,婦人科疾患,脳血管障害,免疫応答異常まで多様であり,現代医学における諸疾患を横断的にとらえた概念である.本研究では,?血病態の発症機序ならびに病因の分子基盤について,主にマカクサルを用いた分子生理学・分子病理学的手法で検討し,現代医学的見地から伝統医学的病理概念の理解を図る.今回,マカクサルに申請者が小動物で検討した微小循環障害に関する手法を対応者の協力を得て試み,マイルドなhypoxia(低酸素応答)/酸化ストレスを惹起させた.同モデルに対して,?血改善薬である当帰芍薬散を連日2ヶ月間投与し,腸内細菌叢への影響を検討した.その結果,当帰芍薬散の投与により,12種(有用菌,悪玉菌,日和見菌)の腸内細菌叢において,投与群,非投与群で差違は認められなかった.さらに引き続き,肝臓での薬物代謝系遺伝子の検討中である.

4-2 サル類の加齢に伴う自然発生病変の病理学的解析

山手丈至(大阪府立大・院・生命環境)

対応者:中村伸

サル類に自然発生する加齢性病変を病理学的に解析しその背景データを蓄積することは,サルの生物学的特性を把握する上で重要である.本年度は2例のサル(アカゲザルとパタスザル/ミドリザルのハイブリッド)について病理学的に検査し,アカゲザル(26歳)には後天性の水腎性萎縮腎と卵巣の血管腫をみつけた.また,ハイブリッドザル (32歳)には,胃と子宮に平滑筋腫が見出された.また,以前提供を受けた老齢の雌ニホンザル(28.5歳)に見出された悪性中皮腫について今年度詳細な解析を行った.この中皮腫は組織学的には,腫瘍性の中皮細胞が乳頭状〜結節状に増殖し,一部粘液を含有する印環細胞様細胞が混在した.卵巣・消化管由来の腺癌と鑑別するために癌胎児性抗原(CEA)に対する免疫染色を行ったところ,陰性となり腺癌とは明らかに区別された.サル類の中皮腫としては心膜原発の1例が報告されているが,腹膜原発例としては本例が初発となる.なお,この内容は短報として発表する[1].サル類はバイオメデイカル研究における動物モデルとして近年注目されている.今後さらに種々の加齢性病変を解析する予定である.[1] Yamate J, Tomita A, Kuwamura M, Mitsunaga F, and Nakamura S. 2007. Spontaneous peritoneal malignant mesothelioma in a geriatric Japanese macaque (Macaca fuscata). Exp Anim (Tokyo) (in press).


4-3 霊長類のエネルギー倹約遺伝子

竹中晃子(名古屋文理大・健康生活), 鵜殿俊史,早坂郁夫(三和化学研究所・熊本霊長類パーク)

対応者:中村伸

エネルギー倹約遺伝子多型は,エネルギー消費を減少させる遺伝子多型のことである.寒冷などの刺激により交感神経より放出されたアドレナリンが脂肪細胞表面のβ3アドレナリンレセプター(β3AR)に結合し脂肪酸を遊離させ,褐色脂肪細胞において熱産生を促す.このβ3AR遺伝子の64Trp→Arg多型の頻度はピマインディアン,日本人などモンゴロイドで0.3-0.2,白人で0.08であり,へテロ接合型の人は消費エネルギーが200kcal/日節約されている.従って,通常の食事摂取量でも肥満を誘発する傾向がある.霊長類は環境により食物摂取量を充分確保できない場合もあるため,β3AR多型を検討した.調べた35頭のチンパンジー(霊長研5頭,三和化学30頭),16頭のオランウータン(マレーシア)は全て,倹約型のArg型であった.さらに,マカカ属サルについてはヒトと同じプライマーでPCR法により増幅後,制限酵素で切断すると目的の部位以外に近似した長さの分画が出るため,新たにプライマーを設定した.カニクイザル14頭では同様にArgタイプであった.従って赤道付近に生息する霊長類においても倹約型を有し,消費エネルギーを減少させずに,厳しい食物環境に際しても生存可能なように適応していると考えられた.

4-4 霊長類の胎盤における非古典的MHCクラスI分子の発現について

石谷昭子, 下嶋典子(奈良医大・法医)

対応者:清水慶子

我々は,非古典的HLA class I分子であるHLA-E, -F, -Gが,胎盤に強く発現し,特にHLA-Gは,妊娠免疫に重要な分子であることを示してきた.しかし,HLA-Fは,その機能については全く不明であり,妊娠免疫における機能も不明である.

我々はHLA-Fの妊娠機構における役割を解明すべく,17年度,カニクイザル胎盤2検体におけるHLA-FおよびHLA-G相同性分子の発現を調べたところ,カニクイザル胎盤にもHLA-F,HLA-Gが発現していることがわかった.これらのことから,HLA-F(Mamu-F),HLA-G(Mamu-G)はヒトのみならず,カニクイザルにおいても妊娠免疫に関与している可能性を示した.

18年度には,ニホンザル胎盤2検体についてHLA-G,HLA-Fの発現を検討した.HLA-Fは,カニクイザル同様,絨毛外トロホブラスト,絨毛トロホブラストに発現していたが,発現強度はカニクイザルに比べ,弱かった.またHLA-Gについては絨毛外トロホブラストに非常に弱く発現していたが,カニクイザル胎盤にみられた絨毛合胞体性トロホブラストにおける発現は確認できなかった.これらの原因として,ヒトとニホンザルにおけるHLA-G,HLA-F相同性が,カニクイザルと比べ低い可能性が考えられる.またサル種間でもHLA-G,HLA-F相同分子の発現,機能が異なっている可能性がある.このことについては今後は,検体数を増やすと共に,さらに多種のサルについて調べる必要がある.

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このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会