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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > 2011年度・目次

京都大学霊長類研究所 年報

Vol.41 2010年度の活動

年報 Vol.41

. 研究活動

1. 研究部門及び附属施設

寄附研究部門

比較認知発達(ベネッセコーポレーション)研究部門

松沢哲郎 (兼任教授), 正高信男 (兼任教授), 伊村知子 (特定助教), 高島友子 (技術補佐員)

<研究概要>

A) チンパンジーの知覚認知能力の比較認知科学的研究

伊村知子

チンパンジーとヒトの空間認知に関する能力, 形態情報と運動情報の統合過程を直接比較する研究をおこなった.


B) ヒトとニホンザル乳児の知覚発達の比較

伊村知子

ニホンザルの0歳児を対象に, 奥行き知覚, 運動知覚の能力を注視時間を指標として検討し, その発達過程をヒトと比較した.


<研究業績>

原著論文

1) Shirai N, Imura T, Hattori Y, Adachi I, Ichihara S, Kanazawa S, Yamaguchi MK, Tomonaga M (2010) Asymmetric perception of radial expansion/contraction in Japanese macaque (Macaca fuscata) infants. Experimental Brain Research 202(2):319-325.

2) Shirai, N., Imura, T., Hattori, Y., Adachi, I., Ichihara, S., Kanazawa, S., Yamaguchi, M.K., & Tomonaga, M (2010) Asymmetric perception of radial expansion/contraction in Japanese macaque (Macaca fuscata) infants. Experimental Brain Research 202(2):319-325.

3) Ushitani T, Imura T, Tomonaga M (2010) Object-based attention in chimpanzees (Pan troglodytes). Vision Research 50(6):577-584.

4) Ushitani, T., Imura, T., & Tomonaga, M (2010) Object-based attention in chimpanzees (Pan troglodytes). Vision Research 50(6):577-584.

5) 伊村知子 (2010) ヒトとその他の霊長類における奥行き知覚の初期発達. 心理学評論 53:318-333.

編集

1) 伊村知子 (2010) vol.10 ベビーサイエンス p.6-25, 編集委員.

学会発表

1) Imura T, Adachi I, Hattori Y, Tomonaga M (2010) The perception of motion trajectory of objects from moving cast shadows in human (Homo sapiens) and Japanese macaque (Macaca fuscata) infants. International Primatological Society XXIII Congress (2010/09/14, Kyoto).

2) Imura, T (2010) Visual temporal integration on object recognition in chimpanzees and humans. 33th European Conference on Visual Perception (2010/08/23, Lausanne, Switzerland).

3) 伊村知子 (2010) スリット視条件下における形態情報の時間的統合過程:チンパンジーとヒトの比較. 日本基礎心理学会第29回大会 (2010/11/28, 関西学院大学).

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1. 研究部門及び附属施設

寄附研究部門

ボノボ(林原)研究部門

松沢哲郎(兼任教授), 平田聡(客員准教授), 山本真也(特定助教)

<研究概要>

1) 野生ボノボの行動調査

松沢哲郎, 平田聡, 山本真也

コンゴ民主共和国ワンバ村にて, 野生ボノボの行動と生態を調査した. 食物分配を含む個体間関係, 過保護事例を含む母子発達, 地中のキノコ食行動などを記録し, 解析をおこなった.


2) 日本へのボノボ導入に向けた資料収集, 海外飼育ボノボ個体群の観察

平田聡, 山本真也

日本での飼育ボノボを対象にした認知研究を立ち上げる準備として, 導入手続きの調査, 海外でのボノボ飼育・実験研究の現場視察, 飼育ボノボ個体にかんする情報収集をおこなった.


3) 野生チンパンジーの行動調査

松沢哲郎, 山本真也

ギニア共和国ボッソウ村にて, 野生チンパンジーの行動と生態を調査した. 道具使用行動, 祖母による子育て協力, 集団での協力・役割分担, 植物の薬用利用行動などを記録し, 解析をおこなった.

4) 飼育チンパンジーを対象とした比較認知科学的研究

松沢哲郎, 平田聡, 山本真也

霊長類研究所の1群14個体, 林原類人猿研究センターの1群8個体のチンパンジーを対象に, タッチパネルモニターを用いた認知研究, 非拘束型アイトラッカーを用いた視線パターンの記録, 4Dエコー・事象関連電位を用いた神経生理学的研究, 出産メカニズムの解析などをおこなった.

<研究業績>

原著論文

1) Fukushima H, Hirata S, Ueno A, Matsuda G, Fuwa K, Sugama K, Kusunoki K, Hiraki K, Tomonaga M, Hasegawa T (2010) Neural correlates of face and object perception in an awake chimpanzee (Pan Troglodytes) examined by scalp-surface event-related potentials. PLoS ONE 5:e13366.

2) Hirata S, Fuwa K, Sugama K, Kusunoki K, Fujita, S (2010) Facial perception of conspecifics: chimpanzees (Pan troglodytes) attend to proper orientation and open eyes. Animal Cognition 13:679-688.

3) Hirata S, Yamamoto S, Takemoto H, Matsuzawa T (2010) A case report of meat and fruit sharing in a pair of wild bonobos. Pan Africa News 17(2):21-23.

4) Ueno A, Hirata S, Fuwa K, Sugama K, Kusunoki K, Matsuda G, Fukushima H, Hiraki K, Tomonaga M, Hasegawa T (2010) Brain activity in an awake chimpanzee in response to the sound of her own name. Biology Letters 6:311-313.

5) Yamamoto S, Tanaka M (2010) The influence of kin relationship and reciprocal context on chimpanzees' other-regarding preferences. Animal Behaviour 79(3):595-602.

総説

1) 平田聡 (2010) チンパンジーの脳研究の展開. 心理学評論 53:336-350.

2) 山本真也 (2010) チンパンジーとヒトの共通点・相違点〜社会的知性を中心に〜. 人文学報 100:in press.

3) 山本真也 (2010) 要求に応えるチンパンジー:利他・互恵性の進化的基盤. 心理学評論 53(3):422-433.

著書(分担執筆)

1) Hirata S, Morimura N, Fuwa K (2010) Intentional communication and comprehension of the partner's role in experimental cooperative tasks. 「The mind of the chimpanzees: ecological and experimental perspectives.」 (Lonsdorf EV, Ross SR, Matsuzawa T編) pp. 251-264 . The University of Chicago Press.

2) Yamamoto S, Yamakoshi G, Humle T, Matsuzawa T (2011) Ant-fishing in trees: invention and modification of a new tool use behavior. (The chimpanzees in Bossou and Nimba) (eds. Matsuzawa T, Humle T, Sugiyama) p.Springer-Verlag pp. 123-130.

その他の執筆

1) 平田聡 (2010) ミサキの育児放棄. 発達124. p.104-112.

2) 松沢哲郎, 平田聡, 山本真也 (2010) ちびっこチンパンジーとその仲間たち―コンゴ盆地の野生ボノボ― 科学80(11). (第107回) p.1126-1127.

3) 山本真也 (2011) 霊長類の比較発達心理学(連載105回)要求に応えるチンパンジー. 自発的に助けるヒト 発達126.p. 97-105.

4) 松沢哲郎, 山本真也 (2011) ちびっこチンパンジーとその仲間たち(第111回)―野外実験のおもしろさ― 科学 81(3). p.212-213.

5) 山本真也, 松沢哲郎 (2011) チンパンジーにみる利他性の進化的基盤 科学 81(1). p.53-55.

学会発表

1) Hirata S (2010) ERP measurements and ultrasound scanning for investigating chimpanzee brain characteristics. The 23rd Congress of International Primatological Society (2010/09/12-17, Kyoto).

2) Hirata S (2010) Recognition of live and delayed self-images in chimpanzees. 15th Biennial Scientific Meeting of the International Society for Comparative Psychology (2010/05/19-21, Awaji, Hyogo).

3) Schrauf C, Fuwa K, Call J, Hirata S (2010) Chimpanzees choice of hammer weight is based on an avoidance to smash the kernel. The 23rd Congress of International Primatological Society (2010/09/12-17, Kyoto).

4) Yamamoto S, Yamakoshi G, Humle T, Tanaka M, Matsuzawa T (2010) Possible cumulative culture in chimpanzees: invention, modification, and social learning of tool-use technique. The 23rd Congress of the International Primatological Society (2010/09/12-18, Kyoto).

5) Zamma K, Fujita S, Fuwa K, Hirata S, Ishida Y, Kusunoki K, Namba T, Sugama K, Tashiro Y, Yoshikawa M (2010) Sleeping postures of captive chimpanzees. The 23rd Congress of International Primatological Society (2010/09/12-17, Kyoto).

6) 平田聡 (2010) チンパンジーの自己認識.「認知神経科学の先端 身体性の脳内メカニズム」. 生理学研究所研究会 (2010年10月22-23日, 岡崎(岡崎コンファレンスセンター)).

7) 平田聡 (2010) チンパンジーの社会的知性に関する実験的研究. 第74回日本心理学会大会 (2010年09月20-22日, 吹田(大阪大学).

8) 平田聡 (2010) 大型類人猿とは何か. 第13回SAGAシンポジウム (2010年11月17日, 麻布大学).

9) 山本真也, 山越言, ハムル・タチアナ, 田中正之, 松沢哲郎 (2010) チンパンジーでの累積文化進化の可能性〜道具使用テクニックの創出・改良・社会学習〜. 第3回人間行動進化学会大会 (2010年12月04日, 神戸).

講演

1) 平田聡 (2010年07月11日) チンパンジーの社会的認知. 自然学セミナー第8回「意識を考える」 京都(京都大学吉田泉殿), 30名.

2) 平田聡 (2010年09月02日) チンパンジーの知性. 福浜熟年大学 岡山(福浜公民館), 40名.

3) 平田聡 (2010年12月12日) チンパンジーが教えてくれること. たまの地域人づくり大学 玉野(玉野市総合文化センター), 45名.

4) 平田聡 (2010年7月15日) チンパンジーの心. 倉敷ロータリークラブ例会 倉敷(倉敷国際ホテル), 70名.

5) 山本真也 (2010年04月16日) チンパンジーをみてヒトを学ぶ 〜進化の隣人の社会と文化〜. 耐火物技術協会中国四国支部・日本セラミックス協会中国四国支部特別講演 備前市・岡山セラミックスセンター, 聴衆約50名.

6) 平田聡 (2011年02月06日) チンパンジーの心を探る.集まれ科学好き. - 岡山(国際交流センター), 200名.

7) 山本真也 (2011年02月18日) 進化の隣人を科学する〜チンパンジー・ボノボからわかること〜. 武庫川女子大学附属中学・高等学校スーパーサイエンスハイスクール講演 西宮市・武庫川女子大学附属中学・高等学校), 聴衆約140名.


松沢哲郎の研究業績については, 思考言語分野参照.


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1. 研究部門及び附属施設

附属施設

人類進化モデル研究センター

平井啓久 (遺伝子情報分野教授・センター長併任2007年10月より), 明里宏文,岡本宗裕 (教授),鈴木樹理 (准教授), 宮部貴子, 早川敏之 (助教),吉田友教 (特定助教),阿部政光, 釜中慶朗, 前田典彦 (技術専門職員),渡邉朗野, 森本真弓, 兼子明久, 渡邉祥平, 須田直子 (技術職員)

人類進化モデル研究センターは所内の各種研究の支援やショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)へのサルの供給のために,施設整備, ニホンザル毋群導入, 飼育・健康管理をおこなうとともに, これらのサルについての種々の研究を推進している.2010年度には官林キャンパスの旧式グループケージ1棟を改修し大型ケージを新設した(GC3). 2010年度はニホンザルの出血を伴って死亡する病気が発生した. センター教職員が中心になって所内外の共同研究者とともにその原因を追究した. その結果サルレトロウイルス4型(SRV-4)の感染を起因として,血小板減少を引き起こす病気であることが明らかになった. その特性を冠して病名を「ニホンザル血小板減少症」とした. 小野洞キャンパスのRRS計画の経費は昨年度が最終年度であった. RRS計画は霊長類本来の特性を維持したニホンザルを, 自然の生息環境に近い条件下で動物福祉に配慮して飼育し, 新たな霊長類研究の推進をおこなうものである. RRS計画の中ではNBRPの一部であるニホンザルバイオリソース(NBR)計画に, ニホンザルの繁殖と供給をおこなうことで協力している.繁殖体制も軌道にのり, 2010年度にはNBRのニホンザルは毋群総数365頭となり, 新たに35頭の繁殖がみられた.昨年度のNBR事業へのサル供給は「ニホンザル血小板減少症」の発生にともなって停止した. ニホンザルの病気の検査が発端となって, センター内に検査管理部を設置した. 検査管理部は臨床・病理検査室,遺伝子・生化学検査室,繁殖・育成・福祉室の3室で業務をおこなうこととした. 研究部は2名の教授が着任し, 比較免疫微生物領域と野生生物多様性領域の2領域で構成されることとなった.

人事面では2010年4月1日に教授の岡本宗裕が就任した. 研究員として吉田友教を4月から採用, 8月1日に特定助教に就任した. 非常勤研究員として松井淳を5月から採用した. 非常勤職員には以下の異動があった. 2010年4月より教務補佐員に齊藤波子を採用. サル飼育担当として5月谷和女, 8月津川則子,2011年1月大竹公子を技能補佐員に採用, 4月実験補助担当として安江美雪, 生駒智子 (派遣職員)を採用. 5月菅原 亨 (非常勤研究員), 岩崎優紀(技術補佐員), 7月津川則子, 12月谷和女(技能補佐員)が退職した.

<研究概要>

A) ゲノム不毛遅滞の進化と意義

平井啓久, 古賀章彦(ゲノム多様性分野),平井百合子

チンパンジーのゲノム不毛地帯(RCRO)の分布と変異を解析し, RCRO同士の強固な対合よって生じる減数分裂時のブーケステージの遅滞を確認した. RCROの存在部位の変異が生じることから, 非相同染色体間のRCRO領域の組み換えが生じることを確認した.



B) 霊長類における染色体領域VIIq31の進化的保存性

平井啓久, 郷康広, 宮部貴子(人類進化モデル研究センター), 平井百合子

チンパンジーのVIq31領域を顕微切断法で削り取り彩色プローブを作製した.そのプローブを用いてVIIq31の存在様式を霊長類20種で確認したところ, コモンマーモセット1種だけに逆位が確認されたのみで, 他の全種は染色体再配列が生じることがなく, 頑健な保存性を示した. それはゲノムデータベース解析においても確認された. その高い保存性の理由として, その領域に重要な遺伝子(精神的発達や癌関連遺伝子など)が存在するために, 染色体変異が淘汰されてきたものと推論した.



C) テナガザル類の多様性と生物地理学

平井啓久, 宮部貴子(人類進化モデル研究センター),松井淳(人類進化モデル研究センター), 古賀章彦 (ゲノム多様性分野), Baicharoen S(タイ動物園協会), Jahan S(バングラデシュ野生生物保護局), 平井百合子

タイのチェンマイ動物園の属間雑種を解析し, 父親がNomascus leucogenysで母親がHylobates larであることを染色体レベルと記録情報で確認した. 野性テナガザルから検出されたヘリコバクターの16SrDNAの配列を明らかにし, 分子系統進化解析をおこなった. Hoolock hoolockの染色体の彩色プローブ作製にとりかかった.



D) カニクイザル/human immunodeficiency virus type-1 (HIV-1) 感染モデルの開発に関する研究

齊藤暁, 吉田友教, 明里宏文

本研究では近年確立された, サル細胞で増殖可能なサル指向性HIV-1クローン(macaque-tropic HIV-1: HIV-1mt) を用いてこれまで不可能とされてきたモデル動物である実験用サル類/HIV-1感染・発症システムを確立することを目的とした. 本研究により, 第三世代HIV-1mtであるMN4Rh-3はこれまでのHIV-1mtと比較してカニクイザル個体でより良好に増殖することが示された. ピーク時での血中ウイルス量(感染2週後で6 x 104 copies/ml以上)は, ウイルス定量系の検出限界(102 copies/ml)を考慮すれば充分薬剤による抗ウイルス効果を判定できるものと考えられることから, SIVには無効なHIV-1特異的薬剤の前臨床試験(有効性評価試験)に有効な新たな霊長類モデルの作出にほぼ成功したと考えられた.





E) カニクイザルにおけるmacaque-tropic human immunodeficiency virus type-1 (HIV-1mt) 増殖の個体差に関する分子基盤研究

齊藤暁, 吉田友教, 明里宏文

前述のHIV-1mt/カニクイザル研究において, HIV-1mtの増殖効率がサル個体間で大きな違いが認められた.この原因について解析した結果, 宿主抗レトロウイルス(内因性抵抗性)因子であるTrim5αの遺伝子多型に起因することを始めて明らかにした.現在, その詳細な解析を進めている.



F) マカクザル類における宿主抗レトロウイルス(内因性抵抗性)因子Trim5αの遺伝子多型に関する研究

齊藤暁, 吉田友教, 明里宏文

 これまでの報告で, アカゲザルやブタオザルでは宿主抗レトロウイルス(内因性抵抗性)因子Trim5αの遺伝子多型が多く存在し, またこの多型性がレトロウイルスの増殖効率に影響することが示されている. 本研究では, カニクイザルやニホンザルにおけるTrim5αの遺伝子多型を解析し, ウイルス感染・発症との関連性について検討を進めている.



G) コモンマーモセット/GBV-B感染モデルを用いた抗C型肝炎ウイルス獲得免疫に関する研究

岩崎優紀, 吉田友教, 齊藤暁, 明里宏文

 今年度は, これまでに新規治療薬やワクチンの評価系として開発を進めてきたC型肝炎のサロゲート病態霊長類モデルにおいて, 慢性化の機序を解明する目的で免疫学的側面からの解析を行なった. その結果, GBV-B感染サルの血液中にウイルス抗原特異的IFNγ発現細胞が高い割合で検出されるにも関わらず, 高いレベルのウイルス血症が数ヶ月間持続することが明らかとなった. またGBV-B長期持続感染マーモセットにおいて, 高頻度の選択的なアミノ酸置換変異が認められた.以上のことから, 少なくとも2段階の免疫回避機構がGBV-Bの慢性化に必要であることが示された.



H) 新規霊長類モデルを用いたウイルス感染における自然免疫の意義に関する研究

岩崎優紀, 吉田友教, 齊藤暁, 明里宏文

 ウイルス感染における自然免疫の意義を解明することを目的に, サル個体における自然免疫機能の新たな解析方法を確立した.すなわちカニクイザル及びタマリンに抗CD16 (3G8) 抗体を投与することにより, NK細胞数と活性が劇的に減少することを明らかにした.今後は, 本法を用いて未だに不明な点が多いウイルス感染急性期におけるNK細胞の意義を明らかにしたい.



I) 野生チンパンジー/ボノボからの病原微生物特異抗体検出系の確立

吉田友教, 竹元博幸, 橋本千絵, 坂巻哲也, 宮部貴子,渡邉祥平, 古橋保志, 前田典彦, 生駒智子, 岡本宗裕,鈴木樹理, 早川敏之, 古市剛史, 明里宏文

 アフリカ野生チンパンジー/ボノボの糞便サンプルからの病原微生物特異抗体検出系の確立を行なうため, 我々は腸管免疫の主な役割を担っているIgA抗体に着目した.すなわち国内飼育されているチンパンジーの血漿サンプル中に特に抗体価が高かったEBV抗体について, 糞便サンプルからEBV IgA抗体を検出することに成功した. 次に野生チンパンジー/ボノボ糞便からの抽出液からEBV IgA抗体を検出したところ, チンパンジーで5頭中1頭, ボノボにおいては, 4頭中2頭でEBV IgA抗体を検出できた. 今後は他の病原体由来抗原を用いることにより, チンパンジー/ボノボの糞便から様々な病原体特異的IgAを検出することが可能となり, 野生霊長類の病原体感染状況のサーベイランスを実施するための基盤が整備された.



J) テニア科条虫幼虫感染家畜個体の識別に有用な新しい技術開発とリスク評価への応用

岡本宗裕

 ヒトを終宿主とするテニア科条虫には, 有鉤条虫,無鉤条虫, タイワンテニアの3種が知られている.平成22年度は, 中国四川省チベット高原の流行地で調査を実施したところ, 複数の地域でテニアの感染者が認められ同地域はヒトテニア症の濃厚汚染地域であることが確認できた. 形態的に無鉤条虫あるいはアジア条虫と思われる条虫の人体寄生は全ての集落で確認できたが, 有鉤条虫は, 1集落で確認できたのみであった. これらの虫体について,,ミトコンドリアDNAと核のDNAを用いた遺伝子診断を実施したところ, 1集落において採集された2虫体は, Hybrid由来であることが確認できた.



K) 難治性寄生虫病に関する遺伝子診断法の開発

岡本宗裕

 近年我々の研究グループは, 無鉤条虫とアジア条虫交雑体が存在することを発見した. これらの交雑体は従来の遺伝子診断法では診断できないため, それらの遺伝子を解析し, 新しい診断法を開発する必要がある. 平成22年度は, これらの地域のうちタイとインドネシア・バリ島で疫学調査を実施し, ヒトに寄生している成虫およびヒトへの感染源となる家畜に寄生している幼虫を採取した.採取した虫体について, ミトコンドリアと核の遺伝子をできるだけ網羅的に調べた. また, 一部の虫体について次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析を実施した.



L) 多包虫症に関する非開腹的治療法への挑戦と評価法の開発

岡本宗裕

 ラットの肝臓の所定の位置に多包虫症病巣を作製する方法について, 検討した. 全身麻酔下で, 腹部正中を開腹後, 肝臓の一部を体外に露出した. メスで肝臓に約5mmの切開創を作製し, あらかじめ準備しておいた多包虫のシストを切開創に移植した. 止血とシストの腹腔内流出阻止のために, 止血シートで切開創を被覆した. 全例に於いて, 移植部位でのシストの生長をMRIで経時的に追跡できた. 本法は所定の位置に多包虫症病巣を作製する上で極めて有用な方法であることを確認した.



M) サル類のストレス定量および動物福祉のための基礎研究

鈴木樹理

飼育環境でのストレス反応を定量することとその軽減策の検討のために, マカク用糞中コーチゾル測定系のチンパンジーへの応用を検討し可能となった. 長期ストレス定量に有効な毛髪中コーチゾル測定系の確立を引き続き行っている.



N) マカクの麻酔法に関する研究

宮部貴子, 兼子明久, 渡邉朗野, 増井健一(防衛医科大), 西尾忠, 金澤秀子(慶応義塾大)

 昨年度までに飼育下ニホンザルを対象に解析した静脈麻酔薬プロポフォールの薬物動態パラメータを用いて, プロポフォールのステップダウン持続投与をおこなった.実際の持続投与時の血中濃度を測定し, プロポフォール血中濃度予測の正確さおよび偏りを検討した.



O) サル類の疾病に関する臨床研究

宮部貴子, 渡邉朗野, 兼子明久, 鈴木樹理

飼育下のサル類の自然発症疾患に関して, 臨床研究を行っている. 今年度導入されたX線CTを用いて, ^続攣δ樵阿離好リーニングCT撮像, および⊆然発症疾患症例のCT撮像をおこなった. 2010年に撮像をおこなった11症例について, それぞれの画像と安楽殺後の病理解剖の肉眼および病理組織所見, 症例の予後, 治療方針, 治療に対する反応等と照合し, 検討した.



P) 非ヒト霊長類におけるヘリコバクター属の感染に関する研究

宮部貴子,,松井淳,,親川千紗子,,香田啓貴, Diah Iskandriati, Joko Pamungkas, Hery Wijayanto, Dyah Perwitasari-Farajallah, 平井啓久

野生テナガザルから検出された, ヘリコバクター属特異的16SrDNAのシークエンスを, これまでデータベースへ報告されたヘリコバクター, カンピロバクター属のデータと併せて, 種網羅的な分子系統進化解析を行った.



Q) 霊長類におけるシアル酸関連分子の進化

早川敏之

 シアル酸は, 細胞膜表面の糖鎖の末端にある酸性単糖であり, 細胞間認識機構や宿主-病原体相互作用においてリガンドとして働き, 自然免疫などの生命現象で重要な役割を果たしている.このシアル酸に関わるシアル酸関連分子には, シアル酸を認識し細胞内シグナル伝達をおこなう受容体や, シアル酸の変換や転移などをおこなう酵素群が含まれる. これらシアル酸関連分子の霊長類での進化の解明のため, ゲノム配列, 発現, 機能の霊長類間での比較解析をおこなっている.



R) 霊長類マラリア原虫をはじめとした現生マラリア原虫の進化

早川敏之

 マラリア原虫は, 霊長類やげっ歯類といった哺乳類や鳥類, 爬虫類を宿主として感染し, マラリアを引き起こす. ヒトを宿主とするマラリア原虫の一種である熱帯熱マラリア原虫はシアル酸を標的として感染し, シアル酸が関わる感染症との観点からマラリア原虫の進化について研究をおこなっている.ミトコンドリアゲノムの解析から, 現生マラリア原虫の起源での宿主転換による急速な多様化を見いだし, 寄生適応戦略として宿主転換が重要であるとする"マラリアビッグバン仮説"を提唱しているが,,核ゲノムにコードされる遺伝子(エネルギー代謝に関わる遺伝子群)の解析からも, マラリアビッグバン仮説を支持する結果を得た.



S) 霊長類ゲノム配列を用いた嗅覚受容体遺伝子の比較解析

松井淳, 郷康広, (遺伝子情報分野), 新村芳人, (東京医科歯科大学)

霊長類ゲノムデータから全嗅覚受容体遺伝子を網羅的に同定, 比較解析し, 狭鼻猿類の系統で嗅覚受容体の機能遺伝子は徐々に失われており, 霊長類において「三色色覚の獲得によって嗅覚受容体遺伝子が急激に失われた」という仮説は成り立たないことが示された.



<研究業績>

原著論文

1) Iwase M, Satta Y, Hirai H, Hirai Y, Takahata N (2010) Frequent gene conversion events between the X and Y homologous chromosomal regions in primates. BMC Evolution Biology 10: 225

2) Koga A, Notohara M, Hirai H (2010) Evolution of subterminal satellite (StSat) repeats in hominids. Genetica 139: 167-175.

3) Suzuki, N, T. Sugawara, A. Matsui, Y. Go, H. Hirai, and H. Imai (2010) Identification of non-taster Japanese macaques for a specific bitter taste. Primates 51, 285-289.

4) Sugawara T, Go Y, Udono T, Morimura N, Tomonaga M, Hirai H, And Imai H. (2011) Diversification of bitter taste receptorgene family in western chimpanzees. Mol. Biol. Evol. 28, 921-931.

5) Matsumoto Y, Miura T, Akari H, Goto Y, Haga T: Peripheral blood CD4 CD8 double-positive T cells of rhesus macaques become vulnerable to Simian Immunodeficiency Virus by in vitro stimulation due to 

the induction of CCR5. Journal of Veterinary Medical Science 72, 

1057-1061, 2010.

6) Naruse TK, Chen Z, Yanagida R, Yamashita T, Saito Y, Mori K, Akari H,Yasutomi Y, Miyazawa M, Matano T, Kimura A: Diversity of MHC class I genes in Burmese-origin rhesus macaques. Immunogenetics 62, 601-611, 2010.

7) Yoshida T, Saito A, Iwasaki Y, Iijima S, Kurosawa T, Katakai Y, Yasutomi Y, Reimann KA, Hayakawa T, Akari H: Characterization of natural killer cells in tamarins: a technical basis for studies of innate immunity. Frontiers in Microbiology 1:128.

8) Saito A, Nomaguchi M, Iijima S, Kuroishi A, Yoshida T, Lee YJ, Hayakawa T, Kono K, Nakayama EE, Shioda T, Yasutomi Y, Adachi A, Matano T, Akari H: Improved capacity of a monkey-tropic HIV-1 derivative to replicate in cynomolgus monkeyswith minimal modifications. Microbes and Infection 13, 58-64, 2011.

9) Ohtani H, Nakajima T, Akari H, Ishida T, Kimura A: Molecular Evolution of immunoglobulin superfamily genes in primates. Immunogenetics, in press.

10) Ito M, Katakai Y, Ono F, Akari H, Mukai RZ, Takasaki T, Kotaki A, Kurane I: Serotype-specific and cross-reactive neutralizing antibody responses in cynomolgus monkeys after infection with multiple dengue virus serotypes. Archives of Virology, in press.

11) Okamotoa M, Nakao M, Blair D, Anantaphruti M T, Jitra Waikagul J and Ito A. (2010) Evidence of hybridization between Taenia saginata and Taenia asiatica. Parasitol. Int., 59, 70-74

12) Malinee T. Anantaphruti, Munehiro Okamoto, Tippayarat Yoonuan, Surapol Saguankiat, Teera Kusolsuk, Megumi Sato, Marcello O. Sato, Yasuhito Sako, Jitra Waikagul and Akira Ito (2010) Molecularand serological survey on taeniasis and cysticercosis in Kanchanaburi Province, Thailand. Parasitology International, 59, 326-330

13) Eguchi K, Ohsawa K, Fuse Kiyono M, Suzuki J, Kurokawa K, Yamamoto T:Short communication: epidemiological evidence that simian T-lymphotropic virus type 1 in Macaca fuscata has an alternative transmission route to maternal infection. AIDS Res Hum Retroviruses 27(2): 113-4, 2011.

14) Miyabe-Nishiwaki Takako, Kenichi Masui, Akihisa Kaneko, Koki Nishiwaki, Etsuko Shimbo, Hideko Kanazawa (2010)Hypnotic effects and pharmacokinetics of a single bolus dose of propofol in Japanese macaques (Macaca fsucata fsucata)Vet. Anaesth. Analg. 37: 501-510.

15) Miyabe-Nishiwaki T, A. Kaneko, K. Nishiwaki, A. Watanabe, S.  Watanabe, N. Maeda,K. Kumazaki, M. Morimoto, R. Hirokawa, J. Suzuki*, Y. Ito, M. Hayashi, M. Tanaka,M. Tomonaga & T. Matsuzawa (2010) "Tetraparesis resembling acute transverse myelitis in a captive chimpanzee (Pan troglodytes): long-term care and recovery" J Med Primatol 39: 336-346

16) Matsui A, Go Y, and Niimura Y. (2010)Degeneration of olfactory receptor gene repertories in primates: No direct link to full trichromatic vision. Molecular Biology and Evolution, 27, 1192-1200.

総説

1) Minoru Nakao, Tetsuya Yanagida, Munehiro Okamoto, Jenny Knapp, Agathe Nkouawa, Yasuhito Sako and Akira Ito (2010) State-of-the-art Echinococcus and Taenia: Phylogenetic taxonomy of human-pathogenic tapeworms and its application to molecular diagnosis. Infection, Genetics and Evolution, 10, 444-45.

その他の執筆

1) 宮部貴子(2010)浜井美弥,NBRニュースレター,6-8,自然科学研究機構, 生協岡崎

2) 松井淳, 長谷川政美 (Fudan University, 統計数理研究所) (2010)生物多様性スポット・マダガスカルの哺乳類はどこから来たのか? 「生物の科学 遺伝」 64, pp.98-101 株式会社エヌ・ティー・エス

学会発表

1) Koga A, Hirai H: Origin and evolution of Retrotransposable compound repeat DNA organization. 

International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010. 2010年9月,京都.

2) Baicharoen S, Miyabe-Nishiwaki T, Hirai Y,Duangsa-ard B, Siriaroonrat B, Hirai H: Intergeneric and interspecific hybrids in gibbons: chromosomal aspects of the small ape evolution. International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010.2010年9月,京都.

3) Ichino S, Kawamoto Y, Miyamoto N, Hirai H, Koyama N: Male reproductive strategies of ring-tailed lemurs (Lemur catta) at Berenty reserve,Madagascar. International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010.2010年9月,京都.

4) Tanaka M, Tanaka H, Hirai H: Genetic structure of a brown lemur interspecific hybrid population in Berenty, Madagascar. International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010.2010年9月,京都.

5) Hiroo IMAI, Nami SUZUKI, Tohru SUGAWARA, Atsushi MATSUI, Yasuhiro GO, and Hirohisa HIRAI,Polymorphism in Bitter Taste Receptors of Primates. April 22, 2010, Associationfor Chemoreception Sciences 2010 annual meeting, St. Petersberg, USA.

6) Nami SUZUKI, Tohru SUGAWARA, Takashi HAYAKAWA, Atsushi MATSUI, Yasuhiro GO, Hirohisa HIRAI, and Hiroo IMAI, Genetic Polymorphism in Sensory Receptor Genes of Primates,2010年 9月 12日,The 4th International Symposium of the Biodiversity and Evolution Global COE project"Evolution of Sensor, Communication and Society" ,Kyoto.

7) N Suzuki, T Sugawara, A Matsui, Y Go, H Hirai, and H. Imai, Differences in bitter taste receptors and behaviours in species and sub-species of primates: Identification of non-taster Japanese macaques for a specific bitter taste. September 18, 2010, European Chemoreception Research Organization XXth CONGRESS, Avignon, France.

8) 今井啓雄,菅原亨,鈴木南美,早川卓志,松井 淳,郷 康広,平井啓久. 霊長類苦味受容体の遺伝子・分子・行動解析, 京阪奈生物学セミナー,2010年5月17日,京都.

9) 早川卓志, 菅原亨, 郷康広, 鵜殿俊史, 平井啓久, 今井啓雄,チンパンジー亜種集団間における苦味受容体遺伝子配列の比較解.2010年8月2−5日,日本進化学会大会,東京.

10) 鈴木南美,菅原亨,松井淳,郷康広,平井啓久,今井啓雄,苦味受容体遺伝子の多型解析による味覚変異ニホンザルの発見.2010年9月8−10日,日本味と匂い学会大会,北九州.

11) T. Hayakawa, T. Sugawara, Y. Go, T. Udono, H. Hirai, H. Imai. Intrasubspecific polymorphisma and intersubspecific divergenece of bitter taste recepter genes in chimpanzees. International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010.2010年9月,京都.

12) N. Suzuki, T. Sugawara, A. Matsui, Y. Go, H. Hirai, H. Imai. Region-specific distribution of non-taster Japanese macaques International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010. 2010年9月,京都.

13) T. Sugawara, Y. Go, T. Udono, N. Morimura, M. Tomonaga, H. Hirai, H. Imai.Diversification of bitter taste recepter gene family in chimpanzees International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010.2010年9月13日,京都.

14) 土肥直哉,齊藤暁,明里宏文,藤原佐知,三宅在子,横山勝,大出裕高,佐藤宏?,足立昭夫,野間口雅子:サル指向性HIV-1 CAの1アミノ酸変異は, サル細胞での増殖を促進する.第58回日本ウイルス学会学術集会(徳島).平成22年11月7-9日.

15) 齊藤暁,河野健,黒石歩,中山英美,塩田達雄,足立昭夫,野間口雅子,保富康宏,俣野哲朗,明里宏文:カニクイザルにおける第3世代サル指向性HIV-1の増殖の解析.第24回日本エイズ学会学術集会(東京).平成22年11月24-26日.

16) 野間口雅子,齊藤暁,明里宏文,土肥直哉,藤原佐知,三宅在子,横山勝,大出裕高,佐藤宏?,足立昭夫:サル細胞で効率良く増殖するHIV-1の構築-アカゲザルTRIM5αとtetherinによる抑制の回避-.第24回日本エイズ学会学術集会(東京).平成22年11月24-26日.

17) 齊藤暁,河野健,黒石歩,中山英美,塩田達雄,足立昭夫,野間口雅子,保富康宏,俣野哲朗,明里宏文:カニクイザルにおける第3世代サル指向性HIV-1の増殖の解析.第24回日本エイズ学会学術集会(東京).平成22年11月24-26日.

18) Munehiro Okamoto.The present knowledge on Taenia asiatica and Taenia saginata: Evidence of hybrids. 平成22年12月3日.Joint International Tropical Medicine Meeting 2010.バンコク,タイ.

19) 岡本宗裕.京都大学霊長類研究所で発生したニホンザル血小板減少症とその病因.平成22年12月10日.みやこめっせ,京都.

20) Suzuki J, Yamamoto H, Ishida T, Li T-C, Takeda N,: Health management of macaque outdoor colonies with focus on hepatitis E infection. International Primatological Society13th Congress Kyoto 2010, Kyoto, Japan, 2010/9/12-18, Abstracts & Program of IPS 13th Congress, Abstracts p.31.

21) T. Kooriyama, M. Okamoto, T. Nishida, H. Nishimura, T. Miyabe Serological survey of human pathogens in captive chimpanzees at the Japanese primate research center.IPS 2010.京都.

22) 早川敏之,橘真一郎,有末伸子,彦坂健児,堀井俊宏,田邉和裄 (2010)現生マラリア原虫の起源での急速な多様化(マラリアビッグバン)日本進化学会第12回大会(2010/08, 東京).

23) Hayakawa T (2010) Evolution of sialic acid biology in the primate lineage. International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010. Kyoto (2010/09, Kyoto).

24) Atsushi Matsui, Yasuhiro Go, Yoshihito NiimuraDegeneration of olfactory receptor gene repertories in primates: no direct link to full trichromatic vision.(2010/09/13-17) The 23rd Congress of the International Primatological Society (Kyoto, Japan).

25) Atsushi Matsui, Yasuhiro Go, Yoshihito NiimuraDegeneration of olfactory receptor gene repertories in primates: no direct link to full trichromatic vision.(2010/09/11-12) The 4th International Symposium of the Biodiversity and Evolution Global COE project "Evolution of Sensor, Communication and Society" (Kyoto, Japan)

26) 渡邉朗野,兼子明久,宮部貴子,鈴木樹理,磯和弘一 (2010) ニホンザルの子宮頸部平滑筋肉腫の一例(2010/07/03) 第19回サル疾病ワークショップ(相模原).

27) 兼子明久,渡邉祥平,友永雅己脊髄炎を発症したチンパンジーの長期リハビリ経過報告(2010/11/13-14)SAGA13.

28) 須田直子(2010),霊長類の飼育および研究利用における福祉向上の取り組み. 第36回国立大学法人動物実験施設協議会(2010/5/27-28、松山)

講演

1) 明里宏文:C型肝炎とHIV感染症(AIDS)第57回日本実験動物学会学術集会シンポジウム(京都)2010/5/12?14.

2) Hirofumi Akari: Novel non-human primate models for hepatitis C and AIDS2010 KALAS international symposium (Korea, Busan) August 19-21, 2010

3) 明里宏文:HCV, HIVの新規霊長類モデル開発. 大阪大学微生物病研究所セミナー(大阪)2010/8/26.

4) 明里宏文:C型肝炎の新規霊長類モデル開発. 第47回日本ウイルス学会九州支部総会(宮崎)2010/9/3?4.

5) Hirofumi Akari: A novel monkey-tropic HIV-1: toward the development of a new non-human primate model.11th Kumamoto AIDS seminar (Kumamoto) October 6-8, 2010

6) 明里宏文:HIV-1感染霊長類モデルの開発. 第58回日本ウイルス学会学術集会シンポジウム(徳島)2010/11/7?9.

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1. 研究部門及び附属施設

附属施設

国際共同先端研究センター

フレッド・ベルコビッチ (特定教授), デイビッド・ヒル (客員教授), 足立幾磨 (特定助教)


霊長類研究所は,霊長類に関する基礎研究を総合的に推進することを目的としている.とくに国際的かつ先端的な共同研究を推進するために、附属研究施設を2009年(平成21年)4月1日に新設した.名称は,国際共同先端研究センター(英文正式名称はCenter for International Collaboration and Advanced Studies in Primatology、英文略称は CICASP、和文略称は国際センター)である.

 国立大学の法人化に伴い,全国の国立大学附置研究所のあり方が見直され,全国共同利用研究所が平成21年度末で廃された.平成22年度からは、新たに「共同利用・共同研究拠点」という制度が始まった.これを契機として,霊長類研究所は真に「国際研究所」としての機能の充実をめざすこととした.その中核を担うのが国際センターである.

 従来,研究所は2附属研究施設を擁していたが,平成19年度末に1附属研究施設「ニホンザル野外観察施設」を廃して、本学の野生動物研究センターの発足に供した.さらに時限で措置していた流動部門・多様性保全分野を平成20年度末に廃した.そうした組織改廃を背景に,従来の使命を継承しつつ新たに「国際共同先端研究センター」という附属研究施設を平成21年度当初から開設した.新たな組織を附属研究施設として整備することによって,人間を含めた霊長類の心・体・暮らし・ゲノムなど多様な視点からの基礎研究を,国際的な共同研究として推進し,霊長類学の更なる展開を図りたい.

 従来の共同利用宿泊棟は「国際共同先端研究センター棟」として,平成20年度補正予算で耐震改修・機能向上の工事を実施した.その1フロア(11室)に相当する広さを新センターにあてることとし、部屋の振り替え(談話室1室と研究室3室を供出)によって、本棟にも研究室を得た.

 国際共同先端研究センターが設置されたあと,平成21年度途中から、本学ではグローバル30プログラムによる国際コース(K.U.PROFILE)の設置が決まった.霊長類研究所は,野生動物研究センターと協力して,この英語による入試をおこない英語による教育と博士学位取得をめざすコースを新設した.その結果,外国人教員2名,日本人教員1名,事務職員1名が,特定教職員等として本センターに措置されることとなった.いずれも平成21年度中に選考を終了し,平成22年度に赴任した.

平成22年度のセンターの構成は以下の通りである.フレッド・ベルコビッチ教授(6月1日赴任),デイビッド・ヒル教授(7月1日赴任),足立幾磨特定助教(4月1日赴任)の3教員と,事務職員の宿輪マミ(平成21年10月1日赴任)である.さらに再配置による技術職員2名、南雲純治と早川清司、を擁する.初代のセンター長は所長の松沢哲郎の兼任とした.なお、平成22年度末に選考を終えて、平成23年度当初からは、新たに外国人非常勤研究員としてアンドリュー・マキントッシュと、事務職員の丹羽美帆が勤務することとなった.

平成22年度の事業としては、英語による国際コースの入試を3回おこなった.その結果、韓国から2名、バングラデシュから1名、合計3名の外国人学生が、平成23年4月から修士課程に入学することになった.また、こうした外国人学生募集のための説明会を、韓国等でおこなった.

(文責:松沢哲郎・足立幾磨・宿輪マミ)



<研究概要>

A) Field Studies in Japan

Fred Bercovitch and David Hill

Preliminary surveys of bat fauna of Ashiu Research Forest, Kyoto and Japanese macaques and deer in Kinkazan Island were carried out.



B) Explore Future Avenues of Research Abroad

Fred Bercovitch and David Hill

Research potential was assessed in Belum-Temengor Forest, Malaysia. Pilot studies of the effectiveness of acoustic lure for bats in tropical rain forest were conducted in Belum-Tememgor Forest and in Kalinzu Forest, Uganda.

Conservation biology studies on koalas in Australia were conducted. Research collaboration has been developed with San Diego Zoo in the US.



C) 社会的認知能力の比較認知発達研究

足立幾磨

チンパンジー、マカクザル乳児を対象に, 社会的認知能力、とくに顔知覚様式・個体情報の視聴覚統合にかかわる比較発達研究をおこなった.訓練型のコンピュータ課題による成績評価および、各種の視覚刺激提示時の注視行動の分析視線の計測をおこなった.



D) 動物園のチンパンジーの知性の研究

足立幾磨

名古屋市の東山動物園のチンパンジー1群5個体を対象に、新設された屋外運動場での社会行動を観察記録した.また、「パンラボ」と名づけられたブースにおいて、道具使用とコンピュータ課題の2つの側面から知性の研究をおこなった.



<研究業績>

原著論文

1) Bercovitch FB, Andrews J (2010) Developmental milestones among African elephant calves on their first day of life. Zoo Biology 29:120-126.

2) Bercovitch FB, Berry PSM (2010) Ecological determinants of herd size in the Thornicroft's giraffe in Zambia. African Journal of Ecology 48:962-971.

3) Bercovitch FB, Berry PSM (2010) Reproductive life history of Thornicroft's giraffe in Zambia. African Journal of Ecology 48:535-538.

4) Ellis B, Bercovitch FB, FitzGibbon S, Melzer A, de Villiers D, Dique D (2010) Koala birth seasonality and sex ratios across multiple sites in Queensland, Australia. Journal of Mammalogy 91:177-182.

5) Melzer A, Ellis WA, Bercovitch FB (2010) Observations of male-on-male aggression among Queensland koalas (Phascolarctos cinereus) from Central Queensland. Queensland Naturalist 48:36-44.

6) Paxton R, Basile BM, Adachi I, Suzuki WA, Wilson ME, Hampton RR (2010) Rhesus monkeys (Macaca mulatta) rapidly learn to select dominant individuals in videos of artificial social interactions between unfamiliar conspecifics. Journal of Comparative Psychology 124:pp. 395-401.

7) Rothwell ES, Bercovitch FB, AndrewsJ, Anderson MJ (2010) Estimating daily walking distance of captive African elephants using an accelerometer. Zoo Biology 29:1-13.

8) Adachi I, Anderson JM, Fujita K (2011) Reverse-Reward Learning in squirrel monkeys (Saimiri sciureus). Five-Year Assessment, and Tests for Qualitative Transfer, Journal of Comparative Psychology 125:pp. 84-90.

9) Ellis W, Bercovitch FB (2011) Body size and sexual selection in the koala. Behavioral Ecology and Sociobiology -:IN PRESS.

10) Ellis W, Bercovitch FB, FitzGibbon S, Roe P, Wimmer J, Melzer A, Wilson R (2011) Koala bellows and their association with the spatial dynamics of free ranging koalas. Behavioral Ecology 22:372-377.

11) Higgins AL, Bercovitch FB, Tobey JR, Andrus CH (2011) Dietary specialization and Eucalyptus species preferences in Queensland koalas. Zoo Biology 30:52-58.

総説

1) 足立幾磨 (2010) 感覚統合的表象を手掛かりとした霊長類の社会的認知研究. 心理学評論 53:441-454.

報告

1) Fukui D, Agetsuma N, Hill DA, Harada M (2010) Bats in the Wakayama Experimental Forest, Hokkaido University. Hokkaido University Research Forests Bulletin 67(1):13-23.

著書(分担執筆)

1) Bercovitch FB (2010) Charles Robert Darwin. (The Encyclopedia of Applied Animal Behaviour and Welfare) (ed. By D) p.159-160 Cambridge University Press.

2) Bercovitch FB (2010) Parental Investment. (The Encyclopedia of Applied Animal Behaviour and Welfare) (ed. By D) p.455-457 Cambridge University Press.

編集

1) 足立幾磨 (2010) 動物心理学研究 編集事務.

学会発表

1) Adachi I (2010) "Chimpanzee studies in the lab and the zoo". International Primatological Society XXIII Congress Kyoto 2010 (2010/09/12-18, Kyoto University).

2) Adachi I, Hampton RR (2010) "Auditory-visual individual recognition in rhesus macaques (Macaca mulatta). 15th BIENNIAL SCIENTIFIC MEETING OF THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR COMPARATIVE PSYCHOLOGY (2010/05/19-21, Awaji Yumebutai International Conference Center Awaji Island).

3) Adachi I, Ludwig V, Matsuzawa T (2010) Biodiversity, Zoos and Aquarium "The message from animals". The 15th Kyoto University International Symposium (2010/09/19-20, Nagoya port).

4) Bercovitch FB (2010) "Ecology, behavior, and conservation of giraffe". 13th Annual Meeting of the Society of Support for African/Asian Great Apes (2010/10, Yokohama).

5) Bercovitch FB (2010) "Research and conservation of Australian mammals". 10th Conference of the Parties to the Convention on Biological Diversity Symposium (2010/09, Zoos, and Aquariums, Nagoya).

6) Ellis WA, Fitzgibbon SI, Roe P, Bercovitch FB, Wilson R (2010) "Unraveling the mystery of koala vocalisations: acoustic sensor network and GPS technology reveals males bellow to serenade females.". The Annual Meeting of the Society for Integrative and Comparative Biology (2010/01, Seattle USA).

7) Hill DA (2010) "Field studies of bats and primates: a comparative evaluation of the growth of two disciplines and implications for conservation.". International Primate Society Congress (2010/09, Kyoto).

8) Hill DA (2010) "Patterns of habitat use by female Plecotus auritus and predicted negative impact of woodland management.". International Bat Research Conference (2010/08, Prague Czech Republic).

9) 足立幾磨 (2010) 顔知覚様式の比較発達学的研究――サッチャー錯視を通して――. 第6 回犬山比較社会認知シンポジウム (2010年12月18-19日, 京都大学霊長類研究所).

10) 足立幾磨 (2010) 複数感覚モダリティ情報処理の比較認知科学. 日本認知科学会冬のシンポジウム (2010年12月11日, 早稲田大学・戸山キャンパス・36号館382教室).

11) Hill DA (2011) "Assessing bat diversity in woodland habitats.". International Symposium on Biodiversity (2011/02, Kangwon University, Korea).

12) Hill DA (2011) "Using an acoustic lure to survey woodland bats.". Workshop on bat diversity (2011/02, Kangwon University, Korea).

13) 足立幾磨 (2011) 「心の先端研究への期待」アカゲザルにおける社会的対象認知. 日本学術会議 心理学・教育学委員会主催公開シンポジウム (2011年02月19日, 京都大学稲盛財団記念館3階大会議室).


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1. 研究部門及び附属施設

白眉プロジェクト


佐藤弥 (特定准教授)


<研究概要>

A) 表情コミュニケーションについての実験心理学的研究

佐藤弥

表情や視線による対人コミュニケーションにおける情報処理過程を、反応記録・ビデオ録画・筋電図計測などにより検討した.定型発達者および発達障害者を対象とした.



B) 表情コミュニケーションについての神経科学的研究

佐藤弥

表情や視線による対人コミュニケーション課題を遂行中の神経活動を、fMRI・深部脳波などを用いて計測した.

<研究業績>

原著論文

1) Fujimura T, Sato W, Suzuki N (2010) Facial expression arousal level modulates facial mimicry. International Journal of Psychophysiology 76(1):88-92.

2) Sato W, Kochiyama T, Uono S, Yoshikawa S (2010) Automatic attentional shifts by gaze, gestures, and symbols. Psychologia 53(1):27-35.

3) Uono S, Sato W, Toichi M (2010) Brief report: Representational momentum for dynamic facial expressions in pervasive developmental disorder. Journal of Autism and Developmental Disorders 40(3):371-377.

4) 中村透, 山本松樹, 佐藤弥 (2010) 映像刺激環境における心理状態と生理指標との相関モデルの研究. 生体医工学 48(2):197-206.

5) Sato W, Kochiyama T, Uono S, Matsuda K, Usui K, Inoue Y, Toichi M (2011) Rapid amygdala gamma oscillations in response to fearful facial expressions. Neuropsychologia 49(4):612-617.

6) Sato W, Kochiyama T, Yoshikawa S (2011) The inversion effect for neutral and emotional facial expressions on amygdala activity. Brain Research 1378:84-90.

総説

1) 佐藤弥 (2010) チンパンジーとの比較から学ぶヒトの視線処理の進化:友永論文へのコメント. 心理学評論 53(3):315-317.

著書(分担執筆)

1) 佐藤弥 (2011) 表情. 「心理学概論」 (京都大学心理学連合編) p.162-166 ナカニシヤ.




学会発表

1) Sato W, Kochiyama T, Uono S, Yoshikawa S (2010) Commonalities in the neural mechanisms underlying automatic attentional shifts by gaze, gestures, and symbols. Neuro Talk 2010 (2010/06, Singapore, Singapore).

2) 佐藤弥 (2010) 情動における扁桃体の役割. 第51回日本児童青年精神医学会 (2010年10月, 前橋).

3) 佐藤弥 (2010) 情動コミュニケーションと脳:扁桃体の役割. 第5回日本情動研究会 (2010年9月, 京都).

4) 佐藤弥, 河内山隆紀, 魚野翔太, 松田一己, 臼井桂子, 井上有史, 十一元三 (2010) 恐怖表情に対する扁桃体のすばやいガンマ波活動. 第6回犬山比較社会認知シンポジウム (2010年12月, 犬山).

5) 魚野翔太, 佐藤弥, 十一元三, 河内山隆紀 (2011) 自閉症スペクトラム障害における動的表情処理の神経基盤. 日本発達心理学会第22回大会 (2011年3月, 東京).

講演

1) 佐藤弥 (2010) 感情脳―感情における扁桃体の役割― 滋賀大学 健康セミナー 滋賀大学.


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