第20回(2002年620日)の授業への質問に対する回答


 皆さんの感想は、今回はとくに興味深く読ませていただきました。私の大学院時代の指導教官がある大学の「性・差別・人権」という授業で私が話したのと同じようなことをしゃべったら、三分の一くらいの女子学生が講義内容は性差別を助長するものだと非難するレポートを書いたそうです。ですから、授業をする前はかなり不安だったのですが、おおむね皆さん私の言ったことを誤解せずに聞いてくれたようです。割礼や貞操帯、姦通法、花嫁の処女性の要求などに対して、多くの女子学生の方が率直に憤りを記してくれました。その憤りを現実世界の性差別解消にどう生かすかはこの授業で扱える範囲を越えます。皆さん自身で考えてください。
 ある女子学生が、割礼は陰核を切り取るだけではない、ということを教えてくれました。弘文社「文化人類学事典」によれば、地域によって違いがあり、陰核を切り取る場合、陰核と小陰唇、大陰唇を切り取る場合、陰唇を切り取った後に縫合してしまう場合、などがあるそうです。男子割礼の方が女子割礼より広く行われています。女子割礼はさすがに女性の抵抗が大きいからでしょう。現在では法律では禁止されている場合はほとんどですが、そう簡単にはなくならないようです。また、「処女膜は架空のものです」という指摘が女子学生からありました。女性産婦人科医が執筆した河野美香「男が知りたい女の体」(講談社ブルーバックス)によると、処女膜とは膣の入り口にリング状についている粘膜のひだのことです。膜とはいっても完全にふさがっているわけではなく、中央部は開いています。処女膜の形や柔らかさには個人差があり、しかももとから多少は穴が開いているので、膜を裂くことなくペニスを挿入できれば初めての性交渉のときでも出血はしません。そういう人は3割くらいいるそうです。最近は生理用品の使用のために性交渉の経験以前に処女膜の穴が広がっている人もいるそうです。出産のときには処女膜は大きく損傷するので、出産を繰り返すと処女膜はほとんどなくなります。
 授業では「ヒトのペニスが男に向けたものか女に向けたものかは不明である」といいましたが、皆さんの感想をそのまま判断する限り、ペニスに興味があるのは圧倒的に男子学生のようでした。「女の人の胸を見てなぜ男性は興奮するのだろう…ただの脂肪なのに」と書いた女子学生がいらっしゃいました。男と女は分かり合えないものですなあ。

 前々回の授業の質問で回答保留にしておいたものからお答えします。


Q.ムブティは誰もがネットハンティングに使う網を持っているのか、どうやって手に入れるのか
A.網は夫婦1組で一つ所有しています。一つの網の平均の長さは約80m, 1.2m, 重さ約10kgで、網をつなげて囲いを作ると、周囲約1kmほどになります。網の材料は、森の下ばえの一種で木生の蔓である現地名Kusaという植物の形成層の繊維です。まだ葉のでない若い枝を集め、表皮をはぎ、形成層を撚ってひもにし、ひもを編んで網を作ります。Kusaの採集からひもを撚りあげるまでは男女、網を編むのは男性の仕事です。網の耐用年数は34年、古くなると破れやすく獲物にも逃げられます。古いネットは、こどもに与えてネットハンティングごっこのおもちゃになるそうです。


Q.ムブティのコドモが顔を白く塗っているのはなぜか
A.白く塗っていることについて書いたものは見当たりませんでしたが、女が自分自身で、また女同士で顔に模様を描き合ったりすることがあり、これにはニシキヘビが捕れたらヘビの鱗を描くなど模様に流行あり、娯楽性があるそうです。この場合葉や種子からとった黒い顔料を使い、儀礼の際には赤色の顔料を使そうです。


Q.狩猟採集民は獲物を取ってきた人は威張らず、逆にもらう方が高飛車に出るそうだが 、全く獲物が取れないときに励ましたりはしないのか
A.カメルーンのピグミー、バカでは狩猟の励ましは見られません。手ぶらで帰って来るのを見たら、だれもが察するので、それ以上話題にもならないそうです。


Q.ピグミーの女性は生理のときにどうしているか
A.ある女性研究者の話では、実際見たり聞いたりはしていないが、バカの人は下着を付けていて、しかも血が付いたりしていないので、多分布を当てているのではないか、とのことです。カメルーンの農耕民は布を当てているようです。


Q.なぜ精子はいくらでも作れるのに卵は限りがあるのか
A.究極的には卵の方が精子よりずっと大きいので作るのに莫大なコストがかかるからです。話をサルに限れば、実際に卵の数を制限しているメカニズムは排卵が最大で1月に1回であるということです。


Q.精子は無限といってもよいか、その数だけ子供を作ることは可能か/1回の射精で出る精子の量はどのくらいか
A.たしかに1回の射精で数億個の精子が出るので、一つ一つ人工授精させれば30回くらいの射精量で地球上全ての女性を妊娠させることはできます。実際にいちばんたくさん子供を残した男は中世のモロッコの専制君主、「血に飢えたムーレイ・イスマイル」という人で、888人の子供を作ったそうです。女の最高記録はウクライナの女性で69人、18才から38才までのあいだに双子と三つ子を生みつづけたそうです。


Q.メスが多く生まれた方がサル全体としてはたくさんの子供ができるのに、なぜオスメス半々なのか
A.たいへん鋭い質問です。実際、人口学ではオスは人口の変動に影響しないのでメスだけで計算するくらいです。この疑問を解く鍵は、「それぞれの個体は種の保存のためにではなく、自分自身の遺伝子をできるだけたくさん残すように振舞っている」ということにあります。もしオスが1頭でメスが10頭いる生物がいたとします。この場合、オスを生むのが得か、メスを産むのが得か、どっちでしょう?答えはオスを生んだほうがずっと得です。単純のためにおのおののメスは1頭の子供を産み、オスが複数頭いたらメスを等分に分けるとしましょう。息子を生んだ場合、息子はもともといる1頭のオスと10頭のメスを均等に分け合いますから、それぞれのメスと1頭の子供を作りますから、息子を生んだときにできる孫の数は5頭です。娘を産んだときは、1頭しか孫ができません。つまり、息子を生んだほうが孫がたくさんできるので、息子を生んだほうが有利になり、集団でオスをたくさん生む遺伝子が広がっていきます。逆にオスのほうが多い集団では娘を生んだほうが有利になります。そんなわけで、結局オスとメスの比は半々に落ち着くのです。


Q.メスのほうが大きい魚はどう説明するのか/オスが育児の負担を多く背負う種はいるか
A.そもそも魚の場合は一度に何億という卵を作る種もおり、哺乳類に比べると卵もかなり「安物」です。哺乳類ではほとんどいませんが、魚にはメスが全く子育てをせずオスが口の中などで子育てをする種がいます。オスが子育てを全てひきうける種では、逆にオスをめぐってメスどうしの争いが激しくなり、メスが強く、大きくなるという理屈です。そのほか、ある種のアンコウのように、オスはメスに完全に寄生して暮らしている魚もいます。オスは生まれてから海の中を漂い、うまくメスを見つけられるとメスにくらいつき、後は一生自分では食物を取らず、メスに寄生して過ごします。


Q.なぜカマキリはオスが小さくハチやアリは多くのオスが大きなメスを取り囲んでいるのか
A.カマキリのオスはメスに食べられないようにうまく接近することの方が大事で、メスをめぐってオス同士で争うという状況はほとんど生じないのでしょう。そのためにはむしろ小さく目立たない方がよいのかもしれません。ハチやアリのメスは女王になればたいへん巨大ですが、交尾の時はオスと大きさは変わりません。彼ら社会性昆虫の配偶システム・性決定の仕組みは他の動物と根本的に異なっているので、限られたスペースでは申し訳ないが説明しきれません。


Q.チンパンジーにはメスの浮気を防ぐ道具や手段はあるか
A.発情したメスに付きまとうという行動がそうです。サル以外では、トンボは交尾した後オスがメスの性器をふさいでしまいます。「交尾栓」と呼ばれていますが、ヒトの貞操帯と同じようなものです。


Q.子供を女だけで育てさせるという風習が昔はあったが今はなくなった。こういう変化はいつ生じたか、これは進化といえるのか
A.単に「昔」ではいつのことか不明です。縄文時代にはそんな風習はなかったでしょうし、私が聞きかじったところでは江戸時代に子供を教育するのはむしろ父親の役目であったそうです。いずれにせよ文字に残るほどの新しい時代から今に至るまでの非常に短い時間に起こった変化は文化的なもので、遺伝的な変化を伴った通常の生物進化ではありません。


Q.男の性の方が制限されていた時代はあったか
A.私の知る限りありません。まずないだろうと思います。


Q.日本には貞操帯はあったか
A.ありません。


Q.割礼で麻酔はするか
A.一般的にはしません。


Q.オスや男はメスや女に浮気をさせない努力をするのに、自分たちが浮気をするのはなぜか
A.私が授業で話したのは倫理や良心、道徳とは全く別次元の「こう振舞えば最も自分の遺伝子を次世代に残すことができる」という「理屈」です。まずはメス・女にとって不利益があるかどうかは度外視して、オス・男本位の立場で理屈に筋が通っているか考えてください。オス本位の利益を追求しようとすれば、メスを犠牲にするかも知れませんが、メスの不利益はオス自身の不利益でもなんでもありません。だからオス・男が姦通に対して二重規範(ダブルスタンダード)を持っていることは、「オス本位の立場からは」最適なやり方だというのは、理屈として筋が通っているではないでしょうか?ただし、オス本位のやり方を押し通すことがメスの抵抗が大きくてできない場合は、妥協もするでしょう。ヒトの男がそれなりに浮気をしないでいるのは、浮気をする男は配偶者に選ばないという選択を女がしてきたからです。
 このような生物学的な観点からの説明は、性差別に根拠を与え、性差別を助長するものだという批判があります。しかし私は、世の中が全て理想通りにうまくいっていると考えるような空想をするよりは、なぜ性差別が生まれてきたかを考える方がずっと現実的だと思うのです。そのときには、「そうあってほしくない」という願望は、とりあえず脇において、事実をもとにそこから論理的に間違いのない結論を出すという、通常の自然科学の方法に忠実に従うしかありません。そのようにして分かった性差別の起源を、性差別をなくすことにどう役立てるかは別の問題です。


Q.たくさんの異性と性交渉を持つのは男だというのは祖先から受け継いだ性質で、男女の経済的不平等とは関係ないのではないか
A.祖先から受け継いでいることは確かですが、私が言ったのは、男女が経済的に不平等だとそのような性質が「助長」されるということです。配偶者の姦通は女にとっても不利益がありますが、女が男に対して弱い立場にあれば女の主張は無視されやすいでしょう。


Q.ヒト以外の動物に姦通・結婚はあるか/チンパンジーには離婚はあるか
A.ペアで暮らしている動物が配偶者以外と交尾をすれば研究者はそれを「姦通」と呼びますが、もちろんヒト以外の動物に倫理もへったくれもありませんので、それが悪いことだとかいう意識はありません。「結婚」は相互扶助と独占的性的関係を結ぶことを約束するという、一種の「契約」ですので、他の動物にはありません。ペアを作る動物はペアになるときにお互いを裏切らないとか、いっしょに助け合おうとか約束したりはしません。チンパンジーに離婚?冗談じゃありません。あなた授業で何を聞いているんですか!!味噌汁で顔洗って出なおしてきなさい!


Q.オスの子育てがある場合に性的二型が小さいのは、たとえばどんな動物がいるか
A.まずヒトです。それからペアで暮らすテナガザルもそうです。


Q.ライオンはメスも狩りをするがメスの犬歯は大きいのか
A.肉食動物ではオスもメスも犬歯は大きくなります。


Q.サバンナモンキーやヒヒのオスの犬歯はなぜ大きいのか
A.オスどうしのメスをめぐる闘争で武器として使うか、あるいは自分が強いことを誇示するために使うのでしょう。


Q.顔で異性を選ぶのはヒトだけか
A.一部の鳥に見られるような、「尾の長いオスを選ぶ」というような単純な選択基準は、霊長類のメスを観察する限りほとんど認められません。顔では選んでいないと思いますが、完全に違うとも言いきれません。


Q.サルのオスはメスを選ばないのか、選ぶなら基準は何か/発情しているのにオスに相手にされないメスザルはいるか/メスは目立つ特徴を持たないのに、オスはどこに魅力を感じてメスを選ぶのか
A.基本的には発情したメスでありさえすればよいようです。ただ、ニホンザルの場合若いメスはあまり好まれません。この傾向は割に多くのサルで見られます。ヒトの男が若い女により性的魅力を感じるのは、配偶者と長い付き合いをする場合は若い方が今後自分の子供をたくさん作ってくれる可能性があるためでしょうが、ニホンザルの場合は異性との関係はその場限りのものです。そうなると今交尾をしてできた子供をうまく育てられる、子育て経験豊富な中年のメスの方がよりよいのではないかと考えられます。


Q.オスによる子育てがないとメスどうしの競合はないと言ったが、異性どうし好きにはならないのか、好きになっても嫉妬しないのか
A.恋愛はヒトも最も美しい?感情の一つですが、他の動物には全く見られません。メスの嫉妬も多くの動物にはありません。ヒトにとって当たり前のことは他の動物にもあると思ってはいけません。


Q.乳房は大きい方がセックスアピールがあるということはないのではないか、胸の小さな女性が好きな男の人だっているし、形にこだわるかもしれない
A.こう書かれたのは女性でした。大きすぎる乳房=過度の肥満=健康状態悪い、というようにマイナスの信号を送ってしまうかもしれませんが、一般的には男は乳房が大きい女により性的魅力を感じるものだと私は思います。女の魅力には乳房以外にもたくさんありますから、乳房の小さな人でもそれ以外の点で優れていたら十分魅力的でしょうが、「乳房が小さい」ことを魅力に感じてその女に惹かれることはあまりないように思いますし、百歩譲ってそういう男がいたとしても、大きな乳房を魅力的に感じる男よりは、数はずっと少ないと思います。


Q.乳房が小さい女の人は繁殖力が低いか
A.出産制限をしていない狩猟採集民では、脂肪をたくさん蓄積している女の人の方が出産率が高いことを示す研究があります。もちろん異常に肥満していたら出産率は落ちるでしょうが、狩猟採集生活では肥満になるほど食物が有り余ることは実際上ありえません。繁殖能力に影響するのは乳房の大きさそのものではなく、体全体の脂肪の量ですが、乳房も脂肪でできているので、乳房の大きさも繁殖能力をある程度は反映しているはずです。


Q.昔は太った女の人のほうが魅力的とされたのはなぜか
A.浮世絵の美人画を見ると太ってはいません。「昔は」と十把一からげにできないと思います。


Q.ヒトのオスも他の動物より配偶者をひきつける必要があるのではないか
A.ヒトは他の男女のペアとすぐそばで暮らしているので、男の場合もなわばりを作ってペアで暮らす種のオスよりは確かに配偶者をひきつける必要はあるでしょう。しかし、ヒトの場合は大体均等に一人の配偶者を得ているので、潜在的にもっとたくさんのメスに自分の子供を産ませられる可能性のある乱婚型の種、あるいは単雄複雌社会の種に比べれば、オスどうしの競合は弱く、それらの動物のオスほど異性をひきつけておく必要はありません。


Q.男が体を鍛えるのもセックスアピールか
A.そうでしょう。


Q.ペニスを使った示威行動は他のサルではないか
A.ボノボではオスがメスを交尾に誘うとき、二足で立ち、胸をそらして勃起したペニスをメスに見せます。彼らのペニスも細いがヒト並みに長く、これもヒトのペニスが長いのはセックスアピールのためではないかという一つの根拠です。


Q.男のペニスが長いのは子宮の入り口を刺激するためではないか
A.これは男子学生による質問です。私は男ですので断定はできませんが、「男が知りたい女の体」によれば、女性の性感帯は主に陰核や膣の入り口で、奥のほうはそれほど敏感ではないようです。


Q.欧米人のペニスは長いが固くないというがほんとうか/なぜ欧米人のペニスは長いのか
A.初耳です。もともとのデータを見ないことにはコメントできません。出典をご存知の方は教えてください。


Q.ヒトは自分の力でペニスを動かせるから少しは筋肉があるのではないか
A.この質問をされたのは女子学生でした。動かせません!!


Q.サルや他の生物のペニスに皮はあるか
A.哺乳類のペニスにはだいたい包皮があります。


Q.ヒトのペニスが露出しているのは精子を作るのに冷やした方がよいためではないか
A.他の哺乳類も含め、陰嚢が露出しているのは34℃くらいが精子を保存するのにちょうどいいためですが、ペニスとは関係ありません。


Q.ペニスは大きいと邪魔ではないか
A.もちろんです。大きくなると有利なことと不利なことがあり、その妥協点で今の大きさに落ち着いたのでしょう。


Q.なぜゴリラやオランウータンのペニスは小さくてよいのか
A.大きくする必要がなければ必要最小限の方が作るのにエネルギーもかからず狙われることもないからでしょう。


Q.フェロモンはヒトにもあるか
A.フェロモンとは他個体に向けて何らかの信号目的のために分泌される化学物質ですが、あります。男女ともわきの下や股から特有の臭いを出しており、それは非常に微妙ですが身体接触を伴うほど非常に近づいたときに、ほとんど無意識に男らしさ、女らしさを感じさせ、性的興奮を呼び起こします。


Q.今は男は化粧しないがガクトのように化粧する男性もいるので、将来は男も化粧するようになるだろうか
A.個人的には化粧する男など蹴飛ばしてしまえと思いますが、女がそういう男を魅力的だと思うようになれば、そうする男も増えるでしょう。


Q.なぜヒトは服を着るようになったのか/男が裸の民族は女も裸か/なぜヒトは陰部を隠すようになったのか
A.防寒用や直射日光を避けるためということもありますが、これでは熱帯森林の中に住んでいるヒトの説明にはなりません。授業では全裸で暮らしている男の人を紹介しましたが、そういう民族でも、女の人は必ず陰部を何かで覆っています(ただし、トップレスです)。ヒトは隠れて性交渉をしますが、陰部、とくに女性の陰部をさらすことは人前で性交渉をするのと同じ理由でいろいろと性的もめごとの種になりやすかったのではないでしょうか。


Q.ペニスが常に出ているから服を着るようになったのではないか
A.そういう考えもありうると思います。やっぱりこう常に出ているのでは危険だし性的もめごとの種になりやすい、という事態が生じたときに、もう一度引っ込めることができるような進化が起こるより、服を着たほうがよほど手っ取り早いでしょうから。


Q.ニューギニアの人のように常に裸でいる人はどんなときに羞恥心を感じるか、服を着ている人を見てどう思うか
A.私のまわりにそういう人々と付き合った経験のある人がいないので直接の答えにはなりませんが、ペニスサックだけ着けているニューギニアの人に「なぜペニスサックを着けているのか」と聞いたら、なんと「ペニスをむき出していると恥ずかしいから」と答えたそうです。


Q.服を着ない人は普段から裸の女の人を見て勃起しないのか、いざ性交のときに慣れて興奮しないのではないか、それとも彼らには発情期があるのか
A.発情期はありません。またどんな民族でも女の人は陰部を隠しています。それに性交渉のとき興奮するのは普段隠されている部分を見るだけでなく、触ったり、触られたり、相手の臭いを感じたりといろいろなことがあります。だから必ずしも普段から裸を見なれていると興奮しないということはないと思いますが、私のまわりに全裸で暮らす民族を研究している人がいないので、本当のところは私も分かりません。


Q.性の快楽だけを求める人は子供はほしくないのか
A.「性行動は子供を作るための行動である」というのはそのとおりですが、そのことをその行為を行う個体が意識的に理解している必要は全くありません。ヒト以外の動物はおそらく全く理解していないでしょう。だからヒトが子供を作ることは意識的に望みはしないのに、性交渉にともなう快楽という子供を作るための「報酬」だけ欲しがるということは、とくにおかしいことではないと思います。


Q.今、女もたくさんの異性と関係を持とうとするのはなぜ
A.よりよい配偶者を得るため?あるいは「たくさんの父親」仮説の名残?単純なストレス解消行動?それはともかく、男と違い、結婚して望ましい連れ合いを得てからも男遊びをしつづける女はあまりいないのではないでしょうか?


Q.なぜメスはオスに比べて性的に興奮しにくいのか/ヒトの男女はどちらが性欲旺盛か
A.メスのほうが興奮しにくいと授業で言いましたか?発情したニホンザルのメスを見ている限り、どちらがより積極的だとはにわかには言えません。ヒトの女は、見知らぬ異性に対しては男よりも性的に興奮しにくいでしょうが、自分のパートナーに対しては、そんなことはないのではないでしょうか?


Q.ヒト以外のサルが、別のサルが発情しているのを見て興奮することはあるか
A.別のサルというのは別種のサルということでしょうか?チンパンジーがヒヒの発情メスを見て興奮するとは考えられませんが、ごく近い種類では雑種ができたりするので、近い種の場合は別種のメスでも興奮するでしょう。


Q.ヒト以外の動物に性欲はあるか
A.当然あるでしょう。でなければ性交を起こす動機がありません。


Q.サルの同性愛はどんな姿勢か
A.馬乗りの交尾姿勢しかしないニホンザルではメスどうしの場合もオスどうしの場合もどちらかがどちらかに馬乗りになります。さまざまな交尾姿勢のあるボノボでは同性愛の姿勢もさまざまです。


Q.1月に20個排卵する哺乳類は何か
A.ネズミの仲間は一度に20匹くらい子供を産むものもいます。一月ではなく、正確には1回に排卵する数です。


Q.サルの妊娠期間はどのくらいか
A.ニホンザルであれば約6ヶ月です。


Q.サルのメスは妊娠中に交尾するか
A.妊娠の初めのころならば発情して交尾することもあります。


Q.サルで奇形児が生まれることはあるか、生まれたらどうするか
A.生まれることはありますが、そいう赤ん坊をとくに丁重に扱うわけではないので、たいていは育たず死んでしまうでしょう。


Q.サルのオスもマスターベーションや夢精をしてたまった精子を出すのか
A.夢精は分かりませんが、マスターベーションは交尾期のニホンザルのオスには普通の行動です。精子は古くなると運動速度が遅くなるので、あまり交尾機会のないオスはマスターベーションをして精子を新しいものに取り替えているのだ、と説明されています。もちろん、彼らが意識してそうしているわけではありませんが。


Q.なぜオスには授乳する機能がないのか
A.男が母乳を分泌したという報告は、ごくごく少数ですがあります。それから1994年にはダヤクオオコウモリという動物でオスも授乳することが発見されました。オスが授乳するようになる変化は進化的にはきわめて容易で、数回の突然変異でできてしまいそうなことのようです。それでもダヤクオオコウモリ以外の哺乳類のオスで授乳が知られていないのは、まずオスは交尾するだけで子育ては何も手伝わないという種がほとんどであること、オスが子育てを手伝う種でもやはり母親に比べれば生まれた子供が自分の子供か不確かなので授乳という大きな投資をするのは危険が大きいこと、体の多きなオスは授乳よりも外敵から身を守るなどの役割の方が向いていること、などが考えられます。ダヤクオオコウモリの生態はまだほとんど謎ですが、ジャレド・ダイアモンド「セックスはなぜ楽しいか」には、オスによる授乳が最も進化しそうな種は、ほかならぬヒトだと書いてあります。


Q.不倫と浮気の違いは何か
A.辞書をひいてください。


Q.サルのメスはいつ妊娠していると気付くのか
A.サルにインタビューはできないのでわかりません。とくに行動に変化が生じるようには見えないし、全く意識していないかもしれません。


Q.リンゴ病のように子供のうちは軽くてすむのに成人になってからかかると不能になる病気があるのはなぜか
A.申し訳ないが分かりません。


Q.サルの初体験は早いのか
A.サルの初めての性交渉は「初体験」というほど心ときめくものではありませんが、ニホンザルならば4-6歳です。


Q.サルのメスが子育てをいやがることはあるのか
A.ニホンザルでもごくまれに子育てを放棄するメスがいます。もっとも、こういうメスがたまに現れてもこういうメスは次世代に自分の遺伝子を伝えられませんので、こういうメスが多数になることは決してありません。


Q.性交のやり方で男女の産み分けができると聞いたが、どうするのか
A.「男が知りたい女の体」によると、そういう説もあるようですが、信頼できるデータは示されていないそうです。


Q.サルもメスが狩りをすることはあるか
A.そもそも狩猟をする霊長類はほとんどいませんが、ヒヒやチンパンジーなど、狩猟をする種では主にオスがします。


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<文責: 半谷吾郎 (hanya<atmark>pri.kyoto-u.ac.jp)>
<問い合わせ先: 半谷吾郎 (hanya<atmark>pri.kyoto-u.ac.jp)>
<最終改変日: 2004年11月24日>