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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2008年度 − III 研究活動 器官調節分野

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.39 2008年度の活動

III 研究活動

分子生理研究部門

器官調節分野

林基治(教授),大石高生(准教授),

國枝匠(技術補佐員),

託見健,檜垣小百合(大学院生)

<研究概要>

 

A) 霊長類脳の発達と加齢に関する研究

林基治,大石高生,託見健,檜垣小百合

1) 23才から30才のメス老齢ニホンザル5例の扁桃体における老人斑蓄積の有無について,Aβ1-42に対する免疫組織化学法を用いて検討した.その結果,全ての老齢サルの扁桃体に老人斑が存在することが確認された.現在脳老化過程の分子マーカーのソマトスタチンの老化過程(Hayashi,1997)との関連について調べている.

2) 従来,老齢ラット,マウス,ウサギの脳内には老人斑は観察されないことが知られている.加齢に伴う老人斑蓄積の分子的メカニズムを進化的観点から明らかにするため,7才から9才の老齢ツパイ脳内に老人斑の有無を調べた.その結果,コンゴーレッド陽性構造はわずかしか存在しなかったが,Aβ1-42の免疫活性構造が大脳皮質,海馬台,基底核,乳頭体,視床下部に観察された.一方1才9ヶ月の若年ツパイにはAβ1-42の免疫活性構造は全く観察されなかった.従って老齢ツパイの脳内には初期段階のアミロイド蓄積が起こっていることが示唆された.これらの研究は,エバーハルト・フクス教授(ゲッチンゲン大学)と山下晶子氏(日本大学)との共同研究である.

3) 免疫組織化学の手法を用いて,GnRHニューロン周辺のアストロサイトの発達変化を解析した.GnRHニューロンの細胞体,近位樹状突起どちらにおいてもアストロサイト線維の近接が春機発動後に減少することが明らかとなった.この結果から,春機発動期にグリアによるバリアが減少することでGnRHニューロンへのシナプス入力が増加する可能性が示唆された.

4) 閉経にともなう内分泌変化と情動・認知機能に重要な脳部位の組織学的変化の関連を明らかにするため,閉経前,閉経周辺期,閉経後および卵巣摘出個体の海馬と前頭前野においてエストロゲン受容体ERβおよびP450アロマターゼ(エストロゲン合成酵素)の発現を調べた.脳内ERβ発現は末梢よりも脳内局所のエストロゲンレベルによって制御されていることを示唆する結果が得られた.

5) 脳内遺伝子発現プロファイルの加齢変化と,それが認知機能に及ぼす影響を明らかにするため,成熟期,老齢期のマカカ属の前頭前野や海馬における遺伝子発現を網羅的に調べる研究に着手した.年齢の他,性別,繁殖期,非繁殖期の別を考慮に入れて準備した試料からRNAを抽出し,DNAマイクロアレイのスキャンを行った.

 

B) リハビリテーションの脳内機構に関する基礎研究

大石高生

中枢神経系に損傷を負った場合には,損傷の部位と程度に応じて機能が損なわれる.しかし,適切なリハビリテーションを施せば,機能はある程度回復する.この現象の脳内メカニズムを明らかにするため,免疫組織化学的手法で,皮質脊髄路損傷ザル及び非損傷ザルの脊髄側索におけるGAP-43,アセチルコリントランスポーター(vAChT)およびカルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CAMK-II)免疫陽性線維,終末を比較検討した.非損傷対照ザルでは縦走する軸索でのvAChT発現が弱かった.それに対し,皮質脊髄路切断ザルの健常側の外側皮質脊髄路(lCST)のGAP-43陽性構造の一部がvAChTを強く発現していた.切断側lCST領域や灰白質にはほとんどvAChT陽性構造はなかった.また,皮質脊髄路切断ザルの健常側の外側皮質脊髄路や脊髄小脳路でvAChTはCAMK-IIと共存していた.この結果から,損傷後の機能代償には,皮質脊髄路ニューロンにアセチルコリンが共発現することが関与している可能性が示唆された.

 

C) 脳画像データベース作成

大石高生

MRIを用いた,ニホンザルの大脳を含んだ電子的脳アトラスを作成中である.MRIデータの三次元化と閲覧のためのウェブアプリケーションを改良し,CT画像,共焦点レーザー顕微鏡の画像を扱えるよう拡張した.

 

<研究業績>
原著論文

1) Takahashi K, Liu FC, Oishi T, Mori T, Higo N, Hayashi M, Hirokawa K, Takahashi H (2008) Expression of FOXP2 in the developing monkey forebrain: comparison with the expression of the genes FOXP1, PBX3, and MEIS2. J Comp Neurol 509(2):180-9.

2) Tohno Y, Tohno S, Laleva L, Ongkana N, Minami T, Satoh H, Oishi T, Hayashi M, Sinthubua A, Suwannahoy P, Mahakkanukrauh P (2008) Age-related changes of elements in the coronary arteries of monkeys in comparison with those of humans. Biol Trace Elem Res 125:141-153.

3) Ichinohe N, Hayashi M, Wakabayashi K, Rockland KS (2009) Distribution and progession of amyloid-β deposits in the amygdala of the aged macaque monkey, and paralleis with zinc distribution. Neuroscience 159:1374-1383.

総説

1) Hayashi M (2008) Neuroactive molecules in the brain of nonhuman primates and their therapeutic application to neurodegenerative disorders. Central Nervous System Agents in Medicinal Chemistry 8:220-228.

著書(分担執筆)

1) 林基治 (2008) 生き物たちのつづれ織り第1巻 「マカクの脳科学」 (京都大学グローバルCOEプログラム広報委員会編) p.156-160 中村印刷株式会社.

学会発表

1) Higaki S, Takumi K, Shimizu K, Oishi T, Hayashi M (2008) Up-regulation of estrogen receptor in the menopausal monkey brains is not direct response to deficit in gonadal estrogen. The 2nd International Symposium of the Biodiversity Global COE Project (2008/11, 京都市).

2) Higo N, Sato A, Yamamoto T, Nishimura Y, Oishi T, Murata Y, Onoe H, Saito K, Tsuboi F, Takahashi M, Isa T, Kojima T (2008) SPP1 is selectively expressed in large pyramidal neurons in layer V of the macaque sensorimotor cortex. Society for Neuroscience 2008 (2008/11, Washington D.C.).

3) Matsuda K, Oishi T, Higo N, Hayashi M (2008) Web-based MRI Brain image database system. Society for Neuroscience 2008 (2008/11, Washington D.C.).

4) Murata Y, Higo N, Nishimura Y, Oishi T, Tsukada H, Isa T, Onoe H (2008) Changes in regional brain activities involved in recovery of dexterous hand movements after lesion of the primary motor cortex: PET study with a macaque monkey. Society for Neuroscience 2008 (2008/11, Washington D.C.).

5) Oishi T, Higo N, Matsuda K (2008) Web-based 3D Biological Image Database. The 2nd International Symposium of the Biodiversity Global COE Project (2008/11, 京都市).

 

6) Sato A, Nishimura Y, Oishi T, Higo N, Murata Y, Onoe H, Saito K, Tsuboi F, Takahashi M, Isa T, Kojima T (2008) Gene expression analysis of motor-related areas of the monkey neocortex during recovery from corticospinal tract lesion. Society for Neuroscience 2008 (2008/11, Washington D.C.).

7) Yamashita A, Fuchs E, Taira M, Hayashi M (2008) Amyloid β-immunoreactive structures in the brain of aged tree shrews. 第31回日本神経科学大会 (2008/07, 東京).

8) 佐藤明, 西村幸男, 大石高生, 肥後範行, 村田弓, 尾上浩隆, 斎藤紀美香, 坪井史治, 高橋雅人, 伊佐正, 小島俊男 (2008) 皮質脊髄路損傷後の回復過程におけるサル大脳新皮質運動関連領野の網羅的遺伝子発現解析. 第31回日本神経科学大会 (2008/07, 東京).

9) 清水慶子, 伊藤麻里子, 託見健, 桧垣小百合, 国枝匠, 毛利恵子, 林基治 (2008) 胎生期マカクザルにおけるアンドロゲン曝露. 第24回日本霊長類学会大会 (2008/07, 東京).

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