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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2007年度 > X 共同利用研究・研究成果−施設利用 11〜20

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.38 2007年度の活動

X 共同利用研究

2 研究成果 施設利用 11〜20

11 チンパンジーにおけるアミロイド症の1例

柳井徳磨, 児玉篤史 (岐阜大・応用生物)

 アミロイド症は, アミロイドと呼ばれる異常蛋白が種々の臓器の細胞間に沈着し, 組織構造と臓器の機能障害を引き起こす疾患である. ヒトにおいては, 比較的多数の研究が報告されているものの, チンパンジーを含めた類人猿における報告例は少ない.

症例は41歳雌のチンパンジーで, 高度な削痩 (体重27kg) がみられた. 剖検では化膿性肺炎,高度な腹膜炎, 肝臓の腫大 (1.63kg), 腎皮質の白色化が認められた. 組織学的には, 肝臓において高度なアミロイド沈着が認められ, 腎臓では糸球体アミロイド症および間質性腎炎が認められた. 肝臓では, ディッセ腔におけるアミロイド様の無構造弱好酸性硝子様物質の高度な沈着が認められ, 肝細胞索は種々の程度に圧迫萎縮を示していた. 好酸性硝子様物質はコンゴレッド染色にて赤橙色を示し, 偏光顕微鏡では青リンゴ状に光る重屈折性を示した. また, 過マンガン酸カリウム処理を行った後にコンゴレッド染色を行ったところ, 硝子様物は染色性を失った. 抗ヒトアミロイドA抗体を用いた免疫組織化学的検索では, 硝子様物は陽性反応を示した. これらのことから, 硝子様物はAAアミロイドと考えられた. 動物においてAAアミロイド症は炎症性疾患に続発することが報告されていることから, 本アミロイド症は肺炎あるいは腸炎など慢性炎症に起因することが示唆された. 本研究ではGAINによる材料提供を受けた.

12 ニホンザルの古分布の復元−主に近世近代を中心に−

三戸幸久 (NPO法人ニホンザルフィールドステーション)

 先年に引き続き, ニホンザル野外観察施設部門におけるニホンザルの過去の生息情報資料を利用し生息地の特定と地図化を進めた.

今回地図化したのは青森県, 秋田県, 岩手県, 山形県, 宮城県, 福島県の6県で大正12年 (1923年) 長谷部言人資料, 昭和28年 (1953年) 岸田久吉資料, 昭和60年 (1935年) 竹下完資料の3資料である (表1.).

表1. 各県各資料で記載された生息地を地図化した件数

  1923年長谷部 1953年岸田 1960年竹下

青森県  31     13       6

秋田県   15 4 3

岩手県 28 3 3

山形県   15 5 3

宮城県   17 7 5

福島県   11 6 3

13 多摩動物公園における施設改修に伴う飼育下オランウータンの糞中コルチゾル濃度の測定

山崎彩夏 (東京農工大・比較心理)

 環境エンリッチメントの効果をより客観的に測定するためには複数の評価指標を併用することが重要である. ストレス耐性ホルモンである糞中コルチゾル濃度の測定は動物福祉の観点から非侵襲的評価指標として有用性が高い. 本研究は, 2005年3月に多摩動物公園 (東京都日野市) に新設されたオランウータン飼育施設において飼育されるボルネオオランウータン (Pongo pygmaeus) 3個体を対象として, 立体的でより複雑な刺激が存在する多様な飼育環境への導入が, 飼育下オランウータンにいかなる影響を与えるかに関し定量・定性化することを目的として中長期的な観察および糞の採取をおこなってきた. 本年度は, 採取した糞検体を対象とし, 昨年度確立したELISA法 (Enzyme-Linked Immunosorbent Assay: 酵素免疫測定法) を用いて, 糞検体中コルチゾル濃度の動態を分析した. その結果, 各個体における糞検体中コルチゾル濃度は旧施設および移動後1?2ヶ月で高い傾向を示したが, 移動後3ヶ月で減少する傾向を示した. また生理学的反応に対し行動学的反応は緩やかに持続した. このことは, 環境エンリッチメントの評価において異なる評価指標をいかに併用するかに関し今後検討をする必要性を示している.

14 霊長類前肢の力学モデルの構築

江木直子 ( (財) 日本モンキーセンター)

 骨形態は力学的荷重環境に適応していると考えられている. 本研究は, 前肢筋骨格系の数理モデルを用いて, 骨形態や姿勢と骨にかかる荷重との関係を評価することを目的とし, 本年度はモデル構築のためのデータを収集することに重点を置いた. ここでは, 樹上性四足歩行者であるオマキザル (Cebus apella) を一般的な霊長類とし, 試料には霊長類研究所所蔵の液浸標本を用いた. まず, 軟骨も含んだ交連状態での骨格の位置関係を得るために, 前肢部を医療用CTで0.2mmの精度で撮影した. 続いて, 肩甲骨, 上腕骨, 橈・尺骨に起始・停止する40の筋肉の付着位置を調べ, CT画像上へこれらの位置情報を記録した. 剖出した各筋肉については, 質量, 筋線維長, 生理学的筋断面積を計測した. オマキザルでは, マカクやコロブス類に比べると, 肩の筋肉, 特に腕を前に出す動作に関係する筋肉の質量が小さく, 一方, 上腕部の筋量は相対的に大きかった. 今後, これらのデータをもとに, オマキザルでの姿勢, 筋の働き, 関節反力の関係をしらべ, また骨格形態・相対的筋量についての他種との違いが荷重にどのような違いをもたらしているかを検討していく.

15 霊長類の第四乳臼歯,第四小臼歯,および第一大臼歯の比較解剖学的研究

二神千春 (愛知学院大・歯)

「霊長類の第四乳臼歯, 第四小臼歯, および第一大臼歯の比較解剖学的研究」により旧世界ザル13種700個体の乳歯列, および永久歯列の標本を観察し, 旧世界ザルでは一般に第四乳臼歯と第一大臼歯の歯冠パターンは同じであり, 第四小臼歯とはパターンが異なっていることが明らかとなった. マカク属とコロブス属などでは, 遠心の大臼歯ほど大きくなる傾向があるが, オナガザル属では必ずしも第三大臼歯が最も大きいわけではなく個体変異が大きいことが分かった. とくに下顎第三大臼歯ではHypoconulidの個体変異が大きかった.

以上のような旧世界ザルの臼歯の形態, サイズの関係を大まかに把握することができた.

16 ニホンザルを対象とした警告刺激を利用した回避学習の形成

室山泰之, 鈴木克哉 (兵庫県立大・自然環境科学研究所)

 ニホンザルによる農作物被害対策として, 音や光などの感覚刺激を用いた被害防止技術は一般によく用いられているが, 刺激に対する馴化を防止あるいは遅延する技術がないため, 短期間で効果が消失すると言われている. そこで, 飼育下のニホンザルを対象として, .汽襪旅堝阿砲△錣擦道彪磴鯆莠┐垢, 嫌悪刺激に先行して警告刺激を呈示することによる刺激への馴化遅延について検討した. 結果, 個体の行動に随伴して刺激を呈示することにより, 単純な音刺激であっても忌避行動を生起し一定期間維持できること, 馴化の進んでいない個体に対してより高い馴化遅延効果が期待できることが明らかになった. 一方, 警告刺激を用いた実験では, 警告刺激の呈示に回避行動を示した個体も存在したが, 反応には個体差があった. これは忌避行動を生起させるための嫌悪刺激が不十分などの理由が考えられる. そのほか警告刺激の呈示による回避学習の形成には, 技術的な課題が数多く残っており, 今後さらに基礎データを積み重ねる必要がある.

17 Activity-Sleep Quantitation in New World Monekys by non-invasive actigraphy

サチタナンタンスリカンタ (岐阜薬科大)

 I carried out experiments to test the hypothesis that activity-behavioral sleep parameters differ between nocturnally-active 7 owl monkeys (Aotus azarae) and diurnally-active 4 squirrel monkeys (Saimiri boliviensis?), both sympatric in Neotropical habitat. The higher total sleep time (TST) /24 h values quantitated for owl monkeys in comparison to that of squirrel monkeys (606±93 min vs 287±200 min, p<0.01) as well as longer the sleep episode length (SEL)/ 12 h quiescent phase quantitated for owl monkeys compared to that of squirrel monkeys (46±28 min vs 9±5 min, p<0.01) indicate that the behavioral sleep is markedly differs between these two monkeys, though they are sympatric in wild. Though the results obtained in this study are under captive conditions, significant differences exist in the sleep architecture between diurnally-active squirrel monkeys and nocturnally-active owl monkeys.

18 ニホンザルにおける運動能力の研究?跳躍可能範囲の測定?

江口祐輔, 堂山宗一郎, 豊田英人, 植竹勝治, 田中智夫 (麻布大獣医), 鈴木克哉 (京都大・霊長研)

 ニホンザルの運動能力に関する基礎的知見を得るために, 跳躍能力 (垂直跳び・幅跳び) を測定した. 昨年度は高さ2.5mの跳躍台の横に同じ高さの着地台を設置し, サルが跳躍台から着地台に飛び移って餌を得る行動を利用して, 幅跳びの能力を測定した. その結果, 2歳と3歳の個体が2.2mの距離を飛ぶことができた. そこで本年度は跳躍台の高さを3mに引き上げ, 着地台よりも高い位置からの跳躍距離を測定した. 調査は野外観察施設で行い, 高浜群 (49頭) を供試した. その結果, 昨年度と同様, 2歳と3歳の個体が2.2mの距離を飛ぶことができ, それ以上の距離に対しては跳躍を試みなかった. 跳躍台の高さにかかわらず, 幅跳び可能距離は変わらなかった

19 霊長類研究所のチンパンジーをモデルとした基礎研究

郡山尚紀 ( (財) 日本モンキーセンター)

 エコツーリズムが行われているアフリカの国立公園では, 大型類人猿の大量死が起こることが報告されてきた. これらの原因がヒトであるかを探る手がかりとして, チンパンジーとヒト由来病原体との関係を調べた. 霊長類研究所で飼育されている11頭のチンパンジーから得た血清をもとに, 彼らが有している呼吸器系ウイルスと細菌に対する抗体の検出を試みた. 検出には補体結合反応 (CF), 酵素抗体法 (EIA), 間接酵素抗体法 (ELISA), 赤血球凝集反応 (HI), パンニング法 (PA) を用いた. 結果, 百日咳菌, パラインフルエンザウイルスIII型に対して高い反応が見られ, これに続いてRSウイルス, 麻疹ウイルス, アデノウイルスの抗体が証明された. これら呼吸器系に感染する病原体は飛沫感染, 空気感染, 間接的感染 (病原体が付着した物体を経口的に取り込んでしまう) によって伝播が起きる. 当然, ヒトと接触の機会が多いチンパンジーがこれらの病原体にさらされた事が推測される. 今後, 抗体が証明された病原体はチンパンジーにとって致死的であるのか, 感染は起こすが発症はしないのかを調べる.

20 視覚機能解剖学

平岡満里, 高田昌彦 (東京都医学研究機構・東京都神経科学研究所)

 1) 新生児サルにおいて水晶体調節機構における毛様小帯の発達過程について新知見が得られた. すなわち (1) 生後短期間においては全周に亘って水晶体嚢に血管が残存している. (2) 将来毛様突起になるべき色素上皮を伴った虹彩と連続した組織には嚢と連続した網状膜がそんざいする. この膜は免疫染色でFibrillin-1であることが確認された.

 2) 成熟サルにおいては前嚢に結合した小帯は主に毛様突起部から発して円周状に連結しており, 調節において嚢自体を角膜方向に牽引して水晶体の前後径を変動させている. 一方後嚢に結合した小帯は毛様体扁平部から発しており前嚢の動きに対して水晶体を支持していると考えられる (投稿準備中).

 3) 網状膜がどの月齢で前嚢・後嚢に結合する三角形の毛様小帯に分化するかは未知である. ヒトにおいても視機能の発達は時間を要する. すなわち調節が可能になるためには小帯の機能的分化が必須であると考えられた.

 4) in situ hybridizationにより毛様体無色素上皮で Fibrillin-1が産生されており, その量は新生児のほうが成熟サルよりも有意に多量であった (投稿準備中).

 5) 今後幼弱サルの調節機構に関わる構造変化を検討したいと考えている.

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