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そのほかの研究

 学部学生、修士学生時代の研究です。


1. 比叡山のニホンザルの保全生態学的研究

 京都大学理学部学生時の課題研究では、京都府・滋賀県境の比叡山の野生ニホンザルを対象に、餌づけや植生の撹乱、農作物への依存などの人為的影響によって個体群パラメータが大きく影響を受けることを明らかにし、その成果に保護管理上の提言を加えた論文を「霊長類研究」誌に発表しました。

 また、この過程で群れが従来の遊動域を大幅に離れて遊動する事例を発見し、Anthropological Science」誌に発表しました。これはニホンザルの群れは地縁的であるという従来の常識を覆すものです。

 比叡山のニホンザルの調査は、1996年4月から11月に行いました。







 残念ながらその後比叡山のニホンザルとは縁が遠くなってしまいましたが、研究者としての駆け出しの時期に人間と濃密にかかわっているニホンザルを目の当たりにしたことは、非常に重要な経験であったと思っています。

 群れが大移動した場所が京都東山の観光地の真っ只中であったため、新聞、テレビ、果ては「アサヒ芸能」にまで取り上げられるほどの大騒ぎとなり、京都府の対策チームの実行部隊として駆けずり回り、「みんな殺してしまえ」と地元の人に言われたり、棒でサルを追い払っていたら「お兄ちゃんかっこいい!」と小学生に言われたりもしました。

 写真は比叡山のサルの大移動を紹介する新聞記事、写っている人物は私です。











2. 屋久島西部海岸部での研究


 大学院修士課程(1997年4月−1999年3月)では、1974年以来継続調査が行われている屋久島西部海岸部のニホンザルを対象として、年齢による採食行動の違いについて研究し、Primates」誌にその結果を発表しました。

 また、この調査中にこの地域のニホンザルの大量死という、従来まったく知られていなかった現象を発見しました。当時調査地で全頭個体識別していた5つの群れ、115頭の死亡率は61%に達しました。この発見は、一見安定した環境でも、個体群が安定ではなく、非平衡状態に移行しうることを示すものです。この論文はEcological Research 」誌に発表しました。

 屋久島西部海岸部は長年調査が行われいるだけに、野外調査の経験を積むのにはよいのですが、研究されていない、おもしろいテーマを見つけることがたいへんでした。

 幸か不幸か、私が修士論文を準備しているあいだにかつて調査していた群れが消滅してしまい、それも一つの大きなきっかけでこの地域での研究からも足を洗ってしまいました。来る日も来る日もサルが見つからず、死体だけを見つける日々は、たいへんつらいものでした。

 写真は大量死のときに死んだサル。このサルは私の調査していた群れの第一位のオスで、死後霊長類研究所に運ばれ解剖されました。死因は肺炎でした。



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<文責: 半谷吾郎 (hanya<atmark>pri.kyoto-u.ac.jp)>
<問い合わせ先:半谷吾郎 (hanya<atmark>pri.kyoto-u.ac.jp)>
<最終改変日: 2010年12月24日>