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京都大学霊長類研究所 > 年報のページ > Vol.45  > . 研究教育活動


. 研究教育活動

1. 研究部門及び附属施設

進化系統研究部門

進化形態分野

<研究概要>

A) マカクの系統地理学研究

濱田穣、川本芳(ゲノム多様性分野)、平?鋭矢、田中洋之(ゲノム多様性分野)、Nguyen Van Minh, Porrawee Pomchote

 東南アジアからインド北東地方、バングラデシュまでの地域で生息地を共有するマカク種は多い。常緑広葉樹林に生息し樹上性と生態学的特徴の近いアッサムモンキーとキタブタオザルは、北緯14度から26.7度にわたって分布域を重ね、二次林などに生息するカニクイザルとアカゲザルは、北緯13度から17度まで重ねる。これらのマカク種対での競合回避のメカニズムを、それぞれのマイクロハビタット、植生、および個体間関係(社会構造)の点から検討した。インド東北地方とバングラデシュのブラマプートラ河とその流域地域は、東・東南アジアと南アジアの霊長類動物相の移住バリヤーとなっている。このバリヤーの両側に分布するアッサムモンキーとその近縁分類群、およびアカゲザルの形態の地理的変異性を検討している。ブータンからアルナーチャルプラデシュにかけての高所に生息する集団は、低所に生息するヒガシ・ニシアッサムモンキー亜種とは異なり、ひとつのフォーム(亜種)だろうと示唆される(Macaca munzala種から亜種へ)。ヒガシ(短尾亜種)とニシアッサムモンキー(長尾亜種)の分布と被毛状態の変異性などの検討をすすめている。

B) マカクの頭顔部と尾臀部の形態変異とコミュニケーション行動

濱田穣、若森参

 マカクにおいて個体間相互作用(コミュニケーション)において頭顔部とならんで尾臀部の形態が使われる。中程度の尾長をもつヒガシアッサムモンキーとアカゲザルの間で、尾のコミュケーション機能について比較した。アッサムモンキーでは尾の腹面から大腿後面にかけての部分は、アカゲザルやキタブタオザルに比べてずっと視覚的刺激(赤い性皮とその周囲の白毛などのコントラストと鮮やかさ)が少なく、社会的場面で尾を挙げるなどの行動がアカゲザルに比べると頻度が低く、また社会的順位との関係が異なっている。アッサムモンキーでは、特にオスでは、そのような視覚的コミュニケーションよりは近接しての行動によるコミュニケーションが発達していて、距離をおいて視覚的コミュニケーションをとるアカゲザルとは対照的である。これら2種の間での尾の形態の差異は、したがって位置的行動への関与によるものであろうと示唆される。

C) アカゲザルとニホンザルの交雑個体の形態学的検討

濱田穣、毛利俊雄、Nguyen Van Minh, 若森参

千葉県、房総地方で発生しているニホンザルとアカゲザルの交雑は、相当の広がりと世代にわたっている。アカゲザルと交雑個体の排除にむけての親種個体とさまざまな程度の交雑度をもつ個体の尾長、体色パターン、毛並、相貌の指数などの統計比較から、交雑度を推定する方法を検討している。

D) マカクの成長・加齢変化研究

濱田穣、毛利俊雄、Nguyen Van Minh, Porrawee Pomchote

 ニホンザルとカニクイザルの腰椎部の加齢変化を、骨形態変化、骨密度の減少、および変形性骨関節症の進行に探っている。年齢既知で飼育環境の差の少ない対象の使用により、より生物学的な加齢変化が明らかにされる。生理学的年齢によって標準化した場合でも、マカクでは変形性骨関節症がヒトと比べて、若成体期に発症し、進行が速いことが特徴的であり、その要因がナゾであったが、飼育下でのマカク個体の身体運動量がごく少ないことが要因となっていることが明らかにされた。身体運動による力学的ストレスは、それが重篤である場合には関節症を悪化させるが、少なすぎる場合(関節が動かされない)にも関節症を悪化させる。頭骨では、CTを用いて頭蓋冠の骨厚の年齢変化を検討した。筋付着部と正中矢状面上部分(オス)では、有意に高齢期まで厚みを増すが、それ以外の部分では薄くなる。頬骨基部の顔面骨格でも菲薄化が著しい。それらは体肢骨の皮質骨厚さの減少に匹敵し、力学的必要な部分のみを残して、漸進的な骨質の吸収の一環であろう。

E) 足内筋の配置からみた足の機能軸に関する解剖学的研究

平崎鋭矢、大石元治(日本獣医生命科学大)

真猿類の骨間筋の配置から足の機能軸の位置を推定する試みを継続中である。26年度はチンパンジー2頭について調査を行い、2頭ともサル型の骨間筋配置を持つことを確認した。

F) ニホンザルのロコモーションに関する実験的研究

平崎鋭矢、濱田穣、鈴木樹理(人類進化モデル研究センター)、早川清治(国際共同先端研究センター)

ニホンザル歩行の運動学的分析を継続中である。26年度には6歳と4歳の2個体について、運動学データを収集した。

G) Structure from Motion法を用いた運動解析法の開発

平崎鋭矢、William Sellers(マンチェスター大)

複数の高精細ビデオ映像から、被験体の体表面形状をポイントクラウドとして再構築する手法を開発した。26年度は、放飼場の霊長類を用いた体表面形状の再構築を継続するとともに、実験室条件においてニホンザルの手の把握動作の分析を行った。

H) チンパンジーのポジショナル行動の非侵襲的3次元計測

平崎鋭矢、友永雅己(思考言語分野)

屋外運動場で自由に行動するチンパンジーを5台のビデオカメラで撮影し、Structure from Motion法を応用した新たな無標点3次元運動解析法によって、ナックルウォーキング時の手足の動きなどを分析中である。

I)位相振動子を用いたニホンザル四足歩行モデルの作成

平崎鋭矢、長谷和徳(首都大学東京)、萱沼徹(首都大学東京)

位相振動子をニホンザルの神経・筋骨格モデルに適用し、霊長類特有の四肢の運び順を自律的に生成できる四足歩行運動シミュレーションを作成中である。実測データとの比較を行いつつ、シミュレーションモデルを改良中である。

J)NIRS信号を用いた運動解析の試み

平崎鋭矢、森大志(県立広島大)

運動タスクを行なう際の筋の血液酸素動態をCW型NIRSで記録し、同時に計測した筋電図およびビデオ映像を用いて、運動計測の手段としてのNIRS計測の可能性について検討した。

K) 霊長類の頭蓋学

毛利俊雄, Nguyen Van Minh

 霊長類,とくにニホンザルの頭蓋の研究を続行した。

<研究業績>

原著論文

1) Janya Jadejaroen, Y Hamada, Y. Kawamoto, S. Malaivijitnond (2015) Use of Photogrammetry as a means to assess hybrids of rhesus (Macaca mulatta) and long-tailed (M. fascicularis) macaques. Primates,56,1,77-88.

2) Kato A, Tang N, Borries C, Papakyrikos AM, Hinde K, Miller E, Kunimatsu Y, Hirasaki E, Shimizu D, Smith TM (2014) Intra- and interspecific variation in macaque molar enamel thickness. American Journal of Physcal Anthropology,155,447-459.

3) Manakorn Sukmak, Suchinda Malaivijitnond, Oliver Schulke, Julia Ostner, Yuzuru Hamada, Worawidh Wajjwalku (2014) Preliminary study of the genetic diversity of eastern Assamese macaques (Macaca assamensis assamensis) in Thailand based on mitochondrial DNA and microsatellie markers. Primates,55,2,189-197.

4) Sellers WI, Hirasaki E (2014) Markerless 3D motion capture for animal locomotion studies. Biology Open ,3,656-668.

5) Yamada H, Y Hamada, Y Kunimatsu (2014) Canine crown Morphology and sexual dimorphism in the Hylobates lar. Anthropolgical Science (J-Ser),122,2,133-143.

6) 濱田 穣 (2014) マカクザル、とくにニホンザルにおける島嶼効果. 生物科学,66,1,42-51.

学会発表

1) H. Tanaka, Y. Kawamoto, S.Malaivijitnond, P. Pomchote, N. V. Minh, K. Hasa, M. M. Feeroz, B. Suryobroto, A. M. San, Y. Hamada (2014) Phylogeography of Northern Pig-tailed macaques (Macaca leonina) and phylogeoraphic History of the M. nemestrina group. XXVth Congress of the International Primatological Society (Hanoi).

2) H. Wakamori, Y. Hamada (2014) Comparison of Caudal Vertebral Morphology among Macaque species. XXVth Congress of the International Primatological Society (Hanoi).

3) Hirasaki E, Oishi M (2015) Arrangement of the foot interosseous muscles in great apes. The 84th Annual Meeting of the American Association of Physical Anthropologists (2015/03/25-28, St. Louis, USA).

4) Hirasaki E, Sellers WI (2014) A new non-invasive method for kinematic analysis of animal locomotion based on the Structure from Motion algorithm.. The 83rd Annual Meeting of the American Association of Physical Anthropologists (2014/04/08-12, Calgary, Canada).

5) Hirasaki E, Sellers WI (2014) Development of a new non-invasive method for kinematic analysis of animal locomotion based on the Structure from Motion algorithm. Diversity and Conservation of Asian Primates. The 4th International Congress on Asian Primates (2014/08/18-21, Bogor).

6) M. Kagaya, H. aoyama, Y. Hamada (2014) Three-Dimensional Movement of the Shoulder Girdle in macaque in passive Forelimb Evlevation. XXVth Congress of the International Primatological Society (Hanoi).

7) N. V. Minh, T. Mouri, Y. Hamada (2014) Age-related changes in the Skull of Japanese Macaques (Macaca fuscata). XXVth Congress of the International Primatological Society (Hanoi).

8) Nguyen Van Minh, Thuong Thi Thanh Le, Yuzuru Hamada (2014) Distribution and present status of lorises and macaques in a part of North-Western Vietnam. 第30回日本霊長類学会大会(大阪市).

9) Porrawee Pomchote, Tadashi Sankai, Yuzuru Hamada (2014) Age-Related Bone Changes in Two macaque Species which are difference in Positional Behaviour. XXVth Congress of the International Primatological Society (Hanoi).

10) Porrawee Pomchote, Tadashi Sankai, Yuzuru Hamada (2014) Bone Mineral Density, Osteoarthritis, and Menstrual Status in Long-tailed macaques (Macaca fascicularis). 第30回日本霊長類学会大会(大阪市).

11) Rae TC, Johnson PM, Yano W, Hirasaki E (2014) Inferring specific locomotor behaviours from inner ear morphology in colobines. Winter Meeting 2014 of the Primate Society of Great Britain (2014/12/15-16, Birmingham, UK).

12) Rae TC, Johnson PM, Yano W, Hirasaki E (2015) Smaller posterior semicircular canals are associated with leaping in Colobus. The 84th Annual Meeting of the American Association of Physical Anthropologists (2015/03/25-28, St. Louis, USA).

13) S. Bunlungsup, H. Imai, Y. Hamada, P. Krudthong, M. Gumert, S. Malaivijitnond (2014) What is different about the Burmese Long-tailed macaques? IVth Asian Primates Symposium (Bogor).

14) Sellers WI, Hirasaki E (2015) Improving gait generation in fossil primates using multigoal evolutionary robotics. The 84th Annual Meeting of the American Association of Physical Anthropologists (2015/03/25-28, St. Louis, USA).

15) T. Sakai, K. Hikishima, A. Mikami, M. Matsui, Y. Hamada, T. Matsuzawa, E. Sakai, and H. Okano (2014) Perinatal Developmental Patterns of Brain Volumew in Marmosets, Chimpanzees, and humans. XXVth Congress of the International Primatological Society (Hanoi).

16) T. Widiyanti, Y. Hamada (2014) Age-related Changes of Bone Density in Adult Macaca fuscata using microdensitometry. IVth Asian Primates Symposium (Bogor).

17) Y. Hamada, B. Prathaysombath, N. V. Minh, A. M. San, M. Chalise, S. Malaivijitnond (2014) Geographical distribution, morphological variation, and evolution of rhesus macaques (Macaca mulatta). IVth Asian Primates Symposium (Bogor).

18) Y. Hamada, H. Ogawa, S. Malaivijitnond, Y. Kawamoto (2014) Phenotypic Variation in Assamese Macaques: WHat differs between subspecies? XXVth Congress of the International Primatological Society (Hanoi).

19) Y. Kawamoto, J. Suzuki, T. Ishida, Y. Hamada, S. Malaivijitnond, J. Jadejaroen, B. Suryobroto (2014) Geographical distribution of a SNP variation of Stat6: a population genetic study of species diagnostic marker between rhesus and long-tailed macaques in Southeast Asia. IVth Asian Primates Symposium (Bogor).

20) 伊藤毅、川本芳、濱田 穣、西村剛 (2014) マカクの主観雑種における上顎洞変異:顔面頭蓋の空洞化に寄与する遺伝的基盤に関する示唆. 第30回日本霊長類学会大会(大阪市).

21) 稲用博史、関幸夫、司馬良一、鈴木靖史、薄木洋明、寺島俊雄、黒坂昌弘、濱田穣、平崎鋭矢 (2014) Wolff の法則の数学的表現:ヒトとチンパンジーの力学的条件と大腿骨形状の比較. 第41回日本臨床バイオメカニクス学会(2014/11/21-22、奈良).

22) 丸橋珠樹、Warayut Nilpaung, 濱田 穣、Suchinda Malaivijitnond (2014) タイ・カオクラプック保護区に生息するベニガオザルの性行動. 第30回日本霊長類学会大会(大阪市).

23) 山田博之、國松豊、濱田 穣 (2014) オランウータン(Pongo pygmaeus)の犬歯形態. 第30回日本霊長類学会大会(大阪市).

24) 山田博之、濱田穣、中務真人、石田英實 (2014) ゴリラ(Gorilla gorilla)の犬歯形態と性的二型. 第68回日本人類学会大会 (浜松市).

25) 若森 参, 濱田 穣 (2014) タブレットパソコンとウェアラブルカメラを用いた行動記録. 第30回日本霊長類学会大会(大阪市).

26) 田中洋之、濱田穣 (2014) マカク属ブタオザル種群をめぐる分類・構成種と分子系統地理. 第68回日本人類学会大会 (浜松市).

27) 平崎 鋭矢 (2015) 歩行時のバランスと視線の安定性は重力加速度によってどのような影響を受けるか. 第120回日本解剖学会・全国学術集会・第92回日本性学会大会合同大会.(2015/03/21-23、神戸).

28) 平崎 鋭矢 (2014) 霊長類ロコモーション研究 −四肢体幹から脳へ、実験室から野外へ. 第68回日本人類学会大会(2014/10/31-11/03、浜松).

29) 澤野啓一、横山高玲、田中健、加藤隆弘、高橋常男、百々幸雄、鈴木敏彦、澤田元、濱田穣、川田伸一郎、萩原浩明、井上登美夫、吉川信一朗、川原信隆 (2014) Homoを含む現生CatarrhiniのOrbita内壁のMorphology. 第68回日本人類学会大会 (浜松市).

30) 濱田 穣 (2014) マカクにおける外表形態特徴とその変異性. 第68回日本人類学会大会 (浜松市).

31) 濱田 穣 (2014) マカク属の進化概説 (シンポジウム「東南アジアにおける霊長類の進化地理学」). 第68回日本人類学会大会 (浜松市).

32) 濱田 穣、ポッラウィーポムチョート (2014) ニホンザルにおける位置的行動の変形性骨関節症への影響. 第30回日本霊長類学会大会(大阪市).