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野生チンパンジーには閉経後の老年期がない、
人間の女性だけに「おばあさん」期のあることがわかった。

カレントバイオロジー、米国セル社、12月18日号の速報

野生チンパンジーの寿命と出産の関係を、アフリカ4カ国(タンザニア、ウガンダ、ギニア、ガンビア)の6か所の野生チンパンジー研究基地の長期継続研究の成果をまとめて解析した。

上記6か所のうちの2か所は日本の京都大学の調査基地である。東アフリカのタンザニアのマハレ<京大理学研究科、西田利貞名誉教授ほか、1965年からの42年間の調査>、西アフリカのギニアのボッソウ<京大霊長類研究所、杉山幸丸名誉教授、松沢哲郎所長ほか、1976年からの31年間の調査>である。今回の論文の著者に、杉山、西田、松沢の3名が名を連ねているいる。第1著者は、米国ハーバード大学人類学部のポスドク研究員のマレッサ・ナタリートンプソンさん。総括著者はハーバード大学教授のリチャード・ランガムさん。

野生チンパンジーの寿命は最長で約50年だった。0歳児の平均余命は15歳だった。40歳以上まで生きるのは全体の7%にすぎない。野生での最高齢記録は、推定63歳である。

平均すると13−15歳で子どもを産み始める。平均出産間隔は、6−8年で、人間よりもかなり長い。一人だけ産んでだいじに育てて、育て上げてから次の子どもを産む。

野生チンパンジーのデータを、ボツワナとパラグアイの採集狩猟民の資料と比較した。人間は25−35歳に繁殖期のピークがあるが、野生チンパンジーではこれが少し早く始まり、少し長く続く。平坦で長い繁殖期があり、40歳を越えても繁殖し、死ぬまで産み続ける。

逆にいうと、人間の女性にだけ、「閉経後の老年期」のあることがわかった。自分の孫の世代の世話をするために、こうした時期が人間で進化してきたのだと考えられる。

つまり、野生チンパンジーは、基本的には母親がひとりで子育てするが、人間は母親だけでなく父親や祖父母やその他の協力があって、複数の幼い子どもたちの面倒をみるところに特徴がある。そのために、人間はその進化の過程で、人間にしかない固有の特徴として寿命をのばし、閉経後の老年期つまり「おばあさん」というものをつくるようになった。もう直接には繁殖に関与しないが、子どもの産んだその子どもの面倒をみる。<ちなみに、おじいさんの役割としては、野生チンパンジーで、狩猟の成功率は高齢個体が参加すると高くなることが知られています。そうしたお年寄りの知恵と力を活かすように、人間は進化してきたのだと思います>。

 


写真:高齢の野生チンパンジー(ギニアのボッソウのカイ、推定年齢53歳のときの写真、撮影の9か月後に呼吸器性の伝染病で死亡した) 提供・京都大学霊長類研究所 撮影者:大橋岳
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