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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2008年度 − III 研究活動 集団遺伝分野

京都大学霊長類研究所 年報

年報 Vol.39 2008年度の活動

III 研究活動

集団遺伝分野

古賀章彦(教授),川本芳(准教授),田中洋之(助教),

川本咲江(技能補佐員),川合静,齊藤梓(大学院生)

※古賀章彦については,2008年10月に転入のため,これ以降の活動を記載.

<研究概要>
A) 哺乳類のDNA型転移因子の特性に関する研究

古賀章彦

 

DNA型転移因子は,カット・アンド・ペーストの様式で転移する転移因子である.多くの生物で,ゲノムに変化をもたらす要因の1つとなっている.哺乳類のゲノムにも,DNA型転移因子は多数存在する.しかし,その転移活性に関して,哺乳類は,他の生物と著しく異なる点がある.転移活性を保持している因子がみつからないことである.その理由を追求する研究を,開始した.まず仮説を2つ立て,続いて実験で検証するための材料や機材の準備を行った.

 

B) ニホンザルの集団遺伝学的研究

川本芳,川合静,齊藤梓,川本咲江

従来はミトコンドリアDNA非コード領域につき,第2可変域の地域変異を調べてきた.今年度より上流部の第1可変域の分析を開始した.各地に特異的なタイプを同定すると共に,第2可変域との多様性や系統地理の違いの検討を進めている.研究成果は2009年7月の日本霊長類学会大会で発表する予定である.
昨年度につづき,常染色体とY染色体にあるマイクロサテライトDNAの変異の検索を行い,幸島,房総半島などを中心に孤立個体群の遺伝的多様性を検討している.
共同利用研究では,富山県,長野県,兵庫県に加えて今年度から静岡県の地域個体群の調査を開始した.各種遺伝標識につき個体群の多様性や系統地理的関係の調査を進めている.研究成果の一部は2008年7月の日本霊長類学会大会で発表した.
ニホンザルの遺伝的多様性と地域分化に関する研究成果を哺乳類学の書籍で公表した.

 

C) マカカ属サルの系統関係

川本芳,川合静,濱田穣(進化形態分野)

バングラデシュ,ブータン,ネパールで野外調査を行い,アカゲザル(Macaca mulatta)とアッサムモンキー(M. assamensis)の系統関係および遺伝的特徴に関する知見を得た.
HOPE事業の旅費支援を受け8月にバングラデシュを訪問した.Jahangirnagar大学の動物学教室に遺伝子分析実験室を開設し,霊長類の集団遺伝学研究拠点が稼働しはじめた.都市部に孤立する個体群を中心に,これまでに12地点のアカゲザルに関するミトコンドリア遺伝子変異を調査し,系統地理的な関係の検討を進めている.2月には若手研究者を招き,現地での研究に利用できる実験技術の研修を行った.
川本は8月と2?3月にブータンを訪問し,アッサムモンキーの調査準備を進めた.TongsaとShemgang地区でアッサムモンキーの生息状況と農耕地被害の状況を調査した.3月にはネパールを訪問し,西部のSurkhetの北で霊長類狩猟民Raute族に面会した.彼らの生業,季節移住,狩猟対象種などにつき聞き取り調査を行い,ネパールにおけるアカゲザルとアッサムモンキーの生物地理に関する情報を得た.
川合と濱田はラオスで1月に開催された国際シンポジウムに参加し,ミトコンドリア全ゲノム配列の比較によるマカクの系統研究,および東南アジアのマカクの多様性と地域分化に関する研究成果を発表した.

 

D) マカカ属サルの交雑に関する遺伝学的研究

川本芳,齊藤梓

過去4年間に行った和歌山県のタイワンザル交雑群に関する総合的研究の成果を報告書として印刷公表した.この報告書は,形態,遺伝等の資料集にもなっている.
8?9月には,和歌山県との合同調査で大池地域のタイワンザル交雑群の生息状況を調査し,群れや残存個体数の推定を行った.
房総半島におけるニホンザルとアカゲザルの交雑に関しては,検討委員として県事業計画の立案と実施に参加するとともに,交雑群の遺伝的モニタリングに協力している.
Y染色体マイクロサテライト遺伝子変異を応用し,交雑群から周辺のニホンザルへの拡散を判定する手法を開発した.齊藤はこの成果を2008年7月の日本霊長類学会大会ならびに9月に沖縄で開催された国際シンポジウムで発表した.川本は同国際シンポジウムで国内のマカク外来種問題と遺伝的モニタリングの現状を発表した.また,国内外の交雑問題を一般誌で紹介し,問題の啓発に協力した.

E) マカクザルコロニーの集団遺伝学的研究

田中洋之,森本真弓,釜中慶朗,松林清明(人類進化モデル研究センター),川本咲江,川本芳
霊長類研究所で維持されているマカクザルコロニーの遺伝的多様性の特徴を明らかにする調査をすすめた.当研究所のニホンザル群およびアカゲザル群の現時点での遺伝的多様性が,ニホンザル野生群の多様性(庄武,山根2002)と同等であることがわかったので,第24回日本霊長類学会大会で発表した.アカゲザル群にて,それらの創始集団の出身地を明らかにする目的でmtDNAの塩基配列の分析を行った.

 

F) マダガスカル産霊長類の遺伝学的研究

田中洋之,田中美希子(遺伝子情報),川本芳,市野新一郎(京都大学理学研究科)

宗近功氏(財団法人 進化生物学研究所)との共同利用研究で,絶滅危惧種のエリマキキツネザル2種およびクロキツネザルの飼育個体群を対象に,マイクロサテライトDNAの多型性の調査をすすめた.クロキツネザル飼育群で,10遺伝子座のマイクロサテライトに多型が見つかったこと,およびそれらを用いて父子判定が成功したことを第24回日本霊長類学会大会で発表した.
ベレンティ保護区のチャイロキツネザル種間雑種集団の遺伝構造を明らかにするため,マイクロサテライトDNAのデータに新たな分析を加えた.その結果を第56回日本生態学会大会で発表した.
市野と川本は第22回国際霊長類学会(Edinburgh)でベレンティ保護区のワオキツネザル群における父子判定および雄の繁殖成功に関する遺伝学的研究の成果を発表した.

 

G) 家畜化現象と家畜系統史の研究

川本芳

8月,2?3月にブータンを訪問し,ウシ科の家畜ミタンの遺伝学的調査を行った.ミタンはウシと交雑利用されており,各地の交雑状況を把握するためにミルクタンパク質が有用な遺伝標識になる.ブータン農業省の研究者に協力し分析を進め,11月には日本に招いて実験技術とデータ解析の研修を行った.
アンデス高地のラクダ科家畜調査の一環として,9月にペルーのSicrus遺跡を訪問し,獣骨の発掘と遺伝子分析につき現地研究者と研究計画を検討した.
アンデスとヒマラヤの高地における家畜化と家畜利用に関する総説をまとめて印刷公表した.

 

H) 霊長類の民俗生物学的研究

川本芳

トヨタ財団から2年間の援助を受けて行った厩猿(うまやざる)の研究成果を報告書にまとめた.第2回目のアンケート調査を実施し,第1回目の調査結果と合わせてデータベース化してホームページで公開した.2回のアンケートから,各地の厩猿にまつわる物的証拠(石塔・石碑,神社・仏寺,厩猿本体,祭事・行事,講・法会)ならびに信仰や風習(蒼膳神,馬櫪神,馬頭観音,厩猿信仰,日吉信仰・山王信仰など)の残存状況が把握できた.また,アンケート調査結果を参考に,岡山県,熊本県,宮崎県で厩猿の所有者を訪ね,聞き取りにより信仰や残存状況を調査した.東北地方では厩猿の所有者に協力を得て骨のmtDNAの分析を行い,絶滅地域に生息したニホンザルの遺伝子特性を調査している.

 

I) ハナバチの歴史生物学的研究

田中洋之

総合地球環境学研究所プロジェクト「日本列島における人間-自然相互間の歴史的・文化的検討」(リーダー:湯本貴和教授)に参加し,植生景観や土地利用とマルハナバチ各種の分布の関係についての調査を7月に中国地方,9月に九州で行った.また,東アジアのナガマルハナバチ亜属の種の分子系統関係をmtDNAを用いて分析し,その結果を第56回日本生態学会大会で発表した.

 

<研究業績>
原著論文

1) 川本芳 (2008) サル地域個体群の保全・管理にむけた遺伝的モニタリング. 哺乳類科学 48(1):149-154.

総説

1) 川本芳 (2009) アンデス高地で利用されるラクダ科家畜の遺伝的特徴と家畜化をめぐる問題.「ドメスティケーション−その民族生物学的研究−」. 国立民族学博物館調査報告 84:307-331.

報告

1) 川本芳 (2008) 野生動物との新たな関係 [24]−外来種の排除と根絶に向けて− サル(1)ニホンザルの交雑問題. 農業および園芸 83(12):1-2.

2) 川本芳 (2009) 野生動物との新たな関係 [25]−外来種の排除と根絶に向けて− サル(2) 海外とのちがい. 農業および園芸 84(1):1-2.

書評

1) Kawamoto Y (2008) Primate biogeography. Primates 49(2):167-168.

著書(分担執筆)

1) 川本芳 (2008) 遺伝的多様性と地理的分化:ニホンザル. 「日本の哺乳類学2 中型哺乳類・霊長類」 (高槻成紀・山極寿一編) p.223-251 東京大学出版会.

その他の執筆

1) 濱田穣, 毛利利雄, 國松豊, 茶谷薫, 山本亜由美, 後藤俊二, 川本芳 (2008) 「生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル交雑群に関する総合的研究」(平成16年度〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書.和歌山県におけるタイワンザルとニホンザル交雑に関する形態学的検討機尾長・尾椎数と交雑度の関係. 川本芳 p.9-39.

2) 川本芳, 川本咲江, 川合静, 齊藤梓, 大澤秀行, 後藤俊二, 和秀雄, 室山泰之, 白井啓, 森光由樹, 鈴木和男 (2008) 「生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル交雑群に関する総合的研究」(平成16年度〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書. 和歌山県におけるタイワンザルの交雑に関する遺伝学的研究. 川本芳 p.77-114.

3) 川本芳, 三戸幸久, 中村民彦, 山本博章 (2008) 厩猿の研究:消えゆく民間信仰の記録とサルをめぐる日本およびアジアの自然観の研究. トヨタ財団2006年度研究助成研究報告書. p.103.

4) 毛利利雄, 濱田穣, 國松豊, 山本亜由美, 茶谷薫, 川本芳 (2008) 「生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル交雑群に関する総合的研究」(平成16年度〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書. 和歌山交雑ザル(Macaca cyclopis × M. fuscata)の側頭線. 川本芳 p.41-49.

5) 大澤秀行, 室山泰之, 白井啓, 森光由樹, 川本芳 (2008) 「生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル交雑群に関する総合的研究」(平成16年度〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書. 和歌山タイワンザル交雑群の生息状況の推移. 川本芳 p.1-8.

6) 齊藤梓, 川本芳, 川本咲江, 白井啓 (2008) 「生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル交雑群に関する総合的研究」(平成16年度〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書. Y染色体マイクロサテライトマーカーによるタイワンザル移入判定の可能性と課題. 川本芳 p.115-131.

学会発表

1) Ichino S, Kawamoto Y, Miyamoto N, Hirai H, Koyama N (2008) Mating behavior and paternity determination using microsatellite markers in ring-tailed lemurs (Lemur catta) at Berenty Reserve, Madagascar. International Primatological Society XXII Congress (2008/08, Edinburgh).

2) Kawamoto Y, Saito A, Kawai S, Kawamoto S, Shirai K, Yoshida A, Hagihara K, Shiratori D, Naoi Y (2008) Hybridization between native and exotic macaques in Japan. Control Strategy of Invasive Alien Mammals 2008 (2008/10, Naha,Okinawa).

3) Saito A, Kawamoto Y, Kawai S, Shirai K, Saeki M, Morimitsu Y (2008) Y-chr marker for detection of exotic macaque gene dispersal. Control Strategy of Invasive Alien Mammals 2008 (2008/10, Naha, Okinawa).

4) 赤座久明, 川本芳, 川合静 (2008) 富山県に生息するニホンザルのミトコンドリアDNA変異. 第24回日本霊長類学会大会 (2008/07, 東京).

5) 川本芳, 相見滿, Wangchuk T (2008) マカク新種 Macaca munzala の系統地理的評価. 第24回日本霊長類学会大会 (2008/07, 東京).

6) 森光由樹, 鈴木克哉, 遠藤美香, 室山泰之, 赤座久明, 川合静, 齊藤梓, 川本芳 (2008) ミトコンドリアDNAを用いた兵庫県のニホンザルの遺伝的モニタリング. 第24回日本霊長類学会大会 (2008/07, 東京).

7) 宗近功, 田中洋之, 田中美希子, 川本芳 (2008) マイクロサテライトDNAによるクロキツネザルの父子判定. 第24回日本霊長類学会大会 (2008/07, 東京).

8) 齊藤梓, 川本芳 (2008) 和歌山県タイワンザル交雑群および周辺地域のニホンザルにおけるY染色体マイクロサテライト多型. 第24回日本霊長類学会大会 (2008/07, 東京).

9) 田中洋之, 森本真弓, 釜中慶朗, 松林清明, 川本咲江, 川本芳 (2008) 飼育下マカク集団の遺伝的多様性. 第24回日本霊長類学会大会 (2008/07, 東京).

10) Hamada Y, Morimitsu Y, Kingsada P, Praxaysombath B, Kawamoto Y, Malaivijitnond S (2009) Diversity and conservation study in Lao PDR: Next step. The 2nd International Symposium on Southeast Asian Primate Research "Biodiversity Study of Primates in Laos"Faculty of Science (2009/01, Vientiane).

11) Kawai S, Kawamoto Y (2009) Molecular evolutionary studies of the fascicularis group of macaques and whole-genome sequencing of mitochondria for the Japanese macaque (Macaca fuscata) and the rhesus macaque (M. mulatta). The 2nd International Symposium on Southeast Asian Primate Research "Biodiversity Study of Primates in Laos" Faculty of Science (2009/01, Vientiane).

12) Malaivijitnond S, Takenaka O, Kawamoto Y, Hamada Y (2009) Use of molecular and serological techniques to solve the problem of hybridization. The 2nd International Symposium on Southeast Asian Primate Research "Biodiversity Study of Primates in Laos" Faculty of Science (2009/01, Vientiane).

13) 須賀丈, 田中洋之, 丑丸敦史, 湯本貴和 (2009) 長野県における希少マルハナバチ類の分布特性. 第56回日本生態学会大会 (2009/03, 岩手).

14) 田中洋之, 伊藤誠夫, 湯本貴和 (2009) 東アジア産ナガマルハナバチ亜属のDNA分類. 第56回日本生態学会大会 (2009/03, 岩手).

15) 田中美希子, 田中洋之, 平井啓久 (2009) チャイロキツネザル種間雑種個体群の遺伝分析. 第56回日本生態学会大会 (2009/03, 岩手).

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