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プログラム 13:00-13:15 所長挨拶 13:15-14:00 脇田真清 「サルにことばがわかるか」 14:00-14:45 古市剛史 「類人猿ボノボ:メスたちの平和力」 14:45-15:00 休憩 15:00-15:45 郷 康広 「ゲノムを通して我が身を知る」 15:45-16:30 川本 芳 「ブータンのサルと人」 16:30-17:00 質疑 A. 申し込みフォームによる申込: 学生の方は「学生の方の申込フォーム」内に氏名、ふりがな、所属学校と学年、年齢をご記入の上、メールアドレスを入力してください。自動返信メールが届きますので、指示に従って登録してください。(https対応ページに移動します。) * いただいた個人情報は当公開講座以外では使用しません。 お問い合わせ先〒484-8506 愛知県犬山市官林
ゲノムを通して我が身を知る 郷 康広
(カタカナの)ヒトの全ゲノム配列を解読しようという試みが1990年前後に始まり、およそ11年・3000億円をかけて2001年に概要ゲノム配列が発表されました。その後、配列解読技術の飛躍的な進歩があり、現在では、ヒト1人の全ゲノム配列は1週間・100万円で行なえるようになってきています。そこまでコストが下がると、1人だけではなくいろいろなヒトのゲノムが読めるようになってきます。実際に、世界規模でいろいろなヒトのゲノム配列が解読されつつあり、そのペースは1日あたり2?3人と言われる程です。たくさんのヒトのゲノムが読まれる背景には、ヒトの多様性理解という基礎研究から、病気の原因解明と治療という応用研究にいたるまで、大変重要な研究課題です。ただし、冒頭に述べた「ヒト」を「人」として特徴づける何かを見つけるためには、ヒトだけを見ていてはその全体像が見えてこないのは明らかです。 そこで、私はヒトの比較対象として進化の隣人であるチンパンジーを中心として研究をしています。ヒトだけを見ていても見えない何かが、「チンパンジーを通してヒトを見る」という視点を持つ事によって見えてくることがあると考えているからです。チンパンジー、特に彼らのゲノムを見る事によって、そこから見えてくるヒトという存在、また「人」として特徴づけられるようなゲノム的な側面が果たしてあるのかどうか、いくつかの具体例を示しながら、私の考えをお話ししたいと考えています。
ゲノム多様性分野 川本 芳 ブータンは本州の5分の1ほどの土地に70万人が暮らすヒマラヤ南麓の小国です。国土の70%以上は森林で、農牧業を営み独特の文化をもつ人たちが暮らしています。この小国は「世界で一番幸福な国」を目指していて、国民総幸福(GNH = Gross National Happiness)を国是に、物質より精神の豊かさを大事にしようとしています。2008年に王制から立憲君主制に変わり、社会も変化しています。私はこの国で、野生動物と家畜の野外調査を続けています。今回は、ヒマラヤの霊長類にみられる多様性と、ブータンが取り組みはじめた野生動物の被害管理について紹介します。 はじめは自然とサルの話です。ブータンには、マカク(ニホンザルの仲間)、ラングール(金絲猴の仲間)、スローロリス(原猿類の仲間)の3グループの霊長類がいます。近年、ヒマラヤ南麓に棲む霊長類の分類や分布や適応の研究は重要性が増しています。3種が区別できるラングールでは棲み分けがみられます。しかし、最近ブータン中央部の渓谷地帯でラングールの種間雑種が発見され、その進化と保全が注目を集めています。一方、マカクでは国内の大半がアッサムモンキーだと考えられてきました。ブータンの東隣りにあたるインドのアルナーチャルプラデーシュで2005年に新種が報告され、マカクの分類の再検討が迫られるようになりました。現在、生態や遺伝の研究を進めています。深い渓谷による地理的隔離がこれら霊長類の分布や分化に影響すると考えられ、霊長類の進化研究でヒマラヤ山岳地域は大事な場所になっています。 つぎはサルと人の話です。チベット系仏教が盛んなブータンでは、国民の多くが輪廻転生を信じ、命あるものを尊ぶ暮らしを営んでいます。しかし、日本と同様にこの国でもサルをはじめとしてイノシシ、ゾウ、シカなどの野生動物による農業被害が深刻化しています。国民投票で成立した新内閣は、自然保護政策の推進と国民生活の向上の二つの政治課題の調整に向けて、2008年にHuman-Wildlife Conflict Management Strategy(人と野生動物の対立の管理方針)を作り、考え方を整理しました。農業省を中心に、被害状況や住民意識の調査、実務者の養成と方針の啓発がはじまっています。折しも、日本では農業被害対策として増えすぎたサルの個体数調整という基本方針が打ち出され、捕まえて除くという被害対策が加速されています。ブータンは被害先進国の日本から、対策の技術と考え方を学ぼうとしています。価値観や宗教観の違いから、ブータンがどのような被害対策を講ずるかが今後問題になると思います。こうしたサルと人をめぐる問題の背景と現状について紹介します。 【HP紹介記事】 ・『赤いサルと黒いサル:ネパールのサル狩猟民ラウテ(Raute)
探訪』2009.8.2. 【報告・論文】
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