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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2009年度 > 大型プロジェクト

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.40 2009年度の活動

若手研究者交流支援事業

(東アジア首脳参加国会議からの招へい)ASIAN-HOPE事業

 独立行政法人日本学術振興会の事業である.採択された事業の名称は「人間の進化の霊長類的起源をさぐる研究のアジア諸国における国際連携」,英文名称は「International Collaboration of Primatology in Asian Countries(ASIAN-HOPE)」,略称をASIAN−HOPE事業とする.主宰する霊長類研究所の立場でいえば,一連のHOPE事業の一環として,アジア諸国から若手研究者30名を招へいする事業である.それと同時に,平成22年(2010)年開催の第23回国際霊長類学会に招へい者を参加させることで,20年ぶりの日本開催となる国際霊長類学会を盛りたてるという目的を有している.

 若手研究者交流支援事業(東アジア首脳参加国会議からの招へい),英文名称「Exchange Program for East-asian Young Researchers」については,下記のサイトで詳述されているのでご覧いただきたい.
http://www.jsps.go.jp/j-eayouth/

 背景としては,平成19年1月にフィリピンで開催された第2回東アジア首脳会議(East Asia Summit:EAS)において,安倍内閣総理大臣(当時)より,EAS参加国から,今後5年間,毎年6,000人程度の青少年を日本に招へいする交流計画が発表された.これに基づき,政府は,「21世紀東アジア青少年大交流計画」(Japan-East Asia Network of Exchange for Students and Youths - JENESYSプログラム)を立ち上げ,様々な交流事業を実施している. 本事業は,このJENESYSプログラムの一環として,次世代を担う若手研究者の交流を通じて,アジアを中心とした国々との地域協力の実現を目指すものである.

 本事業において支援することにより,アジアを中心とした国々との研究者間のネットワークの形成・強化,当該地域における高度人材育成及び科学技術コミュニティの形成等が期待される.ASEAN加盟国(インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオス)を,交流相手国の対象とする. なお,これらの国との交流をより効果的にするため,オーストラリア,ニュージーランド,インドを含めた交流計画とすることができる.逆に言うと,アジアとは称しながら,中国,韓国,バングラデシュ,スリランカなどの諸国からの招へいはできない.平成21年度第2回分として採択された.したがってここに報告するが,平成21年10月以降に開始し,平成22年9月末までに終了する事業である.よって平成21年度には,ASIAN-HOPE事業の採択を受けて,プレコングレスワークショップ等の準備をおこない,招へい者の選考をおこない,その来日についての連絡をとった.

 ASIAN-HOPE事業の目標は,一連のHOPE事業と連動した霊長類学の推進であり,人間の本性の進化的起源ならびに生物多様性の研究である.霊長類は人間を含めて(厳密に少なく見積もっても)約220種いる.そのうち人間以外の霊長類はすべて,東南アジア・東アジア,中南米,アフリカに分布している.つまり,北米やヨーロッパにはサル類はいない.日本は先進国の中で唯一サルのすむ国である.そうした自然の条件が背景にあって,霊長類のフィールド研究は,今西錦司や伊谷純一郎や川村俊蔵ら,京都大学の研究者・学生によって約60年前に日本で誕生した.それ以来,日本のユニークな国際貢献として,霊長類学は世界に向けてその成果を発信してきた.

 霊長類研究所は,1999年に,日本学術振興会と共催で「日本学術振興会アジア学術セミナー」を開催した.「生物の多様性に関する総合研究:霊長類学を基点として」と題したものだった.霊長類研究所は,現在のグローバルCOEの前身の21世紀COEのさらに前身である「機関支援COE」(研究代表者:故竹中修教授)に採択され,その一環として,アジアの若手研究者を日本に招へいして,約2週間の集中セミナーを含むトレーニング・コースを実施した.アジア各国から数人ずつ招へいされた若手研究者は,10年後の今日,各国で霊長類学とその周辺領域における学術の指導的な立場にある中核研究者として育っている.

 この間に,霊長類研究所はアジア諸国の研究機関と多数の交流協定を取り結び,霊長類のくらし,ゲノム,こころ,からだの研究を総合的に推進してきた.2010年には,生物多様性条約のCOP10締約国会議が日本で開催される.また,第23回国際霊長類学会も20年ぶりに日本で開催される.こうした節目の時期に,霊長類学を志すアジアの若手研究者を招へいして実習形式のセミナーによって学問の最前線の知識や技術を伝授することは,今後のアジアにおける霊長類学の国際連携の構築のためにきわめて有効で時宜を得ているものと考える.本事業計画の要点は,(1)研究の推進,(2)国際連携,(3) 知識・技術の伝授という以下の3つに要約できる.

 第1に,霊長類学という核となる学問分野の推進である.霊長類学は日本が世界をリードしてきた数少ない事例といえるだろう.欧米の研究者も,日本の研究に高い関心を払っている.日本が学問の最先端にいるので,アジア諸国の若手研究者に対してわが国の学術が資する点が非常に大きい.地政学的にいえば,学問におけるアジアの中核拠点という位置に日本がいる.

 第2に,東南アジアが霊長類の自然の生息地ならびに化石産地としてきわめて重要な位置を占めているので連携を図る.日本にはニホンザルがいるとはいえ,その1種のみである.ASEAN諸国やインドなど,東南アジア・東アジアには,多数の霊長類が生息している.彼らを対象とした研究なくして霊長類学の発展はありえない.現生の霊長類だけでなく,化石種についても貴重なものがこの地域から発掘されており,ミャンマー等の調査地から新種の発見が相次いでいる.また類人猿とよばれるグループのなかで最も変異に富んでいて,最も未解明なのが,テナガザル類である.テナガザル類は東南アジアにしか分布していない.その生態・行動・ゲノム等の解析は,人間の進化の起源を知るうえで欠かすことができない.霊長類は種子散布者として熱帯林のアンブレラ種であり,その研究は生物多様性の解明の鍵となる研究だともいえるだろう.

 第3に,とくに招へい若手研究者を対象とした企画として,ニホンザル研究60年の蓄積を活かした実習・セミナーによる知識・技術の伝授を目指す.霊長類研究所と野生動物研究センターが協力することで,日本学術振興会第2回アジア学術セミナーと位置づけるべきワークショップ「霊長類との共存を探る−霊長類研究と霊長類保護管理に向けた理論と実践」を開催する.附属の研究宿泊施設を活用して,実習形式のセミナーを実施する.霊長類研究所には第2キャンパスとしてリサーチ・リソース・ステーションが開設され,広大な敷地で里山の環境を活用したニホンザルの飼育がおこなわれている.実験施設も外国人用の宿泊施設もあり,こうした研究インフラを利用してセミナーを実施する.東南アジアの若手研究者を日本に招へいして,実習・セミナー形式で教育することは,これまで研究所が培ってきた人脈を強化し,次の世代の研究者の人材育成に大きく寄与するだろう.

 事業運営体制としては,霊長類研究所の8教員と野生動物研究センターの3教員の合計11教員(松沢哲郎,渡邊邦夫,平井啓久,濱田穣,高井正成,川本芳,マイケル・ハフマン,半谷吾郎,伊谷原一,幸島司郎,村山美穂)が,ASIAN-HOPE事業運営委員会を構成して,その企画・立案・実行を担う.そうした招へい者の支援を国際共同先端研究センターに委ねることとした.

 招へい者については平成22年度に,事業終了を待って確定したものを報告する.なお,予定されている主要なワークショップは,「ASIAN-HOPEプロジェクト2010,霊長類との共存を探る−霊長類研究と霊長類保護管理に向けた理論と実践―」,開催予定時期:2010年9月6日(月)-10日(金),開催予定場所:京都大学霊長類研究所,犬山国際観光センター・フロイデ,日本モンキーセンターである.

(文責:松沢哲郎)

 

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