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Eco-Geographical Diversification of Bitter Taste Receptor Genes (TAS2Rs) among Subspecies of Chimpanzees (Pan troglodytes)

早川卓志,菅原亨,郷康広,鵜殿俊史,平井啓久,今井啓雄

熱帯アフリカの東西に幅広く分布するチンパンジーは、地域間で異なる食物レパートリーを持つことが知られている。この違いは文化的な要因によって生み出されていると議論されてきたが、地域間の遺伝的差異の影響もあるかもしれない。そこで私達は、チンパンジーの推定4亜種59個体において、味覚に関係する遺伝子の一つである苦味受容体遺伝子(TAS2R)28種類の配列を全て決定し、一塩基多型(SNV)、挿入・欠失多型(インデル)、遺伝子変換多型、コピー数多型(CNV)などの遺伝的多型を同定した。その結果、同定された全ハプロタイプのうち、アミノ酸配列にしておおよそ3分の2がいずれかの亜種に特異的で、中には表現型に影響することが明らかにされている変異も含まれており、チンパンジーの苦味感覚に亜種差が存在することが示唆された。更にこうした地理的分化の背景に存在する自然選択も検出した。先行研究において、私達はニシチンパンジーの苦味受容体遺伝子の多様化は平衡選択に由来することを示した。しかしながら、本研究の結果、ヒガシチンパンジーでは、ヒトクラスターと呼ばれる苦味受容体遺伝子群の多様化において平衡選択ではなく浄化選択が働いており、その他の遺伝子群には明確な自然選択が働いていないことが明らかになった。このような亜種間で異なる進化背景に由来する苦味受容体遺伝子の顕著な分化・多様化は、おそらく亜種特異的な食物レパートリーへの影響を反映するものと考えられる。苦味受容体遺伝子の地理的差異が、実際の生態におけるチンパンジーの食性にどのような影響を与えているのか、表現型レベルの研究が期待される。

 本研究の遂行にあたっては、伊豆シャボテン公園、高知県立のいち動物公園、多摩動物公園、東山動植物園、福岡市動物園、宮崎市フェニックス自然動物園の協力をいただきました。

論文の掲載URL(PLOS ONE誌) 
http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0043277

京都大学HPでの紹介『チンパンジーの味覚には地域特異的な遺伝子が関係している』 
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/120817_1.htm

 

PLoS ONE 7(8): e43277. doi:10.1371/journal.pone.0043277.

Chimpanzees (Pan troglodytes) have region-specific difference in dietary repertoires from East to West across tropical Africa. Such differences may result from different genetic backgrounds in addition to cultural variations. We analyzed the sequences of all bitter taste receptor genes (cTAS2Rs) in a total of 59 chimpanzees, including 4 putative subspecies. We identified genetic variations including single-nucleotide variations (SNVs), insertions and deletions (indels), gene-conversion variations, and copy-number variations (CNVs) in cTAS2Rs. Approximately two-thirds of all cTAS2R haplotypes in the amino acid sequence were unique to each subspecies. We analyzed the evolutionary backgrounds of natural selection behind such diversification. Our previous study concluded that diversification of cTAS2Rs in western chimpanzees (P. t. verus) may have resulted from balancing selection. In contrast, the present study found that purifying selection dominates as the evolutionary form of diversification of the so-called human cluster of cTAS2Rs in eastern chimpanzees (P. t. schweinfurthii) and that the other cTAS2Rs were under no obvious selection as a whole. Such marked diversification of cTAS2Rs with different evolutionary backgrounds among subspecies of chimpanzees probably reflects their subspecies-specific dietary repertoires.

AUG/17/2012

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