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霊長類の自然史研究

京都大学霊長類研究所 進化系統研究部門 助教 伊藤毅

Stump tailed macaque geographic variation and modularity of skulls in Japanese macaques Gray langur Ecogeographic variation of skulls Japanese macaque T. Ito Sigiriya, natural habitat of Toque macaque

研究

専門は進化生物学です。幾何学的形態測定、集団ゲノミクス、統計モデリング等の技術を活用し、霊長類の進化と系統について研究しています。現在はとくに種間交雑の研究に力を入れています。

以下の研究の一部は、琉球大学、龍谷大学、チュラロンコーン大学、アリゾナ州立大学、京都大学霊長類研究所の他研究室(系統発生分野、人類進化モデル研究センター、ワイルドライフサイエンス)などとの共同研究です。また、試資料の収集・保管に携わってこられた多くの方々のご協力によって成り立っています。科研費 (JSPS; 11J0012015J0013417K15195, 19K16211)、K-CONNEX、藤原ナチュラルヒストリー振興財団学術研究助成、日本科学財団笹川科学助成、琉球大学、京都大学霊長類研究所などから支援を受けています(ました)。

種間交雑

ヒトを含めた霊長類の進化は、枝分かれだけの過程ではなく網目状であることがわかってきています。交雑は新しい遺伝子の組み合わせを生み出し、表現型の新規性や多様性の創出に貢献したと考えられますが、その実態はよく分かっていません。私たちは、集団ゲノミクスの手法を用いることで、交雑がどのように進行し、形態にどのような影響を与えたのかについて研究しています。

進化量的遺伝学と種間系統比較

表現型の進化は、自然選択だけではなく、遺伝的浮動にも影響されます。また、進化の方向と程度は、遺伝的・発生的統合性の拘束下にあります。私たちは,幾何学的形態測定学、進化量的遺伝学、種間系統比較を用いることで、霊長類の頭蓋の多様化に自然選択と遺伝的浮動がどの程度寄与したのか、遺伝的・発生的拘束がどのような制約を与えたのか、拘束性自体(進化可能性)がどのように進化したのかを明らかにすることを目的にしています。

系統と歴史生物地理

分子系統学は、現生種の系統仮説の構築に大きく貢献しましたが、DNAを抽出できない化石に適用することはできません。化石は、過去の生物のいた場所と形を直接的に知る唯一の情報源であり、進化や系統地理を理解する上ではなくてはならない存在です。私たちは、ゲノム情報と形態データを統合することで、絶滅種を含めた霊長類の体系を構築する試みを進めています。

研究成果

Google Scholar Citations

データ

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キュラトリアルワーク

私たちは、脊椎動物(とくに霊長類)の博物学的試資料(骨格・液浸標本や遺伝試料)の収集・作成・管理に携わっています。私の研究も含め博物学や進化学の成果は、長い歳月をかけて蓄積されてきたコレクションに多くを負っています。私も、微力ながら、次の世代のために質の高い試資料を残していきたいと思います。

資料をご提供いただく方へのお願い

いつもご協力いただき誠にありがとうございます。学術標本は、付帯情報(ラベル)がなければほとんど価値がありません。資料をご提供いただく際は、少なくとも採集日、採集地点、採集者、その他可能な限りの情報をいただけるとありがたいです。未来の研究者がどんな情報を必要とするかは、そのときになってみないと分からないからです。また近年では、骨格や毛皮などの標本と合わせて、遺伝分析用の試料を保存しておくことの重要性が認識されています(Burrel et al. 2015, JHE)。軟組織の一部をできるだけ新鮮なうちにDNAが分解しない方法(冷凍、エタノールなど)で保管することが期待されます。

アウトリーチ

その他

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愛知県犬山市官林41-2 京都大学霊長類研究所