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English report

AS-HOPE 事業報告

事業番号:AS-22-041

マレーシア・サバ州における野生生物調査: 生息地の現状と保全

報告者:澤田晶子

期間:2011/03/14 - 2011/03/22


マレーシア・サバ州の熱帯雨林には霊長類13種を含む野生動物が多数生息しており、観光業が重要な位置を占めている。一方で、木材輸出やアブラヤシのプランテーションによる野生動物の生息地喪失や環境悪化という問題に直面している。サバ州における現状を把握することを目的に、セピロク、スカウ、ダナムバレーの3ヶ所で現地調査をおこなった。

セピロクのオランウータン・リハビリテーションセンターでは、餌付けされるオランウータンとその周囲を取り囲むカニクイザルとブタオザルの様子から、同所的に生息する3種間における力関係ならびに各種内の順位を垣間見ることができた。スカウのキナバタンガン下流域生物サンクチュアリでは、クルージングによる現地調査をおこなった。大雨による水位上昇の影響はあったものの、テングザル・カニクイザル・シルバーリーフモンキー・ゾウ・クロコダイル・サイチョウ・カワセミなどを観察することができた。ダナムバレーでは、ダナムバレー森林保護地区で現地調査をおこない、オランウータン・ミュラーテナガザル・カニクイザル・スローロリス・ムササビなどを観察した。

調査を通じて強く印象に残ったのが、プランテーション進出の規模と深刻さである。調査地から調査地へ移動する際、延々と続くアブラヤシ農園を何度も目撃した。セピロクのリハビリテーションセンターは、プランテーションと隣接している。スカウでは、パーム油を搬出・運送するためのパイプラインやタンカー船が整備されている。プランテーションからの排水には農薬や汚染物質が混入しているともいわれ、川の水を生活用水として利用している周辺住民の健康が懸念される。観光客増加に伴いゴミが増加する一方で、ゴミ収集システムが確立されておらず、ゴミの大半が川に投棄されている。また、キナバタンガン川の上流域と下流域では、生物多様性が大きく異なるが、自然観を形成する文化・風習・宗教の違いによる結果だという。これは、多民族・多宗教・多言語の複合民族国家であるマレーシアならではの問題だろう。ゆえに、この地で野生動物の保全を考えるうえで最も重要なことは、適切な環境教育や情報提供を通じ、人々の間に新たな自然観を形成することではないかと考える。


アブラヤシの実


パーム油はパイプラインを通じてタンカーに積み込まれる

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