ENGLISH トップ 所長挨拶 概要 教員一覧 研究分野・施設 共同利用・共同研究 大型プロジェクト 国際集会 教育,入試 広報,公開行事,年報 新着論文,出版 教員,職員公募 国際共同事業 霊長類研究基金 リンク アクセス HANDBOOK FOR INTERNATIONAL RESEARCHERS Map of Inuyama サイトマップ
トピックス
コラム・連載 質疑応答コーナー ボノボ チンパンジー「アイ」 頭蓋骨画像データベース 霊長類学文献データベース サル類の飼育管理及び使用に関する指針 Study material catalogue/database 野生霊長類研究ガイドライン 霊長類ゲノムデータベース 写真アーカイヴ ビデオアーカイヴ

京都大学霊長類研究所
郵便番号484-8506
愛知県犬山市官林
TEL. 0568-63-0567(大代表)
FAX. 0568-63-0085

本ホーム・ページの内容の
無断転写を禁止します。
Copyright (c)
Primate Research Institute,
Kyoto University All rights reserved.


お問い合わせ

京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2006年度 > X 共同利用研究 4. 共同利用研究会

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.37 2006年度の活動

X 共同利用研究

4 共同利用研究会

     第7回ニホンザル研究セミナー
  • 日時:2006年5月20日(土)〜21日(日)
  • 場所:霊長類研究所大会議室
  • 参加人数:60人
  • 世話人:杉浦秀樹,室山泰之

  • <プログラム>
  • 5月20日(土)
  • 杉浦秀樹(京都大・霊長研)「開会の挨拶」
  • 座長:香田啓貴(京都大・霊長研)
  • 鈴木真理子(京都大・霊長研)「ニホンザルにおける他個体との近接を保つための見回しとクーコール」 解説・コメント:下岡ゆき子(京都大・理・人類進化)
  • 浅井健一郎(京都大学・理・人類進化)「ニホンザルオスグループの自己毛づくろいと他者毛づくろいの連鎖からみたコミュニケーションの生成プロセス」解説・コメント:室山泰之(京都大・霊長研)

  • 座長:座馬耕一郎(京都大・霊長研)
  • 張鵬(京都大・霊長研)Extra large clusters and their social structure of Japanese macaques (Macaca fuscata) in the Shodoshima Island, Central Japan        
  • 解説・コメント:小川秀司(中京大学)
  • 森正樹(京都大・霊長研/静岡県農業水産部)「針葉樹人工林の多い森林におけるニホンザルの生息地選択」
  • 解説・コメント:David S. Sprague (農業環境技術研究所)
  • 討論 コメンテータ:中川尚史(京都大・理・人類進化)
  • 懇親会

  • 5月21日(日)
  • 座長:山田彩(京都大・霊長研)
  • 栗田博之(大分市教育委員会)「高崎山の餌付けニホンザル群における雌の栄養状態と個体群動態について」
  • 安富舞(日本獣医生命科学大・獣医・野生動物)「ニホンザルの行動特性に応じた保護管理手法の検討」
  • 座長:鈴木克哉(京都大・霊長研)
  • 吉田洋(山梨県環境科学研究所)「ニホンザルによる被害と被害防除の実態−富士北麓地域における事例−」
  • 本田剛(山梨県)被害防止柵の効果を制限する要因−パス解析による因果推論−
  • 討論

    一日目は修士課程を終えたばかりの若手研究者に,修士論文の内容を発表していただいた.それぞれの発表に対して,中堅の研究者に解説・コメントをしていただいた.二日目は若手の研究者を中心に,発達と保護・管理に関連した発表をしていただいた.
    ほとんどの発表者は,霊長類研究所の研究会での発表は初めてであり,参加者にとっても新鮮な話題が多かった.若手研究者の参加も多く,ニホンザル研究者の交流の場としても有意義な研究会だったと言えるだろう.
    (文責:杉浦秀樹)
  • 「自己と他者を理解する─比較認知発達的アプローチ─」
  • 日時:2006年8月30日(水)〜 31日(木)
  • 場所:京都大学霊長類研究所大会議室
  • 参加人数:約60人
  • 世話人:友永雅己,松井智子,田中正之

  • <プログラム>
  • 8月30日(水)
  • セッション1 司会:友永雅己
  • 木下孝司(神戸大・発達科学)『1歳児における自他関係の成立と“心の理解”の始まり』
  • 松井智子(京都大・霊長研)『知識の呪縛(Curse of Knowledge)と他者理解』
  • 大井学(金沢大・教育)『高機能自閉症・アスペルガー症候群をもつ子どもの語用障害に対する対人的補償』
  • 神尾陽子(国立精神・神経センター)『自閉症の1次障害は存在するのか:こころの理論障害仮説の功罪』
  • ポスターセッション:ポスター発表33件
  • セッション2 司会:田中正之
  • 赤木和重(三重大・教育)『チンパンジーの社会的参照行動からみる自他理解の発達』
  • 平田聡(林原類人猿センター)・明和政子(滋賀県立大・人間文化)『チンパンジーにおける自己映像の理解』
  • 懇親会

  • 8月31日(木)
  • セッション3<Young Talk> 司会:松井智子
  • 森口佑介(京都大・文)『他者理解が幼児の行動制御に与える影響』
  • 平井真洋(生理学研・学振PD)『他者行為知覚処理の神経基盤:事象関連電位計測による検討』
  • 三浦優生(京都大・霊長研)『幼児による話者の信頼性判断の発達』
  • 実藤和佳子(九州大・人間環境)『ヒト乳児における他者理解の発達:「自分に似た他者」検出が果たす役割』
  • 田中優子(科学技術振興機構・社会技術システム)『自閉症者の指示詞使用からみた他者理解』
  • 昼食&ポスターセッション
  • セッション4 司会:田中正之
  • 嶋田総太郎(明治大・理工)『自己/他者身体の脳内表現』
  • 佐藤徳(富山大・人間発達科学)『アクションにおける自己知覚』
  • 村田哲(近畿大・医)『ミラーニューロンと自他区別の神経機構』
  • 総合討論 司会:松井智子,友永雅己
  • 指定討論者:板倉昭二(京都大・文)

  • 昨年度,「視線・共同注意・心の理論」と題して,社会的認知を多様な視点から展望する共同利用研究会を開催した.この研究会では,社会的認知の「入り口」ともいうべき「視線」にまつわるさまざまな問題を取り上げたが,その先にある「他者の心的状態の理解(心の理論)」へ向けての議論は今後の課題として残された.そこで,今回の研究会は「自己と他者を理解する」と題して,他者理解を中心のテーマに据え,それと対を成す重要な能力である「自己理解(自己認知)」の問題も視野に入れて開催することとした.前回の研究会同様,多様な研究領域から多くの方にご参加いただき議論を行い,「比較認知発達」というパースペクティブからこれらを総括して今後の展望を考えることを目的とした.
  • 今回の研究会の特筆すべき特徴は,前回同様,世話人たちが対応している共同利用研究の成果を中間報告というかたちでポスター発表してもらうポスターセッションと,大学院生およびポスドクによる口頭発表セッションを設けた点である.近年の学会等ではポスター発表が主流となり,若い研究者にとって,決められた時間内に自分の研究を簡潔にまとめてプレゼンテーションを行うという機会が非常に少なくなっている.そのような場を提供することにより,若手研究者の育成に少しでも貢献できればと考えた.また,ポスターセッションには,口頭発表者が指導する学生にも門戸を開き,異なる研究領域間の交流を深める機会を提供した.これらの試みはそれなりに成功であったと考えている.今後もこのような場を共同利用研究会の中で提供していきたいと考えている.
  • 研究会での各発表者のトピックは,非常に幅広くエキサイティングなものであった.それは,「自己認知」「他者理解」という問題に対して学際的なアプローチがすでに進展しつつあることを実感させるに十分なものであった.そのような流れの中にいかにして「進化」や「発達」といった時間軸を導入していくか,すなわち「比較認知発達」的アプローチの可能性について,総合討論の中で議論を深めることができたと考えている.
  • 社会的認知とその関連領域に関する比較認知科学的アプローチを模索するこのような研究会を,今後も第3回,第4回と続けていきたいと考えている.
  • (文責:友永雅己)

  • 第15回ニホンザルの現況研究会
  • 「野生ニホンザル:この10年間の変化と今後への課題」
  • 日時:2006年9月2日(土)〜3日(日)
  • 会場:京都大学霊長類研究所大会議室
  • 参加人数:約60人
  • 世話人:渡邊邦夫,M.A.Huffman,川本芳,毛利俊雄

  • <プログラム>
  • 9月2日(土)13:30〜17:30
  • 1.白神山地における人‐サル問題の解決に必要な視点とは何か?〜内発的発展,合意形成,リスク管理〜
  • 江成広斗(東京農工大)
  • 2.GISを利用した野生動物の潜在分布や拡散経路の推定−本当はどんな分布を示すのか?どう分布を広げるはずか?
  •  三谷雅純(兵庫県立大学 自然・環境科学研究所/人と自然の博物館 生態研究部門)
  • 3.中国地方における最近の動向
  • 林勝治(広島県立大)
  • 4.高崎山における人工餌獲得量の順位格差について
  •  栗田博之(大分市)
  • 5.石川県のニホンザルの保護管理
  • 林哲(白山自然保護センター)
  • 懇親会

  • 9月3日(日)9:00〜12:00
  • 6.下北半島のサル:初めての駆除と今後の課題
  • 松岡史郎(ニホンザル・フィールド・ステーション)
  • 7.宮城県のニホンザルの現状と保護管理への取り組み
  • 宇野壮春(宮城のサル調査会)
  • 8.富山県のニホンザル保護管理問題と現在の課題
  • 赤座久明(富山県立雄峰高校)
  • 9.野生ニホンザルの個体群コントロールはどうあるべきか?
  • 渡邊邦夫(京大霊長研)
  •   総合討論(13:00-15:00)

  • ニホンザルの現況研究会は,1972年以降断続的に野生ニホンザルの現状と保全の問題を中心に議論を重ねてきたが,ここしばらくは開催されていなかった.近年日本各地で野生ニホンザルの分布拡大と人里近くでの被害問題の増加が続いており,またこの間鳥獣保護法の改訂にともなってスタートした特定鳥獣保護管理計画も,一定の見直しが必要になってきている.こうした状況をうけての,6年ぶりの研究会開催であった.
  • 江成は,青森県で行ってきた白神山地での猿害問題調査から,主として地域社会の問題について報告した.特に西目屋村で行われたボランティアによる追い上げ事業の効果と,地域農山村の現状について詳細な報告があり,内在する問題の複雑さが明らかになった.
  • 三谷は,中国地方で行ってきた,ツキノワグマについてのGISを利用した潜在植生や人里への出没経路などについての分析を紹介し,猿害問題への応用の可能性を提示した.こうした分析はようやく始められたばかりであり,まだその可能性をさぐっている段階であるが,今後野生鳥獣保護管理の上での重要なツールになってくることであろう.
  • 林(勝)は,ここ10年ほど続けてきた広島での被害対策について報告し,捕獲が続いているけれども,サルの数がさほど減ることもなく,また被害もやや収まってきている実状について,その分析を行った.被害額が減ってきていることには,住民による対策への理解が進んできたことが重要であり,また効果的な追い上げ体制が確立されてきたことが重要だったのではないかとの指摘があった.ただ,サルと人との棲み分けができているわけではなく,継続的に被害対策を続けていかざるをえないという認識も報告された.
  • 栗田は,高崎山で行っている餌付け群コントロールのための餌量調節にあたって,順位によって起こってくる人工餌獲得量の違いと,そのメカニズムについて論じた.高位個体と低位個体とでは,獲得餌量に約2倍程度の差があり,その差を無くしていくための方法が模索されている.
  • 林(哲),宇野,松岡,赤座からは,それぞれ石川県,宮城県,下北半島,富山県で行われてきた,特定鳥獣保護管理計画の進展状況と問題点について報告された.それぞれ特徴をもった地域ごとの問題が話されたわけであるが,まず林(哲)は石川県の保護管理計画の概要について報告した.松岡は下北での分布拡大・個体数の増加が続く中でスタートしたサルの捕獲問題についての論議を行った.宇野は,宮城県で行っている奥山の群れが里の方へ降りてくるのを防ぐための追い上げの実践例について報告し,野生群全体としての生態管理の方向性について問題提起を行った.赤座は,最近行っているmtDNAを用いた分析の結果を交えながら,富山県から中部山岳地帯へかけてのニホンザルの遺伝的多様性を紹介し,保護管理計画の進行状況についての報告を行った.いずれも膨大な資料に基づいた報告であり,近年のニホンザル地域個体群の動向を知る上ではたいへん貴重なものであった.また各県で取り組まれている保護管理計画の概要やそれぞれの特色についても,その中核となって働いている研究者たちからの報告が並列的に行われたことにより,その幅広さや問題の複雑さもより明らかになったと思われる.
  • 最後に,渡邊が今後の個体群管理の方向性について論じ,特に捕獲を含む個体群調整が避けられないであろうとの問題提起を行った.この問題は,ともすればタブー視されて本研究会でも議論を避けてきたものであるが,近年の分布拡大や市街地近くでの被害拡大を目の当たりにしての議論であった.
  • それぞれの地域の実情やこれまでの経緯,さらには各人のさまざまな思いが交錯する中で,真剣な議論が行われた.まだ新たな方向性が見えてきたというわけではないが,野生ニホンザルの保護管理問題について,一石を投じるものになったことは確かであろう.
  • (文責:渡邊邦夫)

  • 2006年ホミニゼーション研究会「見る,聞く,話すの進化」
  • 日時:2006年11月7日(火)
  • 場所:京都大学霊長類研究所大会議室
  • 参加人数:約100人
  • 世話人:M.A.Huffman,大石高生,脇田真清,遠藤秀紀

  • <プログラム>
  • 西村剛(京大院理学・自然人類)「形態進化と言語の起源」
  • 泉明宏(精神神経センター・モデル動物開発)「サルの聴覚世界:知覚とその神経基盤」
  • 工藤紀子(千葉大・理研)「ヒト新生児・乳児の統計的学習と脳活動」
  • 松井智子(京大霊長研・認知学習)「ヒト幼児の語彙学習と社会的認知」
  • 今井むつみ(慶応大・環境情報)「語意学習におけるブートストラッピングメカニズム」
  • 今井啓雄(京大霊長研・遺伝子情報)「光受容タンパク質:ニワトリ,ノックインマウス,霊長類」
  • 河村正二(東大院新領域創成科学・人類進化システム)「新世界ザルの色覚多様性が教えてくれること」
  • 宗宮弘明(名古屋大院生命農学・水圏動物学)「網膜生態学の可能性:サカナとトリと哺乳類」
  • 小川正(京大院医学・認知行動脳科学)「視覚的注意の神経機構」
  • 総合討論

  • 視覚や聴覚,言語の進化や発達に関する多方面からの議論をねらい,ホミニゼーション研究会を開催した.ヒトや類人猿に限らず,広く脊椎動物の感覚器や中枢神経まで含めた多様な演題を用意して,活発な討議を進めた.
  • まず言語や聴覚については,霊長類の咽頭・喉頭の形態学的な進化史を俯瞰し,いかにして機能性の高いことばを発することができるようになったのか,最新の成果を聴いた.また,霊長類の知覚に関する神経科学的な議論を行った.ヒトを含む霊長類の比較的高度なコミュニケーションやその情報を処理する基盤的システムについて,理解が進んだと期待される.
  • また本研究会は,ヒトの新生児あるいは幼児の学習と脳の発達というテーマについて,一連の演題を含めた.ヒトの幼児が語彙をいかに学習し,社会性のある認知能力を備えていくか,興味深い論議となった.
  • 一方で光受容性については,分子生物学的に光受容機能の物質基盤を語る演題が設けられた.光受容タンパク質の機能発現について,遺伝子レベルでの知見が紹介された.また新世界ザル特有の現象として,多様な視細胞における光受容機能が,遺伝学的・分子生物学的に決定されている様子が報告された.
  • さらに,脊椎動物各群において,網膜の組織学的な特徴の報告があり,網膜の細胞分布のレベルでも視野特性が決定され,それが各動物種で生態学的な適応の帰結であことが示唆された.また,視覚的注意の神経機構に関する議論も行われた.
  • 本ホミニゼーション研究会については,共同利用委員会の発案による企画・開催・運営で開催されたことが新しい試みである.これは多様化する霊長類学研究に対して,個別の研究グループからはなかなか幅広い論議の場が生じないことが心配され,行事全体を共同利用委員会の俯瞰的発想により計画立てたものである.その効果は大きかったと考えられ,今後の集会運営形態に影響を与える可能性がある.
  •                (文責:遠藤秀紀)
  •       
  • 「異なる環境における霊長類の生態と行動の比較」
  • 日時:2006年12月16日(土)〜17日(日)
  • 場所:霊長類研究所大会議室
  • 参加人数:約45人
  • 世話人:M.A.Huffman,橋本千絵,山極寿一

  • <プログラム>
  • 12月16日(土)
  • M.A.Huffman(京大・霊長研) 「開会の挨拶」
  • 五百部裕(椙山女学園大・人間関係)「アフリカ産コロブス類の社会と対捕食者戦略」
  • 竹元博幸(京都大・霊長研)「ボッソウ,カリンズ,ワンバのチンパンジー・ボノボと微気象」  
  • 松本晶子「ヒヒ類の生態と行動」
  • 山極寿一「環境の違いはゴリラの生態と社会にどのような影響を与えているか:ヴィルンガとカフジの比較
  • 総合討論

  • 12月17日(日)
  • M.A.Huffman(京都大・霊長研)「ルボンド島チンパンジーの社会と文化,他地域との比較」
  • 鈴木滋(龍谷大・国際文化)「ゴリラと同所的に暮らすチンパンジー」
  • 古市剛史(明治学院大・国際)「採食・遊動・グルーピングパターンに関するチンパンジーとボノボの種間比較」
  • 総合討論

  • コメンテータ:黒田末寿,小川秀司,竹ノ下祐二,松原幹,久世濃子,下岡ゆき子,橋本千絵

  • 本研究会は,異なる環境下に生息するアフリカ中型霊長類や大型霊長類の生態,行動,社会がどのように異なっているのかを討論し,環境による影響について理解を深め合うことを目的として行われた.主に,近縁種の生態の比較や同じ種(属)の霊長類の生態における地域間の比較をテーマとして発表があった.参加者は発表者を含めて約30人でそれほど多くはなかったが,逆に密度の高い活発な議論ができ,有意義な研究会であった.
  • (文責:M.A.Huffman)

  • アジア霊長類の生物多様性と進化(兼:流動部門中間評価発表会)
  • 日時:2007年3月9日(金)〜10日(土)
  • 場所:京都大学霊長類研究所大会議室
  • 参加人数:約86人
  • 世話人:平井啓久,正高信男,渡邊邦夫,高井正成,田中洋之

  • <プログラム>
  • 3月9日(金)
  • I : 音声(座長:正高信男)
  • 正高信男:「テナガザルの音声と言語の起源」
  • 香田啓貴:「スマトラ島におけるアジルテナガザルの音声を手がかりとした野外調査」
  • 親川千紗子:「テナガザルにおける種特異的音声の変異性」
  • 田中俊明:「カリマンタン島およびスマトラ島のテナガザルの音声比較調査報告」
  • II : 分布・生物地理(座長:渡邊邦夫)
  • 渡邊邦夫:「中部スマトラ3州における中大型哺乳類26種の分布現状とその歴史的変遷について」
  • 濱田穣:「マカクの多様性:とくにインドシナ地域におけるアカゲザルとカニクイザル」
  • III : 保全(座長:渡邊邦夫)
  • 室山泰之:「ニホンザルの保全と管理」

  • 3月10日(土)
  • IV : DNA分化(座長:田中洋之)
  • 安波道郎:「マカク属霊長類の生体防御に関連する遺伝子群の比較ゲノム解析」
  • 松井淳:「ミトコンドリアDNA全塩基配列による霊長類の系統進化」
  • 田中洋之:「アジルテナガザル(Hylobates agilis)の亜種間関係とその系統的位置づけ」
  • 早野あづさ:「マイクロサテライト解析からみたアジルテナガザルおよびミューラーテナガザルの遺伝的組成」
  • V : 遺伝資源・分子生理(座長:景山 節)
  • 明里宏文:「ヘルペスウイルスサイミリを利用した霊長類不死化細胞株ライブラリーの開発」
  • 景山節:「ペプシンの多様性と機能分化」
  • VI : 染色体分化(座長:平井啓久)
  • 田辺秀之:「霊長類染色体の3次元核内配置のダイナミクスとゲノム進化」
  • 平井啓久:「アジルテナガザルの染色体分化」
  • 田口尚弘:「染色体顕微切断法を使った染色体解析」
  • VII : 形態・系統(座長:高井正成)
  • 西村剛:「テナガザル類の舌骨喉頭器官の形態変異について」
  • 高井正成:「ユーラシアの西と東,チベットの北と南:アジアのサルの拡散経路を探る」
  •      
  • アジア霊長類の行動,生態,遺伝,形態の所内研究者の研究発表に加えて,共同利用研究員の染色体の核内配置,細胞株開発・ウイルス疾患,染色体微細構造,ミトコンドリア全塩基配列解析の演題も加わって活発な議論が行われた.
  • 共同利用研究によって行われた研究は,マカク類の生体防御に対する遺伝的変異性の詳細な解析データ,糞を使ったミトコンドリア全塩基配列の解析法と系統進化研究への応用,ヘルペスウィルスを用いた新しい技術による不死化細胞株作製法,染色体特異的プローブ作製のための染色体顕微切断法,ならびに核内の染色体配置解析法と核内配置の進化的意義ついてそれぞれ紹介があり有意義な議論が行われた.各研究課題とも方法ならびに成果において,世界を牽引する内容を含んでおり,共同利用研究成果として高い評価を得るものばかりであった.この研究会をとおして新たな共同研究も生まれた.
  • 流動部門の中間成果発表は下記のようなものであった.テナガザルの研究ではソングの雌雄におけるデュエット機構の進化,音声の種特性と個体変異性ならびに地域変異性の発見,さらにそれらの研究を支える研究調査地の重要性について議論があった.また音声の特性を産む咽頭の形態の分化,ならびに分子系統地理学的研究(染色体変異,ミトコンドリアDNAおよびマイクロサテライトDNAの分化)の新知見の紹介と意見交換があった.分布・生物地理・保全のセッションでは,スマトラにおける現在のファウナの調査データ,東南アジアのマカク類の形態学的生物地理学データ,ならびにニホンザルの保全に関わる現状と理論・技術的問題点が紹介され,それぞれの新知見を基盤として活発な議論が行われた.形態・系統セッションではアジアのサル類の拡散経路について,新しい仮説の提唱があり今後の展開が期待された.分子生理セッションではペプシン遺伝子の多様性とその機能の進化を通して,生物の大進化と摂食の進化との因果関係が紹介され,遺伝子進化解析の重要性が再認識された.
  • 過去3年間の共同利用研究と流動部門の研究成果を俯瞰することによって,成果の敷衍と問題点の修正について議論することができたことは大きな収穫であった.
  • (文責:平井啓久)

↑このページの先頭に戻る

このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 自己点検評価委員会