GAIN(ゲイン、と発音する)は、「大型類人猿情報ネットワーク」を意味する英文の頭文字で、チンパンジーとゴリラとオランウータンについて、日本国内の飼育個体の情報を収集し、データベース化し、一般に開示して、学術研究の推進に供する事業である。文部科学省の研究開発施設共用等促進費補助金(ナショナルバイオリソースプロジェクト)の支援を受けている。国立遺伝学研究所の主宰する「情報発信体制の整備とプロジェクトの総合的推進」の下部課題としての、「大型類人猿情報ネットワークの活動」と位置づけられている。
事業の目的と概要
人間の本性を理解するうえで大型類人猿の研究は極めて重要である。なぜなら、生物学上も法令上も、ヒト科は現在4属に分類(ヒト科ヒト属、ヒト科チンパンジー属、ヒト科ゴリラ属、ヒト科オランウータン属)に分類されており、ヒトを知るには、他のヒト科3属の理解が必須だからである。
一方、周知の事実として、彼らは絶滅危惧種でもある。国際的な商取引は禁止されている。血液等のサンプルの移動も困難だ。したがって、研究材料の確保・入手という点では他のモデル生物とまったく異なる状況がある。本事業の前身であるナシャナルバイオリソース(NBRP)受託研究事業で、2002年度(平成14年度)から、わが国が保有する大型類人の情報データベースを整備してきた。その結果として、死体由来・生体由来(非侵襲)資料の有効利用をはかるとともに、飼育施設と研究者をむすぶネットワークの形成をおこなった。
今後は、このネットワーク形成をさらに推進し、情報データベースの構築
> 資料配布 > 研究成果還元 >
システム改善 という循環・持続型の体制を確立する必要がある。新規事業として、個体ごとのDNA情報・行動情報についても整備をすすめつつある。それらを順次公表し、個体群・家系・個体・DNA・研究成果・研究ユーザーデータベースを整えるとともに、その国際化をはかる。
GAINが構築した大型類人猿情報データベースは下記のサイトで公開されている。
http://www.shigen.nig.ac.jp/gain/index.jsp
2011年度は京都大学霊長類研究所と野生動物研究センターを核に10機関35人でGAINの事業を推進します。 2011年度メンバー

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