感染症分科

人類進化モデル研究センターの感染症分科では、ヒトおよびアフリカに住む霊長類に広く感染している霊長類免疫不全ウイルスについて研究しています。後天性免疫不全症候群、エイズの原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、その宿主域の狭さからサルを始めとする実験動物には感染しません。そのため、これまでHIVの感染機構やエイズ発症のしくみを調べるような生体レベルでの研究は困難でした。

最近、私たちは遺伝子操作でHIVの宿主域を人為的に変えることにより、実験用サル類に感染できるような改変HIVの樹立に成功しました。興味深いことに、この改変HIVをカニクイザルに接種すると、はじめはヒトでの場合と同じように良く増えますが、やがて検出されなくなります。しかしHIVは排除された訳ではなく、体のどこかに潜伏感染しています。この際、HIVに対して働く免疫を人為的に失わせるとHIVが再び現れてきます。すなわち、カニクイザルは不思議なことにHIVを強くコントロールする能力があるらしいことがわかってきました。このことはとても重要です。何故なら、この潜伏感染のしくみやHIV制御免疫のメカニズムが解明できれば、それをヒトへ応用し、薬に頼らなくてもHIVを抑えられる新たな治療法開発につながるからです。

私たちは、このモデル動物を用いて以下のような研究を行っています。

1. HIV潜伏感染メカニズムの解明
2. HIV制御に関わる免疫メカニズムの解明
3. iPS技術等の応用など新たなコンセプトによるHIV感染症の根治に向けた治療法開発研究

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