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2011/7/27

松田一希が2011年度日本霊長類学会高島賞
(第20回学術奨励賞)を受賞しました。

松田一希が7/16-7/18にかけて開かれた第27回日本霊長類学会大会において、日本霊長類学会より高島賞を授与され、「フィールドワークの可能性−テングザル研究と私」というタイトルで受賞記念講演を行った。

選考対象となった論文は以下の3編である。

1. Matsuda I, Tuuga A, Higashi S. The Feeding Ecology and Activity Budget of Proboscis Monkeys. American Journal of Primatology. 71:478-492 (2009).

2. Matsuda I, Tuuga A, Higashi S. Ranging Behaviour of Proboscis Monkeys in a Riverine Forest with Special Reference to Ranging in Inland Forest. International Journal of Primatology. 30:313-325 (2009).

3. Matsuda I, Kubo T, Tuuga A, Higashi S. A Bayesian analysis of the temporal change of local density of proboscis monkeys: implications for environmental effects on a multilevel society. American Journal of Physical Anthropology 142: 235-245 (2010).

受賞選考理由の要約

霊長類のフィールド研究は、重層的な構造をもつ社会がヒトだけに特異的なものではないことを示してきた。松田一希氏が研究対象としたボルネオ島に生息するオナガザル科コロブス亜科のテングザルも、単雄複雌群の遊動域が互いに重なり行動を共にする、重層的な社会をつくることが知られている。松田氏は、テングザルの群れの泊まり場での凝集が捕食圧と餌資源量という生態的要因で説明できることを示し、テングザルの重層的な社会は、ヒヒ類、シシバナザル属のものとは異なる新しいタイプの社会構造である可能性を提示した。また、テングザルを含むコロブス亜科のサルは、特異な胃の構造から、葉食者として知られている。しかし、テングザルの採食行動や遊動パターンにおいては果実が重要な影響をもつということを、松田氏は説得力のあるデータと分析で明らかした。

選考対象論文は、松田氏のフィールドワーカー及び研究者としての優れた資質を示している。テングザルはフィールド調査が困難で限定された行動観察しかされてこなかつた。松田氏は、調査地を開拓し、テングザルの個体識別に基づく終日行動観察のデータと生態的環境の基礎データを長期にわたって収集した。対象種の学術的意味を踏まえた研究の枠組みの中で、適切で計画的な調査と分析を実施し、論理的で精緻な論文にまとめている。対象種が絶滅危惧種であること、質の高いデータと一般性をもつた調査・分析がおこなわれた研究であることから、松田氏の論文は、霊長類を対象とした研究者にとどまらず、世界の多くの生態学者に参照されるであろう。今後の霊長類のフィールド研究が松田氏によって大きく発展することが期待される。

日本霊長類学会高島賞:http://primate-society.com/takasima.html