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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2008年度 − III 研究活動 人類進化モデルセンター

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.39 2008年度の活動

III 研究活動

人類進化モデル研究センター

平井啓久(遺伝子情報分野教授・センター長併任2007年10月より),

松林清明(教授),景山節(教授),鈴木樹理(准教授),宮部貴子(助教),

熊崎清則(技術専門員),阿部政光,釜中慶朗,前田典彦(技術専門職員),

渡邉朗野,森本真弓,兼子明久,渡邉祥平(技術職員)

 

霊長類研究所のプロジェクトとして推進しているリサーチ・リソース・ステーション(RRS)計画について,人類進化モデル研究センターは施設整備,ニホンザル毋群導入,飼育・健康管理をおこなうとともに,これらのサルについての種々の研究を推進している.2008年度にはグループケージ1棟建設の他に,放飼場のTV観察システムなどの導入を行った.RRS計画は霊長類本来の特性を維持した多様な種を自然の生息環境に近い条件下で動物福祉に配慮して飼育し,新たな霊長類研究の推進をおこなうものである.このため第6,7,8放飼場において集団飼育を開始し,植物相調査,サルの行動・ストレス評価,採食調査,水質環境調査など多項目の研究を進めた.また,グループケージにマカク用の新しいエンリッチメント器具を設置し,サルの飼育環境改善を図った.RRS計画の中ではナショナルバイオリソースプロジェクトの一部であるニホンザルバイオリソース(NBR)計画に,ニホンザルの繁殖と供給をおこなうことで協力している.2008年度にはNBRのニホンザルは毋群総数223頭となり,新たに17頭の繁殖がみられた.NBR事業へのサル供給を16頭おこなった.

 

絶滅危惧種に指定されているワタボウシタマリンの繁殖育成ならびに保全に資するために,いしかわ動物園との間でオス・メス2頭の相互譲渡をおこなった.先方では霊長類研究所から導入されたメス個体が子どもを出産し,繁殖と展示に貢献している.2006年9月から「四肢不全麻痺」で寝たきりになっていたチンパンジー・レオが,献身的な治療と介護の結果,座ったり,懸垂できるまでに回復した.実験棟北プレイルームを改修し,レオの居室を設置した.エンリッチメントの一環として官林キャンパス第3放飼場の地面緑化をおこなった.

人事面では非常勤職員には以下の異動があった.2008年4月より教務補佐員に西脇弘樹,廣川類を採用.2008年4月サル飼育担当として吉田美千子,6月兼松璃々子,高瀬こがみ,7月山田宜世子,8月中川千枝美,森山トシ子を技能補佐員に採用.2008年7月チンパンジー飼育担当として佐々木花子,8月古橋保志を技能補佐員に採用.2008年6月廣川類,9月西脇弘樹(教務補佐員)7月梅田せつ子,8月山根若葉,2009年1月森山トシ子(技能補佐員)3月木村俊治(労務補佐員)が退職.またRRSに関する研究担当者として,2008年4月,辻大和が非常勤研究員に採用されたが,2009年1月に退職し霊長類研究所社会進化分野の助教として異動になった.

 

<研究概要>

A) 生殖器系の進化に関する組織学的研究


松林清明

主として大型類人猿およびヒトを対象に,オス生殖器系の組織学的検索により,種ごとの生殖システムの進化の様態を検討している.

 

B) 環境共生型大規模放飼場におけるサル類の繁殖育成システムの開発研究

松林清明

第2キャンパスに造営されたリサーチリソースステーション(RRS)において,樹木・土壌等の維持に必要な飼育方式やサル個体管理法,セキュリティなどの設計試作と評価を進めている.

 

C) 胃ペプシノゲンの研究

景山節

オランウータンのペプシノゲンcDNAの配列解析をとりまとめ,祖先霊長類で1遺伝子だったA型遺伝子が,類人猿でA1と A2型に分かれたことと,それぞれで遺伝子重複が急速に進んだことを明らかにした.

 

D) サル類の疾病の遺伝子解析および飼育環境評価

景山節,安江美雪

疾病遺伝子に関する解析を継続した.また飼育環境評価の一貫として放飼場およびRRS予定地の溜池・排水のpHとCOD測定,細菌数測定,チンパンジー放飼場水の塩素濃度測定を継続した.

 

E) レトロトランスポゾン様反復配列複合構造(RCRO)のゲノム内機能の解析

平井啓久,松林清明(センター)

RCROが存在するチンパンジー第7染色体をモデルとして,RCROがおよぼすキアズマ抑制に関する解析をおこなった.チンパンジー雄の減数分裂細胞を,FISH法およびPAINT法を用いて観察したところ,RCROが存在する7q31ならびにセントロメア近傍領域にはキアズマが起こっていないことが明らかになった.

 

F) テナガザル類の生物地理学的ならびに医生物学的研究

宮部貴子(センター),Joko Pamunkas(ボゴール農科大学),Dyah Perwitasari-Farajallah(ボゴール農科大学),香田啓貴(認知学習),親川千紗子(認知学習),松井淳(グローバルCOE),平井啓久

インドネシア・中央ジャワの動物園においてシャーマンおよびボルネオシロヒゲテナガザルの血液採取,糞採取をおこないDNA抽出ならびに血液生化学的分析を実施した.簡易キットを用いて糞便中のヘリコバクター・ピロリ抗原の検出を試みた.

 

G) 新世界ザル類の染色体進化

平井百合子,平井啓久

クモザルの全染色体の彩色プローブを,染色体顕微切断法を用いて作製し,各種新世界ザル類の染色体分化を分析した.

 

H) コモンマーモセットのてんかんモデル開発についての検討

宮部貴子(センター),森本真弓(センター),兼子明久(センター),釜中慶朗(センター),郷康広(グローバルCOE),今井啓雄,平井啓久

真性てんかんと推測されるコモンマーモセット・メス個体に繁殖させ,てんかん家系の形成を実施中である.てんかん関連遺伝子候補のひとつLGI1のプライマーを設計し,PCRによる遺伝子探索と配列解析をおこなった.

 

I) サル類エイジングの生理学的研究

鈴木樹理,宮部貴子,渡邉朗野,兼子明久,打越万喜子(思考言語),濱田穣(形態進化分野)
サル類の生理的な加齢変化を明らかにするために,放飼場で飼育されているニホンザルアカゲザルおよび屋内飼育テナガザルについて同一個体を採材する縦断的方法によって,血中の代謝関連ホルモンの定量を行った.

 

J) サル類のストレス定量および動物福祉のための基礎研究

鈴木樹理

実際の飼育環境でのストレス反応を定量することとその軽減策の検討のために,糞中コーチゾル測定系を用いてマカクの糞中コーチゾルの定量を行った.また尿中コーチゾルの定量をほぼ確立した.更に,長期ストレス定量に有効な毛髪中コーチゾル測定系の確立を行っている.

 

K) マカクの麻酔法に関する研究

宮部貴子,兼子明久,西脇弘樹,増井健一(防衛
医科大),金澤秀子(慶応義塾大)

飼育下ニホンザルを対象に昨年度解析した静脈麻酔薬プロポフォールの薬物動態パラメータを用い,プロポフォール持続投与による維持麻酔のシミュレーションをおこなった.その結果をもとに,実際にプロポフォール持続投与による維持麻酔をおこない,評価した.実際のMRIや手術の際の維持麻酔も試みている.

 

L) 脳波モニタを用いた麻酔下チンパンジーにおける意識消失度の評価

宮部貴子,鈴木樹理,熊崎清則,前田典彦,渡邉朗野,兼子明久,渡邉祥平,西脇弘樹,廣川類,友永雅己,松沢哲郎

麻酔下チンパンジーにおいて,脳波から意識消失度を評価するモニタであるBISモニタを用い,その有用性を検討している.

 

M) サル類の疾病に関する臨床研究

宮部貴子,渡邉朗野,兼子明久,西脇弘樹,鈴木樹理

飼育下のサル類の自然発症疾患に関して,臨床研究を行っている.特に呼吸器系疾患および消化器系疾患に焦点を当てている.

 

<研究業績>
原著論文

1) Sri Kantha S, Suzuki J, Hirai Y, Hirai H (2007) Sleep parameters in captive female owl monkey (Aotus) hybrids. Neotropical Primates 14(3):141-144.

2) Higashino A, Kageyama T (2008) Development-dependent expression of calreticulin in the brain and other tissues of the Japanese monkey, Macaca fuscata. Journal of Medical Primatology 37(6):303-310.

3) Roger E, Grunau C, Pierce RJ, Hirai H, Gourbal B, Galinier R, Emans R, Cesari TM, Cosseau C, Mitta G (2008) Controlled chaos of polymorphic mucins in a metazoan parasite (Schstosoma mansoni) interacting with its invertebrate host (Biomphalaria glbrata). PLoS Neglected Tropical Diseases 2:e330.

4) Tanji M, Yakabe E, Kubota K, Kageyama T, Ichinose M, Miki K, Ito H, Takahashi K (2008) Structural and phylogenetic comparison of three pepsinogens from Pacific bluefin tuna: molecular evolution of fish pepsinogens. Comparative Biochemistry and Physiology, part B, Biochemistry and Molecular biology 152(1):9-19.

5) Honjo H, Akari H, Fujiwara Y, Tamura Y, Hirai H, Wada K (2009) Molecular cloning and charcterization of the common marmoset huntingtin gene. Gene 432:60-66.

報告

1) 松林清明, 中野まゆみ, 榎本知郎 (2008) 和歌山交雑ザルの精巣組織所見. 「生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル交雑群に関する総合的研究」(平成16年度〜19年度科学研究費補助金研究成果報告書・代表者 川本 芳)

著書(分担執筆)

1) 平井啓久 (2008) でくのぼうのゴミ箱. 「生き物たちのつづれ織り 第1巻」 (高瀬桃子, 村角智恵編) p.122-128 京都大学グローバルCOEプログラム発行.

2) Fujita S, Ogasawara A, Kageyama T (2009) Prevalence of Clostridium perfringens in intestinal microflora of non-human primates. (Primate Parasite Ecology) (ed. Huffman MA, Chapman CA) p.271-281 Cambridge University Press.

学会発表

1) Fujii-Hanamoto H, Nakano M, Enomoto T, Matsubayashi K (2008) Histological distribution of claudin family in the testis of rhesus macaque (Macaca mulatta). International Primatological Society (2008/08, Edinburgh).

2) Matsubara M, Kageyama T, Matsubayashi K (2008) MHC-DRB polymorphism in captive Japanese macaques. 22nd Congress of the International Primatological Society (2008/08, Edinburgh, UK).

3) Miyabe T, Morimoto M, Kamanaka Y, Watanabe A, Kaneko A, Nishiwaki K, Suzuki J, Muroyama Y, Suzumura T, Kanchi F, Tanaka H, Hayakawa S, Hamada Y (2008) Immobilization with a combination of Ketamine and Medetomidine in wild Japanese monkeys (Macaca fuscata fuscata). the 3rd International Meeting on Asian Zoo/ Wildlife Medicine and Conservation (2008/08, Bogor, Indonesia).

4) Nakano M, Fujii-Hanamoto H, Enomoto T, Matsubayashi K (2008) A comparative study of testis microstructure of the human and great apes. International Primatological Society (2008/08, Edinburgh).

5) Sakai T, Mikami A, Nishimura T, Toyoda H, Miwa T, Matsui M, Tanaka M, Tomonaga M, Matsuzawa T, Suzuki J, Kato A, Matsubayashi K, Goto S, Miyabe T (2008) Development of the prefrontal area in chimpanzees. International Primatological Society (2008/08, Edinburgh).

6) Suzuki J, Kato A, Kaneko A, Takao S, Ishida T, Isowa K (2008) Malignant lymphoma (plasma cell neoplasm) in a long-tailed macaque (Macaca fascicularis). Joint meeting of the 3rd international meeting on Asian Zoo/ Wildlife Medicine and Conservation (AZWMC 2008) (2008/08, Bogor, Indonesia).

7) 早野あづさ, Dyah PF, Hery W, 宮部貴子, Alan M, Diah I, Joko P, 平井啓久 (2008) マイクロサテライト解析からみたスマトラ産フクロテナガザル Symphalangus syndactylus の遺伝的組成. 2008年度日本哺乳類学会大会 (2008/09, 山口).

8) 伊藤康代, 宮部貴子, 兼子明久, 西脇弘樹, 渡邉朗野, 渡邉祥平, 前田典彦, 熊崎清則, 森本真弓, 鈴木樹理 (2008) 脊髄炎を発症したチンパンジーの褥瘡治癒にいたるまで. 第11回SAGAシンポジウム (2008/11, 東京).

9) 宮部貴子, 兼子明久, 西脇弘樹, 神保江津子, 増井健一, 金澤秀子 (2008) ニホンザルにおけるプロポフォールTCI導入についての検討. 第76回獣医麻酔外科学会 (2008/06, 大宮).

10) 須田直子, 熊谷かつ江, 兼子明久, 津川則子, 木村俊治, 吉田美千子, 中川千枝美, 森山トシ子, 熊崎清則 (2008) ニホンザルの環境エンリッチメント. 第11回SAGAシンポジウム (2008/11, 東京).

11) 鈴木理恵, 宮部貴子, 金澤秀子, 岡野光夫 (2008) 温度応答性クロマトグラフィーによる麻酔薬の動態解析. 第52回日本薬学会関東支部大会 (2008/10, 東京).

12) 辻大和, 森本真弓, 松林清明 (2009) 種子の物理的特性が排泄時間に及ぼす影響:飼育下ニホンザルを対象として. 第56回日本生態学会 (2009/3, 岩手).

13) 兼子明久 (2009) 四肢不全麻痺で寝たきりになったチンパンジー「レオ」の長期療養. 第15回動物園水族館獣医師臨床研究会 (2009/02, 半田).

14) 兼子明久, 宮部貴子, 渡邉朗野, 渡邉祥平, 前田典彦, 熊崎清則, 森本真弓, 鈴木樹理 (2009) 四肢不全麻痺で寝たきりになったチンパンジー「レオ」の長期療養. 平成20年度京都大学総合技術研究会 (2009/03, 京都).

15) 前田典彦 (2009) 霊長類研究所におけるサル類取り扱い作業でのリスクアセスメントについての検討. 平成20年度京都大学総合技術研究会 (2009/03, 京都).

16) 森本真弓, 葉栗和枝, 梅田せつ子, 西脇弘樹, 兼子明久, 釜中慶朗, 宮部貴子, 鈴木樹理 (2009) コモンマーモセット「えむお」の人工保育. 平成20年度京都大学総合技術研究会 (2009/03, 京都).

17) 須田直子, 熊谷かつ江, 兼子明久, 木村俊治, 津川則子, 吉田美千子, 中川千枝美, 熊崎清則 (2009) ニホンザル飼育新施設の紹介と環境エンリッチメントの取り組み. 平成20年度京都大学総合技術研究会 (2009/03, 京都).

18) 渡邉朗野, 兼子明久 (2009) 京都大学霊長類研究所の獣医技術職員としての業務内容紹介と症例報告. 平成20年度京都大学総合技術研究会 (2009/03, 京都).

19) 渡邉祥平 (2009) チンパンジー飼育管理. 平成20年度京都大学総合技術研究会 (2009/03, 京都).

講演

1) Hirai H (2008/06) Evolution of ZW of Schistosoma mansoni. Schistosome genome meeting Hixton, UK.

2) Hirai H (2008/07) Chromosomology and genetic differentiation of small apes. Science seminar of Pusan National University Pusan, Korea.

3) 平井啓久 (2008/07) 遺伝学・ゲノム科学の視点からー第24回日本霊長類学会大会公開シンポジウム「霊長類学はヒトの見方をどう変えたか」. 日本の霊長類学60周年シンポジウム 東京.

4) 景山節 (2008/12/12) ペプシンの多様性と機能分化、および臨床応用. 北陸大学学術フロンティア推進事業 北陸大学薬学部 哺乳類のペプシンの多様性、分子進化、構造と機能、およびヒトにおける胃疾患検査の臨床応用について講演した.

5) 景山節 (2009/2/28) 霊長類研究所のリサーチリソースステーション. 自然科学研究機構生理学研究所「ニホンザル」バイオリソース運営委員会 科学技術館サイエンスホール(東京).

6) 松林清明 (2009/01) ペットと人間の関わりを考える. 日本福祉大学人間講座 名古屋.

 

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