稲葉 明彦
霊長類モデルを用いた腸管化学感覚細胞の機能解析
ゲノム進化分科D4
日本学術振興会特別研究員DC2
稲葉 明彦 INABA, Akihiko
Tel：0568-63-0355 E-mail：inaba.akihiko.74a@st.kyoto-u.ac.jp
関心と研究テーマ
霊長類の消化管上皮細胞、特にTuft細胞の機能について興味を持っています。Tuft細胞は、舌上皮の味細胞と類似した味覚受容機構を有しており、腸におけるセンサー細胞として寄生虫等の腸内に侵入した異物に対して自然免疫系を活性化することが最近分かってきました。このように味覚は腸内の恒常性維持に重要な役割を担っていると考えられますが、味覚や腸内環境は種や個体の食性あるいは生育環境に応じた特有のパターンを示すことから、消化管における味覚受容機構とその働きも生物種によって独自の進化を遂げている可能性が考えられます。
そこで私は、マカクザルの組織及び個体における解析、ならびにマカクザルより構築した消化管三次元培養系（オルガノイド培養系）を用いた細胞レベルの解析を通して、霊長類における消化管Tuft細胞の機能を明らかにしたいと考えています。
略歴
| 2014年3月 | クラーク記念国際高等学校 卒業 |
| 2014年4月 | 東京農業大学 短期大学部 栄養学科 入学 |
| 2016年3月 | 同上 卒業 |
| 2016年4月 | 東京農業大学 応用生物科学部 食品安全健康学科 編入学 |
| 2018年3月 | 同上 卒業 |
| 2018年4月 | 東京農業大学大学院 農学研究科 食品安全健康学専攻 修士課程 入学 |
| 2020年3月 | 同上 修了 |
| 2020年4月 | 京都大学大学院 理学研究科 生物科学専攻 霊長類学・野生動物系 博士後期課程 入学 |
職歴（研究歴）
| 2022年4月～現在 | 日本学術振興会特別研究員DC2 |
委員歴
| 2021年11月～現在 | 日本味と匂学会 若手の会 実行委員 |
論文
#: Equal contribution
- Satoru Tsuruta, Tomoyuki Kawasaki, Masakazu Machida, Ken Iwatsuki, Akihiko Inaba, Shinsuke Shibata, Tomoko Shindo, Kazuhiko Nakabayashi, Kenichi Hakamada, Akihiro Umezawa, Hidenori Akutsu (2022) Development of human gut organoids with resident tissue macrophages as a model of intestinal immune responses. Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology (Online ahead of print) DOI: 10.1016/j.jcmgh.2022.06.006
- Inaba A, Arinaga A, Tanaka K, Endo T, Hayatsu N, Okazaki Y, Yamane T, Oishi Y, Imai H, Iwatsuki K. (2021) Interleukin-4 Promotes Tuft Cell Differentiation and Acetylcholine Production in Intestinal Organoids of Non-Human Primate. Int. J. Mol. Sci. 22, 7921 DOI: 10.3390/ijms22157921
- Hayashi M, Inaba A, Hakukawa M, Iwatsuki K, Imai H, Masuda K. (2021) Expression of TAS2R14 in the intestinal endocrine cells of non-human primates. Genes & Genomics 43, 259–267 DOI: 10.1007/s13258-021-01054-7
- Akihiko Inaba, Shunsuke Kumaki, Ayane Arinaga, Keisuke Tanaka, Eitaro Aihara, Takumi Yamane, Yuichi Oishi, Hiroo Imai, Ken Iwatsuki. Generation of intestinal chemosensory cells from nonhuman primate organoids., Biochemical and Biophysical Research Communications (BBRC), (2021) DOI:10.1016/j.bbrc.2020.12.044
- Ikuo Kimura#, Junki Miyamoto#, Ryuji Ohue-Kitano, Keita Watanabe, Takahiro Yamada, Masayoshi Onuki, Ryo Aoki, Yosuke Isobe, Daiji Kashihara, Daisuke Inoue, Akihiko Inaba, Yuta Takamura, Satsuki Taira, Shunsuke Kumaki, Masaki Watanabe, Masato Ito, Fumiyuki Nakagawa, Junichiro Irie, Hiroki Kakuta, Masakazu Shinohara, Ken Iwatsuki, Gozoh Tsujimoto, Hiroaki Ohno, Makoto Arita, Hiroshi Itoh, Koji Hase. Maternal gut microbiota in pregnancy influences offspring metabolic phenotype in mice. Science, 367 (6481), (2020) PMID:32108090
- Junko Ohki, Akihiko Sakashita, Eitaro Aihara, Akihiko Inaba, Hironobu Uchiyama, Masahito Matsumoto, Yuzo Ninomiya, Takumi Yamane, Yuichi Oishi, Ken Iwatsuki. Comparative analysis of enteroendocrine cells and their hormones between mouse intestinal organoids and native tissues. Biosci Biotechnol Biochem, 84(5), 936-942 (2020) PMID:31916916
- Mika Sato, Akihiko Inaba, Ken Iwatsuki, Yuki Saito, Miki Tadaishi, Makoto Shimizu, Kazuo Kobayashi-Hattori. Identification of Reg3β-producing cells using IL-22-stimulated enteroids. Biosci Biotechnol Biochem, 84 (3), 594-597 (2019) PMID:31760857
執筆
- 岩槻健, 稲葉明彦. 様々な器官に発現する味細胞様センサー細胞, Clinical Neuroscience, 37 (12) 1524-1527, (2019) [依頼有り]
- 岩槻健, 稲葉明彦, 中嶋ちえみ. 消化管, 味蕾, 膵臓オルガノイドを使った自然治癒研究. 実験医学増刊「食と健康を結ぶメディカルサイエンス」, 羊土社, 38(10), 217-223, (2020)
発表（日本語）
- 稲葉明彦, 岩槻健, 今井啓雄. ゲノム編集を用いた非ヒト霊長類由来腸オルガノイドにおけるTRPM5陽性化学感覚細胞の可視化（ポスター・査読なし）日本味と匂学会第56回大会, 仙台（2022/8）
- 稲葉明彦, 岩槻健, 今井啓雄. ゲノム編集を用いた非ヒト霊長類由来腸オルガノイドにおけるTRPM5陽性化学感覚細胞の可視化（ポスター・査読なし）第1回JASTS若手の会, 仙台（2022/8）
- 稲葉明彦, 有永理峰, 田中啓介, 遠藤高帆, 早津徳人, 岡崎康司, 岩槻健, 今井啓雄. 非ヒト霊長類モデルを用いた腸管Tuft細胞の分子発現解析（ポスター・査読なし）第44回日本分子生物学会, 横浜（2021/12）
- 稲葉明彦, 熊木竣佑, 有永理峰, 岩槻健, 今井啓雄. 消化管 Tuft 細胞の機能解析に向けたマカク由来新規三次元培養系の構築（口頭・査読なし）第36回霊長類学会大会, オンライン（2020/12）
- 稲葉明彦, 有永理峰, 早津徳人, 岡崎康司, 遠藤高帆, 今井啓雄, 山根拓実, 大石祐一, 岩槻健. サル消化管オルガノイドを用いた霊長類特異的Tuft細胞機能の探索（口頭・査読なし）日本農芸化学会2020年度大会, 福岡（2020/3）
- 稲葉明彦, 篠澤 章久, 有永理峰, 熊木竣佑, 伯川美穂, 林美紗, 今井啓雄, 山根拓実, 大石祐一, 岩槻健. 霊長類消化管オルガノイドにおける培養条件最適化の検討（ポスター・査読なし）日本味と匂学会第53回大会, 高知（2019/9）
- 稲葉明彦, 熊木竣佑, 粟飯原永太郎, 今井啓雄, 山根拓実, 大石祐一, 岩槻健. BSAがサル消化管オルガノイド培養に与える影響（口頭・査読なし）第72回日本栄養・食糧学会, 岡山（2018/5）
発表（英語）
- Akihiko Inaba, Ayane Arinaga, Keisuke Tanaka, Ken Iwatsuki, Hiroo Imai. Molecular Characterization of the Intestinal Tuft Cells Using the Intestinal Organoids Derived from Non-Human Primates. (Poster, Peer-reviewed), the Association for Chemoreception Sciences (AChemS) 45th, Bonita Springs, Florida, U.S.A. (2023/4)
- Akihiko Inaba, Ayane Arinaga, Keisuke Tanaka, Ken Iwatsuki, Hiroo Imai. Molecular Characterization of the Intestinal Tuft Cells Using the Intestinal Organoids Derived from Non-Human Primates. (Poster), The 19th International Symposium on Molecular and Neural mechanisms of Taste and Olfactory Perception (ISMNTOP2022/23), Okayama, Japan (2023/3)
受賞歴
- 日本味と匂学会56回大会 優秀発表賞 2022年8月（仙台）
- 京都大学大学院教育支援機構プログラム 奨励研究員 採用 2021年10月-2022年3月
- 京都大学大学院 理学研究科基金奨学生 推薦 2021年10月
- 日本農芸化学会2020年度大会 優秀演題 選出 日本農芸化学会 2020年3月（福岡）
- 日本農芸化学会2018度大会 大会トピックス賞 選出 日本農芸化学会 2018年3月（名古屋）[共同受賞]
アウトリーチ活動
- 京都大学理学研究科主催 「2021年度 サイエンス倶楽部デイ」若手研究者による研究紹介 2021年11月（オンライン）
