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2007年11月12日


ジェーン・グドール博士に京都大学名誉博士の称号を授与

 京都大学は、英国の霊長類学者で、野生チンパンジー研究の第一人者であるジェーン・グドール博士に対し、京都大学名誉博士の称号を授与しました。

 同称号の授与は、グドール博士の、人間以外の動物の道具使用の発見、チンパンジーの寿命が50年にもおよび、親から子どもへと世代を超えて引き継がれる知識や技術や価値があることを示されたことなどの研究により、学術文化に寄与した功績が特に顕著であり、しかも、日本の霊長類研究者と連携して、京都大学の教育研究にも大きな功績を残したことによるものです。

 京都大学での名誉博士は、平成2004年4月のノーベル賞受賞者である利根川進博士以来で、11人目となります。また、女性としては初めてとなります。

 贈呈式後に行われた記者会見で、グドール博士は、自身の研究と京都大学との連携を振り返りながら、「続けられる限り世界中で講演を続け、執筆活動にも励みたい」と今後の抱負を語られました。


ジェーン・グドール博士(左)と尾池和夫総長(右)


名誉博士記を贈呈。ジェーン・グドール博士(左)と尾池和夫総長(右)


松沢哲郎霊長類研究所長から趣意書が手渡される


懇談の様子


記念講演会


記念祝賀会で挨拶する東山紘久副学長


 京都大学名誉博士称号授与の趣旨

 英国ジェーン・グドール研究所・所長 ジェーン・グドール博士は、京都賞、英国王立人類学会ハックスリー賞、米国ベンジャミン・フランクリン・メダルなどを受賞している。その一方で、野生生物保全活動が高く評価されて、一般社会への貢献として国連平和大使などの職責も担っている。

 それらの受賞理由にあげられるように、グドール博士は、タンザニアのゴンベ国立公園で、野生チンパンジーの研究を1960年に開始し、47年間に及ぶ長期継続研究をおこなってきた。ゴンベでの野生チンパンジーの研究は、大著「野生チンパンジーの世界」(ハーバード大学出版局、邦訳・ミネルヴァ書房)として1986年に出版された。野生チンパンジー研究のパイオニアであり、第1人者である

グドール博士の学術的業績は、以下の3点に要約される。第1は、「道具の発見」である。人間以外の動物が道具を作り、使うことを世界で初めて発見した。この発見がきっかけとなって、野生チンパンジーの研究が大きく前進し、人間の進化的基盤の理解が深まった。

第2は、「野生チンパンジー生態の全般的・包括的発見」である。肉食、狩猟、子殺し、集団間での抗争と殺戮。すべてグドール博士が世界で初めて発見し報告した。

第3は、「親子関係と世代間伝播の発見」である。チンパンジーの寿命が50年にもおよび、そこで親から子どもへと引き継がれる知識や技術や価値がある。そうした世代を越えて受け継がれるものが地域によって異なり、チンパンジーにも文化的伝統のあることを証明した。

 人間以外の霊長類は、中南米と東アジアとアフリカに生息し、北米やヨーロッパには生息していない。したがって日本は、G8やサミットなど主要先進諸国のなかで、唯一サルがすむ国である。そうした自然環境の特異性や文化的な背景から、霊長類学は日本から世界に向けて発信し続けてきたユニークな学問である。その日本の霊長類学を担い、国際的な研究拠点となってきたのが京都大学である。

1948年、今西錦司(当時、本学の講師、のちに教授、文化勲章受賞)と2人の学部学生が宮崎県幸島に野生ニホンザルの調査に行った。伊谷純一郎(のちに理学部教授)と川村俊蔵(のちに霊長類研究所教授)の2名である。彼らは、人間の社会の進化的起源を知るために、人間に近縁な動物としてのニホンザルに焦点をあてて、その社会の解明に努めた。10年後の1958年に、今西と伊谷は初めてアフリカ調査にでかけ、ゴリラやチンパンジーという、さらに人間に近縁な動物の社会と生態の調査を志した。

こうした1958年以来継続している本学の研究者によるアフリカ大型類人猿研究と、グドール博士の研究、同時並行して進んだ研究プロジェクトの双方が呼応し相互に補完することによって、人間の社会・家族・親子関係・知性・文化などの進化的基盤の解明に寄与してきたといえる。伊谷らの尽力で、1970年代からグドールを本学に招いて、野生チンパンジー研究の成果の交換をおこなってきた。

1990年にグドール博士が京都賞を受賞したころから本学とグドール博士の連携は緊密さをまし、1998年以降は、毎年1回来日して、京都大学等で特別講義をおこなってきた。グドール博士のチンパンジー研究は、チンパンジーを架け橋として、人間とそれ以外の生命がこの地球で共存することの重要性を繰り返し指摘してきた。グドール博士の研究は、本学の理念である「地球社会の調和ある共存」にまさに合致している。

 よって、グドール博士は学術文化に寄与した功績が特に顕著であり、京都大学名誉博士の称号を授与することが適当であると認める。

 

総長の挨拶

Dr. Jane Goodall awarded honorary doctorate of Kyoto University

 - 2007年11月11日 -尾池和夫

As president of Kyoto University I would like to express my hearty congratulations to Dr. Jane Goodall upon being awarded the eleventh honorary doctorate of Kyoto University. On behalf of the university I would like to say that we greatly appreciate your attending this ceremony.

This is really only the third honorary doctorate of Kyoto University, because until the end of 2002, honorary doctorates were conferred by respective graduate schools. Thus far, therefore, we have one honorary doctorate of science, three doctorates of engineering, three doctorates of medicine, two doctorates of agriculture, and three honorary doctorates of Kyoto University.

I know many key persons have made great efforts to prepare today's ceremony. Without the devoted efforts of Dr. Tetsuro Matsuzawa, this honorary doctorate award would not have been possible. I would also like to express my gratitude to Dr. Genichi Idani who made numerous arrangements to invite many of today's important attendees.

As is well known, a dedication to field work is an important element in the history of Kyoto University, and the Primate Research Institute is a key center for the university's field sciences. I believe that the most important factors in successful field work endeavors are a sharp-eyed power of observation and the dedication and endurance required to stay in the field. Dr. Jane Goodall has these qualities in abundance.

In 1958 Dr. Kinji Imanishi and his colleagues were in Africa for their field study of great apes, just two years before Dr. Goodall arrived in Africa to begin her study of wild chimpanzees. In 1967, the Primate Research Institute of Kyoto University was established as a national and international research center to promote the study of primates.

I sincerely hope that the awarding of this honorary doctorate to Dr. Goodall will contribute to successful integration among the science fields of Kyoto University, and will inspire the university's young researchers and students to even greater efforts in their work. In particular, it is my sincere hope that many women scientists will be motivated to follow the path that Dr. Goodall has paved.

The  JGI ( the Jane Goodall Institute) which was founded by Dr. Goodall, empowers individuals to take informed and compassionate action to improve the environment for all living things. Dr. Genichi Idani is executive director of the JGI-Japan, which was established in 2001 as the 12th JGI.

Kyoto University states its mission as being to sustain and develop its historical commitment to academic freedom, and to pursue harmonious coexistence within human and ecological community on this planet.

I believe that the visions held by the JGI and Kyoto University have much in common with regards to the welfare of the Earth, and I sincerely hope that there will be opportunities for cooperation in the future.

Finally I would like to wish Dr. Goodall continuing success and happiness, and I'd like to thank you all for attending the ceremony today.

Thank you very much.