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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2008年度 > X 共同利用研究 4. 共同利用研究会

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.39 2008年度の活動

X 共同利用研究

4 共同利用研究会

「第9回ニホンザル研究セミナー」

日時:2008年5月18日12時25分〜
場所:キャンパスプラザ京都2Fホール(JR京都駅ビル駐車場西側)
研究会世話人:中川尚史(京大・理学研究科),杉浦秀樹(京大・野生動物研究センター),半谷吾郎(京大・霊長類研究所)

 

ニホンザル研究セミナーは,これまで過去5年に渡って,共同利用研究会や自主的な集会として実施してきた.この研究会では,ニホンザルを対象としたフィールドの研究者が,交流し討論できる場を作ることを目的としている.第9回目となる今回は,場所を京都に移し,京都大学大学院理学研究科の中川尚史を事務局として行った.今回も若手研究者の方に修士課程や博士課程での研究成果を中心に発表をお願いし,中堅・ベテラン研究者が,それに対してコメントするというスタイルで行われた.39名の方に参加いただき,活発な議論をすることができた.

 

12:25〜12:30 挨拶:中川尚史(京大・人類進化)
座長:下岡ゆき子(帝京科学大学)
12:30〜13:30 川添達朗(京大・人類進化)
金華山のニホンザルオスの群れを超えた社会性
コメンテータ:堀内史朗(岡山理大・総合情報)
13:30〜14:30 松岡絵里子(京大・霊長研)
ニホンザルにおけるオトナオスとコドモの社会関係
コメンテータ:高畑由起夫(関西学院大学・総合政策)
14:30〜15:30 原澤牧子(京大・霊長研)
ニホンザルにおけるアカンボウ運搬行動に影響する要因
コメンテータ:岡本暁子(早稲田大学・政治経済)
15:30〜15:40 休憩
座長:藤田志歩(山口大学)
15:40〜16:40 松田一希(北大・地球環境)
マレーシア・サバ州におけるテングザルの採食行動と遊動
コメンテータ:半谷吾郎(京大・霊長研)
16:40〜17:40 井上英治(京大・人類進化)
霊長類における雄の繁殖成功と群れの血縁構造

17:40〜18:00 討論
18:30〜21:00 懇親会
(文責:半谷吾郎)

「第4回比較社会認知シンポジウム」

日時:2008 年12 月19 日(金)〜12 月20 日(土)
場所:京都大学霊長類研究所大会議室
参加人数:約60人
友永雅己・林美里・松沢哲郎・田中正之(野生動物研究センター)・板倉昭二(文学研究科)

 

<プログラム>
12/19(金)
セッション1. 座長: 友永雅己
友永雅己(京都大・霊長研) オープニング
木村美奈子(愛知県大)『幼児の映像理解の発達−"テレビ"という不思議な箱をめぐって−』
大神田麻子(学振,京都大・文)・板倉昭二(京都大・文)
『就学前児はどのような質問に肯定バイアスを示すのか?』
直井望・皆川泰代・山本淳一・小嶋祥三(慶應大・文,JST/CREST)『対乳児音声に関与する脳反応の検討』
ポスターセッション (ポスター22件)
セッション2. 座長:足立幾磨
大塚由美子(東京女子医大,学振)・本吉勇(NTT コミュニケーション科学)・小林恵(中央大)・金沢創(日
本女子大)・山口真美(中央大,JST)『乳児の顔認知に対する画像コントラスト極性の効果』
宮腰誠・松尾香弥子・中井敏晴(長寿研)『高齢個体の脳機能と社会性』
明地洋典(東京大・総合文化)・千住淳(ロンドン大)・菊池由葵子(東京大・総合文化)・東條吉邦(茨城大)・長内博雄(武蔵野東教育センター)・長谷川寿一(東京大・総合文化)『自閉症児における表情認知時の視線方向の影響−反応時間,ERP を指標として−』
高岡祥子・藤田和生(京都大・文)『イヌにおけるヒトの指差しの利用』
懇親会

 

12/20(土)
セッション3. 座長:明和政子
ジョン・ヒョンジョン(東北大・加齢医研)『外国語学習:社会認知神経科学的観点から』
瀬野由衣(名古屋大・教育発達科学)『幼児における心の表象性理解の発達 −3 歳児の特徴に着目して−』
菊池由葵子(東京大・総合文化)・千住淳(ロンドン大)
・明地洋典(東京大・総合文化)・東條吉邦(茨城大)・
長内博雄(武蔵野東教育センター)・長谷川寿一(東京大
・総合文化)『自閉症児・定型発達児における顔・モノからの注意の解放』
菊池哲平(熊本大・教育)『自閉症児(者)における表情理解−対人関係性の視点から』
セッション4. 座長:伊村知子
蓬田幸人(東北大・加齢医研)『現実認知の神経基盤〜多様式感覚にまたがる予測と感覚入力の整合性判断に関わる脳神経ネットワーク』
山田祐樹(九州大,学振)『時空間表象の形成における情動的・社会的情報の役割』
佐藤弥(京都大・霊長研)『表情の優先的知覚』
昼食およびポスターセッション
セッション5. 座長:林美里
永澤美保(麻布大・獣医)『ヒトと犬との交流においてイヌからの注視が飼い主の尿中オキシトシンを上昇させる』
松田剛(東京大・情報)『チンパンジーの情動画像に対する事象関連電位』
高橋英之・岡田浩之・大森隆司・神尾陽子(玉川大・脳科学研,神経研)『コミュニケーションで生じるストレスを抑制するための二つの認知的基盤の仮説−自閉症,ロボット,マルチエージェントによるアプローチ−』
セッション6. 座長:友永雅己
澤田玲子(京都大・霊長研)・土居裕和(長崎大・医歯薬総合研)・正高信男(京都大・霊長研)『手書き文字観察時における自己情報の処理−事象関連電位計測による検討』
友永雅己(京都大・霊長研)・伊村知子(学振,京都大・霊長研)『チンパンジーの視覚認知における社会的刺激の影響−視線の影響を中心に−』
田村亮(埼玉学園大・人間)『「正直なシグナル」としての「微笑み」』
友永雅己 クロージング

 

これまで,京都大学霊長類研究所共同利用計画研究「チンパンジーの発達に関する総合的研究」などの成果公表とも連携する形で,3 年にわたって社会認知機能力の比較研究の可能性を探る研究会を開催してきた.これまで『視線,共同注意,心の理論(2005年)』,『自己と他者を理解する ─比較認知発達的アプローチ─(2006年)』,『メタX─社会的認知における階層的処理過程の比較認知発達─(2007年)』と,社会認知の幅広い領域のテーマを取り上げ,活発な議論を行ってきた.これまでの3回の開催を通じて,参加者の間の研究交流を促進し,「比較社会認知研究」を展開していく上でも,この『犬山比較社会認知シンポジウム(iCS2)』はユニークな場を形成しつつある.今後も,若手研究者から海外の研究者まで幅広い参加者が,幅広い視点で幅広いトピックについて自由に議論する場として,このシンポジウムを育てていきたいと考えている.4回目となる今回は特定のテーマは設けることはしなかった.そのため,心の理論から表情認知まで,乳幼児からチンパンジー・イヌまで,定型発達および非定型発達に関する研究と,これまでの研究会以上に多様な研究の発表を聞くことができた.フロアからの議論も活発に行われた.また,昨年度は実施できなかったポスターセッションも今年は再開し,22件の発表があった.今後とも,このシンポジウムの開催を通じて社会認知に関する多様な研究の進展に貢献していきたい.(文責:友永雅己)

 

「東南アジア熱帯林の霊長類の野外研究」

2009年2月7日(土)10時〜2月8日(日)
京都大学霊長類研究所 大会議室
研究会世話人:半谷吾郎,香田啓貴,平井啓久,古市剛史

 

現在,マレーシア・サバ州で,複数の研究チームによる,霊長類や大型哺乳類の野外調査が進行中である.これまで,これらの研究はとくに相互に連携もなく,個別に行われてきたが,その成果が出つつある現在,一度お互いの状況を把握し,相互の交流を深める必要が生じている.また,この地域とその周辺には,キナバル山とランビルという,京都大学生態学研究センターを中心として維持されてきた,世界的にも著名な生態学の長期調査地があるが,これまで霊長類学者との連携はほとんど行われてこなかった.しかし,最近これらの研究チームも,生物多様性保全の観点から,霊長類を含む大型動物の重要性に着目し,その調査を開始した.今は,さまざまな研究チームが,相互に連携を強めていく,絶好の機会だと言える.本研究会では,霊長類研究の流動部門が取り組んできたテナガザルの研究プロジェクトや,マレーシア・サバ大学の熱帯生物学・保全研究所に新設されたボルネオ霊長類研究センターの活動も含め,関係する研究者が一堂に会し,それぞれの調査地の成果を紹介し,国内外を含めた,将来の比較・共同研究に発展する機会を作ることを目的として行った.
本研究会では,マレーシアからの招待講演者の便宜を図るため,すべての講演を英語で行った.当日は,約40人の参加者があった.今後,この地域の霊長類研究が,霊長類学の中で大きな存在となっていくことを予期させる,活発な討議が行われた.総合討論では,この地域の研究を一層進展させるために,マレーシア・サバ大学との協同体制を強化することなどが議論された.
<プログラム>
2月7日
10:00-10:05 Goro Hanya (KUPRI): Introduction

Chairperson: Ikki Matsuda (Hokkaido University)
10:05-10:55 Goro Hanya (KUPRI)
'Community ecology of primates in Danum Valley'
10:55-11:45 Tomoko Kanamori (Tokyo Institute of Technology), Noko Kuze (Kyoto University), Peter Malim Titol (Sabah
Wildlife Department, Kota Kinabalu, Malaysia), Henry Bernard
(Universitiy of Malaysia Sabah) and Shiro Kohshima (Kyoto University)
'Feeding ecology of orangutans in Danum Valley'
11:45-13:00 Lunch
Chairperson: Nobuyuki Kutsukake (The Graduate University for Advanced Studies)
13:00-13:50 Ikki Matsuda (Hokkaido University)
'Comparison of Feeding Behaviors between Riverine and Inland Habitats in Proboscis Monkeys'
13:50-14:40 Tadahiro Murai (KUPRI)
'Sociological studies of proboscis monkeys in Sukau'
14:40-15:00 Coffee break
Chairperson: Saika Yamazaki (Tokyo University of Agriculture and Technology)
15:00-15:50 Henry Bernard, Lee Shan Khee, Mohd. Fairus Jalil & Abdul Hamid Ahmad (UMS)
'Klias Proboscis Monkey Project: Conservation of the last remaining populations of Proboscis Monkeys, Nasalis larvatus, in the Klias Peninsula in the west coast of Sabah, Malaysia'
15:50-16:40 Chisako Oyakawa & Hiroki Koda (KUPRI)
'Introduction of the KUPRI project to study the diversity of gibbons'
17:30- Welcome party

2月8日
Chairperson: Tomoko Kanamori (Tokyo Institute of Technology)
9:30-10:20 Hiromitsu Samejima (CER)
'A Monitoring system of a terestrial mammalian community as the spatial scale of a Forest Management Unit. An example in FMU 19a (Deramakot Forest Reserve) in Sabah'
10:20-11:10 Yoshihiro Nakashima (Kyoto University)
'Seed dispersal by civets in Tabin'
11:10-12:00 Hisashi Matsubayashi (Tokyo University of Agriculture)
'Conservation of the mammals in commercial forest reserve: Special reference to natural mineral-licks in Deramakot and Malua'
12:00-13:00 Lunch
Chairperson: Goro Hanya (KUPRI)
13:00-13:50 Henry Bernard, Mohd. Fairus Jalil & Abdul Hamid Ahmad (UMS)
'An Introduction to the Centre for Primate Studies Borneo at the Institute for Tropical Biology and Conservation of the University Malaysia Sabah'
13:50-14:00 Kanehiro Kitayama (CER): Comment
14:00-14:10 Kenta Tanaka (Tsukuba University): Comment
14:10-14:20 Shumpei Kitamura (Rikkyo University): Comment
14:20-14:30 Takeshi Furuich (KUPRI): Comment
14:30-14:45 Tea break
14:45-16:00 General discussion
(文責:半谷吾郎)

 

「霊長類モデルでのバイオメディカル研究-2009」

今回の研究会では,「霊長類の疾病・病態の病理解析」,「霊長類の実験・試験モデルとその活用」および「霊長類研究における新領域」についてトピックを選定した.下記のプログラム内容で関連研究の成果紹介とそれに関わる質疑など,演者・座長・出席者の間で終日活発な意見・情報交換が持たれた.参加者総数は,休日にも拘わらず35名の出席があり,霊長類モデルでのバイオメディカル研究への関心の高さが窺える.また,大学・研究機関に加え法人・事業体などからも多くの参加者が有り,研究会の目的の一つである「学・官・産関係者での情報交換や交流の場」としても寄与できた.

 

霊長類研究所共同利用研究会
「霊長類モデルでのバイオメディカル研究-2009」
日時,場所:2009.2.28(土)9:50-17:00,霊長類研究所大会議室
世話人:中村伸,藤本浩二,竹中晃子,林基治,清水慶子

あいさつ 9:50-10:00

サル疾病の病理解析 10:00-12:00
座長:林基治(京大・霊長類研)
1.アルツハイマー関連脳疾患の病理:中村紳一朗(滋賀医大・動物生命科学研究センター)
2.老齢ニホンサルに見られた2種類の腫瘍?ヒトの同等腫瘍との比較解析を中心に?:
山手丈至(大阪府大・生命環境科学・獣医病理)
3.サル鼓脹症の成因と病理:鈴木樹理(京大・霊長類研)

昼食/懇談会 12:00-13:00
サルモデルの特徴とその活用 13:00-15:00
座長:清水慶子(岡山理科大・理)
4.子宮内膜症モデル:岡林佐知(社・予防衛生協会)
5.脳梗塞モデル:小野文子(社・予防衛生協会)
6.脳損傷モデル−損傷と回復の分子機序−:大石高生(京大・霊長類研)

休憩 15:00-15:15

霊長類バイオメディカルの新領域 15:15-16:35
座長:藤本浩二(社・予防衛生協会)
腸内細菌ゲノミクスと新たなバイオマーカーとしての意義:光永総子(京大・霊長類研)
メタボ関連遺伝子から見たヒト化に至る新たなゲノムイベント:竹中晃子(名古屋文理大・健康生活)

総合討論:16:35-17:00
(文責:中村伸)

 

「個体レベル比較生物学をめざして」

日時:2009年3月5日(木)−3月7日(土)
場所:犬山国際観光センター フロイデ 多目的室
参加人数:約180人
世話人:大石高生,脇田真清,毛利俊雄,鈴木樹理,濱田穣,宮地重弘
<プログラム>
3月5日(木)
セッション「形態-I」座長:中務真人(京大・理)
姉崎智子(群馬県立自然史博物館)「考古資料からみたイノシシ,サルの形態変異」
大石元治(麻布大・獣医)「オランウータンとチンパンジーの前肢における骨格筋の機能解剖学的研究」
佐々木基樹(帯広畜産大)「四肢の機能形態学的多様性と環境適応」
セッション「形態-II」 座長:毛利俊雄(霊長研)
中務真人(京大・理)「人類誕生をめぐる古人類学研究の現況」
浅原正和(京大・理)「個体変異から何が見えるか?−タヌキの歯と頭骨の形態に関して−」
清水大輔(日本モンキーセンター)「コロブス亜科の大臼歯エナメル質表面形状とエナメル象牙境形状」
3月6日(金)
セッション「発達・加齢」 座長:鈴木樹理(霊長研),
後藤俊二(日本野生動物研)
濱田穣(霊長研)「霊長類の成長・加齢パターン:身体維持と生殖」
東野義之(奈良県立医大・医)「サルとヒトの冠状動脈と心臓弁の加齢変化の相違」
託見健(霊長研)「マカクザルにおける思春期の発来とGnRH神経系の発達」
山下晶子(日大・医)「大脳皮質細胞の発達過程における変遷:抑制性介在細胞を中心に」
セッション「神経系の遺伝子発現」 座長:鈴木秀典(日本医大・医)
古川貴久(大阪バイオサイエンス研)「網羅的遺伝子発現解析による網膜視細胞発生機構の解明」
小松勇介(基生研)「領野特異性のある遺伝子発現の探索とその後の展望について」
佐藤明(理研・横浜研)「哺乳類脳の発達や形成における網羅的遺伝子発現解析」
セッション「機能代償」 座長:井手千束(藍野大学)
肥後範行(産総研・脳神経情報)「第一次運動野損傷後の上肢機能回復メカニズム」
大平耕司(藤田保健衛生大・総医研)「成体の大脳皮質でもニューロンは新生する」
澤井元(阪大・医)「人工視覚による視機能再生」

3月7日(土)
セッション「行動決定」 座長:木村實(京都府立医大・医)
星英司(玉川大・脳研)「行動決定における前頭前野と運動前野の役割」
松元健二(玉川大・脳研)「目標指向行動と行動適応の脳内機構」
セッション「感覚運動変換」 座長:福島菊郎(北大・医)
小高泰(産総研・脳神経情報)「視覚運動・眼球運動変換過程(ヒト追従眼球運動の例)」
福島菊郎(北大・医)「視標追跡眼球運動の企画と制御における補足眼野の役割:作業記憶と運動決定」
セッション「視覚の生理心理」 座長:脇田真清(霊長研)
脇田真清(霊長研)「サルは方位をどう見るか」
鯉田孝和(生理研)「下側頭皮質での色情報表現と知覚との対応」
伊村知子(霊長研)「2次元画像からの3次元奥行知覚の初期発達:比較認知発達の視点から」
セッション「最終講義」 司会 大石高生・宮地重弘
林基治「霊長類脳の発達と加齢 −脳内機能分子の観点から−」
三上章允「細胞レベルの霊長類脳研究35年」

計画研究「哺乳類のマクロ形態学と神経生理学を統合した個体レベル比較生物学の確立」の最終年度にあたり,共同利用研究員を中心にし,関連分野の幅広い研究者に最新知見を提供してもらった.
セッション「形態- I」では,考古資料を元にした動物種の流入の解析のポイント,上肢の筋の定量データを用いた機能解剖,クマや霊長類の後肢の関節可動度に着目した機能解剖の話題が提供された.
セッション「形態- II」では,新知見を元に大きく書き換わってきている古人類,化石類人猿研究の整理,問題点の指摘,同時に進化している二形質が独立なものか否かの判別のタヌキにおける実例,歯牙の形状の多変量解析によるアジア産コロブスとアフリカ産コロブスの食性変異の推定が報告された.
セッション「発達・加齢」では,霊長類の中でもヒトは「時間もエネルギーも」「身体も生殖も」両立させている特異な例であることの説明,ブタ,サル,ヒト(日本人,タイ人)では血管系の老化が大いに異なることの紹介,マカクにおける思春期の発来にはGnRHニューロンへのシナプス入力の変化が関わることを示す新知見の報告,大脳皮質の抑制細胞の内パルバルブミン含有細胞には霊長類と齧歯類等の間に際だった違いがあることの報告があった.
セッション「神経系の遺伝子発現」では,齧歯類や霊長類の網膜,大脳皮質,小脳皮質における遺伝子発現の網羅的な解析から,神経回路形成や疾病に関わる重要な遺伝子がピックアップできること,その遺伝子を操作することによって分子メカニズムの理解が進むことなどについて広範で詳細な報告があった.
セッション「機能代償」では,損傷部以外の神経回路の学習性の変化,これまで過小評価されてきたニューロン新生が特に損傷後には多くみられること,視細胞変性による視覚障害は残存する神経節細胞を適切に刺激することにより代償できる可能性があることという三つの異なるストラテジーからの機能代償メカニズム解析と応用への展望が紹介された.
セッション「行動決定」では,ルールに基づく行動決定において前頭前野,運動前野,運動野がそれぞれ異なった役割を果たしていること,目標に基づいた行動選択と結果に基づいた行動評価に内側運動前野がどのように関与しているかの実験データの数理的解析等が報告された.
セッション「機能代償」では,損傷部以外の神経回路の学習性の変化,これまで過小評価されてきたニューロン新生が特に損傷後には多くみられること,視細胞変性による視覚障害は残存する神経節細胞を適切に刺激することにより代償できる可能性があることという三つの異なるストラテジーからの機能代償メカニズム解析と応用への展望が紹介された.
セッション「感覚運動変換」では,巧妙な視覚刺激を用いた変換過程の解析が紹介され,追跡眼球運動時には補足眼野が作業記憶,運動の有無の決定,運動の準備をしていることが報告された.
セッション「視覚の生理心理」では,マカクザルの色刺激・方位刺激の知覚とそのカテゴリーに対応する下側頭皮質・一次視覚野の活動への影響が紹介された.また,侵襲実験が不可能なチンパンジーを含めた霊長類による奥行き知覚の比較認知研究も紹介された.
セッション「最終講義」では,林基治,三上章允両教授が霊長類研究所で行ってこられた研究を振り返りつつ,ポイントとなる発見の数々を紹介する最終講義を行い,研究会を締めくくった.
計画研究が目指した哺乳類のマクロ形態学と神経生理学の統合は必ずしも十分には達成できなかったが,特に発達研究などでは進展が期待できる.また,言うまでもないが,それぞれの発表は優れたもので,座長,他の演者,フロアから活発な議論を引き出すものであった.最後に,今回の世話人には名を連ねなかったが,実際には企画に加わってくれた東大総合研究博物館の遠藤秀紀氏に感謝したい.(文責:大石高生)

 

第38回ホミニゼーション研究会「ヒトの起源:共通祖先の形と暮らしを探る」

日時:2009年3月14日(土)〜15日(日)
場所:愛知県犬山市官林 京都大学霊長類研究所大会議室
参加人数:約60人
世話人:古市剛史・國松豊・中務真人・橋本千絵

<プログラム>
3月14日
セッション1:共通祖先の形態と分岐年代の再検討
・國松豊(京都大学・霊長類研究所)「アフリカの環境変動とナカリ出土の類人猿化石」
・仲谷英夫(鹿児島大学・理学部)「アフリカ哺乳類相の成立」
・諏訪元(東京大学・総合研究博物館)「チョローラ出土の類人猿化石とヒト上科の分岐について」
・颯田葉子(総合研究大学院大学・生命共生体進化学)「分子に基づくヒト上科の分岐年代の推定と問題点」
・コメント:中務真人(京都大学・理学研究科),清水大輔(日本モンキーセンター),河野礼子(国立科学博物館・人類研究部)
・総合討論
懇親会 会場:多目的ホール
3月15日
セッション2:乾燥地帯でどう生きるか
・酒井哲弥(島根大学・理工学部)「モンスーン気候の特徴とその発達」
・小川秀司(中京大学・国際教養学部)「サバンナウッドランドのチンパンジーの生活パターン」
・山極寿一(京都大学・理学研究科)「フォールバックフードと形態,行動の進化」
・コメント:伊谷原一(京都大学・野生動物研究センター),鈴木滋(龍谷大学・国際文化学部)
・総合討論
セッション3:運動形態と二足歩行の進化
・久世濃子(京都大学・理学研究科)「野生オランウータンの樹上移動様式」
・ 橋本千絵(京都大学・霊長類研究所)「野生チンパンジーの樹上移動様式」
・平崎鋭矢(大阪大学・人間科学研究科)「二足歩行とエネルギー消費量」
・古市剛史(京都大学・霊長類研究所)「初期人類における二足歩行の進化の要因の再検討」
・コメント:田代靖子(林原類人猿研究センター),五百部裕(椙山女学園大学・人間関係学部)
・総合討論
指定討論者:井上英治(京都大学・理学研究科),西川真理(京都大学・理学研究科)

ヒトの誕生と進化について知りたい.そういった素朴な興味から発した自然人類学・霊長類学の研究は,さまざまな分野で大きな発展を遂げてきた.とくに近年は,アフリカの後期中新世の大型類人猿化石の発見や,アフリカ各地での類人猿の生態学的比較研究の進展で,人類と大型類人猿の共通祖先の形態,社会,環境を考える上で,多くのヒントがもたらされるようになってきた.また,エチオピアで発見された後期中新世の類人猿化石は,その解釈によってはヒトの誕生の時期を大きく見直す必要を突きつけ,ゲノムの進化に関する新しい理論的研究とのすりあわせも必要になってきた.今回のホミニゼーション研究会では,形態学・生態学・遺伝学の研究者がお互いの知見を持ち寄り,共通祖先についてわかっていることについて情報を整理し,現段階で推定できること,今後検討を進めたいことについて討論を行った.(文責:古市剛史)

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