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研究内容

現在研究室では、主にゲノムを基盤とした次のような研究を進めている。

これらの現在進行中の研究は、ゲノム情報をどう利用するのかという
ポストゲノム時代を見据えた内容ではあるが、ゲノム情報を基盤としたヒト
を含めた霊長類の進化・多様化の解明のためには、さらに新しい視点に立った
遺伝子・非遺伝子領域の機能解明が必須である。ゲノム情報を基にしたヒトや
類人猿・その他霊長類の進化・多様化の軌跡を明らかにする、これまでは夢物語
であったテーマも実現できる時代に来ていることを強調したい。

分野紹介ポスター

ボトムアップのヒト行動進化研究

脳からのトップダウン指令がヒトの行動進化研究の中心であるが、最近では脳腸相関等、末梢からのボトムアップの情報が重要であることがわかっている。
私たちは、主に環境応答に関わる感覚受容体遺伝子(視覚・味覚・嗅覚等)をターゲットとして、個体ごとに異なる配列の意義、遺伝子発現の機構、タンパク質
の性質、末梢や脳内の情報処理機構など、各種霊長類が示す表現型へのゲノムベースの新たな研究を展開することを進めている。最近では、味覚の個人差や
地域差に与える遺伝子の影響がヒトだけでなく、様々な動物種でも存在することがわかってきたため、採食植物等を含めた環境との対応を解明することを
目指している(Widayati, Yan et al. 2018等)。また、個体レベル・地域レベルの変異が固定したものが種の差になるため、カルシウムイメージング
などによるタンパク質レベルで種間の化学感覚の違いを発見し、行動実験で確かめ、生態観察との関係を考察する方法で、研究を進めている。たとえば、
特殊な食性を示す霊長類の味覚受容体は特殊化していることがわかってきた(Nishi et al. 2019; Itoigawa et al. 2021等)。海外の霊長類にも注目しており
、多様な世界環境に生息する霊長類を比較することで、味覚進化のゲノム基盤を明らかにすることを目標としている。また、受容体が感覚器だけでなく消化器等
様々な組織に分布していることがわかってきたため、その役割に注目した研究を展開している(Imai et al. 2020; Inaba et al. 2021; Hayashi et al. 2021等)。
[ 今井啓雄Yan Xiaochan沼部令奈石村有沙鈴木樹]

iPS細胞を用いた進化生物学/医学および霊長類の分子発生生物学/エピゲノム

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