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English report

AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-22-036

ブータンにおける自然観〜野生生物調査および環境教育の文化比較

報告者:山本真也

期間:2010/11/19 - 2010/12/01

ブータンは、国民総生産の代わりに国民総幸福を指標とすることを提唱している国である。近年までつづいた鎖国政策の影響もあり、独自の文化を比較的保持してきた。一方で、大国インドと中国に挟まれた小国として、アイデンティティーを保つことの難しさも想像に難くない。このような国で人々がどのような自然観を育んできたのかを調査するためブータンを訪問した。自然観が形成される上で、教育の影響は大きい。ブータンでは、国語・英語・算数に並んで環境教育が教育の柱であるという。近年の欧米主導の環境教育では、自然を理解し、保護・管理し、持続ある発展のために利用するという考え方が主流のように感じられる。欧米の影響が比較的少なく、チベット宗教への信仰心の篤いブータンでは、どのような環境教育がおこなわれているのだろうか。生活の中で自然と向き合ってきた人々に、「環境教育」はどのような意味を持つのだろうか。また、どのような役割を果たせるのだろうか。自然観形成における教育・自然環境・宗教の影響を検討し、自然観の文化比較研究も視野にいれた調査をおこなうため、ブータンでのフィールド研究を必要とした。

ブータン王国において、2泊3日テント泊フィールドワークを含む、野生動物・環境教育にかんする現地調査を実施した。野生動物にかんしては、アッサムモンキー・グレーラングール・シカ・オグロヅルを観察することができた。また、珍しいラン科植物の写真資料などの収集もおこなった。野生動物を見る機会が少なかったが、これは現地の人たちにとっても同じであるようだ。ブータン滞在期間中、小学校から大学まで計4校を訪問しインタビューをおこなったが、学生が直接野生動物を見ることは稀であるとのことだった。このような状況でおこなわれている環境教育の根底にあるのがチベット仏教であるという。チベット仏教の経典には様々な動物が登場する。また、チベット仏教は、万物に精霊が宿るというアミニズム思想も内包する。このような仏教思想が根底となって、自然を畏怖する心が保たれているようだ。自然を「保護」・「管理」するという日・欧・米で主流となっている環境保全とは、基となる思想の段階で異なっているのかもしれない。野生動物を飼育することはチベット仏教の思想に合わないとして、動物園をもつことを放棄した事実も興味深い。ブータンでは、宗教と科学という、一見相容れない2つの要素がうまく組み合わさっている印象を受けた。環境教育のみならず、今後の科学の発展を考えるうえで、非常に示唆に富む情報を入手することができた。




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