川本 芳 (かわもと よし)のページ

かわもと よし
川本 芳

484-8506
犬山市官林 京都大学霊長類研究所
進化系統研究部門 集団遺伝分野

Primate Research Institute
Kyoto University
Kanrin, Inuyama, Aichi 484-8506
Japan

TEL  0568-63-0527
FAX  0568-62-9554
E-mail
 

研究近況1 ニホンザルの集団遺伝学的研究
研究近況2 マカカ属サルの系統関係
研究近況3 マカカ属サルの交雑に関する遺伝学的調査
研究近況4 マダガスカル産霊長類の遺伝学的研究
研究近況5 家畜化現象と家畜系統史の研究
研究近況6 霊長類の民族生物学研究

原著論文
報告
著書(分担執筆)

学会発表等

研究こぼれ話1 岡山県の厩猿(うまやざる)探し
研究こぼれ話2 『棄てられたサル』
研究こぼれ話3 『バングラデシュ事情:街中のサル』
研究こぼれ話4 『ブータンのウシたち』

研究こぼれ話5 『赤いサルと黒いサル』 ネパールのサル狩猟民 ラウテ(Raute) 探訪

研究こぼれ話6 『藁苞(わらづと)の厩猿』 奥州市「牛の博物館」の活躍

研究こぼれ話7 眠り薬を探して - 野外調査と麻酔薬
 
研究こぼれ話8 北限のサル考

研究こぼれ話9 ヒマラヤのウシから見えてきたこと

 

 

 


研究近況 1

ニホンザルの集団遺伝学的研究

  共同研究者 【赤座久明・森光由樹・早石周平・川合静・齋藤梓・川本咲江】

 常染色体およびY染色体のマイクロサテライトDNAにおける地域変異の研究を進め、ニホンザルの成立過程を検討している。ミトコンドリアDNAと対照的 な分化を示す分布辺縁地域の個体群の特性をボトルネック効果の影響との関連で分析した。東北地域で他所から強い分化を示す下北半島の個体群を分析した結 果、この個体群は孤立が著しく、古い時期に生じたボトルネック効果の影響を受けているとの結論を得た。この成果を論文公表した。

 共同利用研究では、山形県、富山県、長野県、兵庫県の地域個体群の調査を進めている。ミトコンドリアDNAの第1可変域の塩基配列分析を行い、従来の第 2可変域を利用したタイピングの結果と比較した。この結果、地域特異的なハプロタイプをさらに細かく区別できることがわかり、その地理的分布や系統地理的 関係を調査する重要性が明らかになった。

東北地方のマイクロサテライトDNA分析(左図:調査個体群、右図:a 常染色体、b Y染色体、の地域分化)

 

 

 


研究近況 2

マカカ属サルの系統関係

  共同研究者 【濱田穣・Feeroz MM・Hasan MK・Wangchuk T】

 共同利用研究の計画課題「マカクの種内・種間分化およびその保全と利用」の初年度にあたり国際シンポジウムを兼ねた共同利用研究会「マカクの進化と多様 性に関する研究の現状と課題」を2008年2月に開催した。マカクの進化と多様性に関する研究の現状理解を深め、今後重要となる研究課題を議論した。


 2007年9月に短期間ブータンを訪問し、アッサムモンキーの分布調査を行った。インドのアルナチャールプラデシュから新種として報告されたMacaca munzalaとの形態的および遺伝的ちがいを確認するため情報と資料を収集した。


 2007年11月から12月にはバングラデシュでアカゲザルの遺伝学調査を行った。東北地方と南東地方の森林地域で試料を採集した。また、2005年度に実施した共同研究の成果を上記のシンポジウムで発表し、論文としても公表した。


ブータンのアッサムモンキー(川本芳撮影)


バングラデシュ農村地帯のアカゲザル(川本芳撮影)

 約4世紀まえに人為導入され、現在アメリカを中心に広く動物実験に利用されるようになったアフリカのモーリシャス島のカニクイザルの遺伝的特性と起源に関する研究を行い、論文公表した。

 


研究近況 3

マカカ属サルの交雑に関する遺伝学的調査

    共同研究者 【齊藤梓・白井啓】

 Y染色体のマイクロサテライトDNA多型を利用し、外来種特異的なY染色体ハプロタイプを分類し、オスによる遺伝子拡散を調査する方法を開発した。

 房総半島に定着したアカゲザル群の交雑進行について、2006年度に収集した試料の分析結果をまとめ、論文公表した。

 2007年7月に開催された霊長類学会の大会で和歌山県のタイワンザル交雑群に関する研究成果を発表した。2007年9月の哺乳類学会の公開シンポジウ ムで国内の外来種問題に関する遺伝的モニタリングの現状を紹介した。また、2008年2月に犬山で開催した国際シンポジウムにおいて、日本における研究の 現状と問題点について発表した。


和歌山のタイワンザル交雑個体群(川本芳撮影)


和歌山のタイワンザル交雑個体のオス(川本芳撮影)

 

 


研究近況 4





マダガスカル産霊長類の遺伝学的研究

  共同研究者 【市野進一郎】

 ベレンティー保護区に生息するワオキツネザル群のマイクロサテライト遺伝子変異の分析を継続している。共同利用研究で、6群を対象に、個体の遺伝的プロフィールを調べ、長期観察の結果より血縁関係の分析を進めている。





ベレンティー保護区のワオキツネザル(川本芳撮影)

 



 


研究近況 5

家畜化現象と家畜系統史の研究

  共同研究者 【稲村哲也・Dorji T】

 2007年8月にペルーを訪問し、先土器時代の遺構として新たに発見されたシクラス遺跡の状況を見学し、ラクダ科動物の家畜化に関係しそうな獣骨の発掘状況を調査した。

 2007年11月にブータンを訪問し、ウシ科のミタンの遺伝子特性、ミタンと在来牛の交雑調査の進め方につき共同研究者と打合せを行い、現地での遺伝子分析の状況を確認した。
 国内の研究会、談話会で南米におけるラクダ科動物の研究成果を発表した。



ペルーのアンデス高地(標高4800m)のアルパカ(川本芳撮影)

 


研究近況 6

霊長類の民族生物学研究

  共同研究者 【三戸幸久・中村民彦・山本博章】

 トヨタ財団の助成を得て、厩猿(うまやざる、まやざる)に関するアンケート調査、現地調査を行った。18県1320地点につき、物的証拠(①石塔、石 碑、②神社、仏寺、③厩猿実体(サルの頭蓋骨ないしは手)、④祭事や行事、⑤講や法会)、ならびに信仰や風習(①蒼膳(そうぜん)神、②馬櫪(ばれき) 神、③馬頭(ばとう)観音、④庚申講、⑤厩猿信仰、⑥日吉信仰・山王信仰、⑦その他のウマやサルの信仰・風習)の有無をアンケートで質問し、結果をホーム ページで公開した。


 厩猿の実体の残存状況にはかなり地域差があり、信仰の消滅とともに急速に実体も消失しつつあることが予想された。比較的実体が残っている東北北部、紀伊 半島、中国地方などに焦点を絞り、現地調査で信仰の実態や厩猿の形状等の調査を継続している。


盛岡市で発見された厩猿(中村民彦撮影)





【原著論文】

Kawamoto Y, Kawamoto S, Matsubayashi K, Nozawa K, Watanabe T, Stanley MA, Perwitasari-Farajallah D
Genetic diversity of longtail macaques (Macaca fascicularis) on the island of Mauritius: an assessment of nuclear and mitochondrial DNA polymorphisms.
J Med Primatol 37(1): 45-54 (2008)

Kawamoto Y, Tomari K, Kawai S, Kawamoto S
Genetics of the Shimokita macaque population suggest an ancient bottleneck.
Primates 49(1): 32-40 (2008)

Feeroz MM, Hasan K, Hamada Y, Kawamoto Y
STR polymorphism of mtDNA D-loop in rhesus macaques of Bangladesh.
Primates 49(1): 69-72 (2008)

Kurachi M, Kawamoto Y, Tsubota Y, Chau BL, Dang VB, Dorji T, Yamamoto Y, Nyunt MM, Maeda Y, Chhum-Phith L, Namikawa T, Yamagata T
Phylogeography of wild musk shrew (Suncus murinus) populations in Asia based on blood protein/enzyme variation.
Biochem Genet 45(7-8): 543-63 (2007)

Koyama N, Aimi M, Kawamoto Y, Hirai H, Go Y, Ichino S, Takahata Y
Body mass of wild ring-tailed lemurs in Berenty Reserve, Madagascar, with reference to tick infestation: a preliminary analysis.
Primates 49(1): 9-15 (2008)


【報告】

Kurachi M, Yamagata T, Namikawa T, Kawamoto Y, Tanaka K, Mannnen H, Takahashi Y, Nomura K, Kinoshita K, Tsunoda K, Nishibori M, Yamamoto Y, Samdrep C, Sherpa D, Tsering G, Doriji T
Morphological, mitochondrial DNA and blood protein/enzyme variations of wild musk shrews (Suncus murinus) in Bhutan.
Rep Soc Res Native Livestock 24: 195-205 (2007) 

川本芳, 川本咲江, 川合静, 白井啓, 吉田淳久, 萩原光, 白鳥大祐, 直井洋司
房総半島に定着したアカゲザル集団におけるニホンザルとの交雑進行.
霊長類研究 23(2): 81-89 (2007)

 


【著書(分担執筆)】

川本芳
遺伝子から見たニホンザルの地域分化
「霊長類進化の科学」(京都大学霊長類研究所 編),2007年6月, pp. 440-450, 京都大学学術出版会, 京都

川本芳
遺伝的多様性と地理的分化 ーニホンザルー
「日本の哺乳類学 第2巻 中大型哺乳類・霊長類」(高槻成紀・山極寿一 編),2008年6月, pp. 223-251, 東京大学出版会, 東京



【学会発表等】

川本芳
遺伝子からみたアンデス高地のラクダ科動物の特徴と家畜化
第47回民族自然誌研究会, 2007年4月21日(京都市)

川本芳, 川合静, 齊藤梓, 川本咲江
ニホンザル研究へのY染色体マイクロサテライト多型の応用性
第8回ニホンザル研究セミナー, 2007年5月19-20日(犬山市)

川本芳, 川本咲江, 川合静, 齊藤梓, 濱田穣, 毛利俊雄, 國松豊, 大澤秀行, 後藤俊二, 和秀雄, 室山泰之, 森光由樹, 白井啓, 鈴木和男
和歌山県におけるタイワンザルとニホンザルの交雑に関する集団遺伝学的研究
第23回日本霊長類学会大会, 2007年7月16日(彦根市), 霊長類研究 23(Suppl): S-8 (2007)

濱田穣, 毛利俊雄, 國松豊, 茶谷薫, 大澤秀行, 後藤俊二, 和秀雄, 白井啓, 森光由樹, 川本芳
和歌山県におけるタイワンザルとニホンザル交雑に関する形態学的検討
第23回日本霊長類学会大会, 2007年7月16日(彦根市), 霊長類研究 23(Suppl): S-8 (2007)

川合静, 川本芳
ニホンザルのミトコンドリア遺伝子全塩基配列の解読と他のマカクの配列との比較
第23回日本霊長類学会大会, 2007年7月16-17日(彦根市), 霊長類研究 23(Suppl): S-33 (2007)

森光由樹, 川本芳
保護管理にむけた神奈川県のニホンザル地域個体群の遺伝的モニタリング法の検討
第23回日本霊長類学会大会, 2007年7月16-17日(彦根市), 霊長類研究 23(Suppl): S-22 (2007)

川本芳
サル地域個体群の保全・管理にむけた遺伝的モニタリング
日本哺乳類学会2007年度大会 公開シンポジウム 「飼育・実験下での成果とフィールドワークをつなぐ哺乳類研究」, 2007年9月16日(府中市), プログラム・講演要旨集 p. 52

濱田穣, Vo Dinh Son, Tran Huy Vu, Le Van Hoandg, Nguyen Van Hung, Nguyen Van The, Suchinda Malaivijitnond, 後藤俊二, 川本芳
タイとベトナムにおけるアカゲザルとカニクイザルの交雑についての比較
日本哺乳類学会2007年度大会, 2007年9月16日(府中市), プログラム・講演要旨集 p. 86

千田寛子, 東英夫, 川本芳, 玉手英利
山形県及び周辺地域におけるニホンザル(Macaca fuscata)の遺伝学的集団構造
日本哺乳類学会2007年度大会, 2007年9月15-17日(府中市), プログラム・講演要旨集 p. 148

Kawamoto Y, Feeroz M M, Hasan M K
Mitochondrial DNA diversity in rhesus macaques of Bangladesh
International Symposium "Evolution and Diversity of Macaques: Research Progress and Prospects", February 15-16, 2008, Inuyama

Kawamoto Y
Genetic monitoring for preventing hybridization between native and exotic macaque species in Japan
International Symposium "Evolution and Diversity of Macaques: Research Progress and Prospects", February 15-16, 2008, Inuyama

川本芳
アンデスのラクダ科動物に関する遺伝学的研究
第186回中部人類学談話会 ミニ・シンポジウム「アンデスのラクダ科動物とその利用に関する学際的研究」, 2008年3月29日(名古屋市)


International Symposium "Evolution and Diversity of Macaques: Research Progress and Prospects",
February 15-16, 2008, Inuyama


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