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紀伊半島におけるニホンザル苦味感覚の進化
−野菜や柑橘類の苦味をわからないサルが急速に拡散した−
鈴木−橋戸南美, 早川卓志, 松井淳, 郷康広, 石丸喜朗, 三坂巧, 阿部啓子, 平井啓久, 颯田葉子, 今井啓雄
概要

 苦味感覚は本来、植物などがもつ毒物に対する防御機構として動物の味覚に備わっています。しかし、ヒトの例でもあるように、柑橘類に含まれる苦味物質や、アブラナ科野菜に含まれる苦味物質に類似したPTC(フェニルチオカルバミド)に対しては、苦味を感じる個体と感じない個体がいることが、様々な霊長類でわかってきました。

 本研究成果では
(1)この変異遺伝子は機能的なタンパク質をつくらないこと
(2)この変異遺伝子を持つ個体はPTCに対する苦味感覚が減弱していることを確かめました。
さらに、日本の17地域約600個体のDNAを用いた分子進化的解析により、
(3)この変異遺伝子は紀伊半島西部の群れに限局していること
(4)この地域では変異遺伝子が約30%の頻度をもつが、この現象は偶然には起こりえない、つまり適応的に変異遺伝子が広まったこと、
(5)変異遺伝子は1万3千年前以降に出現し、急速にこの地域に広がったこと

を示しました。すなわち、何らかの要因により紀伊半島南西部で苦味感覚が他とは異なるニホンザルが進化したことになります。紀伊半島には約3千年前から橘などの柑橘類が自生していた歴史があり、また、しばしば津波等の環境変化も起こってきたので、こうした環境要因が特殊な感覚の進化(PTC類似物質の苦味に対しては退化)の原因となったのかもしれません。


TAS2R38遺伝子型の違いとPTC苦味溶液に対する反応
書誌情報

PLOS ONE
July 22, 2015
DOI: 10.1371/journal.pone.0132016 

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0132016


2015/07/23 Primate Research Institute