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ヒトとチンパンジーにおける二次元平面上への物の配置
林美里・竹下秀子
概要

ヒトの認知発達を調べるために、2つの皿に物を配分するなどの課題がおこなわれてきた。7〜9歳のチンパンジーと2〜5歳のヒトの子どもを対象とした縦断的な対面場面において、比較認知発達の視点から物の配置課題をおこなった。二次元平面上(3×3のマス目のついた箱)に、色と形の異なる9個の積木を自由に配置する際に見られたパターンを記録した。チンパンジーでは、あらかじめ手がかりが与えられた場合、24〜43%の試行で、色や形が同じカテゴリーの物を行や列に分類して配置するパターンが見られた。最年少のヒトの子どもでは、9個の積木をすべて配置することができなかった。2歳を超えると、一対一対応ですべてのマス目に積木を配置できるようになったが、配置のパターンはランダムなままだった。その後、カテゴリーによる分類的な配置が増えていき、4歳で分類配置がもっとも多くなった。それ以降、ヒトの子どもでは、ラテン方格のように行列が完全に均等になるような配置が見られるようになった。この均等配置は4歳半以降に出現することから、分類配置よりも認知的に負荷が高いと考えられ、チンパンジーでは観察されなかった。分類配置に使われた手がかりを調べると、年少のヒトの子どもでは形の手がかりがよく使われたが、チンパンジーと年長のヒトの子どもでは色と形の両方が手がかりとして使われていた。ヒトとチンパンジーが自発的なルールにもとづいて物を操作し、カテゴリー的な分類配置をおこなう基礎的な認知能力を共有していることが示唆された。
書誌情報

Hayashi M, Takeshita H (2020) Object sorting into a two-dimensional array in humans and chimpanzees. Primates, published online.

https://link.springer.com/article/10.1007/s10329-020-00850-1

 

2020/08/04 Primate Research Institute