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2011/7/18

大谷洋介が第27回日本霊長類学会大会において優秀口頭発表賞を受賞

 

大谷 洋介が7/16-7/18にかけて開かれた第27回日本霊長類学会大会において優秀口頭発表賞を受賞しました。


ニホンザル集団オスの一時的な離脱行動; 採食、繁殖戦略の観点から
 Temporal isolation behavior of male Japanese macaques; from the viewpoint of foraging and reproductive strategy

 集団に所属するニホンザル(Macacafuscatayakui)のオス個体が、平均68分間の一時的な離脱行動を繰り返していた。非交尾期においては離脱したオスは採食上の利益を得ており、交尾期においては他集団を訪れ交尾に成功していた。特に低順位のオスが、集団内での採食・繁殖上の不利を一時離脱行動により補償する戦略を取る可能性が示唆された。

集団に属する個体は集団内採食競合や遊動に関する不利益と、資源防衛や被食回避といった利益を集団から同時に享受している。集団と共に遊動するかどうかの選択に影響する要因を明らかにすることは集団に属する利益と不利益を解釈し、集団形成の意義を考察する上で重要である。

 屋久島に生息するニホンザルを対象とした。二人の調査者による二個体同時追跡を実施し、個体の位置と行動を記録した。季節を問わず雌雄はしばしば数百m以上離れた。その場合オスの周囲に他個体がいることは稀であった。非交尾期には離脱したオスは遅い速度で長い時間採食しており、この差は葉よりも限定的な食物である果実において顕著であった。オスは離脱によって集団内採食競合を回避している可能性がある。

また交尾期には、離脱頻度と集団内発情メスの頭数の間に相関が見られた。離脱した雄の多くは他集団を訪れ、交尾を試みていた。また被攻撃頻度が高く親和交渉においても不利な低順位のオスほど長時間、頻繁に離脱していた。低順位のオスが、集団内での採食・繁殖上の不利を離脱によって補償している可能性がある。

集団を離脱する利益としては集団内採食行動の回避、攻撃交渉の回避および交尾機会の拡大が挙げられ、不利益としては集団間競合に対して脆弱になること、親和交渉の喪失が挙げられた。翻って集団に属する不利益は集団内採食行動と攻撃交渉であり、利益は同種他群からの資源防衛と親和交渉であると考えられる。