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京都大学霊長類研究所
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第46回ホミニゼーション研究会
「性的二型とホミニゼーション 家族と育児・養育の霊長類基盤」
  
講演要旨


 3月24日(金)13:10〜13:40
 出産・育児の観点からみた人類進化
 五十嵐 由里子(日本大学・松戸歯学部)


従来は、直立二足歩行、道具の発達、大脳化による狩猟技術の発達という観点から進化が語られることが多かった。しかし出産・育児が進化のプロセスに与えた影響も大きいはずである。今回は、出産・育児の観点からヒトの進化を考えるDr. Karen Rosenbergの説を紹介する。 骨盤の形態とサイズ、胎児のサイズの関係から、ホモ・エレクトス以降、胎児は脳が未完成のまま生まれてきた可能性があり、ネアンデルタール以降は、現代人と同様に、胎児が後ろ向きに生まれてきた可能性がある。すなわち、ホモ・エレクトスで既に、助産者がいると有利であった可能性がある。これは、言語や家族の起源がネアンデルタールさらにはホモ・エレクトス段階に遡る可能性を示唆している。



 3月24日(金)13:40〜14:10
 1500万年前のアフリカ産化石類人猿・ナチョラピテクスの性差について
 菊池 泰弘(佐賀大学・医学部)


準備中



 3月24日(金)14:10〜14:50
 初期人類の性差
 諏訪 元(東京大学・総合研究博物館)


準備中



 3月24日(金)14:50〜15:20
 アフリカのヒト科の行動と社会の進化
 古市 剛史(京都大学・霊長類研究所)


私は、アフリカのヒト科であるゴリラ、ヒト、チンパンジー、ボノボの4者4様に異なる社会構造は、共通祖先の段階で起こったメスの発情の制限によるオス間の強い性的競合を如何に解決するかという点で、それぞれが異なる方策を進化させた結果であるという仮説を唱えてきた。このうちPan属のチンパンジーとボノボについては、諏訪らの研究でヒトとPan属の共通祖先では性的二型が大きくなく犬歯も小さかったこと、その後Pan属の系統で独自に犬歯の大型が起こったことが示され、共通祖先から分かれたあとのPan属でオス間の競合の激化とそれに勝ち抜くための行動の進化が起こったことが示唆された。またここ数年のボノボに関する研究で、ボノボがチンパンジーとの共通祖先から分かれた過程が明らかになってきており、チンパンジーと分かれたあとのボノボで、オス間の性的競合を抑制する独特の進化が起こった可能性が見えてきた。これらPan属の進化について見えてきたことを概観し、今後どういった点を明らかにすべきかを検討する。



 3月24日(金)15:35〜16:05
 性皮膨張メカニズムの解明に向けて 〜ニホンザルのメンス前血中ホルモン濃度変動
と相関する血球の発現変動遺伝子の検出〜
 勝村啓史(岡山大学・理学部)、太田 博樹(北里大学・医学部)


霊長類の複数の種でメス発情のシグナルとして観察される性皮膨張の分子メカニズムは、エストロゲンなど性ホルモンに制御されていると考えられるものの、関与する遺伝子や制御機構は分かっていない。私たちはメスのニホンザル2個体のメンス前の血中ホルモン濃度変動と同期して発現変動を示す遺伝子の検出を目的としてmRNA-seqをおこなった。その結果、エストロゲン分泌ピークからプロゲステロン分泌ピークへ移行する間に30個の遺伝子が発現抑制され1つの遺伝子の発現が促進されていた。ヒトのデータベースでこれらの遺伝子の機能を推定したところ、ほとんどが血液細胞由来の遺伝子であり、血小板脱顆粒や活性化、血液凝固のプロセスに関与することが示唆された。



 3月24日(金)16:05〜16:35
 哺乳類における性的二型核の比較と性差形成機構
 塚原 伸治(埼玉大学・理工学研究科)


脳には形態学的な性差がみられる神経核が存在する。これらは性的二型核と呼ばれ、脳機能の性差を生み出す構造基盤である。ヒトを含めた様々な動物において性的二型核が同定されているが、性的二型核の類似性や種差については不明な点が多い。本発表では、マウス、マーモセット、スンクスの脳の性差を比較した結果から、性的二型核の類似性や種差を考察する。また、性的二型核の性差形成に関わる性ホルモンの働きと作用機序について、マウスを用いた研究から分かってきたことを紹介する。



 3月24日(金)16:50〜17:20
 マーモセットの養育行動と内分泌機構
 齋藤 慈子(武蔵野大学・教育学部)


小型霊長類のマーモセットの仲間は、繁殖ペアとその子どもからなる群れを形成することが多く、家族皆で子の世話をする。そのため、母親だけでなく父親や兄姉個体の養育行動とそのメカニズムを研究するのに適している。本発表では、マーモセット類の社会性、養育行動等の特徴を解説したのち、親子間の行動指標を調べる実験方法を紹介する。また、養育行動と内分泌の関係に関する研究を紹介し、ヒトの養育行動を理解するうえでのマーモセットの有用性について考察する。



 3月24日(金)17:20〜17:50
 子育て行動の脳内機構:げっ歯類とマーモセットでの知見
 黒田 公美(理化学研究所・脳科学総合研究センター)


子育ては哺乳類に共通する基本的社会行動であり、利他的行動など成体同士のより高度な社会性の起源とも考えられるため、その脳内機構の解明は重要である。げっ歯類では、父母やその他の個体を問わず、視床下部前方の内側視索前野中央部が子育て行動発現に必須であることが明らかになりつつある。本日は、私共のマウスでの知見と、霊長類マーモセットの子育て行動の脳神経機構についての、前演者らとの共同研究の現状についてご紹介したい。



 3月25日(土)9:00〜9:30
 野生ボノボにおける出産後の発情再開について
 橋本 千絵(京都大学・霊長類研究所)


ボノボでは、同属のチンパンジーのような集団間・集団内の殺戮など攻撃的な行動がみられず、親和的な集団間関係など平和的な性質が注目をあびてきた。こうしたボノボの平和的な社会関係は、妊娠した後や授乳中という排卵がなく妊娠が不可能である時期にも発情し、その結果オスの発情メスを巡る競合が抑えられること起因していると考えられている。本発表では、非侵襲的な尿試料の分析による性ホルモンの動態と性皮の腫脹について長期データの分析によって、ボノボのメスの性生理の特徴を明らかにしたい。



 3月25日(土)9:30〜10:00
 霊長類の行動の性差および養育関連行動の研究
 香田 啓貴(京都大学・霊長類研究所)


形質や行動の性差は生物学、とりわけ進化の観点から重要であるのは間違いないが、霊長類の行動の性差の発現機序と進化的な背景という問題について実証的に取り組まれた研究はさほど多いとはいえない。とくに、性差は繁殖戦略上の利得損益という点で進化してきたものであると予測される以上、本来その性差を知覚・認知し、その結果引き起こされる性行動についての発現機序をあきらかにするような認知行動学的な検討がなされるべきであるが、霊長類においては発展途上な課題であるだろう。それは、発達過程の中で出産と養育という過程を経過する養育関連行動の発現機序についても、霊長類において発展途上であり、これからの研究が開拓する分野であろうことは、どうようの問題を抱えているだろう。本発表では、ニホンザルをはじめとしたさまざまな霊長類の行動の性差にかかわる最近の研究や、養育関連行動として乳児に対する認知についての研究例を、野生下と実験室下の双方から紹介し、霊長類研究における性差や養育行動について、さまざまな立場から議論したい。



 3月25日(土)10:15〜10:45
 オランウータンの雄の二型成熟とライフヒストリーの多様性
 久世 濃子(国立科学博物館・人類研究部)


通常、性的二形が大きな種は単雄複雌群を形成するが、オランウータンは単独性で群れを作らないにもかかわらず、雄は雌のほぼ二倍の体重になる。さらにオトナ雄では、顔の両脇のヒダ(フランジ)などの二次性徴が発達した「フランジ雄」と二次性徴の発達が抑制されている「アンフランジ雄」の2タイプが共存する。両者は共に生殖能力があるので、この現象は「二型成熟」と呼ばれているが、哺乳類では非常にめずらしい。本発表では、フランジ雄とアンフランジ雄の形態や行動の違い、雌との関係を紹介するとともに、雄のライフヒストリーの多様性を、雌や他の類人猿と比較して考察する。



 3月25日(土)10:45〜11:15
 ゴリラのオスの繁殖戦略と養育行動
 竹ノ下 祐二(中部学院大学・教育学部)


ゴリラは霊長類の中では性的二型が大きく、性比がメスにかたよった集団を形成する。オスの繁殖成功は多くのメスを獲得することにかかっており、その意味でゴリラのオスはk戦略者だといえる。一方、ゴリラのオスはコドモの遊び相手をしたり、ケンカの仲裁をしたり、群れ外オスや捕食者からコドモを守るなど、様々な「養育行動」を行う。集団内のコドモの父親は核オスと考えられ、父性の確かさがそれらを引き出すと考えられ、その意味でオスはR戦略者であるともいえる。このように、ゴリラのオスの行動はk戦略対R戦略という二分法ではうまく説明できない。繁殖戦略、養育行動と性的二型の関係について、実際のオスの養育行動を手掛かりに考察する。また、そもそも動物における養育行動とは何かについて、若干の問題提起を行いたい。